宇随天元は遊郭編で竈門炭治郎達と共に上弦の鬼を討ち取った最初の功労者ですが、惜しくも身体の欠損により柱を引退してしまいました。
しかし、およそ100年振りに上弦の鬼を討ち取ったにも関わらずネット上では「天元は弱い」等、よく過小評価されているように思えます。
そこで今回は、
- 宇随天元が過小評価されている理由
- 宇随天元の人気について
- 宇随天元が「ずるい」と言われる理由
等、宇随天元の評価や人気について解説していきたいと思います。
宇随天元が過小評価されているのはなぜ?
9人の柱の一人であり音柱を務めた宇随天元ですが、読者からよく「弱い」と言われているようです。
では、どうして天元が弱いと言われるのかを調べた所、
- 上弦の陸を相手に苦戦
- 炭治郎達が居なければ負けていた
- 痣を発現出来なかった
等が挙げられます。
しかし、それらの意見は最もではあるものの、恐らく岩柱・悲鳴嶼行冥以外の柱であっても上弦の陸を所見で攻略する事は不可能に近いと思われる為、これらの評価は妥当ではないのではないでしょうか。
天元の評価に対して一つずつ解説していきたいと思います。
天元の過小評価①「上弦の陸に苦戦」
上弦の陸は堕姫と妓夫太郎の2人で1つと珍しい鬼であり、2人同時に頸を落とさなければ倒せないという条件は先ず所見で攻略する事が難しい相手となっています。
しかし、天元は堕姫を瞬殺し、尚且つ堕姫の力量を瞬時に計測し上弦には程遠い実力から「お前上弦じゃねえだろ」と鋭い洞察力を見せていたにも関わらず、堕姫の中から妓夫太郎が出現すると一度目の攻撃を外し、二度目の攻撃ではカウンターと毒を受けてしまいました。
つまり、元忍でありながらも堕姫の弱さから警戒心を弱めるどころか反撃で毒を受けて万全ではなくなるという初手のミスが劣勢の要因であり、遊郭編の苦戦を生み出したのは天元の判断の甘さからだと推測出来ます。
しかし、妓夫太郎の反撃を受けた事に関しては鬼殺隊の柱で一番足の速い天元が避けられなかったという点において、恐らく鬼殺隊最強である悲鳴嶼行冥を除くと、他の柱でも回避出来なかったのではないでしょうか。
天元が上弦の陸と相対するまで、上弦の陸が2人で1つの鬼であるという情報は一切明かされていなかった為、初手で致命傷を避けただけでも賛辞されるべきだと思われます。
鬼滅の刃には鬼舞辻無惨直属の配下である「十二鬼月」が存在しますが、その中でも上位6名で構成される「上弦の鬼」は別格の強さを持っていました。 上弦の鬼は100年強顔ぶれが変わっていないと記載されていますが、どのようなシステムでどれくらい[…]
また、初手の判断ミスに関しては、刀鍛冶の里編での時透無一郎や甘露寺蜜璃も判断ミスで死にかけた所を味方に救出されているので、この辺りは宇随天元のミスというよりお約束の展開です。
天元の過小評価②「炭治郎達が居なければ負けていた」
鬼との戦いにおいて当然のように毎回巻き込まれている炭治郎ですが、彼等が居なければ天元は確実に上弦の陸に負けていましたし、勝利後も禰豆子が居なければ毒で死亡していました。
しかし、炭治郎達が居なければ負けていたのは他の柱にも該当する要因です。
時透無一郎は炭治郎と出会わなければ記憶を取り戻して痣を発現出来ませんでしたし、甘露寺蜜璃は憎珀天に気絶された段階で殺されており、冨岡義勇に至っては猗窩座戦で直接命を救われています。
その時代に一番最初にした「痣の者」が炭治郎である為、炭治郎の存在が無ければ続々と痣の者が誕生する事は無かったので結果的に炭治郎は鬼殺隊の勝利に直接結びつく稀有な存在でした。
また、遊郭編では天元が何度も炭治郎の命を救っているので持ちつ持たれつの関係性と見るのが妥当ではないでしょうか。
天元の過小評価③「痣を発現できなかった」
痣の仕組みが解明されたのは刀鍛冶の里編後であり、天元が柱を引退した後になります。
痣の者が一人現れると共鳴するように周りの者達にも痣が現れるという設定から、刀鍛冶の里に炭治郎が居た関係で無一郎と蜜璃は痣を発現する事が出来ました。
痣の発現条件は「体温を39度以上」及び「心拍数を200以上」にする事が最低条件となりますが、妓夫太郎の毒が巡っていた天元は毒が効きにくい体質や毒の巡りを遅らせる為に筋肉で心臓を止めていた事からこの範疇には無かったのかもしれません。
また、炭治郎が明確に濃い痣を発現させたのが妓夫太郎戦のラストになる為、天元が共鳴する事は無かったものと思われます。
作中では鬼に引け取らない力を発揮するには「痣」の発現が重要視されています。 痣を発現すると鬼に匹敵する力を得る事が出来ますが、この「痣」を発現させる事が難しく、歴代でも継国縁壱に呼吸を教わった剣士が痣を発現させていたと手記に残っている[…]
その為、遊郭編は炭治郎がまだ痣を完全に発現していない時期なので、天元以外の誰が来ていても痣は出ていなかったでしょう。
天元は妓夫太郎戦で左腕と左目を欠損していなければ無限城の戦いで痣を発現出来たかもしれません。
天元の「弱い」という評価は間違い
ここまで紹介した通り、遊郭編での戦いに関して天元は判断を幾つも間違えていますが、強さに関しては鬼殺隊最強の悲鳴嶼行冥を除けばさほど他の柱達と変わりがないように思えます。
特に天元の忍として過酷な修業を乗り越えてきた素の肉体の強度は悲鳴嶼に次ぐ優良株であり、自分の実力に傲りが無く冷静に立ち回れると悲鳴嶼が分析している他、腕相撲ランキングでは2位、俊足ランキングでは1位と身体能力は高水準です。
また、指先で刀の先端を摘まんで振り回す怪力や、毒が回った状態の片腕で妓夫太郎の血鬼術を全て捌く土壇場の戦闘力は、寧ろ痣無しの状態でよくやった方ではないでしょうか。
しかし、総合的な宇随天元の実力は柱間でも目立った差異は無いものの、物語後半になるにつれて他の柱が「痣」や「赫刀」と言った次の領域に目覚めていったのでどうしても見劣りしてしまうのは仕方ありません。
最終的な「強さ」で言えば当然痣も赫刀も使えない天元は柱の下位となるでしょうが、遊郭編の段階では寧ろ毒耐性もある為、柱の中でも上位の実力だったように思えます。
天元は人気がないのか?人気投票の結果
鬼滅の刃では過去に二度ほどキャラクターの人気投票が行われました。
- 第1回人気投票結果:37位
- 第2回人気投票結果:13位
第1回の投票は遊郭編導入前後になるので妥当な順位ですが、鬼滅の刃が連載終了したのが2020年24号であり、第2回の投票結果は完結から少し経った週刊少年ジャンプ2020年47号に掲載された為、遊郭編で退場したにしては「13位」は中々に高い順位ではないでしょうか。
因みに天元より下位の柱は22位の悲鳴嶼行冥しかいない為、実質柱間の人気で言えば下から2番目になります。
ただ、全体で13位は充分に健闘している方です。
ただ、無限列車編の煉獄杏寿郎の後に登場する柱であり、かつ過去自体は柱間でも辛いものでありながら演出によってそこまで悲しく描かれなかった為に感動も煉獄以下という観点から、どうしても煉獄と比較されて人気が失速しがちなのが天元が過小評価されている要因だと思われます。
また、忍の家系や時代背景から嫁が3人いるという設定は女性に嫌われやすい特徴だと思いますので、人気や評価は二分され易いのでしょう。
したがって、全体の登場キャラクターとしては人気があるものの、柱間の人気で言えば「人気が無い」という事になります。
天元が「ずるい」と言われる理由
よく検索サジェストやネットの感想で「天元 ずるい」と見かけます。
その理由は単純明快で、
- 上弦との戦いで生き残って引退
- 嫁が3人もいる
- 最終決戦で前線ではなく護衛に就いている
- 「痣」が発現していない為、余生を嫁3人と過ごせる
以上の事柄が要因ではないでしょうか。
先ず、上弦の鬼と遭遇して勝利し生き残っている時点でとんでもない功績であり、そもそも禰豆子が居なければ妓夫太郎の毒で天元は死んでいたので、生き残った事に関しては強運としか言えませんし、嫁に関しては忍の家系による洗脳に近い教育なので当時の天元の境遇を考えると仕方ありません。
また、左目左腕を欠損して引退した事に関してはかつての鳴柱・桑島慈悟郎も片足を欠損して引退しているので、そもそも欠損した状態で戦えば敗戦濃厚なので、むざむざ死ぬくらいなら育手に回ってもらうか、最終戦のように緊急時は護衛職に就くのが妥当でしょう。
ただ、理屈は納得できても、やはり最終決戦で欠損しながらも戦った柱や鬼殺隊員の姿を見た後では、欠損した状態の天元が決戦の場にいれば充分に戦力になったのではと思ってしまいます。
当然、産屋敷輝利哉達を守護する役目として柱クラスの実力者が必要なので天元が護衛に割り当てられるのは当然ですが、欠損した状態で無惨を足止めし続ける柱があそこまで踏ん張れていた事から見ても天元も充分に戦力に成り得たのではないでしょうか。
更に生き残った冨岡義勇と不死川実弥が「痣」の発現により25歳を迎える前に死亡する結末を迎える中、嫁3人と楽しそうに長い余生を送っている天元が描かれていたので読者の中に「ずるい」という感情が込み上げてきたのかもしれません。
遊郭編で活躍した音柱・宇随天元には3人の嫁がいます。 3人の嫁は東京吉原遊郭に潜入しており、上弦の陸・堕姫に捕縛されていましたが天元率いる炭治郎、善逸、伊之助の手で救出されました。 そこで今回は、 宇随天元の嫁3人[…]
それぞれの最後に関しては天元とその他の柱で幸福度が段違いなのでその対比とネタとして「ずるい」と言われているようです。
天元も頑張ったんですけどね。
宇随天元が過小評価される理由や人気についてのまとめ
- 宇随天元が過小評価される理由は、「上弦の陸を相手に苦戦」「炭治郎達が居なければ負けていた」「痣を発現出来なかった」の3点が挙げられる
- 宇随天元以外の柱が上弦の陸と戦っていても結果は変わらないか、寧ろ毒耐性が無い分、もっと苦戦していたかもしれない
- 宇随天元が「弱い」と言われるのは過小評価であり、実際には痣の発現前時点の強さは柱間でも差異が無いか上位であると予想
- 宇随天元の人気は柱間の中では下から2番目だが、全体では13位と高い
- 宇随天元が「ずるい」と言われる理由は、柱の中で一人だけ痣が発現していないので寿命が長い事と、嫁3人と幸せに暮らしているから
宇随天元は柱に恥じない実力を持っていましたが、出番が全隊士から人望が厚い煉獄杏寿郎の後だったり、2人で1つでありながら毒を使う上弦の鬼が対戦相手だったりと、状況的に誰かと比較される事が重なった為、よく過小評価されている事が分かりました。
寧ろ、呼吸が無ければ悲鳴嶼行冥に次ぐ強さとスペックを持っているので、呼吸と合わせると柱間でも上位の強さになる筈なのですが、如何せん戦闘で「音の呼吸」があまり使用されなかったり、判断ミスで初手で毒を受けてしまう描写から「弱い」と評価されてしまったのです。
最終的には「痣・赫刀・透き通る世界」にたどり着けなかった剣士は大体弱い扱いされてしまいますが、少なくとも痣の発現前時点での実力は柱間上位だったのでしょう。