マーレ編に突入し、怒涛の展開を見せる中、第107話の最後のページに読者は度肝を抜かれました。
髪を下ろし、ゆったりとしたワンピースに身を包んで椅子に座るヒストリアのお腹が大きくヒストリアが妊娠しています。
傍には優しく声をかける長身の男性の姿が…誰!?
この読者を大混乱に陥れた「ヒストリア懐妊事件」を詳しく検証していきましょう。
ヒストリアが妊娠した子供の相手
原作27巻第107話「来客」の最後のページでヒストリアが妊娠している様子が描かれており、傍には読者が見知らぬ男性がいて彼がお腹の子の父親であろうと推察されますが、彼は原作では名前も顔も出てきません。
このヒストリアの子供の父親が誰なのか?については様々な憶測が飛び交いましたが、結局原作でも子供の父親について深く触れておらず、最初から言われていたようにハンチング帽をかぶった青年説が最有力となっています。
ヒストリアは結婚していない
そもそもヒストリアは誰とも結婚しておらず、これについては原作27巻第108話「正論」で正式に表明されています。
中央憲兵隊のお酒の席で、ローグという人物が「婚礼もなしに、その辺の男と…」と話していることから、ヒストリアは結婚はしていないことが分かりました。
また、ナイルの口からお腹の子の父親となった人物についても語られています。
- ヒストリアと同じ地で生まれ育った青年で、誰の息もかかっていない「無害」な人物
- 幼少期、牧場から出てこないヒストリアに向かって石を投げつけていた(第52話「クリスタ・レンズ」の回想でも描かれています)
- ヒストリアが女王となり、真っ先に作った孤児院で、幼少期の罪悪感から下働きとして何年も黙々と働いていた。
そんな彼にヒストリアの方が気づき、彼女の方から声をかけた、ということでした。
ヒストリアとエレンの子供ではなかった
ネット上で、「お腹の子はエレンとの子供」という噂が流れていました。
本誌で107話を読んだ読者は、まさかヒストリアの相手が原作に顔も名前も出てこない人物とは思わず、彼女と二人きりで話をすることが度々あったエレンが父親ではないか、と勘繰ったようです。
確かに二人の仲は悪くないですし、ヒストリアに過酷な運命を辿らせないためにエレンが発言したり行動したりする場面も多々あるものの、二人に友情や同期としての絆以上の感情があるかというと巨人絡みの過酷な運命を持つ二人ではありますが、恋愛感情があるような描写はありません。
ヒストリアに恋情を抱いている代表はライナーですが、その他の男子達もヒストリアのことは可愛いと思っていて、アルミンですら、ヒストリアを表現する時に「かわいい」という言葉を使っていました。
しかしエレンはそう言った言葉を口にしたことはなく、ヒストリアとはあくまで対等な立場で話をしています。
それでなくても、エレンにはミカサがいるわけですから万が一にもお腹の子の父親がエレンだなどと彼女の耳に入ったら、ある意味巨人大戦よりも恐ろしいことになっていたかもしれないので、ヒストリアとエレンの子供だという説は考えられません。
ヒストリアの巨人化計画は妊娠により流れる
実は憲兵団の上層部には、ヒストリアを巨人化してジークを食わせよう、という計画が持ち上がっていました。
原作27巻第108話「正論」にて、ローグの口からそれは語られていて、
「俺たちの提議通りにジークは島に着くなり」
「巨人にしたヒストリア女王に食わせるべきだったんだ」
しかしその提議は、ヒストリアが妊娠してしまったことにより流れます。
妊娠中に巨人化すればお腹の子はただでは済まない、王家の血をひく子を殺すわけにはいかない、更にはヒストリアの身に何かあれば終わりだ、ということでヒストリア巨人化計画は頓挫したのでした。
これによりジークは命拾いしたことになり、ヒストリアへ何者かが告げ口をしたのだろう、とローグは疑います。
恐らくはイェレナの仕業と考えられますが、確証はなく、憲兵団内部に不満だけが残ったのでした。
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ヒストリアの性格からみる妊娠の経緯
原作32巻第130話「人類の夜明け」で、エレンが単身マーレへ行く前にヒストリアと会話している様子が描かれていて、この時ヒストリアは憲兵団の決定に従うつもりでいました。
「この島が生き残る一番堅実な方法があれば」
「私はそれに従う」
何よりもパラディ島とそこに住む人々のことを一番に考え、自らの犠牲は顧みない、他者を思いやるヒストリアの性格が良く表れている言葉と言えるでしょう。
以前はこの「いい子」な部分をユミルに指摘され、もっと自分らしく生きるようにと言われた彼女ですが、根本的な考え方は今もそのままです。
そんな彼女にエレンは地ならしを発動して世界を滅ぼす計画を話しますが、当然ヒストリアは反対します。
ヒストリアに悲惨な運命を負わせないためだと説き、耐えがたいなら始祖の巨人の力で記憶を操作するとまで言い出すエレン、彼に人類大虐殺の罪を着せたくない、しかしパラディ島も守りたいヒストリアが選んだ道が「自分が妊娠する」という手段でした。
恐らくはこれより前に、ローグが話していた何者かによる「告げ口」があったのでしょう。
ヒストリアが妊娠してしまえば、出産までの間は巨人化されずに済む、意思の堅いエレンを翻意させることは難しく、根本的な解決にはならないまでも、世界の破滅を遅らせることはできると考え、ヒストリアは自らの妊娠という手段を選んだと考えられます。
ヒストリア出産!世界的な絶望の中で
原作33巻第134話「絶望の淵にて」冒頭で、ヒストリアの出産シーンが描かれています。
地ならしが発動し、世界が恐怖に支配され、数多の命が踏み潰されている最中の命の誕生で、圧倒的に生まれる命よりも失われる命の方が多かった「天と地の戦い」の3日間、その間に奇跡のようにヒストリアは出産しました。
子供の性別はこの時には分かりませんでしたが、原作34巻最終話「あの丘の木に向かって」で3年後のヒストリアが女の子を抱っこしており、ここで性別が判明します。
母親の愛情を知らずに育ち、父親にも利用されかけ、自分もまた愛情ゆえではない妊娠をしたヒストリアは生まれた子に対しどんな「母親」になるのかと思いましたが、3才の誕生日を祝う料理を前に、子供を胸に抱く彼女の顔は柔らかい笑みを浮かべています。
女王としての務めも引き続きあるのでしょうが、母親として、一人の女性として幸せであるように感じました。
ヒストリアが妊娠した子供の父親は誰か?のまとめ
顔も名前も出てこない男性がお腹の子の父親、という読者的にはすっきりしない結末でしたが、それだけストーリーには深く関係しない、人畜無害な男性なんだということなのでしょう。
お腹の大きなヒストリアに気づかって優しく声をかける姿から、悪い人ではないのは分かります。
巨人がいなくなっても大変な世界であることは変わりませんが、彼がヒストリアと生まれてきた子を大切にしてくれることを願ってやみません。