『別冊少年マガジン』(講談社)で連載中の人気漫画『進撃の巨人』で、謎めくキャラクターであるイェレナについて、
- イェレナが初登場したシーン
- イェレナの目的と正体
- イェレナの行動履歴
- イェレナと言えば強烈な顔
を徹底解説していきます。
イェレナが初登場したシーン
そもそもイェレナはどこから登場したのでしょうか。
イェレナのプロフィール
- 名前:イェレナ(姓を含んだ本名は不明)
- 身長:183cm(推定)公式として明らかにはなっていないものの183cmのエレン・イェーガーとほぼ同身長の描写があったため
- 体重:不明
- 誕生日:不明
- 好きな物:ジークとエレン
- アニメ版声優:斎賀みつき
- イェレナは短い髪、真っ黒な瞳、かなりの長身などが特徴的な人物で、計画実行上ジャマな存在は容赦なく撃ち殺すなどクールな性格も持ち合わせています。
イェレナの初登場は原作25巻
イェレナは原作25巻第99話「疾(やま)しき影」で初登場します。
アゴ髭をつけて男性マーレ兵になりすまし、巨人の力を持つポルコとピークを騙して地下に閉じ込めました。
その後リヴァイに指摘され渋々アゴ髭を外します。
ちなみに、ピークと再会したときにもアゴ髭のことは指摘されていたので、関わった人物からは少なからず印象が強いようです。
イェレナの性別は女性
長身で髪が短いこともあり男性になりすましていましたが、イェレナについて語られた、
- ピークの「『彼女』はジークの信奉者でしたから」
- ピクシスの「美女と会話できる口実ができて何よりじゃ」
これらの発言によってイェレナは女性ということが判明しました。
確かにシャツの上から胸のふくらみが見て取れますね。
アニメの声優も女性でありながら低音ボイスが特徴的な斎賀みつきさんが担当されています。
当初はどこからどう見ても男性だったので、イェレナは女性発言で結構ショックを受けた読者も多かったでしょう。
イェレナの名前の意味
イェレナのフルネームは明らかになっていませんが、イェレナには「太陽の神」という意味があるそうです。
彼女が大好きなジークとエレンについて「そして二人は死後も救世主として人類を照らす太陽となり-」と言及するシーンがあるのは、イェレナという名前に係っているようですね。
ちなみに、同じ義勇兵で黒い肌が特徴的なオニャンコポンの名前の意味は「天空神」で、飛行艇を操縦する技術を持つ彼にピッタリです。
同時期に登場したイェレナとオニャンコポンの名前が対なっているのも面白いポイントですね。
イェレナの目的と正体
それでは、イェレナの目的と正体に迫ってみましょう。
表向きの立場と目的
3年前イェレナがパラディ島に初めて来た時、ハンジとリヴァイに自分たちは反マーレ派義勇兵で、目的はエルディア人の解放だということを告げます。
- マーレに故郷の国を奪われ兵士として徴用された
- 大国マーレを恨んでいるが抗うことはできないと諦めかけていた
- しかしジークに導かれ、マーレに狙われているエルディア人を救いたいと思った
という経緯が語られ、共通の敵がマーレであることからイェレナたち義勇兵とパラディ島は協力関係を結びます。
武器や港などの技術提供、友好国ヒィズルとの橋渡しなど物理的戦略的な交流だけではなく、本来敵であるはずのパラディ島の人々と捕虜となったマーレ人との精神的な交流を図っている場面もあります。
料理が得意なマーレ兵士ニコロは初めパラディ島エルディア人のことを「悪魔ども」と嫌悪していましたが、サシャがニコロの料理にかぶりつき感激して涙を流したのを見て、彼も嬉しくなり心を開いていったようで、恐らくイェレナが主催したと思われるこの食事会が彼らの友好関係を強くしたことが見て取れますね。
このようにイェレナがパラディ島にとって「いい人」である場面はよく描かれますが、実はこれはイェレナの仮の姿であり真実はまったく別のものであったことが後に判明します。
イェレナの真の目的
イェレナの真の目的はジーク発案の「安楽死計画」を完遂することであり、それは始祖の巨人の力でユミルの民が子供を作れなくなるようにするというものです。
ユミルの民は「巨人になる化け物」と世界から恐れられ虐げられる存在であり、この巨人の力があるためにこれまでの虐殺や戦争といった悲劇の歴史が繰り返されてきました。
幼少期の経験から「そもそも僕ら(ユミルの民)は生まれてこなければ苦しまなくてよかったんだ」と考えたジークは、ユミルの民がこれ以上生まれずゆっくりと安らかに滅びていくことで、世界から巨人の脅威をなくし、世界とユミルの民の双方を救うことができると信じます。
ジークを神と崇めるイェレナは、この計画を実現するためにパラディ島へやって来て、ジャマ者を排除し、島を発展させ、エレンと接触しジークの思想を伝えました。
イェレナの正体
ピークの調べにより、イェレナの正体はマーレに祖国を滅ぼされた小国出身者ではなく、ごく一般的なマーレ人である事が明らかになりました。
- マーレ人でありながら母国マーレに強く失望していた(失望した理由は作中で描かれず)
- 安楽死計画を遂行し、巨人の脅威の歴史に終止符を打つ救世主としてジークとエレンを祭り上げようとした
- 奇跡の偉業に携わった者として、自らも人類史に名を刻もうとした
自分自身も失望している対象のマーレ人であるという自己矛盾を抱えた彼女は、安楽死計画にその身を委ね全力を注ぐことで、「マーレ人のクソ野郎」から神の使者として生まれ変わろうとしていたのでしょう。
イェレナにとっては明かされてほしくなかった真実の姿です。
同じ義勇兵として働いてきたオニャンコポンだけではなく、信奉していたジークの前でさえも最初から正体を偽っていたというのが驚きですね。
恐らくジークと出会った時から「王子様と世界を救う奇跡の物語」が彼女の中で動き出していたのでしょう。
ピークとマガトに正体をバラされるまで、イェレナはずっと神の使者の仮面をかぶり続けていたのです。
クルーガー(フクロウ)の子孫という説
任務達成のために思慮深く、それでいて強く突き進む性格や、身長の高さ、ルックスなどから、イェレナとエレン・クルーガーは親子ではないかと考察されていました。
しかし、現段階でイェレナとクルーガーの血縁関係は何も語られていませんし、最終回まであと1話ということを考えるとその可能性は薄いでしょう。
イェレナの行動履歴
作中でイェレナがどう動き、誰と接触したのかを時系列順にまとめました。
ジークの命を受けてパラディ島と協力関係を結ぶ
パラディ島調査隊の船の上でマーレの上官を撃ち殺し、表向きの義勇兵の立場と目的を利用して、パラディ島に技術と情報をもたらします。
これにより、パラディ島は大きく発展することができました。
しかし彼女の真の目的は、ジークの命令通りに安楽死計画を実行すること・エレンに接触しジークの思想を伝えることにあります。
パラディ島エルディア人と打ち解けつつも、裏ではジークの脊髄液入りワインを兵団の上官に飲ませて、安楽死計画のジャマになる人間を巨人にする下準備をしていました。
秘密裏にエレンと会合する
フロックが監視役になった日、彼の取りもちでイェレナはエレンと接触を果たし、ジークの安楽死計画をエレンに伝えます。
「ジークはあなたを信じています あなたもジークを…」と告げるイェレナの表情からは、エレンにもジークを信じてほしい、安楽死計画を共に実現してほしいと真剣に思っていることがうかがえますね。
イェレナはエレンに「地鳴らし」の効果的な進路や用法も教え(恐らく同時にエレンが単独でマーレに潜入するよう伝えたと推察される)、来たるべき実行の日までこの計画を隠して過ごします。
ところが、エレンはジークの計画に従うフリをするだけで実行する気などないことを後にフロックに告げており、エレンの真の目的は「世界を滅ぼす」こと、パラディ島の外の人類すべてを駆逐することだと判明。
エレンがジークを裏切るつもりであることを、イェレナはまだ知りません。
漫画進撃の巨人の主人公エレン・イェーガーは、幼い頃に母親を巨人に食われた過去を持ち巨人を駆逐することを目標に生きてきました。 しかし、現在のエレンは巨人を操り世界を滅ぼそうとしています。一体なぜエレンは巨人ではなく人類を虐殺することを[…]
マーレ国レベリオ区強襲作戦に参加する
イェレナは安楽死計画を隠したまま調査兵団と共にレベリオ強襲作戦に参加し、ジークとエレンを確保することに成功。
パラディ島に帰った後イェレナ含む義勇兵たちは一度囚われ、彼女のみピクシスの取り調べを受けますが、そこでもイェレナは事実に嘘を織り交ぜて話し、安楽死計画については何も語りませんでした。
脊髄液入りワインをタネに兵団を支配する
イェレナは、兵団の上官たちがジークの脊髄液入りワインを飲んだことをピクシスに宣告します。
ワインを飲んだ彼らは、ジークが叫べば意のままに操られる巨人と化してしまうため、イェレナに抵抗する術がありません。
兵団を支配したイェレナは、遂にアルミンたちに安楽死計画の内容を告げます。
エレンがジークを裏切ったことを知る
突如ライナーたちマーレ軍がパラディ島に攻め入ってきたため、イェレナはジークとエレンを支援しました。
しかしエレンはジークを裏切り、始祖ユミルを味方につけて始祖の巨人の力を行使します。
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ジークが敗れたことを知ったイェレナは愕然とし、フロックたちイェーガー派(エレンの世界滅亡を支持する派閥)に処刑されそうになりますが、ジャンとピーク(車力の巨人)によって救出されます。
イェレナはただのマーレ人であるという正体をバラされ、マーレ軍元帥マガトはイェレナを拷問しエレンの行き先を聞き出そうとします。
そのためにイェレナを生かしておいたのは本当でしょうが、このマガトの表情からはエレンによってマーレ大陸が地鳴らしで滅ぼされかけている苛立ちをぶつけているようにも見えますね。
エレン(進撃の巨人)の進路を告げる
マガトに骨折させられた熱から目覚めたイェレナは、「スラトア要塞」がエレンの次の行き先であると答えます。
ジークが敗れ安楽死計画が潰えた今、その正当性だけは皆に認めてほしかったのでした。
彼女の目的は「自分が神の使者となり歴史に残ること」という非常に利己的なものでしたが、巨人とエルディア人の脅威を解決するよう真剣に働いていたのは間違いないですね。
その後イェレナが紙面で描かれることなく物語が進んだため、彼女は死亡したのではないかという説もファンの間で浮上しましたが、海の上でキヨミと共に小舟に乗るイェレナの姿がありました。
イェレナは最終決戦場となるスラトア要塞には行かず、世界が滅ぼされるか、エレンが止められるかその結果にただ身をゆだねることにしたようです。
イェレナと言えば強烈な顔
謎めいた魅力を持つイェレナは普段クールに作戦を遂行していますが、時として非常に強烈な表情をすることがあります。
イェレナの恍惚の表情
ジークを神と崇め強い信奉心を持つ彼女は、ジークが投石攻撃で敵機を撃墜したのを見て、それまで表したことのない恍惚の表情を浮かべました。
自らの頭上でマーレの飛行船が大破しているのに、逃げるでも焦るでもなく手を大きく広げてうっとりと悦に浸っているのが恐ろしいところですね。
嘘を交えて話し周囲を欺くことが多いイェレナですが、この表情からは彼女の狂気的なジークへの信仰心が垣間見えます。
イェレナの怖い鬼のような表情
「僕達もイェーガー派に加わり二人(エレンとジーク)の接触を支援しよう‼」と心にもないことを言うアルミンに対して、イェレナは一瞬鬼の形相で睨みつけますが、急に涙を溜めたかわいい笑顔になって「信じてますよアルミン」と優しく囁きます。
イェレナはアルミンを信用していなかったので、彼が本当にジークを助けるつもりがあるのか疑い、急激な表情の変化で牽制したようです。
それにしても、悪鬼のごとき憤怒の顔から天使のような微笑みまで表情の振れ幅が極端で、こういったコロコロ変わる顔色が読者にとって強烈な印象を残していることは間違いありません。
イェレナとアルミンは似てる説
読者の間で話題になっていたのが、イェレナとアルミンの顔が似てるということでした。
確かに「感動致しました」と言って泣くアルミン(これは演技)と「それはよかった」と言うイェレナ(本当は疑っている)を並べて見ると、髪型と毛色・大きな瞳が似ていますね。
また、2人とも計算高く腹黒い性格をしているところも共通点と言えるでしょう。
イェレナの目的と正体と強烈な顔のまとめ
- イェレナが初登場したのは原作25巻第99話「疾(やま)しき影」
- イェレナの目的は安楽死計画の完遂で、正体はただのマーレ人
- イェレナは安楽死計画がとん挫したが、主戦場から外れた海の上で生きている
- イェレナは普段クールだが、非常に強烈な表情をする時がある
ことをまとめました。
ダークファンタジーとしてその名を轟かせた進撃の巨人で、後半に登場したにも関わらず物語を展開させるキーパーソンになったイェレナ。
もう一度原作を読んで彼女の活躍を振り返ってみると、その緻密な伏線に驚かされますね。