『ザ・ファブル』のルーマーは、アキラに敗れたから弱いのでしょうか。
ルーマーは、人数と準備でファブル側を追い詰める殺し屋組織です。中でも現場を率いる「ルーマーの男」は、アキラに銃弾を当てる実力者。ただし、最後の格闘戦ではアキラとの大きな差が表れます。
強さを見るなら、集団で相手を逃がさない怖さと、一対一で倒しきる力を分けるのが大切です。公園戦をたどると、ルーマーが作った有利な状況と、それでも勝てなかった理由が見えてきます。
この記事は第2部『ザ・ファブル The second contact』の戦闘と結末のネタバレを含みます。
ルーマーの正体は第2部に登場する殺し屋組織
殺し屋をやめたアキラたちにとって、ルーマーは昔の仕事へ引き戻すような相手です。目の前の敵だけでなく、仲間や日常まで脅かしてくるところに、第2部ならではの厄介さがあります。
「ルーマー」と「ルーマーの男」は別
ルーマーは個人名ではなく、紅白組(くじらぐみ)と協力する殺し屋組織の呼び名です。その前線で人員を集め、紅白組との交渉や戦闘の指示を担う人物が「ルーマーの男」。組織の話と、この男一人の強さが混ざると、公園戦の評価もずれてしまいます。
ファブル側では、アキラ、ヨウコ、アザミ、ユーカリが抗争に巻き込まれます。一方のルーマーは、仕事に応じて殺し屋を集める方式。顔ぶれをそろえれば、同じ目的で動く仲間になるとは限らないところが、両者の大きな違いです。
公園戦で役割の違いが分かりやすい人物を整理すると、次のようになります。
| 人物・呼び名 | 役割と特徴 |
|---|---|
| ルーマーの男 | 前線の指揮役。人員を集め、自身もアキラたちと戦う |
| バランスアートの男 | 殺しを芸術と捉える殺し屋。公園ではドローンを使った捜索も担う |
| 毒使いの男 | 毒物や毒針を使い、正面からの格闘以外で相手を弱らせる |
| ツインテールとショートカットの女2人組 | ユーカリを公園へ呼び出し、負傷させる |
| 佐々木(スズキ) | ルーマー側に参加していたが、ヨウコを助けてファブル側に加勢する |
| 「アリ」と呼ばれる人員 | 多人数で捜索や包囲に加わる。指揮役や専門の殺し屋と同じ実力ではない |
このほかにも招集された殺し屋がいますが、全員を同じ腕前の集団として見ることはできません。毒、追跡、格闘、包囲。それぞれの手段を重ねて相手を追い込むのが、ルーマーの戦い方です。
紅白組の抗争が、引退したアキラたちへ届く
第2部では、真黒組(まぐろぐみ)のクロと紅白組の若い衆の争いに、ヨウコが助けに入ります。アキラも「レンタルおっちゃん」の仕事で依頼者を救った結果、紅白組の問題へ関わることに。殺し屋を引退して普通に暮らそうとしても、目の前の人を助けたことで抗争との接点が生まれてしまうのです。
海老原はアキラたちに無関係を貫くよう求めますが、紅白組にはルーマーがついていました。海老原自身も襲われ、やがて公園で直接対決する流れになります。
ここがルーマーの厄介さです。最強のアキラだけを狙うのではなく、その周りへも危険が広がる。本人が戦う気をなくしても、仲間が狙われれば放っておけません。日常へ戻る道を、外側からふさいでくる敵です。
ルーマーは弱い?公園戦では人数と準備が脅威になる
公園でルーマーが奪ったのは、アキラたちが自分の力を自由に使える状況でした。傷ついた仲間を守り、殺さずに逃げ道を作る。その難しさが重なるほど、敵の人数の多さが重くのしかかります。
ユーカリを負傷させ、救援する側にも負担をかける
ルーマー側は、レンタルおっちゃんの依頼を利用してユーカリを大西公園へ呼び出します。そこで女2人組の攻撃を受け、ユーカリは負傷。相手の得意な場所へ出向いた時点で、普段の実力をそのまま発揮できる戦いではなくなっています。
第2部7巻ではアザミがユーカリの救援へ向かい、8巻ではヨウコが負傷したユーカリの危機に駆け付けます。しかし、敵の人員は続々と集まってくるため、助けが一人来れば安全になるわけでもありません。
ヨウコはユーカリをかばいながら、多人数の相手を引き受けます。敵を倒すだけなら使える力も、仲間を置いて逃げず、殺さずに切り抜けるためには使い方を変えなければならない。ルーマーは、この負担をファブル側へ押し付けています。
ヨウコが足を狙って敵の動きを止めるのも、不殺と脱出を両立するためです。相手の命を奪わずに戦い続ける姿には、ただ守られる役ではない彼女の強さが表れます。
危機の多さから生まれる死亡説や、アキラの相棒としての役割は、次の記事で詳しく扱っています。
包囲の強さと、一人を倒す強さは違う
公園戦は、互いに無傷で向かい合う勝負ではありません。負傷者の救出が必要なファブル側に対し、ルーマー側は人員を増やし、捜索と包囲を進めています。アキラたちの実力が上でも、全員が自由に動ける状況ではないのです。
| 戦いの条件 | ルーマー側が作る圧力 | ファブル側に必要な対応 |
|---|---|---|
| 多人数と捜索 | 居場所を探し、逃げ道を狭める | 目の前の敵を倒しながら、脱出の道も確保する |
| ユーカリの負傷 | 救援する仲間まで同じ戦場へ引き込む | 戦闘と負傷者の保護を同時に進める |
| 不殺の選択 | 相手の動きを止める手段が限られる | 致命傷を避けながら攻撃をしのぐ |
| 指揮役との直接対決 | 観察と銃撃でアキラを負傷させる | 負傷後も相手の攻撃を読み、反撃の距離を作る |
人数が多いから全員が強いわけではありません。それでも、逃がさないための人員は、一対一では敵わない相手にも仕事をします。ルーマーの組織としての危険は、この組み合わせにあります。
ルーマーの男はなぜアキラに敗れたのか
銃弾を当ててアキラを追い込んだルーマーの男は、あと一歩で勝てそうにも見えます。ところが、攻め込むために縮めた距離にこそ落とし穴がありました。相手を追い詰めたはずの判断が、逆転を許すきっかけになるのです。
観察と銃撃は通じたが、格闘の差を読み切れなかった
ルーマーの男は、数に頼るだけの指揮役ではありません。第2部78話では、ナイフを持っているように見せてアザミを警戒させ、格闘で追い込みます。続いてアザミと佐々木を撃ち、78〜79話でアキラの左腕と右足にも銃弾を当てる。水飲み場を利用した攻撃まで含め、相手が何を警戒するか、どこから撃てるかを使いこなす腕があります。
アキラを無傷のまま格闘へ迎えない。その狙い自体は成功しています。ここまで追い込めた相手を、結果だけで弱いと片付けるのは惜しいところです。
ところが、80話で距離が縮まると勝負が変わります。ルーマーの男は攻撃を重ねて間合いを詰めますが、アキラは右腕で受け流し、反撃できる距離まで待っていました。接近したところへ連打を入れられ、男は倒されます。
アキラに傷を負わせる力と、傷を負ったアキラを倒す力は別でした。ルーマーの男は前者を示したものの、後者には届きません。相手の動きを観察して作った有利な状況よりも、アキラの格闘技術と、反撃の瞬間を選ぶ判断が上回ったのです。
負傷しているからこそ、アキラには細かな加減をする余裕が減っています。男が勝ちに近づいたつもりで詰めた距離は、実際にはアキラが決着をつけるための距離。優勢に見えた瞬間の読み違いが、この対決の面白さです。
佐々木の加勢で、組織の人数差も崩れる
前線全体の敗因には、佐々木の存在もあります。第1部に登場したスズキは、第2部で佐々木としてルーマー側に参加していましたが、ヨウコを助ける側へ回ります。招集した人数が、そのまま最後まで味方の人数であり続けるわけではなかったのです。
ファブル側には、負傷した仲間を助けるために戦場へ来る人物がいます。ルーマー側には、仕事として集まった中から別の行動を選ぶ人物がいる。この違いが、戦力を数えたときの有利不利を変えました。
もちろん、仲間意識だけで銃弾を防げるわけではありません。最後に男を倒したのはアキラの技術です。それでも、仲間の救援と佐々木の加勢がなければ、アキラ一人の勝利を全員の生還へつなげる道は、もっと厳しいものになります。公園戦は、最強の一人だけで説明すると大事な働きを見落とす戦いです。
ルーマーとファブルのボスは同じ?戦いの後に分かる結末
公園戦が終われば、それぞれが元の暮らしへ帰れる。そんな後味のよい決着にはなりませんでした。戦いの裏側が明らかになるにつれ、勝った側にも敗れた側にも、強さだけでは選べない道が残ります。
現場の指揮役とは別に、両組織を管理するボスがいた
第2部81話では、ルーマーとファブルを管理していたのが同じボスだと明かされます。「ルーマーの男がファブルのボスだった」という意味ではありません。前線で戦いを指揮する男と、その背後で組織を管理するボスは別人です。
アキラたちにとっては、倒すべき敵を退けても、それで全部が終わらない構図です。両側の管理者が同じなら、現場の勝敗とは別に、生き方を左右する権力が残っています。
この種明かしによって、ルーマーの敗北は単なる殺し屋組織同士の優劣を超えます。目の前の相手に勝てるほど強くても、仕事を与え、組織を動かす側から自由になれるとは限らない。アキラたちが取り戻したい普通の暮らしには、まだ別の難しさがあるのです。
アキラに倒された瞬間が、ルーマーの男の死ではない
アキラはルーマーの男を殺さず、戦いの後に言葉を交わします。男は敗戦のけじめをつけるため松代のもとへ向かい、そこで殺されます。公園でアキラに敗れることと、最後に命を落とすことは、同じ出来事ではありません。
ここには、腕の立つ殺し屋であっても、仕事を失敗した後の立場は守れない冷たさがあります。アキラに傷を負わせた実力は本物でした。それでも、戦場を出た後に必要になるのは、さらに強い拳ではなく、殺し屋としての関係から離れる道です。
ファブル側でも、アザミとユーカリはそれぞれ別の場所で暮らすようボスに命じられます。勝利した四人が、そのまま何事もなく元の生活へ戻る結末ではありません。助け合って生き延びた後に、仲間と離れることになるのが、第2部の苦い余韻です。
公園戦の集結と決着を読むなら、『ザ・ファブル The second contact』8〜9巻が中心です。
まとめ:ルーマーは組織として脅威だが、アキラとの格闘には差がある
- ルーマーは第2部で紅白組と協力する殺し屋組織で、前線の指揮役「ルーマーの男」と組織全体を分けて考える必要がある
- 公園へユーカリを呼び出して負傷させ、人員を増やして包囲することで、救援と不殺を選ぶファブル側へ負担をかけた
- ルーマーの男はアキラの左腕と右足を撃つ実力を示したが、80話の格闘では間合いを読んだアキラの反撃に敗れる
- ファブル側の救援と佐々木の加勢も戦況を変えており、人数だけでは組織の強さを測れない
- 81話で両組織の管理者が同じボスだと判明し、ルーマーの男は公園戦の後に松代に殺される一方、アザミとユーカリにも別々の土地へ移る結末が残る
ルーマーの男がアキラに弾を当てたときには、それまで通じなかった攻撃が届きます。だからこそ、そこからアキラが勝負をひっくり返す場面で、二人の差が鮮やかに表れる。ルーマーの強さを認めることは、アキラの強さを小さくすることにはなりません。追い込める敵がいたから、残った右腕で決着をつける技術が際立つのです。
そして、勝つことと普通に暮らすことは別の難題でした。ルーマーを退けても仲間との別れは避けられず、敗れた男には仕事の後始末が待っています。殺し屋として強いほど幸せになれるわけではない。この結末まで含めて見ると、公園戦は、殺し屋をやめた人たちが生き方を守ろうとする戦いでもあります。