滅却師の首魁ユーハバッハが何故無間に立ち寄って藍染惣右介に会いに行ったのか、
- 藍染惣右介のプロフィール
- 藍染とユーハバッハの関係と目的の違い
- 藍染が崩玉と王鍵を求めた理由
今回はこの三項目に沿って、藍染がなぜユーハバッハの勧誘を断ったのか、どうして崩玉と王鍵を求めて離反したのかについて紹介したいと思います。
藍染惣右介のプロフィール
- 名前:藍染惣右介(あいぜんそうすけ)
- 誕生日:5月29日
- 身長:186cm
- 体重:74kg
- 所属: 元護廷十三隊五番隊隊長
- 趣味:読書
- 特技:書道
- 好きな食べ物:豆腐
- 嫌いな食べ物:ゆで卵
- 初登場:原作9巻
- 声優:速水奨
ややくせ毛のある髪に眼鏡をかけた柔和な印象の男性死神で、休日は霊術院の講師をしている事から指導者として優秀であり、藍染の考案した鬼道の練習方法は現在でも引き継がれています。
普段は生真面目でありながら部下や他の隊長にも気を配り巧みな話術で諭す等、多くの人物に慕われ尊敬されていました。
また、その容姿が当時ブレイクしていた俳優ペ・ヨンジュンに似ていた事から読者からは「ヨン様」とあだ名を付けられて呼ばれています。
藍染惣右介の本性
藍染の本性はカリスマ性の高い野心家であり、廷内での性格は目的を滞り無く遂行させる為に演じていただけで、実際には大抵の死神に興味さえ抱いていませんでした。
本性を表してからも表情や振る舞いに差異は見られませんが、敵対する相手には容赦の無い煽りをして精神的に追い詰めて見せる他、利用し終えた者はそのまま捨て置くかその場で殺して去ります。
一方で、黒崎一護の様なイレギュラーな存在には価値観を見出し興味を抱く他、一般人でも圧倒的な相手に挑む「勇気」のある気概のある者には一定の経緯を払う節があり、そういった部分が悪役でも人気が出る要素なのでしょう。
藍染惣右介とユーハバッハの関係
- 原作58巻510話
直接的な接点がない藍染とユーハバッハですが、どうしてユーハバッハが聖十字騎士団を足止めに使い敵陣の懐にある一番隊舎地下「無間」に幽閉される藍染の下へ会いにいったのかというと、特記戦力の一人として藍染を自身の麾下へと加える算段だったからです。
そして、藍染とユーハバッハに接点があるとすれば二人とも霊王の正体を知ってる事でしょう。
ユーハバッハの目的は、生と死を無くし恐怖のない世界の創造であり、現世・尸魂界・虚圏の境を無くし全てを原初の海に帰す事が最終目標でしたが、その為には先ず現在の三界のバランスを保つ楔とされている霊王の存在が邪魔だったので、この段階で霊王の殺害は藍染の目的と被っていました。
したがって実際に二人に面識があったのかは分かりませんが、
- 霊王を討つ目的が被っている
- ユーハバッハにとって藍染は戦力としても欲しかった
等の理由から、ユーハバッハから藍染に接触を図り、一方的に藍染を従えようと考えたのでしょう。
尚、藍染は勧誘を断るついでにユーハバッハの時間感覚を僅かに狂わせるといった悪戯をしていたので、結果的に瀞霊廷へ侵攻したユーハバッハを早くに撤退させる要因となり、奇しくも藍染は無間に居ながら黒崎一護と瀞霊廷そのものを救った事になります。
藍染惣右介の目的はユーハバッハと異なる
- 小説「BLEACH Can't Fear Your Own World」
藍染がユーハバッハと対立した理由はユーハバッハの最終目標が三界の境を無くし原初の姿に戻す事にあり、小説内で藍染は東仙との会話中に「世界の在り方を原初に戻す事を私はよしとしない」と名言しています。
そして藍染の真の目的は人が人である意義を保つ為の破壊であり、それ故に世の理の礎であり、死神達の罪の象徴であり、最大の贄である霊王を天から落とそうと考えるに至り、自らが天に立とうとしたのです。
つまり、死神の頂点である五大貴族の罪の上に成り立ち、他者の欲望に踊らされている霊王によって存続している現在の礎をすげ替え、自らの意志を持って天に立つ事が藍染の目的になります。
また、霊王を殺害する為に霊王宮へ立ち入る事が不可欠だった為、本編では「崩玉の入手」と「王鍵の創造」を行っていました。
藍染の目的①「浦原が創った崩玉の入手」
藍染が崩玉を創るに至った理由は、恐らく霊王宮へ侵入する際に王鍵の創造が必要となる他にも今の実力では護廷十三隊最強である山本元柳斎重國や零番隊の要でもある原初の死神兵主部一兵衛に対抗する力が足りないと判断したからだと推察できます。
それ故に本編より101年前時点で自ら開発した崩玉に流魂街の住民の魂魄を削って与えていた事から魂魄消失案件へと発展し、多くの実験を行った結果どうにも不完全であった為に、兼ねてより浦原喜助が開発していた崩玉に目を付けたのです。
しかし、浦原が秘密裏に崩玉をルキアの魂魄内に隠していた事から藍染はルキアから崩玉を回収すべく自身の暗殺を演じて尸魂界編の騒動を引き起こした裏で崩玉回収の機会を窺っており、護廷十三隊全員を欺いて崩玉を奪取する事ができました。
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黒崎一護は藍染の実験の偶然の産物
- 原作59巻529話~原作60巻537話
藍染が東仙達と研究する過程で複数の死神の魂魄を使い完成した改造虚(ホワイト)の性能の実験中、ホワイトは現世で張り込んでいた当時の十番隊隊長「志波一心」と交戦する他、ホワイトの霊圧を知覚したお人好しの滅却師「黒崎真咲」の介入を受け、藍染は隊長格との戦闘データと滅却師との戦闘データの二つに興味がわいた事から、ホワイトの戦闘を見届ける方向へ舵を切ります。
しかし、ホワイトの性能が不完全と言う事で一心が押していた為、藍染は嘗て浦原が着用していた霊圧遮断のマントに身を隠しながら一心に致命傷を与え、経過を観察するのです。
結果は真咲が一心を助けると共に自身の肉体を囮にしてホワイトを寄せ付け至近距離から神聖滅矢で撃退するに至りましたが、後日、真咲はホワイトに受けた傷が元で虚化の症状に蝕まれる事になり、偶然虚化症状の真咲を見かけた浦原が接触を図り一心に真咲を助ける唯一の方法を提示しました。
真咲の虚化を抑える為には、滅却師と相反する死神でありながら虚と相反する人間でなければなりませんが、浦原が開発した特殊義骸に入る事で一心は死神でありながら人間と成り代わる事ができ、一心が義骸に入り一生真咲の側に居る事で真咲の中の虚を抑え込む事が出来るのです。
その為、一心は義骸に入り真咲と一緒に居る事を選択し、後に結婚まで至ると一護が誕生しました。
BLEACHの作品内において、死神・虚・完現術・滅却師と全ての種の因子を持ち合わせる主人公である黒崎一護ですが、一護がどうして全ての因子を所有しているのか、また内在するに至ったのか、 黒崎一護の生い立ち 黒崎一護が保有する力[…]
このとき一心と真咲、ひいては真咲の中の改造虚の力も一護に引き継がれており、一護は人間でありながら死神・滅却師・虚の力を受け継ぎ霊王を彷彿させる力と可能性を秘めた唯一無二な存在となるのですが、これらの要因となり成り行きを観察していた藍染は一護が赤子の頃から常に興味を抱いていたのです。
つまり、本編に於いての一護がルキアと出会った瞬間から、剣八や白哉の隊長格との戦闘、十刃との戦いの全てが藍染の扇動によるものであり、当時の一護と力が拮抗している相手をぶつけて間接的に一護の成長を促していました。
藍染の目的②「王鍵の創生」
次に霊王宮へ立ち入るに最重要となるのが「王鍵」なのですが、実際の王鍵とは霊王の力によって変質した零番隊の骨を指し示しており、霊王宮へ入る方法は零番隊の意志で中へ通されるか零番隊と共に中へ入るかの二通りしか存在しない事から、藍染は自身の霊術で零番隊を創り出そうとしたのです。
兵主部一兵衛の言葉を引用すれば「命を創り、王を討ち、まさに神に取って代わろうと目論んだ」とされ、藍染はまさしく悪そのものと言われていました。
勿論、零番隊が自分らの守護する霊王を討たせる為に藍染を霊王宮へ立ち入らせる事は無いので、原作25巻223話にて藍染が尸魂界篇での離反時に鏡花水月を行使して大霊書回廊に侵入し崩玉とそれに付随する研究資料「王鍵の創生法」を盗み見ていた事が判明しています。
王鍵の創生法とは即ち十万の魂魄と半径一霊里に及ぶ重霊地を材料にするもので、藍染が目を付けたのが現世に於ける霊的特異点である空座町であり、空座町の大地と人を材料に王鍵の創生に取り掛かったのです。
その為、護廷十三隊は重霊地である空座町と住民を守る為、藍染の目的である王鍵の創生と霊王殺害を食い止める為に空座町決戦に至ったというわけでした。
藍染は何処で霊王の存在を知ったのか
- 原作48巻421話
破面偏終盤、藍染が一護の無月を受けた事で一時的に力が弱まり崩玉との結びつき弛緩した瞬間、浦原の仕込んだ鬼道が発動して封印される事になりました。
その際、藍染は浦原ほどの頭脳がありながら何故動かないと珍しく感情的な言葉を投げかけた後、「何故あんなものに従っていられるのだ!」と続けており、これに浦原はあんなものを霊王と結び付けて藍染が霊王の真実を見た事を察しています。
それでは、いつ藍染が霊王の存在を知ったのかと言えば、原作25巻223話にて「王鍵の創生法」を盗み見る為に大霊書回廊へ侵入したという描写がヒントになっているのではないでしょうか。
大霊書回廊が出来る以前までの歴史は四大貴族筆頭の綱彌代家が管理しており、現在の綱彌代家の書庫の最奥には五大貴族が犯した罪を記した本当の歴史が記された物が存在している事から、大霊書回廊に侵入できる藍染ならば鏡花水月の能力を駆使して綱彌代家の書庫に行きつく事も不自然ではありません。
藍染が綱彌代家にいつの段階で侵入したのかは不明ですが、小説「BLEACH Can't Fear Your Own World」で語られた藍染と東仙が出逢い東仙に霊王の真実を伝えたのが数百年前とされている事から、藍染は数百年前より以前には真実を知っていた事になります。
この度ご紹介するのは漫画「BLEACH」で伏線が回収されなかった霊王の欠片や正体についてです。 以降、漫画「BLEACH」と小説「bleach can't fear your own world」のネタバレを過分に含みますので、未読の[…]
尸魂界開闢以前の歴史を知った藍染は霊王と言う贄を楔とした死神が罪の上に成り立っている事を否定的に捉えている為、ユーハバッハ戦で藍染が発言した「私は常に私を支配しようとするものを打ち砕くためにのみ行動する」と言う言葉に行動理念が集約されている様に思えますね。
ユーハバッハの創る「恐怖」の無い世界では「勇気」は生まれない
- 原作74巻686話
藍染が一護に加勢した事で最終的にユーハバッハを打ち倒す事が出来ましたが、藍染は尸魂界を救う一因となったにも関わらず、刑罰を継続し再び無間に収監されてしまいました。
そして最終章から10年後、未だ各地に蔓延るユーハバッハの力の残滓を一護の息子である勇一が消滅させた事で、藍染は無間に居ながらも並外れた霊圧知覚でユーハバッハの消滅を感じ取り、今となっては完全に潰えたユーハバッハの目的について否定的な意見を述べるのです。
「死の恐怖の無い世界では人はそれを退けて希望を探す事をしないだろう」
「人はただ生きるだけでも歩み続けるがそれは恐怖を退けて歩み続ける事とはまるで違う」
「だから人はその歩みに特別な名前をつけるのだ、勇気と」
引用元:BLEACH
三界の境を無くし世界を原初に帰すというユーハバッハの目的の先には「恐怖」が存在しませんが、藍染は恐怖を退けてこそ人は進化し続けると示し、恐怖を退けて歩む事を「勇気」と呼んでいました。
藍染がギンに殺害されかけた時に進化には恐怖が必要だったと発言している事から、藍染には人が進化をする上で恐怖と勇気が必要不可欠であるという考えが根底にあったのかもしれません。
その為、藍染とユーハバッハは最初から相容れぬ関係性だったのです。
藍染はドン・観音寺に興味を持っている
ドン・観音寺と言えば、お茶の間のスターで霊能者の一般人ですが、作中でも空座町に足を踏み入れ一護の同級生をつけ回す際に登場し藍染の前に立ちはだかりました。
藍染から見れば一見取りに足らない雑魚に過ぎませんが、実は観音寺は小説「BLEACH Spirits Are Forever With You」でもレディを護る為に痣城剣八の前に立ちはだかっているのです。
物語終了後、痣城は自ら無間に戻り事の詳細を藍染に語るのですが、痣城の話を聞いて藍染はすぐに観音寺だと気づくと「時折あのような者が現れるからこそ、この世は面白い」と零し、価値があると断言します。
そして、観音寺の様な価値ある者が生きる世界を導くのは霊王ではなくそれに相応しい者だとも言及していました。
藍染惣右介とユーハバッハの関係と崩玉と王鍵を求めた目的についてのまとめ
藍染は尸魂界篇のラストで中央四十六室を殺害し大霊書回廊に侵入できる程の実力者だった事から、東仙に出会った数百年前より以前には綱彌代家の書庫に侵入し尸魂界開闢の歴史を知ったのだと予想されます。
一護や観音寺の様に自らの意志で強い者へ立ち向かう人間の勇気を評価している事から、そういった価値ある人間が生きている世界を導いているのが五大貴族の祖が犯した罪の上に成り立った意志亡き霊王の遺骸と言うのが納得できなかったのでしょう。
その為、自らが霊王に代わり世界を導く者として相応しいと考え、崩玉と王鍵を入手しようと画策していたわけですが、目的はただ世界を支配したいだけではないのでユーハバッハの目的と異なり勧誘を断ったのです。
目的の為ならば非情な行いも厭わない姿勢が藍染の敵役としてのカリスマ性を高め、ここまで人気の出た存在に昇華したのだと思います。