ミュラー長官はマーレ軍の総指揮官で、最終回でアルミンの説得を受け入れ戦いを終わらせた重要人物です。
しかし、ミュラーの登場回数はかなり少なかったので彼がどのような人物なのかイメージがつかめない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ミュラー長官の人物像、ミュラー長官の演説について解説した後、最終回でアルミンの説得を受け入れた理由について考察して行きたいと思います。
ミュラー長官とは?
ミュラー長官は、腐敗した軍上層部を一掃するマガトの計画により新たに長官に就任した人物です。
腐敗しきった軍上層部
エルディア帝国が滅んで80年、カール・フリッツから巨人の力を託されたマーレは、9つの巨人を初めとした巨人兵力を使って覇権国としての地位を築き上げてきました。
しかしその地位は、エルディア人の犠牲の上に成り立つものに他なりません。
マーレ人に徴兵制が適用されないのをいいことに、軍上層部はエルディア人を次々と敵地に駆り出しゲーム感覚で戦争を繰り返していたのです。
マガトが腐敗した軍上層部を一掃
一方、エルディア人に親和的なマガト隊長は巨人の力に頼って戦争を繰り返すマーレには改革が必要だと考えていました。
そこで、パラディ島勢力による襲撃計画を甘んじて受け腐敗しきった軍上層部をエレンに殺してもらい、マガトと同じ穏健派の人たちで新しい軍を編成しようと画策します。
マガトの目論見どおり、レベリオ襲撃により軍上層部は全員死亡してしまい、繰上げで軍トップの元帥に就任したマガトが長官に指名したのがミュラーです。
ミュラーの人物像
そのため、ミュラー長官は新エルディア的で穏健派のマガトと同じ考え方を持つ人物だということが分かります。
ミュラーの人物像は次の項目で記載する演説の内容からも裏付けられるでしょう。
地ならしに追い詰められた人々への演説
ミュラーは、地ならしに追い詰められた人たちに向けて「地ならし発動に至ったのは『島の悪魔』のせいではなく、『大人たちの責任』だ。もし未来を見ることができるなら、同じ過ちは繰り返さないと誓う」という演説を行いました。
では、ミュラーの言う「大人たちの責任」とは何を指すのでしょうか。
大人たちの責任とは?
「大人たちの責任」とは、エルディア帝国による殺戮の歴史から生まれた憎しみを大人たちが100年にわたって利用し続けてきたことです。
エルディアへの憎しみを利用するマーレ
マーレでは、エルディア人の子ども達に「お前たちはかつて世界を蹂躙した悪魔の末裔だから、自由を奪われて当然だ」と言い聞かせる反面「パラディ島の悪魔を滅ぼせば世界から認めてもらえる」と吹き込み、エルディア人を巨人兵器として都合よくコントロールして来ました。
マーレの教えを盲信するエルディア人
パラディ島への憎しみを利用してきたのはマーレだけではありません。
エルディア人の中には、ライナーの母カリナのようにマーレの教えを盲信し何も知らない子どもを平気で戦争に巻き込む者もいたのです。
カリナはミュラーの演説を受けて初めて後悔
カルラは今まで、ライナーが戦争でボロボロになって帰ってきてもライナーの寿命が残りわずかとなっても、自分の行いを後悔する様子は全くありませんでした。
そんなカルラですがミュラーの演説を受けて初めて「私はあの子をずっと復讐の道具に・・・」と涙を流して後悔します。
ミュラーの演説は、カリナのようにパラディ島に対して強い偏見を持っている人の心も動かしたのです。
最終回でミュラーはアルミンの説得を受け入れる
「同じ過ちは繰り返さない」と誓ったミュラーですが、その誓いを試されるような出来事が起きました。
ムカデが発生させたガスにより周囲のエルディア人が全て巨人化
地ならしが止まった直後、光るムカデが発生させたガスを吸い込んだエルディア人が全員巨人化してしまったのです。
直前までアニの父と手を取り合い穏やかな表情をしていたミュラーですが、巨人の脅威を目の前にして表情が一変します。
最終回にマーレ兵は巨人化が解除されたエルディア人に銃を向ける
最終回、ミカサがエレンを殺したことで巨人化は解除されましたが、ミュラーはエルディア人に銃を向け「人か巨人か証明してくれ」と言いました。
和解したはずのエルディア人が目の前で巨人化したのですから、またいつ巨人になってもおかしくないと考えるのも無理はないですね。
アルミンの説得を受け入れる
緊迫した状況の中、アルミンが口を開き「銃を向けられても身を守るために巨人化しないのが、巨人ではないという何よりの証拠です」と説得を試みます。
普通であれば恐怖のあまり聞く耳を持たなくてもおかしくはないですが、アルミンの説得を受けたミュラーはマーレ兵に銃を下げるよう指示しました。
演説で誓った通り、憎しみ合う時代から分かり合おうとする時代へと一歩、歩みを進めた名場面ですね。
ミュラー長官とは?アルミンの説得を受け入れた理由のまとめ
ミュラー長官は従来のマーレ軍と異なりエルディア人に理解のある穏健派に属する人物で、巨人への恐怖や憎しみから抜け出す決断をした重要人物でした。
また「大人たちの責任」を悔いた彼の演説は、憎しみに囚われている人の心にも訴えかける素晴らしいものでしたね。
最終回以降、パラディ島と外の世界の人々がどう折り合いをつけていくかについては描かれていませんが、目の前で巨人化した相手に対し銃を置いたミュラーのように、お互いを分かり合おうとする人が1人でも多くいてくれることを願わざるをえません。