「鋼の錬金術師」といえば7000万部以上の発行部数を誇る大ヒット漫画であり、国内のみならず海外人気も非常に高い作品です。
従来の少年漫画のように主人公が強敵を倒していく展開ではないのも魅力の一つであり、幾度となくエドを苦しめたホムンクルス。
今回は作中最強クラスである「キングブラットレイ」の正体や最期を紹介していきます。
キング・ブラッドレイの正体と強さの理由
表向きはアメストリス軍大総統であるが、その正体は「お父様」によって7番目に作られたホムンクルス「ラース(憤怒)」です。
エルリック兄弟がホムンクルスと戦っていく中で、大総統がホムンクルスではないかと疑いがありましたが、いざ本人の口から正体がホムンクルスであると明かされ、淡々と「何か問題でも?」と切り返す場面は改めて敵の強大さを知らしめ、絶望感を与えるに相応しい描写でした。
キング・ブラッドレイが圧倒的に強いのは最強の眼があるから
ホムンクルスとしての能力は「最強の眼」であり、銃の弾道すら見切れる常人離れした動体視力を持ち、ホムンクルスの身体能力と合わせて素早い動きで確実に相手を仕留めていきます。
物語の終盤まで傷を負うどころか、まもともに攻撃を喰らったことすらない、チート級の強さを誇っていました。
最強の目の特徴
最強の眼は戦闘だけでなく危機回避能力にも優れており、瓦礫の軌道すら読み切ってしまいます。
不慮の事故死を企てたところで、キング・ブラッドレイには通用しません。
それでいて当の本人としては年齢による肉体の老いを感じているのが無敵さに拍手をかけますね。
他のホムンクルスの能力との違い
大半のホムンクルスが、敵を攻撃する能力に特化しているのに対し、ラースは「最強の眼」を使うことで攻撃を避けることに特化しています。
プライドの「影」や、エンヴィーの「変身」のように戦闘のみならず、情報収集や任務にも応用できるわけではありませんが、作中最高クラスの身体能力と剣技を駆使しながら、無双ゲームの如く相手をなぎ倒していく姿は、読者からはラスボスよりも強いのでは声が上がるほどでした。
キング・ブラッドレイの戦闘スタイル
大総統でありながら自ら戦場へ赴き、一人で戦況をひっくり返してしまいます。
基本的にはサーベルを使い戦闘を行いますが、状況に応じて手榴弾を使ったり、戦場に落ちている小刀を武器にすることもありました。
他のホムンクルスとの決定的な違いは武器を所有している点であり、豊富な経験値、的確な状況判断と、非情とも呼べる容赦のなさで、敵を次々と駆逐していきます。
同じホムンクルスであるラスト、エンヴィーを倒したマスタング大佐の焔さえも通用せず、瞬く間に捉えられてしまいます。
最強の眼をグリードに潰されていたにもかかわらず、焔を躱して圧倒する場面は改めてキング・ブラッドレイの底知れぬ強さを際立たせていました。
作中マスタング大佐の焔を躱したのはキング・ブラッドレイただ一人です。
攻撃が全く当たらない上に、その超人的な身体能力で圧倒していくスタイルはホムンクルスの戦闘シーンのなかでも群を抜いて絶望感を与えられます。
エルリック兄弟をあれだけ苦しめたスカーでさえも、満身創痍のキング・ブラッドレイ相手に終始圧倒されていまいます。
スカー独自の錬金術「分解」を発動しようとする前に畳み掛けてくるので、攻撃を回避することに専念せねばならず、反撃の余地を与えてくれません。
物語の終盤に突入しても尚、弱点らしい弱点が見当たらず、類まれな強キャラクターとして描かれています。
純粋な戦闘力でいえば作中最強クラスと見て間違いないでしょう。
キング・ブラッドレイのの弱点
傷を負わせることすら困難なキング・ブラッドレイですが、唯一見えないところからの攻撃には対処ができません。
キング・ブラッドレイに全く歯が立たず、キング・ブラッドレイを道連れに自爆しようとしたフーですが、阻止されてしまい意気消沈したところをバッカニアが隙をうまく付いて一矢報いました。
原作コミックス全27巻のうち、24巻目にして、ようやくダメージを受けたという事実が、キング・ブラッドレイのチート過ぎる強さを物語っております。
初めてダメージを与えたのが、孫娘の仇討ちに燃えていたフーと、一方的に叩きのめされながらも任務遂行のために戦うバッカニアというのが少年漫画らしい熱い展開でもありました。
キング・ブラッドレイの最期
日食が終わり、偶然光が目に入った一瞬の隙を突かれて敗北します。
他のホムンクルスとは違い魂のストックが一つしかない上、再生能力はないため、致命傷を負うとそのまま死を迎えてしまい、バッカニア、フーが自身の命と引換えに致命傷を負わせ、グリードが最強の眼を潰し、スカーが「逆転の錬成陣」を発動することでどうにか倒すことができました。
万全の状態であればスカーとの勝負の行方もまた違ったのかもしれません。
死の直前、「お父様」によって仕組まれ、用意されたレールをなぞるだけ人生から、多少なりとも楽しませてくれた人間へ感謝の気持ちを告げます。
本当の名前すら知らず、大総統になるために訓練を受け、賢者の石の実験に成功し、与えられた名は「キング・ブラッドレイ」、人間には戻れず、ホムンクルスとしてその責務を全うするためだけに戦い続けていました。
エルリック兄弟やマスタング大佐に出会う前は、反旗を翻そうとする者さえ現れず、退屈な日々を過ごしていたと推測されますが、何度打ちのめされようと立ち上がり、その度強くなる一向に、「思い通りにならなくて腹が立つ」一方で、ようやく出てきた好敵手を歓迎しているかのような笑みを浮かべていました。
エンヴィーは人間に対して「嫉妬」をしていましたが、ラースの「憤怒」とはそういった苛立ちを示唆していたのかもしれません。
生涯最期の戦いとなったスカーとの戦いでは「何にも縛られず 誰のためでもなく ただ戦う」無我の境地にたどり着き、敗れはしたものの、晴れやかな表情で「やりごたえるのある人生であったよ」と満足そうに死を迎えました。
妻への想い
決められたレールの人生において、妻だけは自らの意思で選んだキング・ブラッドレイにとって、余計な遺言は必要なかったのです。
残す言葉がないことが逆に妻への愛を物語っていますね。
ホムンクルスとしてではなく元人間としての人間臭さが吐露される、作中屈指の名場面でした。
キング・ブラッドレイの正体や元人間としての最期のまとめ
大総統でありながら、正体はホムンクルスであったキング・ブラッドレイですが、見せ場は戦闘シーンのみならず、その一言一句が印象的で最期まで強烈な存在感を放っていました。
敵でありながら絶大な人気を誇るキャラクターで、その壮絶な生い立ちや圧倒的な強さに多くの読者が魅了されていましたね。
ホムンクルスとして戦い続け、元人間として最期を迎えた。
鋼の錬金術師はエドとアルの物語でありますが、同時にキング・ブラッドレイの生き様を見届ける作品でもあったといっても過言ではありません。