顔に大きな×印の傷がある人相の悪いイシュヴァール人のスカーは、イシュヴァラ教の元武僧であることから武術が優れた人物です。
- スカーとは何者なのか
- スカーの兄がしていた研究
- スカーの生存について
それでは、上記内容をたどってスカーの人物像と生存について紹介していきます。
スカーとは
まずスカーとは仮名であり、軍部が取り決めた犯罪者につける識別名のようなもので、顔に大きなバッテン傷があることからスカーと命名されます。
スカーのプロフィール
- 名前:不明
- 年齢:不明(イシュヴァール殲滅が13年前)
- 出身:イシュヴァール
- 宗派:イシュヴァラ教
- 錬金術:分解
- 声優:置鮎龍太郎(03年版)、三宅健太(FA)
イシュヴァール人特有の褐色の肌と赤い瞳を持ち、白い頭髪をツーブロックにした恰幅のよい成人男性ですが、赤い瞳を隠すために普段はサングラスをしています。
単身でアメストリス兵十人分の戦力に匹敵すると揶揄されるイシュヴァラの元武僧で、鍛錬された肉体が繰り出す体術は極めて高いもので、多くの国家錬金術師を相手に立ち回ることが可能です。
スカーの本名は不明なまま
イシュヴァラ教に背いて錬金術を使い復讐鬼となった時から本当の名前を捨ててたスカーは、作中何度か名前を訊ねられる事がありましたが、結局名乗らずに終わりました。
家族と同胞を殺害されたことにより復讐鬼となる
イシュヴァール殲滅により多くの同胞を失うとともに自らも家族を失い孤独な存在となってしまいましたが、復讐の鬼にとりつかれた後は国家錬金術師を標的にして裁きを与えるのでした。
本作屈指の変人であり大量殺戮者キンブリーは、中立的な物言いから本質を見極めた発言を繰り返します。 その的を射た発言に、周りは何が正しいのか心を揺さぶられます。 プロフィールや来歴 キンブリーの魅力とは キンブリー[…]
右腕のタトゥーの意味
スカーの右腕には入れ墨が刻まれていますが、これは錬成陣の一部です。
錬金術の基本は「理解・分解・再構築」の三つからなりますがスカーの腕は「理解・分解」でとどめており、触れた対象を分解することが可能。
エルリック兄弟との交戦時にはエドの機械鎧とアルの鎧に触れて破壊する場面があり、また肉体に当たれば内部から破壊されて即死してしまうほど威力は凄まじいです。
スカーの仲間
スカー以外にも生き延びて隠れて暮らしている同胞が点在ており、犯罪者故に指名手配されているスカーは単独で行動するのですが、ヨキとマルコー、メイにパンダという奇妙なメンバーと一緒になります。
ヨキ
アメストリス軍の元中尉でありユースウェル炭鉱管轄を仕事にしていましたが、あくどい搾取を続け炭鉱夫を苦しめていたところを国家錬金術師であるエドワードの手によって無能を晒し失脚します。
行き場がなく浮浪している町で賞金首のスカーを見つけ密告するも、スカーに返り討ちにあい、従者として扱われることになりました。
しかし、臆病で卑怯者のヨキですが、ブリッグズでは元炭鉱管轄者としての知恵を出したり、くしゃみをしてアルフォンスの発想の手助けをするなど、物語の隅で大活躍しているのです。
また、最強のホムンクルス・プライドに車で体当たりをかますなど、情けない性格とは裏腹に度胸はあります。
メイとシャオメイ
シン国から砂漠を超えてやってきた少女メイ・チャンと小熊猫シャオメイは行き倒れている所をヨキに拾われて命拾いしたことで行動を共にし、この時ヨキがスカーのことを下僕だと嘘をついたことで本当に勘違いするほど信じ込みやすい女の子です。
リン・ヤオとは一族の命運をかけた敵であり、最後まで賢者の石を手に入れることを諦めませんでした。
シン国第十二皇子リン・ヤオは、次期皇帝を選ぶ後継者争いに勝ち残るため不老不死の法を求めて錬金術師大国アメストリスに不法入国しました。 リン・ヤオの詳細 リンの臣下 リンの名言 グリードとの関係 賢者の石を求[…]
高い身体能力に拳法のような体術と、シン国の遠隔可能な練丹術を扱い治療にも優れ、スカーの窮地に駆け付けるなど活躍を見せます。
スカーとメイは弱小部族の出生で境遇が似ていることからか、スカーはメイを気遣う場面が多く、賢者の石を手に入れた際にはメイに「これを持って国へ帰れ」と告げ、数少ないデレを見せるのでした。
小動物には弱い
メイの連れている小熊猫のシャオメイには、熱烈な視線を向けており、貴重なスカーの何とも言えない表情を拝むことができます。
ティム・マルコー
元国立機関研究員であり賢者の石研究の第一人者だったが、数年前に姿を暗ませて町医者をしていたところをホムンクルスに見つかり捕獲されその後、軟禁部屋でスカーと邂逅し罪を懺悔するも、利用価値があるためスカーと協力することになります。
賢者の石の作り方を知っている事で壊し方にも精通し、エンヴィーを捕獲する際には大きく貢献しました。
スカーの兄と右腕の秘密
スカーの兄もまた名前等の情報は原作に登場せず不明なことが多いキャラクターですが、イシュヴァラの教えに背いて錬金術の研究をしていた事をスカーに反対されていた場面があります。
スカーの兄死亡の経緯
研究を進めるうちにこの国の錬金術がおかしいことに気づいた兄は、もっと詳しく知る為に距離の近かったシン国の練丹術についても研究をはじめ、その作業に没頭していました。
イシュヴァール殲滅も佳境を迎え、いよいよ国軍がスカー達家族が居住する地区に迫った頃、兄の研究が一段落します。
兄はアメストリスの錬金術とシンの練丹術を組み合わせた独自の錬成陣を編み出し、右腕に分解、左腕に再構築の構築式を刺青にして刻みました。
その時、国軍からの砲撃が行われてスカー達は避難を始めますが、その時兄は、
私よりお前の方が生き残る確率が高いだろ?
引用元:鋼の錬金術師
と、恐怖で足を震わせながら、武僧の鍛錬を積んだ弟スカーへ研究書を託します。
重症のスカーに腕を移植
家族が密集しているところへ国家錬金術師のキンブリーが登場し、高台から錬金術を使ってスカー達がいる地面一帯を爆破して吹き飛ばします。
刹那、兄が前に出てスカーを庇いますが、爆発後、粉塵が晴れると顔面に傷を負い右腕を失ったスカーが仰向けに倒れていたのです。
無くなったスカーの腕を探す兄ですが、周囲には無残にも息絶えた家族や同胞の躯が転がるだけで、このままではスカーが出血死してしまう究極の分岐点でした。
兄は恐る恐る自分の両手に刻み込んだ錬成陣を見つめるや否や、スカーに「生きろ」と胸の内をこぼし自分の腕をスカーへ移植する為に錬成を行います。
ロックベル夫婦殺害
イシュヴァールの廃れた病院のベッドで目を覚ましたスカーは、覚醒したばかりの意識下で右腕を視界に捉えることで兄が無事であると誤認しますが、自分の右腕である現実に気づき「なんだこれは」と絶叫します。
次瞬、頭を押さえると溢れてくるのはアメストリス国軍から受けた襲撃の数々の光景であり、キンブリーがスカー達イシュヴァール人を爆破する直前の映像でした。
錯乱状態のスカーはアメストリス人に憤怒し、近くに置いてあった刃物を手掴み、目の前でスカー自身の治療に当たっていたロックベル夫婦を刺殺してしまいます。
スカーの兄の研究
スカーの兄は錬金術を研究する際に、国土を覆うほどの巨大な錬成陣の存在に気づき、同時に錬成に使うエネルギーの妨害を成している事を知ります。
逆転の錬成陣
国土の地下を巡る錬成陣の正体は、アメストリス国民を使った膨大な賢者の石錬成に必要な錬成陣であり、ホムンクルス達が建国時から計画していた事でした。
アメストリス国民を賢者の石に変える日は雌雄を表す月と太陽が交わる皆既日食の日で、それに対抗する相殺手段としてスカーの兄は研究書に暗号として残します。
解読不能かと思われた研究書はヨキのくしゃみを見たアルフォンスの機転が突破口となり、兄の研究はアメストリスを救う手段として大活躍しました。
作中の黒幕であるお父様についてはこちら。
物語の黒幕は、お父様と呼ばれるホムンクルスの親玉でしたが、 お父様の最後はどうなったのか その目的とは何だったのか どうやって生まれたのか お父様の強さについて など、お父様と呼ばれることになったフラスコの[…]
最終話以降もスカーは生きている
キング・ブラッドレイとの死闘で深手を負ったスカーですが、何とか余力を振り絞って逆転の錬成陣を発動することに成功します。
エドワード達がホムンクルスの親玉であるお父様を倒した後は、アームストロング少将によって極秘に医者を手配され治療されました。
スカーが生かされた理由
マスタング指揮の下イシュヴァール政策を行うためにマイルズ少佐が手を貸す事となり、マイルズはイシュヴァラ教復興に尽力しないかとスカーに訊ねます。
文化の死は民族の死だ
おまえの手で民族を死から救え
引用元:鋼の錬金術師
マイルズの言葉を経て、スカーは両腕の刺青に視線を落としながら生かされている意味を生きて探せという事か、と亡き兄に問いかけるのでした。
その後はマイルズと共に復興に尽力
その後、マイルズと共に仕事をしているスカーの一場面を見ることができました。
後ろ髪が長く伸びている事から長期に渡って尽力していることが見てとれますね。
その他のキャラクターのその後はこちら。
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ハガレンのスカーは死亡したのか?その後のまとめ
最終決戦後、スカーは生きてイシュヴァラ教復興の為に日々活動していることが分かりました。
- イシュヴァールとアメストリスの対立問題
- 憎しみは憎しみしか生まない事を理解
初登場時復習に囚われていたスカーはホムンクルスという共通の敵を得た事、たくさんの人に改心の機会を与えられた事が、生存への道に繋がったと考えられます。
一時期は復讐心から多くの人間を殺めた事は本来なら許される道理はあり得ませんが、ホムンクルスに支配されていた背景から国を救う立役者となり、また多くの争いと憎しみを痛感したことで己の過ちに気づいたスカーでした。
兄や多くの人に生かされた意味をしっかりと噛みしめ、イシュヴァラ教復興を成し遂げたときスカーは贖罪できるのではないでしょうか。