物語の黒幕は、お父様と呼ばれるホムンクルスの親玉でしたが、
- お父様の最後はどうなったのか
- その目的とは何だったのか
- どうやって生まれたのか
- お父様の強さについて
など、お父様と呼ばれることになったフラスコの中の小人の詳細をご紹介していきます。
お父様のプロフィール
- 名前:お父様、フラスコの中の小人(ホムンクルス)
- 年齢:不明(500年以上前に錬成)
- 錬金術:ノーモーションで発動可能
- 容姿:ホーエンハイムを模した姿、黒い影の様な大男(本体)
- 出身:真理の扉?
- 初登場:原作8巻
本作の最終的な黒幕となるお父様(フラスコの中の小人)ですが、その扉の向こう側にいた際の出自や過去等の一切は作中で語られておらず、クセルクセス以前の情報は一切謎に包まれたキャラクターでした。
お父様の人物像
自身の目的の為に必要な優秀な人材には寛大な態度を見せ賢者の石を惜しみなく使用する性格から一転して、目的の妨げになる者や必要のない存在には冷酷な態度とともに容赦なく抹消しようと行動します。
人柱に寛容な一面がある
原作14巻、お父様と初めて対面したエルリック兄弟の負傷を見て、お父様は兄弟の負傷を一瞬にして治療します。
おまえ達は大切な人材だからな
身体は大事にせねばいかんぞ
引用元:鋼の錬金術師 14巻
お父様は自分が創造したホムンクルスよりも優先して、人柱にはやや過干渉気味に優しく接しました。
必要のない人間には残酷な性格
お父様は自分に必要のない人間には一転して冷酷な態度を取り、例え人柱の頼みであったとしても自分の利益にならないと判断した相手には一切興味を持ちません。
私には必要の無い人間だ
なぜおまえのようないらない人間がここにいる?仲間?
知った事ではない
私にとって必要かそうでないかだ
引用元:鋼の錬金術師 14巻
またお父様の基本的な考えとして、人間は取るに足らない存在であることを示すような、何の感情も抱いていない事を吐露する発言があります。
おまえ達人間は地を這いずる羽虫を見て「おろか」と思うか?
虫ケラが足掻いてもレベルが違いすぎて何の感慨もわかないだろう?
私がおまえ達人間に思うのはそれと同じだ
引用元:鋼の錬金術師 14巻
人間を資源だと見ている
基本的に羽虫と同等に人間を見ているお父様ですが、賢者の石錬成に必要な実験動物として使える資源とも認識しているようで、邪魔者をただ殺すのではなくてサンプルを取る為の実験台として使う事もあります。
お父様の最後はどうなった?
膨大な宇宙の情報量を手に入れる為5人の人柱を使い惑星の扉を開いた事でアメストリス国民全員を賢者の石に変換したお父様は、そのエネルギーを利用して日食に現れた扉から出てくる真理を神と呼称し、神を引きずり落としてその力を取り込む事に成功します。
一時は強大なエネルギーを手中にしたお父様でしたが、エド達の猛攻を凌ぐ過程でエネルギーを消費していき、また取り込んだ神の力を抑え込む事が維持できなくなり、やがてエネルギーを消失させて弱体化していくのでした。
取り込んだエネルギーを制御できず敗北
多勢を相手にお父様はやがて神の力を制御できなくなりエネルギーのほとんどを漏出してしまい、余力で衝撃波を放って周囲の人間を吹き飛ばしたのですが、機械鎧が壊れ且つ眼前で身動きの取れなくなったエドを見て賢者の石の補充を閃きます。
しかし、お父様がエドに近づいていく後ろで、アルはエドを助ける為に人体錬成を行うのでした。
それは奇しくもエドがアルの魂を引き戻す為に行った手段と同様で、アルの魂が扉に戻るのと引き換えに、代償として支払っていたエドの右腕を取り戻す事ができたのです。
両腕が戻ったエドによって再び劣勢になるお父様は、戦場にいたグリードの賢者の石を奪う強硬手段に出ますが、吸収したグリードの裏切りにより体を最も脆い物質に変化させられ、エドの一撃が胸部に風穴を開けるのでした。
すると風穴から黒い触手が無数に飛び出し、お父様を穴の中に畳み込むようにして吸い込むと、その場から消失してしまいます。
真理の扉の向こう側へ連れ戻された
穴に吸い込まれた先は真理の扉の前で、器を失ったお父様は本来のフラスコの中の小人時代の影の球体に戻っていました。
そして、振り返ると自分の生き写しを反転させたような白い影が登場し、かつてお父様が口にしていた人間が思い上がらないように正しい絶望を与えるのが真理という存在という言葉に習い、
だからおまえの言う通り おまえにも絶望をあたえるのだよ
引用元:鋼の錬金術師 27巻
と吐き捨てると同時に扉は開き、巨大な目玉と共に這い出る触手に絡めとられたお父様は扉に引きずり込まれていきます。
……やめろ……戻りたくない…いやだ…
そこに縛られ続けるのはいやだ……やっ…
やめろおおおおおおああああああ
引用元:鋼の錬金術師 27巻
お父様の悲痛な叫びを前にして、扉の番人はおまえが望んだ結末だと告げるのでした。
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お父様の目的とは
お父様の目的は膨大な宇宙の情報量を手に入れることで、それを抑え込むのに必要なエネルギーを補給する為にアメストリスに固執して古くから計画を練っていました。
そのため本作は、人柱の出現と国を覆う錬成陣の作成が整うまでの話でもあります。
完全な存在になる為に神を引きずり下ろす
お父様の目的として一番の理由は完全な存在を目指す事にありました。
「神を理解してこの世の全てを知りたかった」と発言している事から、扉から出てきたお父様は純粋にこの世全ての理を知りたかったのかもしれません。
神とは?
簡単に説明すると、膨大な宇宙の情報量を持つ真理の扉にいる存在の事を指し示しているようです。
アメストリス国民を賢者の石に変える計画
アメストリス建国は、神を引きずり下ろす為に必要なエネルギーを確保する為の舞台装置でした。
神を取り込むのに必要な賢者の石を補うために領土を拡大させ人を増やし、現在までの国土に広がっています。
7体のホムンクルスの創造
計画を円滑に進行させる為、自らの感情を切り離し魂を分け与えた7体のホムンクルスを創造しました。
プライドを国の要人に配置し、スロウスに錬成陣を掘り進ませるなど、ホムンクルスを手駒として活用しているのがお父様です。
7つの感情はない為、基本的には無表情なお父様ですが、割と驚いたり顔を顰めたり睨んだりと、表情が豊かな印象があります。
7体のホムンクルスについての詳細はこちら。
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5人の人柱の確保
惑星の扉を開くには、人体錬成をして生きて戻ってこれるほどの有能な人材が人柱として5人必要だったらしく、
- ホーエンハイム
- エド
- アル
- イズミ
- マスタング
が揃うまでは人柱候補を見つける目的で国家錬金術師制度を導入し優秀な人材を集めていました。
人柱候補さえも希少な為、早期に目をつけていたエルリック兄弟をホムンクルス達に監視させたり、凄腕の錬金術師を人柱候補として軍属として縛り付ける又は見張り恐喝等して国から逃げ出さないように管理を徹底しています。
お父様の計画が失敗した理由
完璧に練り上げられたお父様の国土錬成計画でしたが、その失敗の理由は主に2点存在します。
ホーエンハイムの存在
ホーエンハイムは数百年と生きた不老不死の時間を利用して自分の中に眠る賢者の石の魂達536,329人と対話を果たし、アメストリス各地に彼等の賢者の石をばら撒く事で皆既日食を利用した錬成陣を作っていました。
その為、お父様が神を取り込んだ後、ホーエンハイムの術式が発動してアメストリス人の魂が次々と解放されていき、お父様は自力で神を抑え込めなくなったのです。
既に肉体を失ったクセルクセス人によるお父様へ向けた最後の報復でした。
スカーの兄の存在
独学で国土錬成陣にたどり着いたスカーの兄は、お父様が作る国土錬成陣をベースに利用した逆転の錬成陣を思いつき、その研究成果をスカーへ託したのです。
兄の意思を継いだスカーによってアメストリスの地下に敷き詰められた賢者の石の阻害が解消され、地脈エネルギーを使う本来正しい循環に戻ります。
この功績のおかげでお父様と戦闘中だったエド達に反撃の活路が開かれたのです。
お父様(フラスコの中の小人)はどうやって生まれたのか
まず始めにお父様誕生は作中から凡そ500年前に栄えていたクセルクセス王国まで遡ります。
当時、老化による寿命に焦りを感じていたクセルクセス王は、錬金術師達を使い不老不死の法を調べていた過程で偶然作中でのお父様(以下フラスコの中の小人)を錬成する事に成功しました。
その見た目は影を丸めたような靄状の生命体で、フラスコの中でしか生きる事ができない不完全な状態です。
ホーエンハイムの血の情報をもとに誕生
フラスコの中の小人を錬成する際に必要な血液はホーエンハイムから提供されたもので、その為、フラスコの中の小人はホーエンハイムに対しては気さくに会話を楽しむなど特別な関係性を築いていました。
奴隷だったホーエンハイムに名と智恵を授ける
フラスコから出る事が出来ないフラスコの中の小人の話し相手として世話をしてい奴隷の少年(後のホーエンハイム)にフラスコの中の小人が自由と権利が欲しくないかと持ち掛けた事で、少年はホーエンハイムと名前を授かり、知恵をつけたことで錬金術師として成長していくことができました。
クセルクセス国民を賢者の石に変える
クセルクセス王の意向に従い不老不死の法即ち賢者の石の錬成法を口頭で伝授するフラスコの中の小人は、その口ぶりの裏で自由を手に入れる計画を企てていました。
数年後、フラスコの中の小人の知恵を借りて国を覆うほどの錬成陣の作成に奔走するクセルクセスの兵士は、クセルクセス王の厳命を受け村を襲撃して命を奪い順調に血の紋を刻んでいきます。
錬成陣の完成当日、儀式を始めるクセルクセス王と見守る臣下でしたが、異変に気付いた時には国民同様その場の全員がもがき苦しみ始める事になり、唯一人体に影響がなかったホーエンハイムがフラスコの中の小人に状況を訊ねるたものの、黒い球体にニタニタと笑みを浮かべたフラスコの中の小人を見てホーエンハイムはこの事態の元凶に察しがついたのでした。
錬成陣の真の中心は君が立っているここさ
私の中の君の血を使って扉を開けさせてもらった
血を分けた家族ホーエンハイムよ
今 君と私が全ての中心だ
引用元:鋼の錬金術師 19巻
錬成陣の中心は今フラスコの中の小人とホーエンハイムが並び立つ場所で、フラスコの中の小人はホーエンハイムから貰った血を使って真理の扉を開いたと言います。
錬成陣の発動によってクセルクセス国民約100万人の魂が肉体から引き剥がされ賢者の石となり、またホーエンハイムの肉体も一度は分解されましたが賢者の石と複合して再構築され不老不死の身となってしまいました。
こうしてクセルクセスはホーエンハイムとフラスコの中の小人を残し一夜にして滅んだのです。
自由を得る為にホーエンハイムを利用
不老不死となったホーエンハイムの前に背格好の全てが一致する正に生き写しの男が現われ驚愕しますが、その男の正体はホーエンハイムの容姿を模したフラスコの中の小人でした。
フラスコの中の小人は、フラスコから外へ出るにあたって必要な肉体を得る為にクセルクセス王を使って巨大な錬成陣の作成を行ったものの、その計画のすべてはホーエンハイムに名を与えたところから始まっており、この自由を手に入れる瞬間の為にホーエンハイムは利用されていたのです。
その僅かな感謝の表れか、ホーエンハイムにはクセルクセス国民100万人分の賢者の石を半分に分けた朽ちぬ体を与え、この場で手を下しませんでした。
お父様と呼ばれる
肉体を手に入れたフラスコの中の小人は、やがてアメストリス建国においてホムンクルスを創造し、ホムンクルス達からお父様と呼ばれるようになったのです。
ホーエンハイム曰く人間になりたい意思の表れであり家族が欲しかったことからお父様と呼ばせていると指摘されましたが、お父様は完全な存在になりたいのだと弁明していたので本心は不明のままです。
お父様の強さ
クセルクセス国民100万人の半分の賢者の石を持つお父様の能力は既に人智を超えており、等価交換の法則を無視した出力を行う事ができます。
クセルクセス国民を取り込んだ状態
ホーエンハイム同様にノーモンションで錬金術を発動できるため、直前の所作がなく初見での対処が非常に難しい対戦相手といった印象です。
また、他人の傷の完全治癒をしたり、ホムンクルスを創造する事も可能でした。
錬金術封じ
錬金術に使用される地脈エネルギーを阻害をすることで錬金術を発動させなくするといった裏技めいた能力を使用し、エドのような錬金術師相手にも優勢に立ち回っています。
ただし、この国の錬金術と異なり、錬金術と練丹術とを独自に複合させたスカーの攻撃は防ぐ事ができませんした。
同じ肉体を持つホーエンハイムに勝利
100万人の賢者の石を分け合ったお父様とホーエンハイムの力量に差はなく、寧ろ賢者の石に変えられたクセルクセス人の魂と数百年間対話をし続けたホーエンハイムに賢者の石が協力した事でお父様は劣勢に立たされていました。
しかし、お父様はこの数百年の間に入れ物を必要とせず外へ出られるように弱点を克服しており、予想が外れたホーエンハイムは捕縛されてしまいます。
アメストリス国民と神を取り込んだ状態のお父様
膨大なエネルギーを取り込んことで中年姿から一転エドとよく似た青年時のホーエンハイムへと変貌を遂げます。
掌で疑似太陽すら作ることが可能に
取り込んだ力を凝縮させたエネルギーを放つことでお父様が根城にしていた地下を吹き飛ばせるほどの出力を容易に放つことが可能になり、また、同じ規模のエネルギーを乱用できる口ぶりから本来ならこの時点で人類の負けが決まったようなものでした。
中央司令部の一部を地盤ごと破壊する威力
神の力を取り込んだお父様の攻撃範囲は直線状の建物を吹き飛ばすほど射程が長く、巻き込まれたらただではすみません。
人を生み出す
賢者の石の中で魂は生きているためか、かつてのクセルクセス人に肉体を与えて生み出す事で生命への冒涜を示し、ホーエンハイムに激しい怒りと動揺を誘いました。
お父様の最後やフラスコの中の小人が誕生した経緯のまとめ
- 見下していた人間達によって倒され、扉の中へ戻される。
- 惑星の扉を開き神を取り込むことで完全な存在になりたかった。
- ホーエンハイムの血から生まれた偶然の産物で、後にクセルクセス国民を賢者の石に変えた。
お父様の当初の目的はフラスコから外へ出て自由を得ることでしたが、思想は広がりやがては神を引きずり降ろして全ての知識を得ようと企てた結果、人間達の足掻きによって計画は頓挫しました。
スカーの兄の存在は仕方がないにせよ、ホーエンハイムを早めに対処していればお父様の計画は確実なものになったはずなので、やはりお父様の計画自体かなり杜撰なものだったのではないでしょうか。
また最後に真理の番人に「分相応にフラスコの中で満足していればよかった」と突きつけられた言葉は、皮肉にもお父様がクセルクセス王に告げた「どうして権力と栄華を極めた奴はそっちに行くのか」という台詞を対比しているように思えました。