シン国第十二皇子リン・ヤオは、次期皇帝を選ぶ後継者争いに勝ち残るため不老不死の法を求めて錬金術師大国アメストリスに不法入国しました。
- リン・ヤオの詳細
- リンの臣下
- リンの名言
- グリードとの関係
賢者の石を求めて自らホムンクルスとの戦いに飛び込んだリンは、どのようにして生き残る事がてきたのか、また不老不死の方法は手に入れたのか、そして相棒のグリードはどうなったのかを紹介していきます。
リン・ヤオとは
黒の長髪を後ろで束ねた糸目の少年ですが、シン国独自の予測が難しい変幻自在の武術を得意とし、その身体能力はエドワードを凌ぎます。
リンのプロフィール
- 名前:リン・ヤオ
- 出身:シン国
- 年齢:15
- 身分:シン国第十二皇子
- 武器:柳葉刀
- 声優:宮野真守
作中でも身分年齢以外殆ど詳細不明のリンですが、ヤオ族の地位向上を高めるために不老不死を求めてアメストリスへやってきたと発言しており、普段は行き倒れして食い逃げをしたり、不法入国の外国人として憲兵に捕まり牢屋に投げ込まれるなどどこか抜けた性格の持ち主です。
そのせいか、話の流れで皇子と身バレするものの、アルフォンスとウィンリィに盛大に笑われるのでした。
ホムンクルスの気配を読む
リンを始め臣下二人もホムンクルス特有の気配を察知することが可能であり、それを利用して暗闇の中でもホムンクルスの居場所や攻撃を先見することで容易に反撃できます。
また、アメストリス入国の際にも、国の地面下に広がる妙な気配にも感づき、アメストリスの異常さに冷や汗を流しました。
リン・ヤオの信頼する臣下
リンは、仮面と黒装束に身をくるんだフーとランファンの二人を護衛に連れてアメストリスにやってきました。
フー
代々ヤオ族に仕えるリンのお目付け役兼護衛を務める白髪の老人で、小柄ながら目にも止まらぬスピードで戦地を駆け回り敵を斬り捨てるなど、作中上位の強者です。
主に諜報活動や隠密を得意として、本作ではマリア・ロス少尉の逃亡を支援、ブラッドレイと斬り結ぶ、などの重要な立ち回りを担っています。
孫娘のランファンが腕を失くした時には一度叱責しますが、すぐに腕がないランファンの袖口を手にして悔し気に涙を流すなど、厳しさの中にしっかりと愛情があることを見せてくれました。
ブラッドレイ戦で死亡
本作最終決戦時、グリードと共にブラッドレイと応戦しますが、致命傷を受けたことから自らの死を察して心中する腹積もりでダイナマイトに点火します。
しかし、火元を断ち斬られて無力化され、フー自身も腹部を横一文字に斬られてしまいますが、バッカニア大尉がフーの背後からブラッドレイもろとも突き刺すことで一矢報いることを果たしました。
ランファン
黒髪の少女で素顔を見られるのが恥ずかしく仮面を常備しているフーの孫娘で、リンに忠義を尽くしています。
フーには劣るものの体術や武器の扱いに長け、その実力はエドワードが全力を出す程ですが、カッとなりやすい性格が災いし挑発を受け流せずに負けるのでした。
片腕を失う
エドワード達と共闘しホムンクルス捕獲を企てた際、ブラッドレイと相対し肩口の辺りに深手を負わされましたが、自ら腕を斬り落として野良犬に括り付ける事でブラッドレイの目を欺く事に成功し、リンと共に撤退することができました。
機械鎧を装着して戦線復帰
その後、一時退場しますが、機械腕を装着しリハビリを終えてリンのピンチに駆け付けるなど、作中でも目覚ましい活躍を見せるのでした。
最終決戦時、ブラッドレイにやられたフーの姿を高台から目撃しており、その後舞台から落ちかけていたリンに手を差し伸べて救出しますが、フーの死は避けられない程重症であると口にして涙を流します。
リンとグリードの関係とそれぞれの生死について
賢者の石状態だったグリードは、リン自ら体を受け渡したことで主導権を握り、肉体を手にします。
ホムンクルス側と離反
リンの体を得たグリードですが、デビルズネストの仲間のビドーを手にかけた事により記憶を呼び起こしました。
その結果、記憶が混濁したまま衝動的に過去の仲間を殲滅したブラッドレイ宅に奇襲をしかけるものの、逆に圧倒されて敗走することになり、ホムンクルス側から離反する事になるのです。
同じ頃、軍から隠れて行動するエドワードとダリウスとハインケルの三人と邂逅し、三人を部下にすることで新たな仲間を得ます。
デビルズネストの仲間も合成獣が多かった事からダリウス達にも偏見はなく、「かっこいい」と上機嫌に豪語したり、仲間は大切にする性格です。
戦闘時にはリンと入れ替わる
ホムンクルスの夜襲を受けた際、グリードは硬質化の能力で防御はできるものの暗闇のため攻撃を当てる手段がないことから、気配を察知できるリンと入れ替わることにより形勢逆転します。
この時、グリードはリンと組んでよかったことを嬉々と口にしていることから、既に両者の関係は良好なものだったと考えられます。
強欲のグリードの最期
ブラッドレイが行方不明、他のホムンクルスが何体か死んだ事により、中央司令部にはお父様が残るのみとなったのですが、この時、国を手に入れるチャンスだとグリードは考えます。
約束の日、お父様は人柱を使い神の力を手に入れようとしますが、機を伺っていたグリードが奇襲し儀式の妨害に出るものの、妨害を予見していたお父様によって反撃されました。
神の力を手に入れ膨大なエネルギーを有したお父様が力を放出する度に建物は崩壊し、エドワード達は悪戦苦闘しますが、人間たちの止まぬ抵抗の数々を受け続けることでお父様の中のエネルギーが枯渇をむかえます。
グリードが欲しかったもの
そんな中、エドワード達を始め中央軍とブリッグズ兵すべての人間が結託して連携攻撃をしている光景を目の当たりにして、グリードは自分の心に芽生えた感情に気が付きました。
もうわかってるだろう、グリード
おまえが欲してやまなかったのはあれなんじゃないなイ
引用元:鋼の錬金術師
お父様に変わり神の力を手に入れて国をも手にする考えだったグリードは、リンの言葉を受けて、眼前でエドワード達にやられるお父様を憐れむような眼差しで見据え、グリードは自分が本当に欲しかったものを認めることになったのです。
ああそうだ 俺が欲しかったのは
こいつらみたいな仲間だったんだ
引用元:鋼の錬金術師
グリードの最初で最後の嘘と消滅
エドワードの猛攻を受けたことで神の力の制御を失ったお父様は最後の力を使って衝撃波を放ちます。
そして近くにいた膨大なエネルギーであるグリードに迫り、腕を差し込み賢者の石を強奪を試みるのでした。
魂の吸収力は凄まじく、グリード曰く元々親父殿から生まれた存在だからリンの体よりお父様のほうへ魂が引っ張られる力が強くて抵抗もできないとのことで、リンも必死にグリードを引っ張りよせます。
あきらめるなと言うリンを見て、グリードは一瞬の間を置いて舌打ちした後、ランクは下がるがシンの皇帝も悪くないと軽口を叩き、
一緒に戦おうぜ 相棒
引用元:鋼の錬金術師
と宣言し、リンも「そうこなくっちゃ」と嬉しそうに反応を見せます。
しかし、次瞬隙を見せたリンを攻撃することで腕を離させ、驚くリンを前に「ここでさよならだ」と告げました。
リンまで吸収されることはないと話すグリードに、リンはこんなだまし討ちみたいな別れは許さないと、さきほど一緒に戦うと誓ったことを話し、更にはグリードが嘘をつかないことを信条にしていたことを訴えかけます。
そしてグリードは、
まんまと騙されやがってションベンガキが!
さっきのは最初で最後のウソだ
引用元:鋼の錬金術師
と言い、加えてランファンが賢者の石を持っていることを伝え、それを持って国へ帰れと告げるのでした。
唖然とするリンをよそに、グリードは一体化していたお父様の腕を脆く変化させ、ランファンを呼びつけて腕を斬り落とさせリンから遠ざけることに成功。
同時に、リンの体から分離してお父様の体内に侵入していました。
あんたのくれたこの炭化能力で…
一番脆いボロ炭に変身してやらぁ!
引用元:鋼の錬金術師
体を炭化して硬質化をすることが可能ならば、逆に脆くすることもできることを告げ、同化したお父様もろとも体の組織を劣化させていきますが、お父様によって核を砕かれた事により消滅していきます。
その際、リンとエドワードの泣き出しそうな表情を目にして、グリードが欲しかった仲間を手にすることができたことを実感し、
ああもう十分だ なんも要らねえや
がっはっは…じゃあな 魂の……友よ
引用元:鋼の錬金術師
と満足して散っていくのでした。
リンのその後についてはこちら。
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リンの名言
国や民の為に立派な皇帝を目指すリンには、それなりの覚悟と信念があり、様々な場面で名言を残しています。
ブラッドレイとの初戦での名言
負傷したランファンを抱えたままブラッドレイの眼帯側に常に回り込むことで死角に位置し、何とか斬り結ぶ事ができていましたが、グラトニーに吹き飛ばされたことで人気のない屋内へやってきました。
また、国のトップがホムンクルスである衝撃の事実を知ってしまったリンは、負傷したランファンを抱えてどうにか退路を探っていましたが、「その荷物となっている者を捨てれば一人でも逃げ切れるのに何故そうしない?」というブラッドレイの言葉に嚙みつくのです。
ここでリンの名言。
ならば訊くが貴方は弱き者や仲間が傷つき倒れているのを見捨てる事ができ…
引用元:鋼の錬金術師
「できる」と即答したブラッドレイにリンは怒りを込めて、
王は民のために在る者、民無くして王は在りえなイ
引用元:鋼の錬金術師
と、民を切り捨てるブラッドレイは真の王になれないと啖呵をきります。
お父様とホムンクルスがいる地下にて名言
14巻第15話にて、ホムンクルスの親玉であるお父様と対峙したリンとエドとアルは、圧倒的な力量差で敗北し押さえつけられます。
お父様は人柱であるエルリック兄弟は丁重に扱う者の邪魔者のリンには容赦せず、人間という資源を効率よく使うため賢者の石に変えたグリードの宿主にしようと体の中に流し込むのでした。
賢者の石を体内に取り入れた副反応で魂が共鳴し、グリードはリンの体を奪い取ろうとするのですが、リンがあっさりと受け入れてしまうので「…ふつう拒絶しねえか?」と困惑します。
ここでリンの名言。
俺はシンの皇帝になる男ダ
他人の二十や三十受け入れるだけのでかい懐が無くてどうス…ル
引用元:鋼の錬金術師
皇帝になる大きな夢を口にしたリンをグリードは笑いますが、リンは皇帝になるために賢者の石が必要なことを続けて訴えました。
更にリンの名言。
力が欲しイ…手に入れるためニ…守るためニ…維持するためニ…
絶対的な力が必要ダ…!
引用元:鋼の錬金術師
人格者であるだけでは守れない事を知るリンが欲する力は、統治する者にかかせないものなのかもしれません。
ブラッドレイとの会話時の名言
同14巻第56話にて、体を渡したことでリンの人格はグリードに変わっていました。
中央軍の建物屋上から景色を眺めるように座り込んでいるグリードの元へ、「体の調子はどうだ」とブラッドレイが様子をうかがいに来ます。
シンの皇子の体だと自慢し、リンが自ら強欲を受け入れたことを面白がってブラッドレイに伝えると、前にリンに王とは何たるかと説かれた事を語り、そのリンは欲をかいて体を失った事に「バカめ」と吐き捨てました。
しかし、ここでリンの名言。
やかましいィ 人間をなめるナ
引用元:鋼の錬金術師
とリンの人格が出てきて睨みを効かし、ブラッドレイはハトが豆鉄砲を食らったような顔を見せます。
ホムンクルス相手にも虎視眈々と機会を狙っている強欲さを見せつけるリンに、人間の底力を見せつけられる瞬間でした。
グリードに訴える際の名言
原作20巻、デビルズネストの生き残りビドーは、グリードに会えると思いホムンクルスのアジトに潜入しました。
そこで現在のグリードであるリンと邂逅し、ビドーはリンの台詞の隅々からかつてのグリードの面影を重ねるのです。
ここでリンの名言。
金も欲しい 女も欲しい 地位も名誉もこの世の全てが欲しい
引用元:鋼の錬金術師
グリードの決まり文句を同調して発言したことで、現グリードは「おまえ何者だ」と警戒するように投げかけ、ビドーは昔の仲間だということを嬉々として伝えるのですが、「悪いな、それたぶん前のグリードだ」と淡々と告げて殺害するのでした。
しかし、仲間を手にかけたことで昔のグリードの記憶が断片的に蘇ることになり、中にいるリンに下衆になり下がったと叱咤されます。
この記憶は前のグリードのもので俺のじゃないと否定し、賢者の石に戻った際に浄化され忘れ去っていると抵抗しますが、リンは忘れる訳がないと声を大にして、
仲間ってのは魂で繋がってんだヨ!
魂に染みついちまっているものをすすいで落とす事なんかできないんだヨ!
引用元:鋼の錬金術師
と全てを手にしようとする強欲が聞いてあきれると、一喝するのでした。
中央司令部でのブラッドレイ戦での名言
死闘の末に、ブラッドレイを退ける事に成功したリンでしたが、大切な臣下であるフーを犠牲にする結果となり、賢者の石があるのに治療できないことを嘆くのです。
そして、フーの最期を飾ってくれたバッカニアの「この扉を守ってくれ」という最後の頼みを聞き入れ、グリードに力を借ります。
ここでリンの名言。
シンの人間ハ 盟約を必ず守ル
引用元:鋼の錬金術師
と信条を掲げて立ち上がり、半壊したブリッグズ兵に代わり中央軍を圧倒するのでした。
メイの一族に対しての名言
最終決戦を終えフートグリードを失いながらも賢者の石を手にすることができたリンは、皇帝への座に一手近づくことができました。
その際、ランファンから皇帝になった際に敵対する他家を害さないでほしい旨を訴えかけられますが、あっさりと承諾し、メイに喋りかけます。
ここでリンの名言。
人造人間ですら受け入れたこのオレだぞ?
チャン家も他の家の奴らも全部まとめて受け入れてやるさ
引用元:鋼の錬金術師
とシンの者は盟約を必ず守るとメイに宣言し、「全部まとめてなんて強欲すぎ」だとメイが泣きながら喚くのでした。
あいつのがうつったのかもな、と頭をかきながら暗にグリードを指していたリンは、グリードを最大の相棒として認めていたのかもしれません。
リンは死亡していない!のまとめ
最終話でリンは生きてシンへ帰国することを果たせましたが、フーとグリードの二人が犠牲となる結果に終わったものの、不老不死の源である賢者の石を入手したことにより、次期皇帝の座は揺るぎないものとなり、ヤオ族の使命を果たすことには成功したのです。
臣下へ向けるリンの寵愛は変わることなく続くものだと感じませますし、すべての民を守りたいという強欲の心はグリードと共鳴したからこそ維持できる不屈の精神力だと思います。
また、最終話ではちらっとですが、皇帝となり髭を生やしたリンと、背後に控える仮面をつけたランファンの姿を拝むことができるので、二人の健在ぶりに安心しました。
王の器ながら誰かの為に死地へ飛び込む勇猛さを携えたリンならば、シン国の未来はきっと明るいものになることでしょう。