『ハイキュー!!』の西谷夕は卒業後、世界を見てさまざまな経験をする旅を選びます。原作44巻ではイタリアでカジキをとる近況が伝えられ、終盤には東峰旭とエジプトを訪れた様子も紹介されました。
旅を選んだ理由は、バレーが嫌いになったからと決めつけるより、未知のことを経験したいという本人の希望から考えるのが自然です。この記事は原作終盤のネタバレを含みます。巻の位置は出版社の目次、旅先の近況は複数の作品解説を照合し、その意味を考察しています。
西谷は卒業後に世界を巡る旅を選んだ
高校で烏野の守りを支えた西谷のその後は、競技チームへの所属報告ではなく、旅先の近況として伝わるのです。イタリアとエジプトの場面は別々の時点に示されるため、一つの旅行の全行程としてつなげずに見ると分かりやすいでしょう。
イタリアでカジキをとる近況は44巻
44巻の第386話「自由」では、西谷がイタリアでカジキをとる近況が写真を通して伝わります。高校時代に将来の話をしていた人物が、遠く離れた場所で活動していると分かる場面です。コートでの活躍を知る読者には意外でも、後に説明される本人の希望と合わせると、その行動は唐突ではありません。
ここで分かるのはイタリアでの近況です。魚をとっている一場面から、漁師を正式な職業にした、現地のプロチームに所属した、というところまで決めることはできません。訪れた国と働き方、競技の所属先はそれぞれ別の情報だからです。
「冒険家」という言葉は旅の印象を表すには便利ですが、肩書きとして確定したかのように受け取る必要もないでしょう。まずは、西谷が興味の向く世界へ足を運んでいるという近況を押さえれば十分です。
終盤には東峰とエジプトを訪れる
東峰の進路を扱う人物解説でも、終盤に西谷と東峰がエジプトを訪れた様子が紹介されています。高校を出た後も二人の関係が続き、一緒に旅をする機会があったと分かる場面です。
イタリアの近況とエジプトの同行を並べると、西谷の世界が高校時代の場所から広がったことを感じられます。一方で、二人がいつも一緒に暮らしているとか、旅の間ずっと同行していたという意味ではありません。示された二つの近況から、描かれた範囲以上の旅程を補わないことも大切です。
バレーを続ける道とは別に旅を選んだ理由
西谷の選択を考える手がかりは、高校時代の進路の話にあります。本人はお金をため、日本や世界でまだ知らないことを経験したいという希望を話していました。その希望とイタリアでの近況を重ねると、興味を将来の行動につなげたことが見えてきます。
未知のことを経験したいという本人の希望
東峰が進路について迷う中、西谷は自分が見たい世界を思い描いていました。ここでのポイントは、単に「自由に暮らしたい」と言ったことではなく、資金をためて出かけ、知らないことを体験したいという方向があることです。
卒業後のイタリアの近況は、その希望が言葉だけにとどまらなかったことを示します。何を見たいかを考え、そのために準備し、実際に遠くへ行く。西谷の進路は、バレーから離れた空白としてではなく、別の関心に向かって動いた選択として読めるでしょう。
もちろん、旅の場面だけで日々の生活費や働き方の詳細まで分かるわけではありません。それでも、将来について語った希望と後の行動が結び付くため、「なぜ旅なのか」という疑問には、未知への関心を実際の進路にしたからだと答えられます。
旅の選択は挫折やバレー嫌いを意味しない
西谷は高校時代、チームの守備で大きな役割を担いました。その姿を知っていれば、「あれほどの選手が、なぜ競技を職業にしなかったのだろう」と感じるかもしれません。
ただ、得意なことを職業にするかどうかと、そのことを好きかどうかは別の問いです。旅を選んだ事実から、怪我で続けられなかった、実力不足で挫折した、バレーを嫌いになったといった理由は導けません。確認できる希望はむしろ、新しい経験を求める積極的なものです。
同じように、その後一生バレーをしないと断定することも避けたいところ。高校での積み重ねが無意味になったのではなく、そこで培ったものを持った一人の人間が、次に何をしたいかを選んだと考えられます。
高校時代から続く西谷らしさを考察する
旅の希望は本人の進路の話から分かりますが、高校時代の試合を振り返ると、その選択をより深く味わえるでしょう。ここからは、確認できる場面をつないだ筆者の考察であり、祖父が旅を命じたという話ではありません。
怖さを知ったうえで向き合う姿勢
31巻の稲荷崎戦で、西谷は宮侑のサーブに狙われて苦しみます。守りの要であっても、相手の強い攻撃を前にすれば難しさや怖さがある。その状況で、木下の支えも受けながら、自分の恐怖に向き合っていく姿が描かれます。
西谷には祖父から恐怖との向き合い方を教わったエピソードもあるのです。大切なのは、怖さを感じないから何でもできるという読み方ではなく、怖いと認めたうえで目の前の課題に向き合う姿だと考えます。試合では仲間の存在も、その一歩を支えたのです。
この姿と、卒業後に知らない土地へ出かける姿には、未知を避けずに向き合うという共通点を感じます。ただし、試合での経験が旅を選んだ直接の原因だったとまでは言えません。旅への希望そのものと、そこに高校時代からの連続性を読む考察は分けておきたいところです。
東峰との関係は卒業後にも続く
進路について悩む東峰にとって、西谷が広い世界に関心を向ける姿は、一つのものの見方として印象に残ったのではないでしょうか。将来の選択肢が一つに決まっていないことを、二人の対照から感じられます。
その後、二人がエジプトを訪れた様子からは、高校時代に同じチームで過ごした関係が卒業後も続いていると分かるでしょう。進路の話と後年の同行が響き合う点も、この人物のその後を読む楽しさの一つです。
とはいえ、東峰の将来が西谷一人の影響で決まったとは限りません。それぞれに選んだ道があり、その先で再び時間を共有していると捉えるほうが、二人の関係を狭めずに読めます。
旅に同行したという一点からは、高校時代のつながりが続くことを読み取れるでしょう。それぞれの暮らしの細部を想像で埋めなくても、離れた時間の先に再び同じ景色を見ていること自体が印象的です。
西谷のその後は原作のどこで読める?
イタリアの近況と将来の希望を確かめたいなら、通常単行本の44巻、第386話「自由」を目安にしましょう。場面だけでなく前後の流れも味わいたい場合は、44巻の冒頭から読み進めるとよいでしょう。
東峰とエジプトを訪れた終盤まで追いたい人は、最終45巻へ進んでください。紙の通常版と通常電子版のほかにカラー版もあります。同じ巻を重ねて用意せずに済むよう、手元の版や商品名を確かめて選びましょう。
巻の収録情報は集英社の44巻紹介で確認できます。
高校の試合で頼りになる選手だったからこそ、読者は卒業後も同じ競技の舞台を想像しがちです。けれども、希望を話す回想を読むと、本人にはコートの外にも関心があったと分かります。旅先の写真はその関心がどこへ向かったかを具体的に見せる一方、日常のすべてを説明するものではありません。
この二つを一緒に読むと、進路の理由と、実際に伝えられた近況を混同せずに済みます。気になる場面を原作で確かめるときも、まず本人が何を望み、後にどんな姿が示されたかを順に追ってみてください。
まとめ|西谷の旅の選択を知り44巻を読み直そう
西谷は未知の経験を求めて旅を選び、44巻ではイタリアでの近況が伝わります。終盤には東峰とエジプトを訪れた様子も示されますが、旅を選んだことだけでバレーへの嫌悪や永久引退を意味するわけではありません。
まずは44巻の386話を前後の流れとともに確かめ、二人のその後まで追いたければ45巻へ進んでみてください。高校で見せた力が一つの職業だけに人生を縛らないところに、西谷らしい広がりを感じます。
卒業後に海外へ向かう選択を比べるなら、及川の進路と代表入りの経緯も参考になります。