単行本55巻から突入した最終章・千年血戦篇のボスを務めたユーハバッハですが、滅却師の始祖という情報以外はあまり作中で明かされていません。
そこで今回は、
- ユーハバッハの正体と霊王との関係
- ユーハバッハの過去や名前の由来などの基本情報
- ユーハバッハの能力と全知全能
等々、ユーハバッハについて紹介していきたいと思います。
ユーハバッハの正体
【名前】 | ユーハバッハ |
【年齢】 | 不明 |
【所属】 | 滅却師 / 見えざる帝国の首魁 |
【聖文字】 | A |
【固有能力】 | 全知全能 |
【初登場】 | 単行本55巻 |
【声優】 | 菅生隆之 |
見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)を率いる滅却師の始祖であり、首魁です。
1000年前の死神と滅却師の戦争でユーハバッハは山本元柳斎重國に敗戦しますが、行き場を失った滅却師は現世から死神が最も警戒していなかった瀞霊廷の中へと逃れ、瀞霊廷内のあらゆる影の中に霊子による空間「見えざる帝国」を創り、1000年かけて影の中で力を蓄えていました。
見た目は斬月のおっさんが更けて濃い髭を蓄えたもので、黒い外套の下は滅却師が着用する軍装です。
ユーハバッハと霊王の関係
ユーハバッハが滅却師という集団の始祖であるならば、霊王とは滅却師の力そのものの源流とされていますが、霊王が封じられる前に子を残していたのか、或いは霊王から千切り堕とされた力が人の形となって顕現したのかは歴史を司る綱彌代家末裔の時灘でさえ知りません。
そして、その霊王は綱彌代家の祖によって結晶に封じ込まれ、両腕や臓物を削ぎ落し、世界の平和の楔として封印され続けていました。
その為、ユーハバッハが霊王宮へ踏み入った際にハッシュヴァルトが発した「心中お察しいたします」や、ユーハバッハが霊王大内裏に足を踏み入れた際の「果てしなく永き屈辱を今終わらせよう」といった一連の台詞ややり取りは、尸魂界開闢の歴史と死神の罪を知っていたからです。
つまり、滅却師の始祖であるユーハバッハは、その力の祖が霊王であると知っていた為、作中で「我が父」と呼んでいました。
この度ご紹介するのは漫画「BLEACH」で伏線が回収されなかった霊王の欠片や正体についてです。 以降、漫画「BLEACH」と小説「bleach can't fear your own world」のネタバレを過分に含みますので、未読の[…]
ユーハバッハの過去と三重苦
ユーハバッハは赤ん坊の頃、
- 目が見えず
- 耳が聞こえず
- 口もきけず
といった所謂三重苦をもっており、加えて動く事さえも出来ませんでした。
生き延びる術は何も持っていない赤ん坊は、喉が使えないために泣き声を上げず、また、喉が使えたとしても泣き声を上げる事は無かったとされていますが、その理由は赤ん坊にして自分が生きる術を持たなくとも生き延びられるという事を知っていたからだと綴られています。
周囲の人間達は赤ん坊に触れると触れた者の欠けていた部分が少しずつ埋められていくという事に気付くと、肺を病む者は肺が癒え、淋しき者の心は満たされ、臆病な者には勇気が湧き、足を失った者は少しずつ戻っていく事から赤ん坊を宝物にように扱いました。
赤ん坊が持っていたのは「魂を分け与える力」であり、赤ん坊に触れればその度に魂を分け与えられ一人の魂では埋められなかった傷が癒えていき、それと同時にその者の傷が癒える間にその者が得た知識や努力して身に付けた能力・開花した才能は全て与えられた赤ん坊の魂の欠片の中に刻まれていくのです。
そして、それらは全てその者が死ぬと同時に赤ん坊の許へと還るとされています。
赤ん坊に触れた者の寿命は皆永くなく、数年数カ月、時には数日で死ぬ者もいましたが、それでも人々は皆赤ん坊の許に集まり続け、与えた魂が還ってくる度に赤ん坊の動かなかった手足も見えなかった眼も少しずつ癒えていき、聞こえなかった耳も聞こえる様になりました。
ユーハバッハの名前の由来・ヤハウェ(YHVH)
ユーハバッハは赤ん坊の頃、与えた魂が還る事で次第に耳が聴こえる様になりましたが、耳が聴こえる様になった頃、人々が赤ん坊を不思議な名で呼ぶようになっている事に気が付いたのです。
『ユー、ハー、ヴェー、ハー』
赤ん坊はその名が人々が信仰する神の名であると知っていましたが、その名を自らの名とする事に決めました。
赤ん坊はその名の音を元に「ユーハバッハ」と名乗るのです。
そして、作中で二枚屋王悦が「Y(ユー)H(ハー)」と呼んでいた事から、ユーハバッハの名前の元ネタは旧約聖書や新約聖書に於ける唯一神「YHVH」である事が分かり、「YHVH」は直接神の名を口にする事は畏れ多い禁忌であるとされた事でこの子音文字で構成されたヘブライ語の正確な発音は分かっていません。
その為、アニメ化の際は宗教的な要素を含む為、扱いが難しそうな気がしますが、そのまま描写されるのか気掛かりですね。
余談ですが、「YHVH」が元ネタならば、兵主部一兵衛の名をみだりに口にした事で喉が潰れたユーハバッハは少し皮肉めいたものになっています。
ユーハバッハと黒崎一護は親子?
単行本58巻でユーハバッハと黒崎一護が対峙した際、ユーハバッハは去り際に一護の事を「我が息子」と述べていましたが、ユーハバッハと黒崎一護に親子関係はありません。
記事冒頭で述べた様に、ユーハバッハは滅却師の始祖であり、全ての滅却師にはユーハバッハの血が流れているとされている事から、元々純血統滅却師である一護の母・黒崎真咲にユーハバッハの血が流れており、その息子の一護にも遺伝しています。
つまり、滅却師の母親を持つ黒崎一護にもユーハバッハの血が流れている事になるので、ユーハバッハは血を分け与えている黒崎一護を我が息子と表現しただけのものであり、ユーハバッハと黒崎一護に親子関係というものはありません。
ユーハバッハが若い頃の斬月にそっくりな理由
黒崎一護を精神世界から支え続けてきた斬月、通称斬月のおっさんですが、千年血戦篇59巻から描かれた一護のルーツを辿る回想でその正体が黒崎一護の中の滅却師の力の根源であるという事が明かされました。
そして、その滅却師の力とは滅却師の始祖である1000年前のユーハバッハであり、当初は死神にならせないように一護本来の力を抑えていましたが、一護が死神となりその成長を傍らで見守るうちにう一護の成長を願うようになり、二枚屋王悦により新たな斬月が誕生する際、喜びを感じながら一護の前から消滅し、抑え込んでいた黒崎一護の力を解放しています。
BLEACHの作品内において、死神・虚・完現術・滅却師と全ての種の因子を持ち合わせる主人公である黒崎一護ですが、一護がどうして全ての因子を所有しているのか、また内在するに至ったのか、 黒崎一護の生い立ち 黒崎一護が保有する力[…]
ユーハバッハの能力
ユーハバッハの能力は「魂を他者に分け与える力」であり、その力によってユーハバッハに触れた者に自身の魂を分け与え、その者が経験した事や能力などが分け与えたユーハバッハの魂にも刻まれていき、その者の死と同時に分け与えた魂の欠片はユーハバッハの元へと還り成長しました。
また、これを応用した「聖文字」により、自身が組織した星十字騎士団にはAからZまでのアルファベットの頭文字をもじって固有能力を与えており、死神の卍解と対を成す滅却師完聖体を扱える様にしています。
ユーハバッハの「聖文字」
滅却師は皆周囲の霊子を集める事で自らの力とする能力を持っていますが、その中でユーハバッハただ一人だけがその真逆である「魂を分け与える力」を持っており、幼少期は触れる事で魂を分け与えていた所、やがて更に強力な方法を発見したのです。
それが「聖文字」であり、相手の魂に能力を冠した文字を直接刻み付ける事によってより深く強く力を持った魂を分け与える事が可能で、聖文字はユーハバッハの血杯を仰ぐ事によってユーハバッハの一部を身体へと取り込む「刻印の儀式」により刻む事が出来ます。
また、ユーハバッハの魂を与えられた者は全て死ねばその力はユーハバッハに吸収されますが、ユーハバッハの魂の欠片は1000年前の戦いで瀞霊廷全域にばら撒かれており、星十字騎士団はもとよりユーハバッハの魂に触れた死神達も全て死ねばユーハバッハに魂を捧げる事になるのです。
その為、千年血戦篇の戦いは誰が死のうがその度にユーハバッハは強くなり、その度に永らえるとされています。
ユーハバッハにとって戦いこそが生きる術であり、魂を吸収し続けなければいずれ目も見えず耳も聞こえず身動きさえ取れなかった赤ん坊の頃の身体に戻る為、ユーハバッハは戦いを止める事は無いとハッシュヴァルトが語っていました。
ユーハバッハの聖文字A「全知全能」
【聖文字】 | A |
【能力名】 | 全知全能 |
【初出】 | 単行本67巻609話「”A”」 |
ユーハバッハの固有能力は「全知全能」でAの聖文字を持ちます。
能力は、「眼」を開いた瞬間から遥か未来に渡る全てを見通す事が出来るもので、見通したものを全て「知る」事ができる他、知った「力」は全てユーハバッハに味方し、その力でユーハバッハを倒す事はおろか傷付ける事すらできなくなるのです。
この力の前に理解と対策の介在する余地は無く、ユーハバッハが目にしたものは全てユーハバッハの前に無力になります。
全知全能は未来を改変する
単行本74巻678話「The Future Black」にて、ユーハバッハは真世界城で塗り潰した霊王大内裏で黒崎一護と再戦しており、未来を視る事で様々な罠を仕掛けていましたが、ユーハバッハはただ未来が視えるだけで寸分違わず罠を仕掛けられる事に疑問は無かったかと問いかけています。
そして、その答えこそが全知全能の真の力であり、全知全能は未来を視る力ではなく「未来を改変する力」だと明かされました。
普通の人間は目の前の一瞬にしか干渉する事ができませんが、ユーハバッハは眼に映る未来の全てに干渉が可能なのです。
未来とは先にばら撒かれた無数の砂の様なもので、一見ばらばらに見える無数の砂粒の一つ一つが未来であり、言い換えれば無数の可能性とも言えます。
未来を変えるとは、その砂粒の一つから別の砂粒へと飛び移る事に過ぎませんが、ユーハバッハはその砂粒の全てを遥か高みから眺める事が出来る為、人間が運命や可能性と呼ばれる砂粒の上を転がり回り飛び移り続ける様子を希望と例えていました。
全知全能は藍染惣右介や月島秀九郎の能力で対策可能
ユーハバッハは自身の能力に対して理解と対策の介在の余地は無いと断言していましたが、作中では「未来視」で見逃している事象があります。
- 月島秀九郎のブック・オブ・ジ・エンドの能力で黒崎一護の天鎖斬月が折られた過去を改変
- 藍染惣右介が鏡花水月を解放し未来視に介入できると判明
- 石田雨竜が「静止の銀」の鏃を放つ未来を視ていない
- 兵主部一兵衛が黒崎一護に名前を呼ばれて復活する未来を潰していない
等々、全ての未来を見通し改変できる筈のユーハバッハの能力も完全無欠では無く、改変できない事象も存在するのです。
特に、ブック・オブ・ジ・エンドは過去を改変し、鏡花水月は現在の事象を誤認させる事ができる為、全知全能と並び立つ強力な能力故に全知全能の範疇街なのかもしれません。
また、鏡花水月に至っては、一度催眠に掛かるとユーハバッハと言えども未来視してもその未来が誤認させられている事に気付かない為、まさに全知全能の天敵とも言えます。
加えて、ハッシュヴァルトが石田雨竜の聖文字Aの完全反立がユーハバッハの力に刃向かえるかもしれないと発言していた事や、ユーハバッハが兵主部一兵衛の復活を阻止しなかった理由など、全ての未来を視る事ができる全知全能にも抜け穴が存在するのです。
【↓ユーハバッハの最後についてはこちらから↓】
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ユーハバッハの目
全知全能の力を取り戻したユーハバッハの目は眼球に瞳が二つ三つと出現しています。
また、ユーハバッハが眠につき、ハッシュヴァルトと能力が入れ替わった際にもハッシュヴァルトの目も同様の変化がみられるので全知全能を解放すると瞳が複数出現するようです。
滅却師の歌「聖帝頌歌」
「封じられし滅却師の王は」 「900年を経て鼓動を取り戻し」 「90年を経て理知を取り戻し」 「9年を経て力を取り戻し」 「9日間を以て世界を取り戻す」 |
滅却師に伝わる歌はユーハバッハの事を指しており、1000年前に山本元柳斎重國に敗戦したユーハバッハは千年血戦篇で登場した段階で「力の9年」が終わっていない状態でした。
その為、尸魂界で元柳斎を倒した時や霊王宮で兵主部一兵衛と戦った当初は全知全能が使えない為に「目を閉じた」状態で戦っており、兵主部との戦闘中に力の9年が経ち、全知全能を解放する事ができたのです。
また、力の9年が終わらぬ内に眼を開けばユーハバッハの聖文字Aの力は制御を失い星十字騎士団の力を奪い尽くしてしまうかもしれなかった為、ユーハバッハは無暗に星十字騎士団を殺さない為に眼を閉じていた事もハッシュヴァルトから語られています。
ユーハバッハが使用したその他の技
【聖別(アウスヴェーレン)】 |
ユーハバッハが与えた力・能力を強制的に回収する力で、また回収した力を他の者に与え直す事ができます。
聖別は受けた者は死亡する事が多く、黒崎真咲も9年前にユーハバッハが行った聖別で滅却師の力を失いグランドフィッシャーに敗戦しており、逆に聖別により力を与え直された者は死亡していても復活させる事が可能です。 |
【大聖弓(ザンクト・ボーゲン)】 |
霊子で構成された巨大な弓と五本の弓矢を出現させる技で、ユーハバッハは兵主部戦で落下の最中にこの技を使い自身を撃ち抜く事で落下から這い上がっています。
また、同じ技なのかは不明ですが、元柳斎戦では上空から地上に五本の矢を放ち、その内の一本を剣として流用していました。 |
【外殻静血装(ブルート・ヴェーネ・アンハーベン)】 |
静血装の防御壁を体外まで拡張する静血装の強化版であり、外殻静血装はユーハバッハの体に触れる全てを侵食する為、相手がユーハバッハの体に触れれば侵食されてしまいます。 |
【簒奪聖壇(ザンクト・アルタール)】 |
左手を翳し五指から光の玉を放つと、上空に巨大な滅却師十字を描き相手の力を奪う事ができます。 |
ユーハバッハの正体や能力についてのまとめ
- ユーハバッハは滅却師の始祖であるが、全ての源流は霊王にある為、ユーハバッハは霊王を「父」と呼んだ
- ユーハバッハが霊王の直接的な血縁にあるかは歴史を司る綱彌代家でも分からない為、不明
- ユーハバッハは霊子を操り自らの力にする滅却師の能力は持っておらず、代わりに「魂を分け与える力」を持っている
- ユーハバッハは分け与える力よりも更に強力な「聖文字」を生み出し、刻印の儀式を行い星十字騎士団に力を与えた
- ユーハバッハの聖文字はAで能力名は「全知全能」、その真髄は未来を改変する力である
BLEACHの最終章のボスとして登場したユーハバッハですが、その正体は滅却師の始祖であり、黒崎一護の母・黒崎真咲の直接な死因を作った本人、そして、斬月のおっさんの現在の姿でした。
最後の方は少しアレな感じで一護に敗戦してしまいましたが、ユーハバッハの能力「全知全能」はBLEACHのラスボスを飾るに相応しい強力なものであり、過去に打ち倒した章のボス達と協力しなければ勝てない相手という事もあって、この上ないキャラクターです。
2022年のアニメ化の際にユーハバッハと霊王との関わり、特に血縁者なのか、力が顕現しただけなのか、その辺りを追加して頂きたいですね!
若しくは、小説の映像化で何卒お願いいたします。
【↓星十字騎士団の強さランキングついてはこちらから↓】
今回は総勢29名いる星十字騎士団のメンバーの中で誰が最強で有用なのかあくまでも主観による評価をランキング形式でまとめたものになります。 判定基準としては、 固有能力 貢献度(隊長格の撃破など) 脅威度(攻略が難し[…]