数々の漫画賞を受賞し、累計売り上げ部数250万部も売り上げた魚豊先生による作品『チ。ー地球の運動についてー』のあらすじについてご存知でしょうか?
この記事では、『チ。ー地球の運動についてー』ってどんな漫画?面白いの?という方にあらすじや魅力的な登場人物を紹介していきます。
チ。ー地球の運動についてーのあらすじ
舞台は異端思想がガンガン火で炙られていた15世紀のヨーロッパであり、宇宙の中心は勿論、地球です。
そんな時代に少年ラファウは孤児として生まれ、貧困で惨めで不憫で脆弱と詰み要素満載の少年でしたが、生きることが凄く上手でした。
ラファウの信条は無為な感情や無駄な欲望などではなく、”合理的に生きること”であり、合理的なものは、常に美しく、それに従い生きたことで、清廉で聡明で謙虚で有力と思われ、その時代にとても珍しい大学進学まで決まっていたのです。
そんなラファウの趣味は星を観察する天文でしたが、大学で専攻する神学に時間を使うため、義父のポトツキから辞めるよう言われてしまい、少し迷ったものの、天文を続けることは合理的ではないとして、上手に生きていくことを選択しました。
次の日、ポトツキの知人であり元学者の異端者フベルトの身柄を引き取るように頼まれ、会いにいくと、6等星まで見ることのできる眼を褒められ、眼が弱ったフベルトの変わりに星を観察するよう脅されてしまいます。
即刻通報することも考えたラファウでしたが、結局星を観察しに行き、綺麗に見える観測地に感動し、そこで、ラファウは異端者のフベルトに禁じられた研究が何なのかを聞いてしまって、本当の宇宙の美しさを証明してしまう地動説と出会ってしまうのでした。
合理性と地動説の二つを天秤にかけることになってしまうラファウの決断とは…と物語が進んでいきます。
チ。の登場人物
「チ。ー地球の運動についてー」の物語を面白くさせているのは、地動説に関わることになる、生まれや地位が全く異なる個性的な登場人物です。
そんな登場人物から物語の鍵を握る登場人物を紹介していきます。
ラファウ
- 性別:男
- 性格:したたかでとても賢い
- 特徴:合理的に生きるを信条にしている
- 夢:地球を動かすこと
周りの大人や同級生とも上手く生活できており、相手が望むことが分かってしまう賢い12歳の少年です。
ところが地動説との出会いにより、自分の信条を曲げてまでも証明したいと腹を括って生きていくことになります。
ノヴァク
- 性別:男
- 性格:怠そうにしていて掴みどころが無い
- 特徴:頭が切れ、平然な顔で拷問を行う非道な人物
- 夢:異端者の廃絶
傭兵出身の派遣異端審問官で、天体に関する研究をする人の前に現れて捕まえては爪を剥ぐ、顎をさく等、漫画で見るのも痛々しいほどの拷問をします。
子どもの前であろうが、関係なく拷問をする姿は読者に強いトラウマを与え、出てくるだけで物語の雰囲気を大きく変えるとても怖い人物です。
フベルト
- 性別:男
- 性格:頑固
- 特徴:地動説にかける気持ちがとても強い人物
- 夢:美しい宇宙に生きる
「禁じられた研究」を行なっていたことで、異端者として捕まっていた顔に傷がある大柄な男性で、ラファウに地動説の魅力を伝えて託しました。
ラファウの人生に大きく影響を与えた人物であり、死ぬことも恐れず真実に向かって研究する姿や、地動説を語る言葉などの全てがカッコ良い男性です。
オクジー
- 性別:男
- 性格:度を越えたネガティブ
- 特徴:空を直視出来ないため、常に下を向き地を這うように移動する
- 夢:天国へ行くこと
普段は控えめな性格で、この世界で幸せを望むことは全くの無意味であると考えており、自分自身で何かを決断することがとても苦手ですが、天国に対しては強い憧れを抱いており「天国最高 早くいきたい。」と繰り返すよくわからない人物でした。
私自身、全てに対して消極的な姿に、最初はイライラを感じていましたが、地動説と出会って変わっていくオクジーは「チ。ー地球の運動についてー」の大きな見どころの1つになります。
バデー二
- 性別:男
- 性格:自己愛が強く傲慢
- 特徴:とても賢く、知識欲が強い
- 夢:自分自身が特別な存在になること
自分自身が特別な存在になりたいと強く思っている修道士で、知識量や計算力に優れているが、「知」を追求しすぎ眼球を焼かれてしまっています。
他人には興味を示さず、自分の欲に忠実に生きていることから、周りからの評価はあまり良くないが、知識を追い求め続ける姿には強く惹きつけられるでしょう。
ヨレンタ
- 性別:女
- 性格:好奇心旺盛
- 特徴:男尊女卑が色濃い時代でも認められるほどの賢さ
- 夢:地動説の完成
天文の研究をする、優れた頭脳を持った14歳の女性であり、女性差別問題が原因で満足な研究をさせてもらえていないが、手をボロボロにしながら、隠れて講義を聞くほど強い知識欲を持っています。
とても優しい性格の持ち主であり、信頼していた先輩に裏切られた時でさえ、相手のことを悪く思わず納得することができる等、「チ。ー地球の運動についてー」の中に出てくる数少ない優しい人物です。
チ。の面白さが伝わる名言
個性的な登場人物が織りなすストーリーの中で、数々の名言が登場します。
今回はその中から特に好きな2つのセリフを見ていきましょう。
構わない。不正解は無意味を意味しない
これは地球が動いていることなど誰も考えもず、「天動説」以外はあり得ないとされている世界の中で、フベルトがラファウに対して、「地動説」を唱えたシーンでのセリフです。
それを聞かされたラファウは、一瞬その発想に驚かされますが、すぐにいつもの落ち着いた口調に戻り、地動説を否定し、「そんな直感に命を預けるのは、愚かだ。」と発言、さらに、「信じて間違ったらどうするのか?」とフベルトに尋ねました。
それに対し、フベルトは正論であると肯定しつつも、「命を張る場面でこそ直感を信じる。」と主張し、「構わない。不正解は無意味を意味しない。」と言い切る場面での名言になります。
ここから、ラファウは地動説と向き合うことになり、物語が展開していくとても重要な場面です。
この場面の不正解と無意味は=で結ばれないということは、何かに対して頑張っている人へのとても温かい言葉であるとともに、ラファウと同じように、大きな1歩踏み出す原動力になること間違いのない言葉となります。
文字はまるで奇蹟ですよ
こちらのセリフは、識字率がまだ低く周りを含め文字を読むことができる人がほとんど居なかったオクジーが「文字が読めるって、どんな感じなんですか?」とヨレンタに尋ねた場面で返ってきた名言になります。
そのまま、文字は本当に凄く、時間と場所を超越することができ、文字になった思考はこの世に残り、ずっと未来の誰かを動かすことになるとヨレンタは話し、オクジーの心を大きく動かすことに繋がるのです。
識字率がとても高く、生まれた時から文字がそばにある日本で生活をしていた私達にとっては、文字が読めることに対する疑問も、文字が読めることに対する感動もあまり感じずに生きてきましたが、この言葉をきっかけに本を読むことや、字を書くことに意識を変える名言となります。
チ。はつまらない?
「チ。ー地球の運動についてー」について調べてみると、
グロい描写が苦手で見れない。
との意見がありました。
確かに、「チ。ー地球の運動についてー」では、悲惨な拷問や処刑の場面が出てきたりと、暴力シーンが多く出てくるので苦手な方には読みづらいお話かもしれません。
その一方で、
命をかけて伝えていくことで、物語に緊張感が出て面白い。
この意見にもあるように、そのような暴力に対しても屈することなく、熱意や苦労、命を持って真実を求める姿に美しさや感動を見出しているのです。
チ。のあらすじと面白さについてのまとめ。
地動説を中心に取り巻く登場人物の感情や名言の数々は、読む人を熱中させること間違いありません。
チ。は既に完結済みとなっており、巻数も8巻までと短めなので、地動説を知っている人は勿論のこと、地動説を知らない人も真実が世に出るまでの苦労や葛藤を描いた、魚豊先生による「チ。ー地球の運動についてー」ぜひ手に取っていただければと思います。