不死川実弥は柱の中でも上位の実力を持つキャラクターですが、鬼殺隊に入る以前は普通の少年でした。
そこで今回は、
- 不死川実弥の過去は何巻何話?
- 不死川実弥の生い立ち
- 不死川実弥の口が悪い理由
- 不死川実弥が玄弥を認めない理由
など、不死川実弥が鬼殺隊となった過去や唯一の家族である玄弥を認めない理由を紹介したいと思います。
不死川実弥の過去は何巻?
不死川実弥の過去が語られたのは3回あります。
- 単行本13巻第115話「柱に」
- 単行本19巻第168話「百世不磨」
- 小説「鬼滅の刃・風の道しるべ」第1話
①は主に不死川玄弥の過去の深掘りですが、不死川兄弟の生い立ちを知る事が出来ます。
②は実弥が粂野匡近と出会い鬼殺隊に入る場面と柱になり産屋敷耀哉と初対面するエピソード、③は②の深掘りとして玄弥が粂野匡近と共に下弦の壱を倒し柱になるまでのエピソードが描かれました。
不死川実弥の生い立ち
不死川家は7人兄弟の9人家族です。
実弥の母は体の小さな人で早い段階で実弥が母の上背を上回る程華奢な女性でした。
実弥から見た母は朝から晩まで働き詰めで寝ている所を見た事がない他、図体の大きな父が母や兄弟達に暴力を振るう中、母は小さな体で父に怯みもせず実弥達を庇ってくれた凄い人だったと語っています。
母が朝晩働き詰めなのはこのろくでもない父が人に恨まれて刺されて死亡したため女手一つで子供達を育てるようになったからであり、そんな母を助ける為に実弥は玄弥と二人で母と弟達を守ろうと誓い合いました。
①大好きな母親を殺害
ある日、母の帰りが遅いと気づいた実弥は母を捜しに出ていくと、玄弥が弟達の面倒を見ていました。
そんな日常を壊すように、母と実弥の帰りを待っている不死川家の戸が乱暴に叩かれると、母が帰ってきたと思った幼い兄弟達が戸に駆け寄ったと同時に戸を突き破った鬼が家の中に侵入します。
そして、玄弥の目の前で鬼は一瞬で兄弟五人を殺害してしまいました。
玄弥は野犬か狼が襲撃してきたものだと思っており、錯乱する状況の最中自分も殺されると思った矢先、戻ってきた実弥が鉈を片手に鬼に突進しそのまま二階の窓から外へ押し出すと一緒に転落します。
実弥は落ちる直前に玄弥に逃げるように伝えましたが、兄弟達がまだ助かると思った玄弥は急いで医者を呼びに外へ駆け出すと、ちょうど夜明けが始まり、道端には鬼を倒した実弥が棒立ちしていました。
しかし、玄弥が目を凝らしてみれば実弥の足元に倒れているのは母であり、駆け寄った玄弥は既に絶命している母の遺体を抱きかかえて名前を叫ぶと、玄弥は母の遺体を前に茫然自失と佇む実弥に向けて「人殺し!!」と罵ってしまったのです。
玄弥は本当は鬼が家を襲撃した時からそれが鬼となった母だと気づいていましたが、兄弟達の死と自分も死ぬかもしれないという状況で混乱していたと後に語っており、兄弟を守る為に最愛の母を手に掛けた実弥に向けて「人殺し」と罵倒した事をずっと後悔していました。
また、鬼となった母を何の訓練もしていない実弥が倒す事が出来たのは特別な血「稀血」のおかげであり、実弥が出血した途端母の動きが鈍くなる事で運良く倒す事が出来たのです。
この時の経験で実弥は自分の血が特別だと知りますが、実弥は大好きだった母を殺した瞬間、この世の全てが急速に色を失い擦り切れて褪せていったと語っており、夜の中を藻掻き回ったそうです。
②粂野匡近と出会い・失う
鬼殺隊も日輪刀の存在も知らなかった当時、実弥は鬼を殺すべく山ほどの刃物で武装して鬼と戦うと、捕えて陽の光で焼き殺すという手段で無茶をしていました。
自殺行為に過ぎないこの行動も稀血により鬼を酔わせられたおかげで、実弥がこれまで生きてこられたのは運が良かっただけでしたが、ある時、同じ鬼を追っていた鬼殺隊士・粂野匡近と出会うと匡近が「育手」を紹介してくれたのです。
その後、同じ育手に師事する兄弟子と弟弟子という関係になり、いつしか二人は下の名前で呼び合うようになるまで親しくなると、任務で下弦の壱「姑獲鳥」と対峙しました。
匡近のおかげで窮地を脱した実弥は仕切り直して二人で姑獲鳥と戦い優勢になりますが、救助すべき人間の子供を庇って匡近が致命傷を負う中で、実弥は十二鬼月の一人を倒す事に成功します。
しかし、二人で下弦の壱を倒したというのに匡近は死亡、柱となったのは実弥だけという現実を突きつけられた実弥は善良な人間から死んでいくこの世の不条理を嘆くのでした。
③産屋敷耀哉と出会う
実弥は下弦の壱を倒した功績で柱となり、柱合会議で初めて鬼殺隊当主である産屋敷耀哉と対面します。
その際、自分の手を汚さず命の危機も無く一番高い所から涼しい顔で指図だけしている当主が許せずに「いい御身分だなァ、おいテメェ、産屋敷様よォ」と耀哉に噛みつきました。
しかし、隊員の事を使い捨ての駒としか見ていないと思っていた当主が、
- 刀を振るだけで脈が狂ってしまう虚弱体質のせいで人の命を守れる剣士になれなかった事
- 自分は鬼殺隊を動かす駒の一つに過ぎず死んでも変わりが居る使い捨ての駒だと述べた事
- 皆が善意で偉く扱ってくれるだけなので嫌なら敬わなくてよい事
- 実弥ですら憶えきれていない死んだ隊士の名前と生い立ちを全て記憶し、遺書を読んでいる事
- 実弥に柱として人の命を守って欲しいという想いを伝えた事
などの本意を伝えた所、実弥は当主がただ胡坐をかいているだけの統率者ではなく自分にできる限りの事を尽くしていると知り面喰らってしまいます。
また、耀哉が亡くなった親友粂野匡近の遺書を実弥に手渡すと、匡近の生い立ちを語り、大切な人が笑顔で天寿を全うするその日まで幸せに暮らせるよう決してその命が理不尽に脅かされる事がないように願うという匡近の夢が自分と同じ夢であると語りました。
実弥は産屋敷耀哉という人間に対して、親が我が子に向ける溢れるような慈しみから母を想起しており、辛い事ばかりを任せていると謝罪する耀哉を前に言葉が出てこなかったのです。
この出来事から実弥は産屋敷耀哉の事を「お館様」と呼び改めており、他の柱と同じように耀哉を敬うようになりました。
なお、その後は初対面で暴言を吐いた事を他の柱(富岡義勇以外)にこっぴどく叱られており、悲鳴嶼には「悪霊でもついているのではないか?」、カナエには「どうしてあんなふうに言うの?」、宇随には「あれはないわマジで」とガミガミ言われて反省しています。
不死川実弥の口が悪い理由
本来の実弥は玄弥の回想で登場した通り優しいお兄ちゃんですが、本編で登場した時には既にヤンキー口調になっていました。
その理由は、母を殺して玄弥と別れた後、鬼殺隊に入るまでの間に治安の悪いところを転々としていた影響と周囲を威嚇している為です。
不死川実弥の口が悪い理由は公式ファンブック「鬼殺隊見聞録」の鬼殺隊報で明かされています。
不死川実弥が玄弥を認めないわけ
実弥が玄弥を認めないのは、何も身体能力の低さや呼吸を使えない剣士としての才能の無さが全てではありません。
実弥にとって玄弥は初めての弟であり、玄弥が生まれた日に小さな手を恐る恐る握るとまだ開かぬ目で笑った気がしたそうで、この時、胸の奥があたたかい気持ちになりこの小さな弟をどんな時も守ってやろうと思ったそうです。
しかし、他の弟や妹が生まれるといつしか玄弥も実弥を支えてくれるようになり、二人で母を支え弟たちを守ろうと誓い合うまでになりましたが、直後、兄弟達は鬼となった母の手で殺害され、その母を実弥が殺すとたった一人生き残ってくれた弟に泣きながら「人殺し」と呼ばれるのでした。
ですが、実弥にとって「人殺し」と呼ばれた事はなんでもないものであり、玄弥が幸せに生きてくれる事が実弥にとっての唯一の幸福で生きる意味だった事から、玄弥が放った言葉で傷ついてはおらず、どんなに恨まれようが玄弥を守る意思を固めていたのです。
ただ、玄弥が鬼殺隊に入った事が唯一の遺憾であり、実弥が阻止したい事でした。
実弥が玄弥の鬼殺隊入りを認めない理由は、誰かを庇って亡くなった粂野匡近の死に方に関係しています。
誰かを庇って亡くなった匡近は「優しい」から死んだのだと思うようになると、誰よりも優しい性格が命を奪う事に繋がるため、優しい玄弥も鬼殺隊に入れば自分以外の子供や仲間を庇って死んでしまうのではと考え、その「優しさ」が弟の命を奪うくらいなら自分はどれほど恨まれて憎まれようが構わないと決意し玄弥の鬼殺隊入りを頑なに認めなかったのです。
拒絶する以外に玄弥を守る術を知らない実弥は玄弥を守る為ならたとえ嫌われようともどんな事もする覚悟でした。
不死川実弥の過去についてのまとめ
- 不死川実弥は7人兄弟の長男
- 父親は家庭内暴力を振るうろくでもない人間で恨まれた人に刺されて死亡
- 母親は小さな体で朝晩働き7人の子供を育てる凄い人
- 実弥は玄弥と二人で母と弟達を守ろうと誓い合った
- ある時、母が鬼化して兄弟達を殺害し、実弥が母を殺害した
- 実弥は唯一生き残った玄弥から母を殺した事を咎められ「人殺し」と罵倒される
- 実弥は粂野匡近と出会うと育手を紹介され鬼殺隊に入る
- 粂野匡近との任務で下弦の壱「姑獲鳥」と交戦し匡近の犠牲のもと勝利
- 実弥は柱に昇格した初めての柱合会議で産屋敷輝哉と出会い、その人柄に引き込まれる
- 実弥は優しい玄弥が鬼殺隊に入れば誰かを庇って死んでしまうと考え、頑なに隊士として認めず、恨まれて憎まれようが追い出す為に距離を置いた
鬼の被害者はいずれも壮絶な人生を歩んでいますが、不死川実弥は自分が守りたかった大切な母を手に掛けてしまった罪悪感と絶望感、更に唯一生き残ってくれた弟から「人殺し」と罵倒されて尚も弟を守る為に悪者を演じる悲壮感など、精神が壊れても仕方がない体験をしています。
それでも実弥が柱となりここまでやってこれたのは、耀哉から聞かせてもらった匡近の遺書に実弥の幸せを願う旨が書かれていたり、大切な弟がまだ生きているからです。
玄弥、匡近、耀哉の三人の言葉が実弥を支え続けていたのではないでしょうか。
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