【メイコの遊び場】殺し屋から自立した女になるまでの感情の変化

漫画「メイコの遊び場」は2019年漫画アクションで岡田索雲によって連載され、2020年に残念ながら打ち切りとなりました。

1巻表紙は書き込みが多く丁寧な絵で、中央には主人公の眼帯をつけた黒い服の女の子メイコが立っています。

舞台は1973年5月、大阪の釜ヶ崎いわゆるあいりん地区。

暴動が起き、貧困が蔓延り女は売春をし物価が高騰しても健気に遊ぶ子供達を描いた作品です。

今回は殺し屋とも呼ばれるメイコの殺し屋から自立した女になるまでの感情の変化について見ていきましょう。

殺し屋と呼ばれる眼帯の少女メイコとは

メイコは、学校に行かせてもらえず字も読めず父親と二人でホテルに住んでいます。

薄幸の少女メイコの仕事とは人を殺すことです。

心を殺す少女メイコ

今作の殺し屋は少女のメイコです。

殺すと言っても、肉体的に殺すのではなく精神的に人を殺すことができます。

殺害方法は極めて容易で、眼帯に隠れた左目を見るだけでメイコの遊び場に相手を連れていき精神的に壊すことができ、この設定は平山夢明の『恐怖症召喚』から強く影響を受けているそうです。

メイコも従来の殺し屋のように、無表情で喜怒哀楽が顔に出ませんが、この殺し屋の少女が釜ヶ崎で初めて友達ができて失った表情を取り戻すことができました。

メイコの殺し屋としての仕事

メイコの仕事は、殺し屋としてヤクザの敵対勢力を始末することです。

夜になるとヤクザの下っ端に連れて行かれて、悪いお兄さんにその目を見せて「メイコの遊び場」に連れていきます。

子供の頃って、いたずらに虫などをちぎったり膨らませたり穴を開けたり縛ったりしますよね。

メイコは、遊び場世界に来たヤクザと広場で友達と遊んだようにジャンケンをして、ヤクザはパーをだしメイコはグーを出しました。

勝ったとホッとするヤクザに、紙(パー)を持たせて自分は石(グー)を投げルールを無視した勝利を納めます。

このようにメイコは遊び場世界では、無敵の存在です。

他にも、縄跳びだったり道具を使ったり抵抗できない虫をもて遊ぶようにヤクザを遊び場の中で殺しますし、「メイコの遊び場」に行った悪い人たちは殺されてしまうと、現実世界では精神が崩壊してしまいます。

また、メイコがアスマ達と遊んだ後に殺し屋の仕事をした時にメイコの父は、

メイコ…今日はいつもより時間がかかったな どこか具合でも悪いのか…?

父親がそんな風にに聞いたということはメイコは釜ヶ崎に来るまでは、遊びながら人を壊していたのではなく事務的に仕事をしていたのだと考えられます。

「メイコの遊び場」の中のメイコはもともと最強なので、遊びながらでなくても相手に勝てるはずなので、アスマ達との出会いはメイコをどんな風に変えたのでしょうか?

アスマとの出会いは殺し屋のメイコをどのように変えたのか?

メイコはアスマと出会うことで、遊びを知り人を思いやる大切さを知り、そしてアスマ以外にも、

  • マルオ
  • ヨシハル
  • チヨ
  • コテツ

と会いみんなで楽しく毎日時間を忘れて遊びます。

それぞれみんな遠くから来ていて、学校や住んでいる所はあまり接点がないそうですが、その中でもアスマとの出会い遊びを教わったことでメイコの世界は大きく変わりました

アスマの秘密

アスマは苗字で「遊馬」と書くのですが、わざと男の子に思える苗字をみんなに呼ばせていていました。

友好的で一人でいるメイコを放っておけず、ボールを投げて遊ぼうと一番に誘います。

遊びを考える天才で、釘1本から石や棒などなんでも使って遊びを発案するため、アスマは広場の中ではリーダー的な存在で明るくムードメーカーですが、学校ではいつも一人でいて消しゴムをとって渡すことも嫌がられるくらいみんなに嫌われていたのです。

一見すると女の子に見えるアスマですが実は女の子で、短い髪と男の子の服装をしていたのでクラス全員から差別を受けていました。

読み返してみると、線が細く自分の体から血が出るのを気にしたりお腹が痛くなったりする描写があるので、そういった細かな描写は是非原作のコミックで確認して欲しいです。

アスマはメイコの誘いを拒否する

メイコはアスマに、釜ヶ崎を出て違う街に行こうといいますが、アスマはこれを拒否します。

アスマは自分がトランスジェンダーで差別を受けていて、辛い現実から逃げるために次々と遊びを開発していました。

みんなに無視されながらも独り言を呟き、学校にきたばかりなのにすでに放課後みんなと会った時にいう言葉を声に出してシュミレーションしています。

メイコはアスマが苦しんでいることを分かっていたし、助けたいと考えていました。

それ以上に楽しい遊びを考えてくれるアスマのことが好きだったのでしょう。

あなたがいたらいいと思ったの

きっとどこでだって遊べるわ

それに…

あなたが怖がってることからも

私が守ってあげる

しかし、アスマは住んでる場所を捨てて行くことはできませんでした。

メイコと一緒に行けば、もしかしたらアスマはトランスジェンダーからくるいじめから開放されていたかも知れません。

しかしリスクは大きく、また人を殺してきたメイコとまだ子供のアスマが一緒に世界に行けるわけがなかったのです。

ありがとうアスマ

あなたに会ってからわたし…

ずっとワクワクしてた

このあとメイコは、ずっと殺し屋の仕事を斡旋してきたヤクザのテラシマにこう言います。

私の心は私のものよ

私が決めた以外誰にも入らせないわ

この時メイコは殺し屋としての自分と、はっきり決別できたのかも知れません。

メイコの遊び場の花とは?

釜ヶ崎にやってきてから、砂漠だった「メイコの遊び場」に花の芽が出るようになるのですが、この花はメイコの感情の息吹きであると考えられます。

メイコがその芽に気付くと、左目から血が出てきてメイコは力を使えなくなってしまい、父親の左目の力を使われ芽は枯れて無くなってしまいました。

無表情な殺し屋から感情があらわになっていくメイコ

芽を枯らされてしまったメイコでしたが、アスマ達との交流で無表情だったメイコに表情が出てきます。

23話でメイコは目が見えない相手に自分が叶わないと気づき、恐怖して涙を流しましたし、25話では今まで薬ともしなかったメイコはじめて声を出して笑うのでした。

さらに、重度身体障害者ミノルとの出会いでとうとうメイコは殺し屋の仕事を辞めることを決意します。

殺し屋の自分との決別

ミノルは初めて会った時、糸電話でメイコは自分が人知れず殺し屋の仕事をしていることをミノルに伝えるものの、ミノルは喋ることができないので、メイコに花を渡すこと以外できませんでした

メイコは意味もわからず、花を受け取ろうとせずミノルを怪訝そうにあしらってしまいます。

もしかしたらメイコは遊び場に目が出るたびに父親に枯らされていたので、花に対する苦手意識があったのかも知れません。

メイコの最後の仕事は、銀行強盗を犯したミノルとその仲間を始末することでした。

しかし、ミノルは「メイコの遊び場」の中では喋れるようでメイコと初めて会話をしようとします。

こんなことしちゃ駄目だよ…こんなことよくないよ…

もちろんメイコはこう言われて抵抗しメイコは殺しにくい相手を殺す際に、左目の怒りの人格を使って人を殺していましたが、ミノル相手ではうまくいきませんでした。

ミノルはメイコを恐れずに、一緒に家を建てて花が咲いたら君に花飾りを編んであげようといいにっこりと微笑み、花冠をかぶる自分を想像して、メイコは呆然とします。

今までメイコは心の中に花を咲かせようとするたびに、父親に枯らされてきたこともあって、自分と無縁だと思っていた花を「似合う」と言われて驚いたのでしょう。

3巻の表紙のメイコは、花柄の服を着ていて最終話のメイコもこれと同じ服を着ています。

ミノルに花が似合うと言われ、これまでの自分と決別するために花柄の服を着て街を出ることを決意したんじゃないでしょうか。

砂漠だった「メイコの遊び場」は決別を終えた今、花が満開になって咲いているのかもしれないですね。

メイコの遊び場が殺し屋と呼ばれる訳のまとめ

今作は打ち切り漫画と言われていますが、メイコが殺し屋から自立した女になるまでを短いながらも壮大にまとめた傑作です。

また子供達の昔の遊びについて調べるため、大量の参考資料が使われており丁寧に描写されています。

ここまで熱を入れた作品だったのに、打ち切りになってしまったのは作者の岡田索雲にとっては心苦しかったでしょう。

少しでもこの名作が多くの人の目にとまってくれればと、切実に願っております。