2010年代を代表するラブコメの一つである「神のみぞ知るセカイ」は多くの女の子が出てくる、いわゆるハーレム系の物語です。
物語の性質上、最終的に結ばれるキャラクターは第1話に出てくるものですが、この作品はいい意味で読者の期待を裏切るエンディングを迎えたことが評価されています。
全員がハッピーエンドというわけではないですが、最終回はどのような展開になったのでしょうか。
この話はネタバレを含みますのでご注意ください。
神のみぞ知るセカイの最終回の内容は?
26巻268話が最終回ですが、それぞれのエンディングが2話にまたがっているので、26巻267話も含めて最終回とします。
サテュロス率いる保安部との戦いが終わり、それぞれに日常が戻ってきました。
主人公である桂馬が選んだ女の子、選ばなかった女の子、好意を寄せているものの名乗りを上げなかった女の子、予想外の方法で桂馬の横に立つ権利を獲得した女の子など、それぞれのエンディングについて順番に扱われています。
桂馬の選んだ女の子は予想外の人物でした。
その結果を受け入れがたく思っていた女の子たちも、空を見上げて未来に向かって歩き出すのです。
主人公の桂馬が選んだエンディング
桂馬は過去に戻って、自分が元いた未来につながるようにルートを作り、現代に戻ってきました。
自分が元いたルートというのは、第1巻1話から始まる駆け魂攻略と女神の救出です。
すべてを成し終えて未来に帰るために、6人の女神持ちの女の子の桂馬に対する愛の力を借りますが、帰ってきた途端に「他に好きな人がいる」と言い全員を振ります。
現代に帰還し疲弊しきっていた桂馬は家に帰り眠りにつきますが、朝起きて首輪が無くなっていることに気付いて全てが終わったことを再認識し、喜び勇んでゲームに没頭し始めました。
母親に長時間の不在を責められながら学校へ行く準備を始めた桂馬の前に、いつもと雰囲気の違うエルシィが現れ、ゲームを終わらせるように促されます。
桂馬はちひろとのエンディングを選ぶ
いつまでも自分がフリーだと振った6人に気持ちが残ってしまうという理論から、登校前にちひろの家に行き「お前が好きだ」と告白します。
桂馬が現実で初めて本気になった相手でしたが、突然だったこともあり、ちひろの返答は「死ねば?」という辛辣な物でした。
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文化祭のことや歩美攻略のこともあり、なかなか素直に受け入れられないちひろでしたが、とりあえず喫茶店にでも行って話そうという結末になります。
今後ちひろとくっつくかは明確に分かりませんし、他の女の子に全くチャンスがないとは言い切れませんが、桂馬は「神のみぞ知るセカイ」というゲームにおいてはちひろエンドを選択したのです。
正ヒロイン・エルシィの選んだエンディング
エルシィは第1巻1話から登場するこの作品の正ヒロインです。
作中は相棒キャラとして桂馬をサポートし、読者を癒し、場をかき乱す役として十二分に活躍しましたが、そんな彼女の夢は温かい本当の家族を持つことでした。
エルシィはサテュロスが復活を企んでいた地獄に封印された兵器であったことが発覚しますが、二度と復活させられないように自分のうちに秘める莫大なエネルギーを用いて、地獄から自分に関する全ての記憶を抹消しまます。
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ついでに因果律を操作して、桂木家という新たな本当の家族を得て、大好きな桂馬の実の妹になったのです。
地獄から全ての記憶を消去した関係で、親友のハクアの記憶からも消えてしまったエルシィですが、この作品の中では一番のハッピーエンドを迎えました。
女神たちのエンディングは?
女神持ちの女の子たちは、それぞれが前に進むために、桂木から振られることになりました。
事の顛末を大して説明もされずに袖にされた6人はどのようなエンディングを迎えたのでしょうか。
栞と月夜のエンディング
元々二人は良き理解者を求めて心にスキマを抱えていました。
攻略による桂馬との恋愛によってそのスキマを埋めましたが、実際は彼氏が必ずしも必要なわけではありません。
女神持ちであるゆえに出会うことができた二人は、お互いの良き理解者となって仲良く学園生活を満喫していく様子でエンディングを迎えます。
彼女たちにとって失恋の傷はそれほど深いものではないことでしょう。
かのんのエンディング
かのんは最終回では一言もしゃべりませんし、カットも非常に少ないものとなっています。
かのんは元々根暗で承認欲求が人一倍強い女の子でしたが、桂馬の攻略でアイドルとしての責任を認識し、スターになっていきました。
桂馬に命を救われたこと、エルシィが代役を務めたためキャラが若干ぶれてはいたが仕事をフォローしてくれていたことを知り、もっと桂馬のことを好きになったとしてもおかしくありません。
それでも一度目の攻略で桂馬に言われたように、かのんは自分自身の力で大勢の人を引き寄せる輝きを放つことを思い出したことでしょう。
最終回に登場した新曲のタイトル「歩いていくもん」は彼女の決意の表れで、歌詞にある「向かい風」「靴擦れの痛み」は失恋の事だと思いますが、それを乗り越える強さを持ったかのんはここからもっとすごいアイドル、スーパースターへと駆けあがっていきます。
歩美のエンディング
歩美の場合は桂馬がクラスメイトという近い存在でありながら、親友のちひろといい感じであるというのが問題を複雑にしています。
これまでも暴言を吐いて終了という常套手段に何度もハマり、結婚まで覚悟したにも関わらず結局ちひろを選び、直情的な彼女の頭ではうまく処理しきれないことでしょう。
ギブアップ宣言をしたとはいえしばらくはモヤモヤするかもしれませんが、淡い初恋として上手く処理してくれることを願います。
結のエンディング
エンディングで結は諦めないことを宣言し、歩美ならずともオイオイと口にしたことでしょう。
結が言うように桂馬とちひろは付き合ったわけではないですし、他の皆にもチャンスがあるかのような描き方がされています。
手紙の「正しいと思うことに全力で立ち向かえる結が好きだ」という言葉を後ろ盾に、これからも桂馬にマイペースかつ強引に愛を囁き、女装を勧め続けるのではないでしょうか。
天理のエンディング
天理はかなり不憫なエンディングを迎えた一人です。
このセカイで唯一すべてを知っている人物として人間界と地獄の平和の最大の功労者となり、十年も桂馬の言うことを忠実に守り続けたのに、最初からエンディングはないと、くぎを刺されていました。
セカイを救えば天理が救われないという構図は、ディアナでなくても怒りが沸き上がることでしょう。
天理は淡い期待があったものの最初から物分かりが良く、桂馬の邪魔にならないようにあえて桂馬との距離を縮めようとしませんでした。
引っ込み思案な天理が、セカイの救出という大義名分なく、これから桂馬とどのような関係を築いていくのか分かりませんが、これからも親友のディアナに支えられて幸せを探していくことになります。
悪魔たちのエンディングは?
女神以外に桂馬とかかわりの深かった悪魔たちはどういった最後を描かれたのでしょうか?
ハクアとノーラのエンディング
最終回はハクアとノーラが雪枝の家で朝食を食べているところから始まります。
駆け魂隊の所属する法治省そのものがサテュロスの手先として暗躍していたことを掴んだ二人でしたが、法治省のトップが解雇されただけで事件全体が公表されることなく幕引きが行われてしまいました。
エリートとされていた駆け魂隊に変なレッテルが張られたと嘆いていたノーラに対して、ハクアは地獄の未来は自分たちにかかっていると決意を新たにします。
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女神編では桂馬の相棒として大活躍のハクアでしたが、女神編以降は大した見せ場もなく、結局桂馬に思いを告げることはできませんでした。
エルシィのせいでエルシィと桂馬に関する記憶を失ってしまいますが、ハクアはこれからも優秀な悪魔として地獄を盛り上げていくことでしょう。
ドクロウのエンディング
最終話でドクロウと二階堂先生が同一人物であることが判明します。
十年間、地獄の為、桂馬の為に一人戦い続けたドクロウは、桂馬の成長やエルシィとの攻略を担任教師になって見守り続け、過去編ではエルシィが嫉妬するほどの愛情表現をしていたにも関わらず、桂馬に必要以上に近づかない様に徹底していました。
「他の女の子と仲良くしてる」ことを諫め桂馬の前から姿を消しますが、エピソードの濃さは違えど天理と同じ時間桂馬を慕い続けていたドクロウの最後の笑顔は、桂馬にとって予想外のエンディングでした。
神のみぞ知るセカイの最終回ネタバレありのまとめ
現実ではすべての女の子を一人の男が幸せにすることはできません。
それでも桂馬は、心のスキマを埋めるには不安定な恋愛を用いてヒロインたちの抱える問題を解決していき、直接攻略されていない女の子たちさえも充実した生活を送れるように後押ししました。
それぞれが歩き出す未来に最愛の桂馬はいないかもしれませんが、誰も下を向くことなくエンディングを迎えた最終回は神回だったと言えるでしょう。