11年以上の長期連載の末、遂に完結した進撃の巨人。
その人気キャラクターであるリヴァイは、一時は死亡確定かと思われましたが、最終回で生き残っていたことが判明します。
生きていてくれたことは喜ばしいのですが、片脚の機能を失い車椅子に乗った彼の姿は、読者に衝撃を与えました。
そこで今回はリヴァイが車椅子に乗るようになったまでの経緯、
- ジークを殺すまで
- 巨人がいない世界を築くまで
- リヴァイはその後車椅子に乗ってどうなったのか事実と考察
- リヴァイの指が復活したという噂の検証
について詳細に見ていきましょう。
リヴァイ・アッカーマンのプロフィールと目的
本題に入る前に、リヴァイのプロフィールと彼が戦う目的のおさらいです。
- 名前:リヴァイ・アッカーマン
- 誕生日:12月25日
- 身長:160cm
- 体重:65kg
- 年齢:30代
- 性別:男性
- 地下街出身だがエルヴィンのスカウトで調査兵団に入り、壁の外の世界に自由を感じた。その後、圧倒的戦闘能力から人類最強の兵士長と呼ばれるようになる。
1つ目の目的:ジークを殺すこと=エルヴィンとの約束
ウォール・マリア最終奪還作戦にて、リヴァイは「エルヴィンが夢を諦めて死ぬ代わりに、自分が獣の巨人(ジーク)を仕留める」という約束をしました。
その後作戦通りエルヴィンは亡くなったのに、ジークには逃げられてしまったため、リヴァイはジークを殺してエルヴィンとの約束を果たそうとしています。
2つ目の目的:巨人のいない世界を実現させること=ハンジ含む調査兵団の仲間達との約束
リヴァイがかつて調査兵団の仲間達と語り合った理想の未来、それが「巨人のいない平和な世界」でした。
しかし、次々に旧知の仲間を失い、最終決戦直前では最後の昔なじみであるハンジも死んでしまいます。
夢半ばで散っていった彼らの心臓(いのち)に報いるためにも、リヴァイは巨人のいない世界を実現させようと戦っているのです。
リヴァイがジークを殺すまでの経緯
リヴァイが戦う1つ目の目的「ジークを殺す」は、どのようにして達成されたのか見ていきましょう。
ジークの自爆により大怪我を負う
1対1の戦闘で獣の巨人を圧倒したリヴァイですが、油断した隙にジークの自爆攻撃を受けてしまいます。
一時はファンの間で「リヴァイは死亡確定か」と思われていたその理由は、彼が鎧の巨人の防御をも砕く雷槍(らいそう)の爆発を受けて全身に大怪我を負い、右手の指は2本欠損してしまった描写があったためです。
- 因縁の相手であるジークを殺す機会がやっと巡ってきたという気持ちの逸り
- 直前に自分の部下を巨人にされて殺さなければならなかったことによる怒り
が、リヴァイの油断の原因と考えられるでしょう。
しかし、爆発の直前でとっさにブレードを盾にしてダメージを最小限にしたのは、さすが人類最強の兵士長と言われるリヴァイですね。
もしこれが他の兵士だったら、ジークの予想外の行動に驚いている内に雷槍の爆発で内臓までズタズタに損傷して死んでいたことでしょう。
その後、偶然にも爆発現場付近に居たハンジによってリヴァイは救出され、応急処置を受け、「人畜無害の死にぞこない」状態ですが生き延びることができました。
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満身創痍の身体で最終決戦の舞台へ
ハンジの治療を受けたとはいえ、リヴァイの身体が大ダメージを負ったことは変わりません。
しかし、「①のエルヴィンとの約束も②のハンジ達との約束もまだ果たしていない」リヴァイは、ミカサやアルミン達と共に最終決戦の舞台(スラトア要塞)へと向かいます。
ちなみに、スラトア要塞へと飛行艇で飛び立つ際、最後の昔なじみであるハンジも死亡しました。
歩くのも困難で手すりにつかまっている状態の彼を突き動かすのは、エレンを止めて連れ戻したいという思いだけではなく、ジークを殺さなければならない、そして亡くなっていった調査兵団の仲間達の願い(=巨人の力をこの世からなくす)を叶えなければならないという強い使命感なのでしょう。
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左脚を損傷したリヴァイ
立体起動は何とか操作できるものの本格的な戦闘には耐えられそうにないリヴァイですが、歴代の九つの巨人達が次々と襲ってくる恐ろしい状況下でも、長年の兵士の経験を武器に冷静な司令塔としてミカサ達を導きます。
しかし、エレンに操られた超大型巨人の攻撃で吐血し、気絶したコニーを助けるために左脚を噛み砕かれてしまったリヴァイ。意識が戻ったコニー曰く、「兵長はもうオレのせいで戦えねぇし‼」という程、そのダメージは深刻なものでした。
宿敵ジークの首を討ち取る
脚を傷めたため、戦闘にはもう参加できなくなったリヴァイは苦悩します。
- ジークはどこだ…どこにいる
- 見つけてもこのザマじゃ…足手まといか…クソ
- ヤツ(=エルヴィン)の命令をしくじったことは無かった…一度も…
- ヤツの最後の命令だけがなぜ…
この身体でこの状況で、エルヴィンとの約束を果たすことができるのか、どこにいるのか分からないジークをどうやって殺すのか、その糸口が見つけられない…。
ところが、リヴァイのあずかり知らない「道」の世界でジークと腹を割って話したアルミンの活躍により、ジークは地鳴らしを止めること、そのために自分が死ぬことを決意していたのです。
突如出現し、自らの命を差し出すように「オーイ‼ここだー‼」とリヴァイを呼ぶジーク。しかも、なぜだか晴れやかな表情をしている…不可解な状況にリヴァイも「バカな…」と驚きを隠せません。
これまでの戦いでジークが命からがら必死になってリヴァイから逃げ続けてきたのを見ていたので、「また死に物狂いで逃げるジークをこの身体で殺せるか」苦慮していたリヴァイがあっけにとられるのも頷けます。
どうしてこうなったのか頭では理解できなくても、すぐさま最小限の動きでジークの首をはねるリヴァイの姿がありました。
何はともあれ、これで「1つ目の目的:ジークを殺す」は達成できましたが、「2つ目の目的:巨人のいない世界を実現させる」は成就していないので、彼の戦いはまだ終わりません。
巨人のいない世界を築くまでリヴァイの戦いは終わらない
ジーク殺害に成功し地鳴らしを止めることができた調査兵団一行ですが、エレン(進撃の巨人)は自分ひとりの力でも人類を滅ぼすためにまだ進み続けています。
追加で受けたダメージも相まってもう直接の戦闘はできないリヴァイですが、それでもミカサ・アルミン・ファルコと共にエレンの元へと向かいます。
ミカサをエレンまで送り届ける
リヴァイは最後の1本の雷槍で進撃の巨人の歯を爆破し、「エレンを殺す」決意をしたミカサがその口の中に入れるようアシストをします。
満身創痍の身体でもしっかり狙い通り雷槍を打ち込めるのが彼の凄い所ですね。
先ほどリヴァイがジークにそうしたように、ミカサはエレンの首をはねて殺すことに成功します。
余談ですが、エレン・ジーク兄弟は、アッカーマンの血を引くミカサ・リヴァイに首をはねられ殺されるという運命を辿ったのでした。
進撃の巨人の原作1巻では、主人公エレンにとってのラスボスは超大型巨人であるように描かれていました。 しかし、第138話「長い夢」でエレンの首を切り落としたのは、エレンにとって家族と同等の存在ともいえるミカサだったのです。 これま[…]
調査兵団の仲間達に会えて涙を流す
ミカサがエレンを倒したことにより、始祖ユミルの愛の未練が解消され、巨人の力がこの世から消え去ります。
無垢の巨人にされた人々(ガビ・ジャンなど)・九つの巨人の力を持つ者たち(アルミン・ライナーなど)も煙とともに元の人間の姿に戻ることができました。
その煙の中には、これまで死んでいったエルヴィン・ハンジ・ミケ・モブリット・リヴァイ班のメンバーなど、調査兵団の仲間達の姿がありました。リヴァイが「見ていてくれたか?」と尋ねます。答えは返ってきませんが、皆優しい眼差しでリヴァイを見つめています。
調査兵団の「心臓を捧げよ」のポーズを取ることで、言葉は通じていなくても、調査兵団は「心臓(=想い)」で繋がっていたことが示されている名シーンです。
リヴァイの左目は見切れるようにコマ割りされていますが、ここでリヴァイの頬に伝うのは彼が初めて見せた涙と解釈してよいでしょう。(汗と解釈することもできるが、この場面でわざわざ汗を一筋描く意味はなさそう)
リヴァイが涙を流した理由は、
- 亡くなった調査兵団の仲間達に会うことができたから
- 彼らと約束した「巨人のいない平和な世界」を実現させ、彼らが捧げた命が報われたと示すことができたから
仲間の命が散っていく様を見届け心を痛めながらも、強く生き抜いてきたリヴァイ。彼らの命とリヴァイの悲しみがようやく浮かばれたという思いが、この涙に込められていたのですね。
リヴァイのその後は車椅子に乗って旅に出る
最終決戦から3年後、「目的を達成し、役目を果たしたリヴァイは、もしかしてこのまま死んでしまったのではないか」と想像した読者もいましたが、最終回最後の登場シーンでしっかり生きていることが判明します。
ガビ・ファルコ・オニャンコポン、そして車椅子に乗ったリヴァイ。(巨人の力が消えたため、アッカーマンの超人的回復力も同時になくなった可能性がある)
このシーンで明確に分かった事実は、
- 3年後アルミン達が和平交渉のためにパラディ島へ船で向かっている中、リヴァイはパラディ島へは戻らなかった(和平交渉は自分の役割ではないと判断したのかもしれない)
- ガビ達と一緒にいる(共に暮らしているのか、たまたま一緒に外出しているのかは不明)
- 「パラディ島の悪魔」として監禁されているのではなく、外出などある程度の行動の自由はある
ということです。
ここからはいち読者としての考察ですが、オニャンコポンの旅行カバンらしき荷物や、ガビのよそ行きの服装を見ると、「彼らは旅をしているのではないか」と考えられます。
オニャンコポンと同じコマの中に彼と顔立ちと肌色が似た男性が描かれていることから、オニャンコポンの故郷に旅行しに来たリヴァイ達という状況に見えます。(「ようこそいらっしゃいました。カバン持ちますよ。」とオニャンコポンがもてなしてくれているのかもしれない)
また、新聞を持っているリヴァイの視線は空を飛ぶ飛行艇に向けられており、飛行艇を見ることで、
- 最終決戦である「天と地の戦い」を思い出している
- パラディ島との和平交渉という新たな舞台へと向かうアルミン達のことを思っている
- 「自由の翼」の精神を胸に死んでいった調査兵団の仲間達や、飛行艇を飛ばすために亡くなったハンジのことを思い出している
という解釈ができます。
また、古株調査兵団の最後の一人であるリヴァイが生きているその意味を深読みすると、
- 「ジークを殺す」「巨人のいない世界を実現させる」という2つの目的は果たしたため、リヴァイは次に旅行という形で新しい世界を「調査」している
のかもしれません。
もともと閉塞的な地下街出身の彼は、初めて壁外へ出た時に「自由を感じた」と言っている程、「壁の外への憧れ」を抱いていました。(リヴァイのプロフィール参照)
背負っていた使命を果たした今、彼は戦いの道を降り、「分からないものを理解しに会いに行く」という本当の「調査」をする、新しい生き方を始めたことが示唆されているシーンです。
仲間を失い、体は不自由になっても、今のリヴァイは身も心も自由になったと言えるのではないでしょうか。
リヴァイの指が復活したとされる噂の検証
第133話「罪人達」が本誌に掲載された際、無くなったはずのリヴァイの右手の指が復活したと話題になりました。
確かに、包帯が取れて右手の指が全て描かれていますね。
「『道』で始祖ユミルによって復活させられたのでは?」など考察されたのですが、コミックスではしっかり修正されていたので、これは単なる作画ミスだったようです。
コミックスの同じシーンですが、右手の人差し指・中指が欠損したままになっています。
リヴァイの大怪我はかなりの重大事件だったので、最終回直前であっさり復活するなんていう展開はありませんでした。
最終回でリヴァイが車椅子に乗っていた理由と涙を流した場面のまとめ
- アルミンの説得により心変わりしたジークがリヴァイの前に出現し、リヴァイがジークの首をはねて殺した
- 巨人がいなくなった世界になり、調査兵団の仲間達に会えてリヴァイは涙を流した
- その後のリヴァイは車椅子に乗っていて、ガビ達と旅をしている可能性がある
- リヴァイの指が復活したのは、単なる作画ミスだった
数多の悲しみを乗り越えてきたリヴァイが、最後まで生存していたことに安堵した読者も多いでしょう。
戦うことのなくなった彼がその後どんな人生を歩むのか、旅をしたり、車椅子でできる掃除法を編み出したり、好物の紅茶を極めたり、想像してみるのも面白いですね。