葬送のフリーレンでは、故人である勇者ヒンメルの言動がよく引き合いに出されており、様々な場面でヒンメルに関連した台詞が生まれています。
今回はその中でも特に話題にされている台詞の紹介をしたいと思います。
葬送のフリーレンで話題の台詞
今回紹介するのは以下の三つの台詞です。
- 「撃て」
- 「勇者ヒンメルならそうしました」
- 「ヒンメルはもういないじゃない」
フリーレンネタで多用されているこれらの台詞はいったいどのような場面で使用され、どのような背景があったのか、使用された巻数・話数もまとめて解説したいと思います。
「撃て」はヒンメルの台詞
「撃て」の台詞が描かれたのは、
単行本2巻 | 第9話「死者の幻影」 |
アニメ | 第5話「死者の幻影」 |
になります。
勇者ヒンメルの死から28年後、フリーレンとフェルンは中央諸国ヴィレ地方の峠道を抜ける際、近くの村で峠道を通る者が幽霊に何人も連れ去られて行方不明になっているという情報を聞き、フリーレン達はアンデット系の魔物が棲息しているものと予想しました。
しかし、生き残った者の証言に死んだ身内や知り合いが生前の姿で話しかけてくるという情報があった為、フリーレンは魔法で操られた死体のアンデットの仕業ではなく幻を利用して獲物を誘い込む幻影魔法を使った魔物「幻影鬼(アインザーム)」の仕業だと考えたのです。
今回、フリーレンは「幻影鬼」は悪趣味な魔物だから遭遇しないように行動しようとしていましたが、村の人達が困ってると訴えるフェルンの声に耳を傾けて、峠道は通過点という事もあり退治を決めます。
幻影鬼は狡猾で貪欲で人しか捕食しない偏食家であり、何よりもその人にとって大切だった人の幻を見せる文字通りの悪趣味の魔物です。
幻影魔法自体は攻撃魔法のような高密度の魔力をぶつけるだけで簡単に離散するので魔法使いにとって脅威ではありませんが、大切な人の幻の幻影を撃つというのが何よりも厄介になります。
そして、フリーレンとフェルンが峠道に差し掛かると早速幻影鬼の幻影魔法を掛けられてしまいますが、そこでフリーレンの目の前に現れたのが勇者一行時代のヒンメルでした。
フリーレンは幻影鬼自体は何度か経験しているようで、今回初めてヒンメルの幻影が出てきた事から内心驚きを隠せないでいましたが、フリーレンが杖に魔力を溜めたと当時に幻影のヒンメルは見慣れた凛々しい表情で「フリーレン、撃て」と口にするのです。
また、フリーレンも「ヒンメルならそう言う」と納得した様子でヒンメルの幻影を撃ち抜き離散させるのでした。
この時のフリーレンはヒンメルの事を知る為に魂の眠る地に出発したばかりでしたが、それでもフリーレンがヒンメルの性格を理解していた事が分かる貴重なシーンではないでしょうか。
「勇者ヒンメルならそうしました」はハイターの台詞
「勇者ヒンメルならそうしました」の台詞が描かれたのは、
単行本1巻 | 第2話「僧侶の嘘」 |
アニメ | 第2話「別に魔法じゃなくたって…」 |
になります。
物語の第1話で勇者ヒンメルが逝去した20年後、フリーレンは聖都での買い出しのついでにハイターに死なれる前に借りを返す為、中央諸国聖都シュトラール郊外にあるハイターの家を訪ねました。
その時初めてフェルンと出会い、ハイターから南側諸国の戦災孤児を引き取ったという話を聞いたフリーレンはハイターらしくない人助けに「ヒンメルじゃあるまいし」と頬杖をついて零すと、ハイターは菩薩のような表情を浮かべるだけで特に返答はしません。
そして、ハイターはフリーレンの言葉に甘えて賢者エーヴィヒの魔導書の解読と滞在中のついでにフェルンの魔法の指導を頼みましたが、フリーレンは数年かけて解読した後にハイターの目的が自分が死ぬ前にフェルンを一人前の魔法使いにし、フリーレンの足手まといにならない程度に成長したらフリーレンの旅に同行させるという目論見だったと知ります。
ハイターにまんまと謀られたフリーレンは既に一人前の魔法使いとして成長したフェルンの同行を認めますが、ふとハイターになぜフェルンを救ったのか疑問をぶつけました。
その時に帰って来たのが「勇者ヒンメルならそうしました」という台詞であり、その言葉を聞いたフリーレンは振り返ることもせず「そうだね」と続けています。
ハイターは勇者一行の僧侶として活躍し、現在では聖都の司祭を務める優秀な僧侶です。 そんなハイターの死没までヒンメルの死から随分と年月が経過していますが、果たして何歳で大往生したのでしょうか。 今回は、 ハイターのプ[…]
また、ヒンメルに倣いフリーレンはフェルンを旅に連れていく事を決心したのです。
なお、アニメ版ではハイターの台詞の後に勇者一行時代のヒンメルが魔族の被害に遭った子供たちに寄り添っている姿が描かれており、より一層生前のヒンメルの行動が理解できるようになっています。
「ヒンメルはもういないじゃない」はアウラの台詞
「ヒンメルはもういないじゃない」の台詞が描かれたのは、
単行本3巻 | 第18話「不死の軍勢」 |
アニメ | 第9話「断頭台のアウラ」 |
になります。
勇者ヒンメルの死から28年後、フリーレン一行は北側諸国グラナト伯爵領にて七崩賢・断頭台のアウラの軍勢と交戦する事になり、街中ではフェルンとシュタルクがアウラの配下である首切り役人と、街の外ではフリーレンがアウラとその軍勢を相手どっていました。
断頭台のアウラは服従の天秤による「相手を服従させ操る魔法」を得意としており、天秤に魔力を乗せてより大きい方が相手を服従させ操り人形に出来る魔法を使い、服従後首を狩って不死の軍勢を率いていたのです。
80年前、勇者一行と一度戦った事があるアウラはヒンメルに斬られた後に逃げおおせていますが、今回ヒンメル死亡後に復活し再び不死の軍勢を集めてグラナト伯爵領を攻略しようとしていました。
北側諸国グラナト伯爵領で登場したのが七崩賢の一人「断頭台のアウラ」です。 彼女は一度勇者一行の戦いで退けていましたが、今回もフリーレン一行の前に立ちはだかる事となり、フリーレンはアウラと戦う事になりました。 今回は、 […]
そして現代、アウラとの戦いが二度目のフリーレンは前回戦った経験値からアウラの「服従させる魔法」の解析をして解呪を習得しており、不死の軍勢を傷つける事無くアウラの魔法から解放するという手段を取るのです。
その様子を見たアウラは自分の魔法が解呪されるという異常事態に驚きを隠せませんでしたが、それ以上に80年前は容赦なく不死の軍勢を魔法で吹き飛ばしていたフリーレンがどうして魔力消費が大きい解呪魔法という回りくどい手段を用いているのか疑問を投げかけました。
その問いかけにフリーレンは80年前はアウラ戦の後にヒンメルに怒られたからと事情を話しますが、アウラは話を聞いた後でも益々理解出来ないといった面持ちで「ヒンメルはもういないじゃない」と淡々と告げるのです。
アウラの言葉を聞いたフリーレンは「やっぱりお前達魔族は化物だ。容赦なく殺せる」と本格的に戦闘態勢に入りますが、アウラの言葉は魔族特有の悪意と罪悪感がないからこそ出てくる淡泊そのものであり、フリーレンはこの言葉を聞いてやはり魔族と人間は根本的に違うと痛感したのでしょう。
「悪意と罪悪感」については単行本9巻から登場する七崩賢・黄金卿のマハト編のテーマとして描かれており、本作で登場する魔族は一貫して悪意と罪悪感が理解出来ない為、アウラのように何気ない一言が人間と魔族を明確に違う生き物だと暗示しています。
葬送のフリーレンで話題の「撃て」などの台詞についてのまとめ
- 「撃て」は、幻影鬼(アインザーム)の幻影魔法で生み出されたヒンメルがフリーレンに言った台詞
- 「勇者ヒンメルならそうしました」はハイターがフェルンを助けた理由としてフリーレンに言った台詞
- 「ヒンメルはもういないじゃない」は断頭台のアウラがフリーレンに言った台詞で、語尾の「~じゃない」はアウラ構文としてファンのネタにされている
ここまでヒンメルに関連したファンの間でよく話題になる台詞を紹介しました。
サラッと言い放った短い台詞ですが、本作を読んでいればどれも印象深い台詞ばかりであり、葬送のフリーレンファンであれば通じる内容ばかりです。
キャラクターの中で「勇者ヒンメルならこうする」という画一したイメージ像があるのは勇者ヒンメルが存在した証ですので、何気ない台詞にヒンメルの面影を見ると感慨深いですね。