作者も大好きなザエルアポロ・グランツは、破面篇では長尺の活躍を与えられ、劇場版BLEACH地獄篇の読切や千年血戦篇、更には20周年記念読切にも登場しました。
そこで今回は、
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以上、ザエルアポロ背景や設定について紹介したいと思います。
ザエルアポロのその後と復活
ザエルアポロが退場したのは原作35巻306話です。
ザエルアポロは虚圏で涅マユリと戦闘し、その最中でネムの体内に卵を植え付けて転生する「受胎告知 」によって復活した際、マユリがネムの体内に仕込んでいた「超人薬」の影響で達人同士の戦いで剣が止まって見える時間感覚の延長を極限まで研ぎ澄まされた現象を体感する事になりました。
その為、超人の感覚のザエルアポロにはマユリが突き立てる刃が心臓を貫く感覚を数百年かけて体験する事になり、あまりに永い感覚の中で自ずとマユリの剣が自分の心臓を貫いてくれる事を説に願うようになるのです。
そして、最期にザエルアポロが思った事は「早く殺してくれ」という感情だけでした。
ザエルアポロのその後
ザエルアポロは死後に地獄へ堕ちています。
これは劇場版BLEACH地獄篇の前日譚として週刊少年ジャンプ2010年52号に掲載された「BLEACH the unforgivens」の内容で判明しており、マユリに敗北後、アーロニーロと共に地獄に堕ちています。
ザエルアポロはアーロニーロと並んで落下した場所で一色触発の空気になりますが、地獄の咎人の乱入によりこの場所が地獄だと知ると、マユリに殺された事を思い出したザエルアポロはその咎人にお礼を述べつつ斬りかかりました。
地獄から抜け出して虚圏へ抜け出す方法を咎人に問い詰めるザエルアポロでしたが、咎人の集団に囲まれてアーロニーロと共に帰刃し交戦するものの、「王虚の閃光」も通用せず地獄の洗礼を受けるのです。
尚、このエピソードはジャンプ掲載後にアニメBLEACH299話として放送されていますので、書籍の入手が難しい場合はアニメ視聴をお勧めいたします。
ザエルアポロの遺体はマユリの研究室で標本になる
技術開発局の奥にある巨大な円柱型の水槽にいくつかの研究素材があり、ザエルアポロの遺体はマユリが回収し補完しています。
破面は斬魄刀で斬られて死ぬと個体差があるものの魂が浄化されて肉体が消滅するケースが多いですが、マユリはそれを止める為に特殊な措置を施して「標本」にしていました。
小説「BLEACH Spirits Are Forever With You」では、シエンがこの標本を回収しに尸魂界を襲撃しましたが、持ち帰る途中、黒腔内でマユリと対面し、自身の境遇を知った事でザエルアポロの標本をその場に残し逃走しています。
したがって、ザエルアポロの標本は未だマユリの研究室に保管されている状態である筈です。
また、マユリがザエルアポロの霊子の一部が魂魄から剥離して地獄の門をくぐった事を確認している為、ザエルアポロが地獄に堕ちている事は確定事項だと思われます。
ザエルアポロは千年血戦篇で幻影としてマユリの前に登場
- 原作71巻643話
ペルニダにネムが殺害された時、マユリはいつしかネムを完璧な改造死神だと夢見ていた為に僅かながらも「絶望」してしまい、マユリの核心を突く様にザエルアポロが幻影として姿を現すのです。
嘗て「完璧を嫌悪する」と言い放ち散々科学者としての講釈を垂れたマユリを皮肉る様に、死んだという事は完璧では無く、更に良いものを造る余地があるという事を高説し、もし自分が万策尽きて孤立無援となり完璧と思い込んでいたものを破壊されたこの状況にいたら笑いが止まらないと嘲笑います。
こうしたザエルアポロの幻影が放つ言葉をかき消す様にマユリは腕で幻影を払い除けると、ザエルアポロの言葉を肯定しつつ自分の怠慢に気付かされ滑稽と自嘲するのでした。
BLEACHの一、二を争う有能キャラ「涅マユリ」ですが、マユリがどうして全編を通して屈指の有能キャラと読者に評価されるのか、 涅マユリが有能だったエピソードと発明品 涅マユリが見たザエルアポロの幻影 涅マユリが造り[…]
ザエルアポロの復活
ザエルアポロの復活は20周年記念特別読切「獄頤鳴鳴篇」で描かれました。
魂葬礼祭の前段「序儀面霊縛」の為に副隊長各位が現世に虚を捕縛しに向かうと、序儀面霊縛中に地獄の虚が出現し、黒崎一護と副隊長達は捕縛命令を撤回し総員で緊急の討伐を行う事になったのです。
その最中、阿散井恋次の足を絡めとる鎖が放たれると、地獄の蓋が開きザエルアポロが出現しました。
ザエルアポロは魂葬礼祭に合わせてやってきたと言い、その風貌は虚の軛から解き放たれ孔が肉体の外へ外れ半身を黒い影の様なものに覆われ地獄の鱗気を周囲に漂わせて様変わりしており、顔面には左目を通る様に鎖の仮面紋が浮き出ています。
ザエルアポロは自ら自身が地獄に堕ちていると明言しており、ムフロンの様な角を生やしていました。
また、「地獄の獄吏は千里眼だ」と重要なキーワードを零しており、獄吏がザエルアポロ自身を指すのか、他に存在するのかはまだ判明していません。
そして、ザエルアポロは魂葬礼祭の本当の意味が戦死した隊長達の魂を地獄に落とす事だと告げると、地獄の口を押さえつけていた強大な霊圧の持ち主である藍染やユーハバッハが消えた所に元柳斎や卯ノ花更に浮竹等の強大な霊圧を有する者を立て続けに地獄に落とした事で三界と地獄の均衡が崩れ地獄の側から口をこじ開けられる様になったと話すのです。
ザエルアポロは全てを語った後に背後に出現した地獄門から飛び出した「双魚の理」に肉体を貫かれると、地獄に引き摺り戻される直前に一護や副隊長達が浮竹の目の前で地獄の餓鬼共を皆殺しにした事で儀式は完了したと告げます。
続けて、地獄はいつも傍にあり死神を導く蝶の名になぜ「地獄」とついているのかを考えろと、放心する一護に吐き捨てて地獄門に消えるのでした。
獄頤鳴鳴篇のザエルアポロは新用語や地獄の仕組みについて読者に伝える語り手の様な立ち回りで描かれており、地獄に堕とされた隊長達のその後やそもそもの地獄の仕組みについても熟知している様な口ぶりで、劇場版BLEACH地獄篇よりも禍々しい身なりになっています。
ザエルアポロは元第0十刃で最強だった
実は、ザエルアポロは元々第0十刃だったと小説「BLEACH Spirits Are Forever With You」で判明しています。
藍染が虚圏にやってきた時、バラガン直属の「刃」を元に「十刃」を組織しており、当時のザエルアポロは「0」の数字を与えられた一番強い存在でした。
しかし、一度暴れ出すと手が付けられない事から本気を出した時だけ「0」の数字に切り替わるザエルアポロは、飽くまでも自分が求めているのは「完璧な生命」であり「強さ」や「地位」では無いと悟り、数え切れない虚や整に死神の解剖を続けた結果、一つの結論に辿り着くのです。
ザエルアポロは望む力「受胎告知」を完成させるには人の姿を取り戻した今の自分では不可能だと知り進化の過程からやり直す事が不可欠だった事から、動物的な要素を残した中級大虚時代に戻る為に体を二つに分けるのでした。
その際に一番最初に食らったイールフォルトの魂を基礎として戦士としての素質を集めて体から分離しており、戦士としての力を殆ど失った結果、戦闘力が激減し弱体化しています。
中級大虚まで退化したザエルアポロは性格の悪さや人望の無さが相まって十刃から外される事となりましたが、実験と研鑽を続け転生の秘術「受胎告知」を完成させて科学者の力だけで十刃に返り咲き「第8十刃」になったのです。
ザエルアポロとイールフォルトは、スタークやリリネットの様に片方が鍵であり融合する事でそれまで閉ざされていた力の回廊が開き数倍の力が解放されるのですが、ザエルアポロは自ら兄を切り離してこの力を捨てており、ノイトラにも正気では無いと言われています。
十刃落ち時代は殊勝に第3十刃のネリエルに慇懃な態度で物申していますが、後にノイトラと結託してネリエルを襲撃し追放しています。
ザエルアポロの過去
ザエルアポロは生前何百年前のとある国の錬金術師で、兄のイールフォルトは将軍でした。
当時から工房で動けない者を刻んで微笑んでいたザエルアポロは、他者を蔑む目だけは兄弟でよく似ていると言われており、イールフォルトが戦の敗北者を工房へ連れ込んではザエルアポロが実験の材料にするといった日々を送っており、工房には絶え間ない悲鳴と血の臭いが漂っていたそうです。
しかし、沢山の人間が身体に生体反応を残したまま魂魄を疲弊させた事で長い苦しみと憎しみを募らせた魂魄達が鎖から解き放たれ「虚」と呼ばれる怪物が生まれた結果、ザエルアポロとイールフォルトは唐突に工房ごと押し潰されて死亡しました。
この魂魄達は兄弟の魂魄をじっくり痛めつけてから喰らおうと考えていたのですが、ザエルアポロの魂魄は自分の死体と虚を見比べて「すばらしい、これが僕の求めていたものだ」と歓喜すると、自分が死んだ事に気付いていないイールフォルトの喉笛を躊躇いもなく噛み千切ると実験体に使った魂魄を喰らい啜るのです。
その結果、ザエルアポロの体から延びていた鎖が千切れると、鎖のあった場所に大きな穴が広がり自らも虚と化しました。
そして、ザエルアポロはこの先に自分が求める完璧な生命がある事を確信し、他の虚達を喰らい続けた果てに人の姿を取り戻した「最上大虚」になると、虚圏の王バラガンに召し抱えられる事になり、研究者として働きます。
ある時、藍染がバラガンに代わり虚圏の王様になると、バラガン直属の「刃」を元に新たに編成された組織「十刃」の「0」を与えられるのです。
ザエルアポロのその後や復活と元第0十刃についてのまとめ
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ザエルアポロは小説で元第0十刃という事が判明しており、全盛期の実力ならば十刃最強となります。
しかし、ザエルアポロにとって強さや地位は二の次であり、彼が目指す先は「完璧な生命」だった為、自ら退化する時に兄のイールフォルトや戦士の魂魄を切り離して弱体化してしまったのです。
ただ、獄頤鳴鳴篇で復活したザエルアポロは孔が外へと外れ地獄の燐気を纏っていたり鎖を使っていた事から、少なくとも生前より強くなっている様に思えますので、全盛期のザエルアポロに近いか、若しくはそれを越えているのかもしれません。
獄頤鳴鳴篇の続きが描かれた場合、間違いなくザエルアポロが絡んでくると思いますので、非常に先が気になりますね。
↓十刃の序列についてはこちら
BLEACHで登場した敵組織「十刃」は、この手の少年漫画で登場する敵組織の中で屈指のセンスを誇っていた事から大人気の集団です。 しかし、本編ではその組織内の序列に矛盾が生じたりと、いったい誰が一番強いのかと度々議論になったりして、現在[…]