黒崎一護の斬魄刀は打ち直した事で二刀一対になったわけですが、その為、始解も卍解もこれまでとは形状も能力も変化しています。
- 黒崎一護の真の卍解の登場シーン
- 黒崎一護の斬魄刀「斬月」の紹介
- 月牙天衝の変化の推移
以上、一護の斬魄刀「斬月」の始解や卍解がどう変わったのか、見ていきましょう。
黒崎一護の真の卍解は未登場?
真の卍解が描かれたのは原作74巻第678話で、一護が自分のルーツを辿り本当の斬魄刀を手に入れたわけですが、実は、真の卍解姿は披露したものの能力を行使した描写はないのです。
と言うのは、ユーハバッハの全知全能によって予め未来で折られてしまい、一護は卍解した瞬間に次のコマで斬魄刀を無効化されたからであって、そういう意味では真の卍解の姿は登場したけれども能力は未登場と表現するのが正解かもしれませんね。
本編で一護の真の卍解の能力が描かれることなく終わってしまい、読者としてはかなり消化不良となってしまいましたが、ユーハバッハ曰く「恐ろしい卍解だ」と述べている事からかなり強力なことは間違いないでしょう。
とは言え、2コマ漫画のようにあっけなく封殺されて絶望する一護を見て、最終決戦だと言うのにちょっと笑ってしまった読者も多い事かとおもわれ、同じジャンプ漫画「バクマン」で例えるところのシリアスな笑いに通じる瞬間でした。
黒崎一護の斬魄刀とユーハバッハの関係
原作59巻から60巻にかけて説明された一護のルーツに関する回想を経て、全ての滅却師には滅却師の祖であるユーハバッハの血が流れていることを一心から聞かされた一護は、自分の中にも真咲から受け継いだ滅却師の力が宿っている事を伝えられ、原作58巻でユーハバッハが去り際に残したセリフ「我が息子よ」の意味を知ります。
そして、一護は自分のルーツを辿る事で精神世界の斬月と対話するのですが、斬月と名乗るおっさんが1000年前のユーハバッハであると発覚しました。
同じユーハバッハでも一護の中に眠るユーハバッハはこれまでのひたむきな一護の行動に絆されしまい、尸魂界編頃から常に一護を守る為に立ち回っていることから、一護は内なるユーハバッハの深層心理を理解することになります。
力を付ければいつの日か本当のユーハバッハ自身の手にかけられると知っていたからこそ一護を死神させたくなかったと綴る一方、これまで戦いに身を置いてきた一護のことを見ていて心が揺らいでいたとも語り、最後には一護の成長を見届け涙を零し喜んで身を引き、抑え込んでいた本当の斬月を明け渡すのです。
つまり、斬月のおっさんと呼ばれていたこのユーハバッハは一護の中に眠る滅却師の力の根源で一護の本当の力をこれまで抑え込んでいた存在でしたが、前述で触れたように最終戦でユーハバッハによって卍解を折られた通り、一護の中のユーハバッハが懸念していた事が実現したのは皮肉なものですね。
黒崎一護が真の卍解する直前のセリフ
——絶望が何だって?
よく知ってるぜ 今まで何度も乗り越えてきたんだからな!
卍解
引用元:BLEACH 原作74巻 第677話
原作74巻第677話、全知全能によって幾重にも分岐する未来を変えるといったユーハバッハは恐るべき力を行使し、一護に対しても運命や可能性と呼ばれる転がり回る砂粒の上を目を閉じたまま飛び移り続けるがいいと絶望を与えようとするのですが、一護はこれまで戦いで培ってきた経験を誇りに満を持して真の卍解を披露するのです。
しかし、話が跨ぐ続く第678話開幕で一護の卍解は斬魄刀をユーハバッハに折らたことで無力化され、その後もボコボコに痛めつけられてしまい、上記で「絶望が何だって?」と活き活きしていた顔色がすぐさま曇っていき、翌週第679話にてしっかりと絶望してしまうのでした。
因みに、この時の心情を綴ったセリフの「終わりだ」は、読者間でしばしばネタとしてあげられてしまうほど見事な絶望具合です。
黒崎一護の斬魄刀「斬月」の紹介
上述で紹介した通り、一護は真の卍解を習得する過程で自分のルーツと向き直り、王悦によって斬魄刀を打ち直してもらいました。
そこで、新たな斬魄刀とこれまでの斬魄刀の違いを比較しながら紹介したいと思いますので見ていきましょう。
黒崎一護の斬魄刀「斬月(ざんげつ)」
- 初出原作8巻67話
- 解号なし、常時開放型
一護と比較しても等身大の大きさがあり、刀身の外見は出刃包丁に近く、他の死神と違い解号がない常時開放型の斬魄刀で、習得の過程で斬月のおっさんが一護を後押ししたセリフ「退けば老いるぞ、臆せば死ぬぞ!叫べ!我が名は───」は屈指の名言です。
斬月の形状の変化
- 原作52巻459話
破面編のラストで死神としての力を失った一護は死神代行消失編で銀城との出会いを経て完現術者として新たな力を習得し、結果、銀城に騙され完現術者の力ごと奪い取られてしまいます。
しかし、尸魂界から現世へ送られたルキアが、護廷十三隊の隊長達から少しづつ力を分けてもらい再び一護へと死神の力を贈ったことで、一護は死神の力を取り戻す事ができ、その際は死覇装も含め斬魄刀のデザインが変化していました。
出刃包丁の下部分が牙の様に尖り、鋒は湾曲に沿って鋭角な形状で柄尻には途切れた鎖が装飾されており、死覇装の内にはベルトのような黒い帯が体中に巻き付いているようなデザインになっています。
黒崎一護の卍解「天鎖斬月(てんさざんげつ)」
- 初出原作19巻162話
声優森田成一さんによって声を吹き込まれた事で真似する子供が続出した、みんな大好き「卍!解!」でお馴染みの一護の卍解です。
刀の形状はシンプルな黒刀へ縮小し鍔は卍状になり、風貌は漆黒の死覇装がロングコートのように変化し裾は破れたようなデザインで、上半身は裸、下半身は袴を引き継いでいます。
卍解の性能は白哉曰く「卍解としての戦力の全てをその小さな形に凝縮することで卍解最大戦力での超速戦闘を可能にした」と解析している通り、スピード重視という主人公にしては地味目なパワーアップです。
しかし、一護には虚化という主人公に約束された強化形態があるので、結果漫画映えするカッコいい卍解となりました。
卍解を初披露した朽木白哉についてはこちら。
漫画BLEACHの登場キャラクター「朽木白哉」は、千年血戦篇開幕で滅却師との激闘が描かれた末、まさかの敗北を受け死亡説が浮上しました。 そこで、今回は朽木白哉の死亡やシスコンに焦点をあてて、 朽木白哉の死亡説と話数 […]
死覇装も卍解の一部
虚圏から黒腔を通り現世へ向かう際、ウルキオラとの死闘を経た一護は既に霊圧の殆どを消費しており、死覇装の上半分以上を損傷した状態だったのですが、同行する卯ノ花との会話で死覇装も含めて卍解だということが判明しました。
したがって、死覇装が完全であれば一護が万全の状態である証明に繋がります。
白哉の評価は当てにならない
一護の卍解初披露の相手は白哉であり、当初はそのような矮小なものが卍解であるはずないと蔑んでいましたが、一護の卍解の真髄をその身に受けて即撤回しています。
因みに白哉は常時開放型の斬魄刀についても「そもそも常時開放型などというものは存在せぬかのもしれない」とジェラルド戦で言及していたことから、白哉の評価は参考にしたらいけないという風潮が生まれました。
黒崎一護の真の斬魄刀「斬月」
- 初出原作61巻542話
名称の変化はなく、虚の力が宿る長刀は始解の斬月をシャープに細め柄の辺りに穴が空いた形状で、滅却師の力が宿る短刀は刀身と持ち手が一体化した石包丁のような形状をしており、二刀一対の斬魄刀になっています。
見えざる帝国の一度目の侵攻時、ユーハバッハが撤退する去り際にハッシュヴァルトの手によって折られた斬月を王悦が新しく打ち直した一護の真の斬魄刀で、一護本来の死神の力が完全に解放されたものです。
黒崎真咲から受け継いだ滅却師の力である斬月のおっさんと、黒崎一心から受け継いだ死神の力と溶け合った一護の中の虚は反目し均衡を保ち続けていましたが、一護本来の死神の力と混ざり合い、王悦によって2本の刀に打ち直されました。
完全虚化を支配
- 初出原作74巻第676話
長刀に滅却師の霊圧をブチ込むことで均衡を破り、無理矢理完全虚化の力を引き出した一護の新たな虚化形態で額には虚の象徴である角が一本生えています。
実際は一護の力と溶け合っているため自由に出し入れ可能ですが、真の斬月を扱って日が浅いため使いこなせていないと自覚する一護の工夫でした。
長刀は白く変化し、短刀は長刀に滅却師の力を注ぎ込んだためか、この時点で消失して斬魄刀は一本に戻っています。
黒崎一護の真の卍解「天鎖斬月」
- 初出原作74巻第678話
こちらも名称に変化はないものの、二本の斬月を一本に融合させたフォルムは死神代行消失編時の始解に近い大き目な形状となり、柄から中心に掛け黒いラインが入り、それを一層覆った白い刀身が付いています。
また、鋒から柄尻にかけて鎖が繋がっているのが特徴です。
しかし、卍解初披露と同時にユーハバッハに刀身を折られてしまった為、能力の詳細は一切不明のまま終わっています。
真の天鎖斬月の中に初期斬月?
恐らく、卍解の能力とは違うと考えられますが、上述通り、天鎖斬月は黒いラインを覆う様に一層厚みのある白い刀身が装飾されています。
ユーハバッハ戦のラストで一護がとどめをさすために横薙ぎした一撃をユーハバッハが手で防いだのですが、この時白い刀身が砕け、中から初期の形状に近い斬月が出てきたのです。
因みに、白い部分は滅却師と虚の力であり、それが砕けた後に出てきた斬月は死神としての力だと考察されています。
ただ、白い部分が壊れて中から出てきた斬月は、果たして始解なのか卍解なのかは定かではありません。
黒崎一護の月牙天衝の形態の推移
一護の技は内在する霊圧量からして月牙天衝が最も適した技であり、斬月からもそれしか教えてもらっていないと語ります。
しかし、作中では同じ月牙天衝でも始解時や卍解時、はたまた虚化によって演出も威力も桁違いに増幅しているので、月牙天衝の変化の推移を見ていきましょう。
始解時の月牙天衝の形態
一護自身の霊圧を斬魄刀に込めた後、巨大な斬撃として放つ遠距離技であり、斬月が一護に教えた唯一の技で初期から最後まで一貫してこの月牙天衝を使用してきました。
卍解時の月牙天衝の形態
- 初出原作24巻第211話
これまで白い霊圧だった描写が黒い三日月状に変化し、威力も範囲も飛躍的高まった月牙天衝を放つ事が可能になりました。
この黒い渦を凝縮して斬撃に変えて放つという一連の所作が、恐らく読者が思い描く一般的な一護の月牙天衝だと思われます。
虚化での月牙天衝の形態
- 初出原作19巻第166話
一護は虚の力も有していることから虚化することで更なるパワーアップを図ることができ、卍解と併用することで正真正銘全力の霊圧を込めた月牙天衝を放つことができ、卍解時同様に黒い三日月状の斬撃になります。
尸魂界編の白哉との戦いで一護が窮地に陥った際、内なる虚が出現し使用したのが初登場で、以降は虚化をコントロールした一護が卍解と併用して行使しました。
最後の月牙天衝
- 初出原作48巻420話
破面編最終局面である藍染との決戦に於いて、一護は死神能力と霊圧を失う代わりに、天鎖斬月と融合することで自分自身が月牙となった一護の最終形態であり、使用後に能力を失う点は石田雨竜の滅却師最終形態と酷似しています。
一護の精神世界で天鎖斬月と数カ月に及ぶ修行を経て手に入れた力で、それには一護が天鎖斬月の刃を受け入れる必要があり、斬月から最後の月牙天衝を聞き出す過程で斬月が一護自身を護りたかったこともこの修行で明らかになりました。
月牙と同化した後は黒い長髪に上半身を口まで覆う黒っぽい包帯姿、右腕に黒いオーラを纏っています。
藍染についてはこちら。
滅却師の首魁ユーハバッハが何故無間に立ち寄って藍染惣右介に会いに行ったのか、 藍染惣右介のプロフィール 藍染とユーハバッハの関係と目的の違い 藍染が崩玉と王鍵を求めた理由 今回はこの三項目に沿って、藍染が[…]
無月
- 初出原作48巻420話
月牙になった一護が放つ死神としての最後の月牙天衝で、右手に集束させた漆黒の霊圧を振り下ろす事で周囲をも黒く鎖す月牙を放ち、崩玉と融合した藍染を遥か凌駕した絶大な一撃を与えました。
上述で説明した通り、使用後は極度の霊圧消費で立ち上がる事ができず膝をついたまま肩で息をしていることから、無月を放った段階で霊力消失に移行していると思われます。
真の斬月での月牙天衝
これまで月牙天衝は気合の表れか技名を叫んだ後に発動していましたが、真の斬月を手にした一護は月牙天衝と小さく呟いた後に軽く短刀を横薙ぎに払い発動しており、作中ではキャンディスの攻撃を相殺させるために使用したので、威力を抑えていたと思われます。
二刀流では月牙十字衝
星十字騎士団キャンディスに使用した月牙天衝の亜種であり、二刀流を利用した十字斬りから放つ月牙はこれまでの月牙天衝を凌駕する威力があるのか、牽制の為に放った一護自ら「避けろ」と心配するほどです。
因みに、十字斬りの横部分は短刀、縦部分は長刀での月牙になります。
月牙天衝と混ぜ合わせた「王虚の閃光」
- 初出原作74巻第676話
支配した完全虚化状態で月牙天衝に虚の力を混ぜ合わせた王虚の閃光で、額の角と滅却師の力を注ぎ込んだ長刀を合わせる事が発動条件らしく、これまで破面が使用した王虚の閃光と違い、演出は月牙天衝同様斬撃を繰り出しています。
そのため、ユーハバッハは直撃する直前までただの月牙天衝だと錯覚していました。
黒崎一護の真の卍解と斬月の紹介についてのまとめ
一護の斬月は、
- 黒崎真咲から受け継いだ滅却師の力
- 黒崎一心から受け継いだ死神の力と溶け合った一護の中の虚
の二つの要素が存在していたことで王悦に打ち直された後に二刀一対に変化し、死神の力をこれまで以上の能力を引き出す事が可能になりました。
しかし、虚の力に滅却師の力を注ぎ込む事で強引に引き出した完全虚化、そしてその状態での真の卍解の初登場は、
- ユーハバッハの全知全能によって一護の斬魄刀は未来で折られた
- それによって真の卍解の能力は不明のまま
という最大の見せ場をユーハバッハによって奪われることになり、ユーハバッハは我々読者から見てもある意味最大の強敵となります。
とは言え、未来で一護の卍解を見てきたユーハバッハはかなり高い評価を下していたので、超速戦闘を可能にした従来の卍解と違った方向性の能力なのではと推察できますが、真相は何れ久保帯人先生から語られることを気長に待つ他ありません。