【BLEACH】ドン観音寺は藍染に勇気を評価された人間!ロカを助けた理由は?

BLEACHの影の主役でもあるドン観音寺ですが、実はあの藍染惣右介に名前を覚えられる存在である事はもはやファンの間では有名な話です。

そこで、

  • ドン観音寺と藍染惣右介の関係
  • ドン観音寺とロカ・パラミアの関係
  • ドン観音寺の基本情報や名言

等をまとめたので紹介したいと思います。

ドン観音寺と藍染惣右介が対峙したのは何話?

ドン観音寺と藍染の接触が描かれたのは原作47巻411話です。

ドン観音寺は破面篇の終盤、藍染が複製された空座町で護廷十三隊を退けた後にやって来た本物の空座町で有沢たつき等の一護の級友の命を突け狙っていた際に、ヒーローの様に颯爽と登場しました。

崩玉と融合を果たした藍染はその存在が近づくだけで魂魄の弱い人間を消滅させてしまう別次元の領域に達していましたが、ドン観音寺はたつきに近づく藍染に観音寺弾をぶつけコミカルに再登場を果たし、ギャグ補正全開で自己紹介をしたのです。(尚、たつきには「何しに来たのよ」と冷静にツッコまれます。)

しかし、藍染の霊圧に耐え切れずに体中を重圧で押し潰されそうになる中、「これまで良く耐えたと言うべきか」と藍染からお褒めの言葉を頂くと、たつきに早く逃げる様に促された観音寺は彼女の前に立ちはだかり「逃げる?これはこのヒーローに向かって言ってるのかね?」と零すと、「戦いから逃げるヒーローを子供達はヒーローと呼ばんのだよ」とステッキを握り絞めて藍染へと向かっていくのでした。

ドン観音寺の勇敢な行動を前に思わず藍染も「止すんだ、人間如きが私に触れれば存在を失うぞ」と忠告しており、観音寺自身も大量に発汗していた事から藍染の危険性を考慮した上で捨て身の攻撃に出たのでしょうが、まさにその行動が「勇気」であると藍染は受け止めていた筈です。

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BLEACHの表紙

因みに、観音寺のステッキが藍染の霊圧に触れた瞬間に消し飛んだものの、間一髪の所で松本乱菊が間に飛び込みステッキを抑え込んだ事で観音寺の消滅は回避されました。

その後、乱菊に半強制的に撤退を命令された観音寺は最後まで「危なくなったらヒーローを呼ぶのだぞ」と発言しながら一般人のたつきや気絶していた女生徒を担いで退散していきます。

藍染はドン観音寺の「勇気」を評価した

上記で触れた通りドン観音寺は藍染に立ち向かった「勇気」ある者でしたが、では何故観音寺が藍染に認められていると読者に言われるのか、その理由は二つ挙げられます。

一つ目は、原作74巻の最終話にて、藍染はユーハバッハの臨んだ世界には恐怖が無いが死の恐怖の無い世界では人はそれを退けて希望を探す事はしないと持論を持ち、恐怖を退けて歩み続ける事を「勇気」と定義していました。

つまり、藍染は自身の進化の過程に於いても最後には死の恐怖を退ける事が必要だった事から勇気については人一倍その意義に注視しています。

二つ目は、小説「BLEACH Spirits are forever with you」の一幕、ドン観音寺と戦った痣城剣八が無間にて藍染と話した内容に、藍染が痣城が挙げた特徴から嘗て自分にも立ち向かって来た男の姿を連想し行きずりの子供達を助けるそれだけの理由で挑みかかって来たと語った後、時折あのような者が現れるからこそこの世は面白い。価値があると言ってもいいと上機嫌に言い放つのです。

そして、藍染は観音寺の様な者を導くのは霊王で無くそれに相応しい者だと話を展開するのですが、この発言からしても藍染が観音寺を気に入っている事は確実でしょう。

したがって、

  1. 藍染は「勇気」の意義に注視している
  2. ドン観音寺は藍染との力の差を理解しながら行きずりの子供達を助ける為に挑んできた

以上の理由から藍染はドン観音寺の勇気を認めており、名前も記憶しているのです。

ドン観音寺とは何者?

  • 名前:ドン・観音寺(どん・かんおんじ)
  • 本名:観音寺美幸雄(かんおんじみさお)
  • 芸名:ミサオ丸
  • 年齢:不詳
  • 身長:188cm
  • 体重:71kg
  • 血液型:BO
  • 誕生日:3月23日
  • 所属:空座防衛隊総司令官「カラクラゴールド・ザ・エターナル」
  • 職業:霊媒師
  • 好きなもの:歌舞伎観賞、ゴルゴンゾーラのニョッキ、衣装のデザイン
  • 特技:アポロチョコを素早くキレイに上下に分けて食べられること
  • 愛車:外国製高級オープンカー(※命名「ジャンヌダルク」)
  • 声優:千葉繁

ホリが深く口髭を生やした長身痩躯で年齢不詳の男性で、カリスマ霊媒師として活動しています。

テレビタレントとしても有名で、毎週水曜夜8時のゴールデンタイムに視聴率25%を超える超人気心霊番組「ぶらり霊場突撃の旅」に出演するメインキャストであり、女子中高生の間ではそこらのアイドルより人気のある人物です。

観音寺は霊体の孔を壊す事で成仏していると思い込んでおり、霊体の孔を壊したせいで虚化した事実を一護に突きつけられると共に今までの行為が間違いであると悟るや否や絶望と後悔に打ちひしがれていた所、これまでは虚になる事は無くそもそも孔を壊す行為が虚化に繋がる事を知らなかったのだからと一護に諫められ、一護の勇気と機転そして強さに敬意を表する様になりました。

尚、観音寺の中では一護は一番弟子に昇格しています。

また、瀞霊廷通信の人気コーナー「教えて修兵先生」にドン観音寺とは何者なのかと数多くの問い合わせがあったものの、その答えは「明確な答えを持たない」として編集長の力を以てしても謎に包まれたままであり、記者の見解を示した資料は「彼は恐らく——」と綴った後の文章は焼失しているのです。

観音寺の正体の可能性としては、完現術者の様に霊王の欠片を宿した人間の可能性が高いでしょうが、現在もその正体は判明していません

ただ、霊圧知覚に関しては並の死神や滅却師より秀でていると明記されており、石田が一護と対決するにあたって使用した「撒き餌」事件に於いては空座町から遠く離れた横浜市内に居ながら30キロも離れた場所で虚の大量出現を感じ取っていました。

そして、服のセンスは石田も認める素養があるものの、色彩に統一感がないと意見されています。

 

「モデル経験あり」

大学院を卒業後に海外でショウモデルをしていた経歴がありますが、何があったのか不明ながら現在の霊媒師に転職しています。

ドン観音寺の能力「キャノンボール」

キャノンボールとは、観音寺流最終奥義「観音寺弾」の当て字であり、観音寺が霊力の全てを掌に集約させて作り出した霊子の弾の様なものです。

「破っ!」の掛け声で掌から飛ばし、その放出速度はタンポポが漂うかの様に優雅なものですが、威力はコンクリートを軽く破壊できます。

 

「観音寺流超究極最終奥義・二連観音寺弾(ゴールデンキャノンボール)」

小説版で観音寺の口から語られた最終奥義になります。

その実態を知る事は出来ませんでしたが、観音寺曰くあらゆる敵はひれ伏し犬は私を吠え讃えキャラバンは無事にガンダーラへと辿り着くらしいです。

 

必殺超スピリッツステッキ

柄に両翼が誂えられた杖を使った行動の名称で、作中では地縛霊と思わしき霊体の孔にステッキの先端を突っ込んだ際に発言しており、使うこと自体が異例の特別な技の様です。

ただし、その効果は不明であり、作中でも異能による攻撃では無い様に窺えるので、ただの視聴者サービスというノリでしょうか。

 

「カンオンジ・バスター」

スピリッツステッキのボタンを押すと光り輝き浄霊リリックが流れまる仕様です。

ドン観音寺の名言

「ボハハハハーーーーッ!」

観音寺の特徴的な笑い方であり、腕を全面でクロスさせて手の平は引っ掻く形で留めるのがポイントです。

「スメルズ・ライク・バッド・スピリッツ」

観音寺の決め台詞で、スメルズライクで「~のようなにおい」、バッドスピリッツで「悪魔」等の意味になる事から、単純に「悪霊の気配がする」等の意味で登場に使っているのでしょうか。

また、アメリカ出身のロックバンド「ニルヴァーナ」の楽曲「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」が元ネタだと言われています。

「スピリッツ・アー・オールウェイズ・ウィズ・ユー!」

観音寺の決め台詞の一つで、作中内にて霊はいつもあなたと共にと注釈されており、実は単語違いで小説「BLEACH Spirits are forever with you」のタイトルにもなっています。

「YEAHHHH!キルキルアウナンアウマクキルナン!」

ドン観音寺が幽霊を縛る悪夢の鎖から解き放つ際に奏でる浄霊リリックで、スピリッツステッキのボタンを押すと流れてきます。

「ミッション!コンプリィィィィッ!」

除霊が完了した際に繰り出す決め台詞です。

「私は逃げんよ!逃げるわけにはいかないんだボーイ!」

作中にてピンチになると一護やたつきから逃げる様に促される観音寺が「私がヒーローだからだと」いう理由でその場に留まろうとする際に発する台詞です。

観音寺が決して逃げない理由は、自分を支持してくれる視聴者の多くが小さな子供であり、毎週時間になるとテレビにかじりつき夕食の後の家族の団欒の中で観音寺の活躍を見る、そんな彼等にとって自分はヒーローである事から「ヒーローであるが故敵に背を向けるわけにはいかん…」と語っています。

本来私は争いを好まぬ博愛の徒と自負する観音寺ですが、子供達は観音寺の活躍を観て胸を躍らせ、悪霊に立ち向かう観音寺を観て勇気の何たるかを知るのだと語っており、そんな彼等が観ている前で敵から逃げる訳にはいかないと言うのが理由でした。

この台詞はネタの様で実はネタではなかった深みのある台詞である背景から読者が観音寺を好きになった名言と言えるでしょう。

「戦いから逃げるヒーローを子供達はヒーローと呼ばんのだよ」

こちらは記事冒頭で触れた藍染に立ち向かう前にたつきに言い放った台詞であり、観音寺がヒーローとしての行動を取り、藍染もその勇気を評価した重要なシーンに繋がる名言です。

「あとは私に全て任せるのだッ!あの悪辣なバッド・スピリッツ達を蹴散らし、ロカ嬢が安心して成仏できる手助けをするとしよう!」

小説にて、自分を助けようとしてくれる観音寺を危険に巻き込んだロカが、一方的に観音寺に拒絶されたと思った矢先に返って来た台詞です。

全てはロカを記憶喪失の浮遊霊だと認識する観音寺の勘違いですが、ただロカを除霊する為にその敵であろうシエン・グランツに痣城剣八に更木剣八という化物に立ち向かおうとする「勇気」はまさしく観音寺がヒーローだからこそ発揮できるものでしょう。

また、歓声などなくとも人知れず誰かを護り続けるその覚悟を背負える者こそが真のヒーローなのだと、観音寺は一護に教わったと語っています。

「嘘と涙と裏切りと寝顔とうなじは、女性の美しさを彩るハーモニーだ」

観音寺を巻き込んだロカが自分が置かれている状況を一切合切語った後に謝罪すると、観音寺がそれを否定し元気づけた際の台詞です。

観音寺はアポロチョコのイチゴ部分のようなものだよと付け足していましたが、その部分はスルーされるも、ロカは観音寺を優しくて不思議な人だと的確に表現し、町中で多くの人に手を振られている理由が分かったと語りました。

「ユーが希望を抱くためならば、私やそこのボーイをいくらでも踏み台にするといい。だが、諦める事の言い訳にする必要はない。たとえユーが諦めようとも、我々空座防衛隊は、決してユーの命を諦めたりはしない!」

巻き込んだ観音寺をシエンや死神達の目から背ける為に自ら消滅の道を提示したロカに対して発した台詞で、悲しみに満ちた願いは希望ではないと拒否し、尚且つ絶対にロカの命を諦めたりはしないという観音寺の決心と頑固さが伝わる名言です。

「君がやりたいことをやりたまえ、レディ。そして、私に恩を返してくれると言うのなら、その寂しげな顔を笑顔に変えてくれれば、それで十分だ」

電車と接触する直前にロカの能力で黒腔を開き難を逃れた観音寺でしたが、感謝の言葉を述べるとロカが観音寺の恩に報いる方法が分からないとして自分を見捨てる様に言い放った際に諫めた台詞です。

「私は誓ったのだ!せめて、この手が届く所にある手は、全て握りかえそうと!助けを求める手から、決して逃げはすまいと!」

石田にハッキリと足手まといだとは言われずとも、虚と戦う術を持たない観音寺が無力を自覚しながら立ち上がった際に発した台詞です。

それでも様々なものを目にしてきた観音寺は、自分が戦争を止める事ができる神ではなくただのカリスマ霊媒師だと自覚し、世の中のあまねく理不尽な死や絶望を自分一人で抑え込む事は出来ないが、だからこそ手の届く者は助けると誓った言葉でした。

ドン観音寺とロカの関係は?

先ず始めに、ロカとは「破面篇にてヤミー・リヤルゴの腕の治療を施したモブの女性破面」であり、ザエルアポロの従属官にあたります。

本編でヤミーに頭を潰されて死亡した筈のロカですが、実は「反膜(ネガシオン)の糸」の能力であらゆる物質と繋がり共有する事で自身の魂と記憶の複写を行いそれを引き出す事で致命傷を受けても復活する事が出来た為、小説「BLEACH Spirits are forever with you」に於いて重要キャラとして再登場しドン観音寺と密接に関わっていくのです。

死神代行篇では高視聴率だった「ドン観音寺のぶらり霊場突撃の旅」は十七カ月経った現在では深夜枠とゴールデンを行ったり来たりと伸び悩んでいましたが、顔半分に髑髏面を付け街中で突然消える女の噂がSNS上で約1年間も話題となった事で、次の番組企画に「闇に現れ闇に消える髑髏面の女を負え」と特集を組み、ドン観音寺へとオファーを出しました。

また、オファーを受けた段階で観音寺は髑髏面という特徴から虚に関わりがあると睨んでおり、三日間の収録期間で情報を集めようとした所、100名以上の子供破面で成り立つ十刃落ち通称「悪戯小僧(ピカロ)」の一人が現世に降り立った場面に遭遇し、互いに「髑髏面の女」を探していた事からどっちが早く見つけるか競争する事になったのです。

つまり、ドン観音寺は当初ロカとは関係が一切無い立場だったのにも関わらず、

  1. 髑髏面の女の噂に目を付けた番組企画のオファーを受ける
  2. ピカロと遭遇し髑髏面の女をどっちが先に見つけるか競争する約束をする

以上の理由から自ら飛び込んでいった事になります。

ドン観音寺はロカを浮遊霊と勘違い

車を走らせている最中に観音寺は体に纏わりつくような「何か」の感覚に襲われ、その気配の中心が椿台地区であると踏み辿り着いた先は、嘗て自分が償い切れぬ過ちを犯していたと知った場所であり、自分の事を英雄と呼んでくれた一護と初めて会った因縁のロケ地「廃病院」でした。

そして、扉の向こうから感じる気配から1年程前に一護の級友を狙っていた謎の男「藍染」を想起しつつどんなバケモノが飛び出すのかと覚悟を決めて開いた先に、寂しげな目で街を見渡す髑髏面の女「ロカ」が居たのです。

観音寺はすかさず「スピリッツ・アー・オールウェイズ・ウィズ・ユー!」の決め台詞を唄い上げると呆気に取られて呆然と見つめるロカを前に「人が騒げばすぐに消えると聞いていたが、なるほど、私のファンか」と一人納得し、困惑するロカの手を取りこれまで通り幽霊の悔恨を晴らす様に対話を試みます。

「悲しい顔のわけを、このドン・観音寺に話してはくれないかね?」

小説「BLEACH Spirits are forever with you」 九章より

また、

  1. 円滑に虚を根絶やしにするべくロカの反膜の糸を狙う痣城剣八
  2. ピカロ達を呼び集めて宝探しと王様ゲームを始める他、記憶装置であるロカを破壊しようと目論むシエン・グランツ
  3. 元柳斎の命令で髑髏面の女を追跡すれば痣城剣八と戦えると知った更木剣八

等、観音寺はロカを救おうと手を差し伸ばしたばかりに彼女を取り巻く三つの脅威に晒される事になったのです。

「私はユーの為に、夜より深き闇を超え、天を駆け抜け、魔王にさえ立ち向かおうではないか!」

小説「BLEACH Spirits are forever with you」 十三章より

一護との出会いを経てただ幽霊を除霊するのではなく、気持ちに寄り添う事を学んだ観音寺はなるべく対話で心残りを晴らす様に務めていた為、ロカに対しても虚の類だと推察しながらも優しく声を掛けるのですが、ロカはただ単に得体の知れない異常者を前に困惑していただけに過ぎませんでしたが、ザエルアポロの道具として生きてきたロカにとって観音寺にどう返答をすればいいのかさえ分からずに悩んでいました。

ただ道具として生きてきた故に自分が悲しい顔をしている理由も分からないと伝えるロカでしたが、観音寺はロカが生前の記憶を無くした浮遊霊だと誤解し、共に様々な体験をして自分の求める世界を探すべきだと有無を言わせずに連れ出すのです。

ドン観音寺とロカの逃避行

観音寺はロカに対して現世の衣服をコーディネートしてあげた後、ドライブを経て空座町で話題沸騰のスイーツを驕る他、ナビゲーション画面で日本の広大な地図を見せる等、どれもロカが初めて体験するものを知らず知らずのうちに与えていたのです。

しかし、交差点に差し掛かった時、信号機の上から見下ろすピカロの一体に見つかったのを皮切りに、ピカロの報告を受けたシエンが黒腔の裂け目から登場します。

その場には石田雨竜も駆けつけていたのでしが、ただ一人事態を呑み込んでいない観音寺のみがオープンカーの運転席に立ち上がり恒常の自己紹介を述べると、ただ沈黙がその場を支配するのでした。

どうしようもない空気の中、痣城剣八がその場に現れると、最悪な事に更木剣八まで登場し、三竦み四竦みとかつてない面々が観音寺の前に集う事になるのですが、自分を助けようとしてくれた観音寺を巻き込んだ罪悪感に駆られるロカの心情とは裏腹に、観音寺はロカの取り巻く複雑な背景を何一つ理解できないながらも、ロカを乗せたままアクセルを踏み込み全力全開で逃亡を図るのです。

そして、猛スピードで逃亡した先で観音寺はロカを降ろすと、ロカはその行動を拒絶と受け取り、自分が危険な存在だと気づき距離を置こうと思い至ったのだと推察し観音寺をこれ以上巻き込まなくて済むと安堵するのですが、観音寺へ別れの言葉を告げるようとするも言葉が上手く出てこず、それどころか初めて死にたくないと一つの感情が芽生えました。

観音寺と過ごした事で「楽しい」という感情を覚え世界を変えられたロカは、せめて御礼だけは伝えなければと顔を上げると、観音寺はロカの不安を打ち消すようにただロカを安全な場所に隠す為に建物の近くに降ろしただけに過ぎず、寧ろシエン達は自分が何とかすると言い放ったのです。

そんな問答をしていた所へ髑髏面の女を捕獲する任を丸投げされた一角と弓親が現れるや否や、観音寺は再びロカを乗せてアクセル全開で逃亡を始めるも瞬歩であっという間に追いつかれるのですが、そこへピカロが数体出現します。

帰刃するピカロ達と戦う十一番隊隊士、そして複数の義骸に銃火器を搭載し破面を淡々と狩り続ける痣城剣八、そんな化物達に狙われているロカを乗せて愛車を走らせる観音寺ですが、銃火器の登場からヤクザスピリッツが本物のヤクザに憑りついたのだと見当違いな憶測を立てつつもロカに怪我をしていないか訊ねました。

しかし、観音寺の優しさがロカの罪悪感を掻き立ていた所に石田雨竜が合流し、ロカは現在自分の身に起きている境遇を洗いざらい話す事になるのですが、観音寺は謝る必要が無いと一蹴し逆に励ました事でロカの中で覚悟が実り、石田の手でこの場で消滅させて欲しいと頼み込むのです。

死を望むロカを前に、観音寺は石田の武器が一護の様に虚の魂を浄化するものだと推察するも、口を噤んだままの石田の様子から浄化は出来ないと察し、成仏ではなく消滅を望むロカへ「本当にそれでいいのかね!」と強く問い質すものの、虚という事を差し引いても存在するだけで観音寺に迷惑をかけているという理由からこれでいいと答えます。

ただ、そう答えるロカの表情が再び悲しい顔をしていた事で観音寺は「悲しみに満ちた願いなど希望ではない、諦めだ!」と諫め、ロカが希望を抱く為に自分や石田を踏み台にしろと告げ、例えロカが諦めようとも観音寺率いる空座防衛隊はロカの命を諦めないと宣言するのです。

また、大勢を救う為に一人を殺し自分一人が泥を被る覚悟を選んだロカを勇者だと喩えるも、両者を救う道を探さずただ覚悟しただけならばその者は勇者ではあってもヒーローではないと断言し、観音寺はロカに自らがヒーローだと名乗るのでした。

加えて、観音寺がロカを救う理由は、観音寺のヒーローとしての我儘であり、多くの子供達が希望を抱く為に行っていると語ります。

その為、この場でロカが命を諦めたりすれば観音寺はロカを救えなかった自分自身を憎むと言ってのけ、例え力及ばずとも戦いを挑むと声高く唱いあげるのです。

そして、観音寺はロカの事をファンと呼ぶのですが、憧れを抱いた時点で「ファン」と定義するのならば、ロカはこの瞬間確かに観音寺のファンになったと綴られました。

ドン観音寺とロカの逃避行の結末

「スピリッツ・アー・オールウェイズ・ウィズ・ユー!」の決め台詞を引用し、観音寺の隣にロカ達が居る様に、ロカの隣にはいつも観音寺のスピリッツがあると諫め、決してロカは一人ではない事を伝えると、人を傷つけずとも生きられる術があるのならばあらゆる協力を惜しまないと約束するのです。

そこには嘗て間違った除霊法で多くの虚を生み出した懺悔と後悔の気持ちが含まれており、観音寺はそんな自分をヒーローと呼んでくれた一護の心意気に報いるべく過ちを償う為にヒーローであり続けると宣言します。

そして黒腔内で更木剣八とシエン・グランツの決闘の場に遭遇すると、観音寺はシエンに捕縛され捕食されかけているピカロ達を見つけては救出を試みる事となり、初めて自分の意志で観音寺に協力する事を進言するロカと観音寺の行動理念に諦めかけている石田が協力するのでした。

ロカの能力で造り出した「魂を斬り裂くもの(ゼーレシュナイダー)」を使い石田がシエンの触手からピカロ達を切り離すと、観音寺が愛車を走らせロカが糸でピカロ達を回収し、そのまま黒腔内を爆走しながら戦場を後にします。

しかし、シエンが更木剣八との戦いを中断させて観音寺達を追ってくると、ロカは観音寺達に御礼を言い車ごと黒腔の外へと送り出し、観音寺達が現世に出た瞬間に出入口を閉じて自分だけが黒腔に残りシエンと戦う事を選びました。

観音寺と石田は廃病院の屋上に転送されると、観音寺は初めてロカと出会った場所に転送された事と自分にロカを護るだけの力が無いからロカは一人で黒腔に残る決断をしたのだと自らの無力さを呪うものの、ロカが観音寺の手の届く所にいたからこそロカの命を諦める事が出来ずに立ち上がるのです。

また、ロカ視点ではシエンとの戦いが続いていましたが、ロカが現世を彷徨っている間に黒崎一護に糸を繋ぎ嘗て藍染を止めた力を自らを贄に再現しシエンを無月で圧倒すると、辛うじて生き残った肉体を糸の力で立ち上がらせ、一護の記憶の中にある今と変わらないヒーロー「ドン観音寺」の姿を見て涙を流すも、観音寺の下に帰る為に歩き始めます。

廃病院屋上にて観音寺がどうにか状況を打開できないか思案していると黒腔を開いてロカが戻ってきますが、観音寺はズタボロのロカをすぐさま抱え込んで声を掛けました。

しかし、その場に痣城剣八が現れるとロカは無数の刃を両腕やサイバーアームに突き立てられ悲鳴を上げますが、観音寺はロカを庇うように立ち塞がります。

痣城の具現化した短剣が観音寺の肩に突き刺さり激痛が走りますが、観音寺は後ろにロカが居る為我慢し、その場を退く様に命令する痣城に断固として拒否を姿勢を取ると、二本、三本と短剣が観音寺の肩へ突き立てられてしまうのです。

激痛に支配されながらも観音寺はロカを見捨てる事はせず、自分の弱さに抗う事を誰かが示さなければならないと、例え弱い存在だろうとそこから立ち上がれる「勇気」を抱く事が出来ると豪語した後、観音寺流最終奥義を披露しようとした所、痣城の破道の一「衝」で吹き飛ばされてしまいました。

ですが、その場にピカロ達が出現すると、観音寺との遊びの罰ゲームとして空座防衛隊のヒーローとなった事を告げ、悪い人をやっつける遊び、即ち痣城に対抗する為に観音寺に協力してくれる運びとなり、観音寺はピカロ達の能力で黒腔を開き痣城の頭上へとワープします。

そして、浄霊リリックを叫びながらステッキを振りかざすと、観音寺はステッキの先端を痣城に叩きつけるのですが、その先端には更木剣八が付けていた眼帯が括りつけられていた事から痣城自身も予想打にしなかったダメージが自分の魂魄に与えられたのです。

観音寺にしてみればその眼帯は奥義に繋げる為の牽制の様な儀式だったのですが、その致命打には気付かずに観音寺自身は必殺技「観音寺流最終奥義!観音寺弾ッッ!」を口ずさみ痣城へと撃ち込むのでした。

廃病院の屋上が爆発に包まれると、観音寺は痣城を倒した実感と観音寺弾にこれほどの威力があった事に驚愕しますが、実は剣八の眼帯を突きつけられた時点で痣城の鬼道の制御が暴走の末自爆しただけだったのですが、観音寺は痣城を打ち倒しロカを護り抜いた事から「ミッション・コンプリート」を宣言します。

ドン観音寺とロカの別れ

お馴染みの「ボハハハハーッ」の笑い声が観客達と共に沸き立つと、一日遅れで収録される事になった「ぶらり霊場突撃の旅」の撮影の為にやってきた観音寺を一目見る為に大観衆が集まっていました。

銃撃戦や謎の覆面集団、そして国籍不明のヘリが空座町城空で機銃乱射する姿がテレビカメラに収められた事に加え、廃病院での爆発がマスコミを呼び寄せる事となった為、技術開発局が「ドン観音寺が収録準備中に廃病院にあったテロリストのアジトを偶然発見して蓄えられた武器を全て破壊した後人質を救出」といった具合に昨日起きた騒動をすり替えたのが原因です。

ただ、観音寺自身は記憶がそのままなので訳が分からず否定したのですが、国民は観音寺が「照れている」や「真の英雄は陰ながら世界を救う」と囃し立て、余計に賞賛される事になりました。

しかし、そんな大歓声に包まれながらも観音寺はロカやピカロ達が無事に故郷に帰れたのかと心配します。

というのも、観音寺が廃病院の爆発による倒壊事故に巻き込まれ意識を失っている間、観音寺は石田に浦原商店まで担ぎ込まれて半日ほど眠っていたのですが、目を覚ますと既にロカやピカロ達の姿が無く、石田に「観音寺に迷惑をかけないよう、長く現世に留まる事を避けたのでしょう」と告げられたからです。

それが石田自身もロカ達の安否については確認できていない表れだと気づきながらも観音寺はその言葉を呑み込もうと刹那、倒壊の瞬間自分の体が「糸」に包み込まれた様な記憶を呼び起こし、更に観音寺の傷口が何らかの力で繋ぎ止められて治癒している事を察して、それがロカの能力による縫合だと思い到り、自分がロカに救われたという事実を確信しました。

ただ心残りなのが、ロカの無事を確認する術がない事や感謝の言葉を伝えられない事、そしてロカ自身が救われたのかどうか解らないというもどかしい状況でしたが、観音寺は歩みを止める事無く、仮説ステージに立ちながらロカやピカロの無事を想うのです。

しかし、そこへロカに敗れた筈のシエンが出現すると、見えない何かに吹き飛ばされステージの壁にめり込む観音寺の姿があり、観音寺を食べ、観客を食べようとするシエンへ観音寺は立ち向かうのですが、今や石田よりも劣るシエンの力にさえ観音寺は叩きのされてしまいます。

絶望的な状況に追い込まれた観音寺でしたが、そこにピカロ達が姿を現すと、ピカロ達は十人十色の感想を述べながら楽し気に観音寺へ御礼を述べ、観音寺はピカロ達の無事を確認できた事から安堵しました。

そして、ピカロ達はすかさずシエンを取り囲むと一斉に力を解放しつむじ風の様な能力で切り刻むと、シエンの姿は消え失せるのです。

すると今度はピカロ達の体に薄い金色の糸が繋がっている事に気付くと、ロカが近くにいるのではないかと必死に周囲を探すのですが、振り返ると細い霊子の糸が漂っており、その糸が自然と観音寺の指に絡まると聞き覚えのある声で「Spirits Are Always With You」と響きます。

ロカと明確に再会した訳ではなく、顔を見た訳でもありませんが、確かに糸を通して幸せそうな笑顔を浮かべるロカの心が伝わって来た事で、観音寺は心が何かから解放された気がしたのです。

こうして、観音寺はロカに対して何かを成せたという事を確信し、ヒーローとして再び歩み進めるのでした。

ドン観音寺に藍染が下した評価とロカとの関わりについてのまとめ

観音寺はBLEACH界では珍しい戦闘シーンまでもコミカルでギャグ補正を有したキャラクターですが、作品のボスの一人藍染惣右介が認める「勇気」を持ったヒーローであり、ロカと呼ばれる破面の女性を護る為にその時代の最強の剣八の名を持った嘗ての大罪人痣城剣八の立ち向かう「勇気」を見せています。

「Spirits Are Always With You(霊はいつもあなたと共に)」と言った、まさにBLEACHの本質をもじった決め台詞を多用する背景や、もう一つのテーマ「勇気」を冠する観音寺はまさにBLEACHの裏の主人公と呼べる存在でしょう。

また、小説では後に「破面を手懐け、黒崎一護の師匠と名乗る謎の男」として四十六室にマークされると共に観音寺の関わる文献が検閲対象になる等、実はかなり重要な立ち位置になっているのです。

残念ながら原作最終回である10年後には登場していませんが、観音寺は今も尚、ロカの様な悲しい顔をした者を無償で助けている事でしょう。

【完結済み】BLEACH
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黒崎一護・15歳・ユウレイの見える男。その特異な体質のわりに安穏とした日々を送っていた一護だが、突如、自らを死神と名乗る少女と遭遇、「虚」と呼ばれる悪霊に襲われる。次々と倒れる家族を前に一護は!?