幽遊白書は社会現象を起こした大人気漫画でありながら、突如として最終回を迎えてしまった漫画としても有名な作品です。
特に、魔界編に突入して多くの強敵が登場した中で始まった魔界統一トーナメントは、暗黒武術会編を凌ぐ長編になるものと誰もが期待していました。
ですが始まった魔界統一トーナメントは戦いの描写は殆どなく、結果が描かれているだけでその後最終回に一直線で向かっていきます。
では、不完全燃焼で終わってしまった魔界統一トーナメントについていろいろと考察していきましょう。
- どうして魔界統一トーナメントは描かれなかったの?
- 魔界統一トーナメントの順位は?
- 優勝候補の黄泉・軀はどうなった?
- 雷禅の喧嘩仲間たちは?
順に見ていきたいと思います。
魔界統一トーナメントが打ち切りになってしまった理由
幽遊白書は大人気漫画でありアニメ化・映画化もされた作品なのですが、その終わり方がとても酷いとファンの間では囁かれていました。
数ある作品の中でも「終わり方が酷すぎた作品」で常に上位にランクインするなど連載が終わった後も物議を醸す程です。
では、魔界統一トーナメントの様子が描かれなかった理由について知っていきましょう。
作者の持病が悪化してしまったから
幽遊白書の連載が終了して後日、原作者の冨樫義博氏が出した500部限定の同人誌の中、『連載を終えて』で語っています。
富樫氏はかねてより持病を持っており、それが連載中に悪化してしまったとの事でした。
漫画に対する考え方
読み切り原稿やカラー原稿が立て続けに入ってくるようになってから、漫画に対する取り組み方が変わってきたそうです。
「過労死は嫌だ。カラー原稿や読み切り原稿が怖い」と感じるようになって睡眠時間を削ってもストレス発散の時間を取るようになりました。
自分の画力でファンを満足させる事ができるか考えた時に一人で原稿を上げるという事で解決しようとして、その結果が背景も人も散々なものになってしまったとの事です。
編集者との意見の対立
富樫氏は作品をよい形で終わらせたかったのですが、売れている人気漫画なので編集者は無理矢理にでも連載を続けさせようと考えていたそうです。
その圧力が予想以上に強く、このまま出版社に従って連載を続けたとしてもいつかファンに飽きられてしまう、と考え、このような状態で続けてはファンにも自身のキャラクターにも申し訳ない、と思い強引に連載を終了させた、とのことでした。
連載最後の方では
持病による体力の低下と編集者からの圧力により、富樫氏のストレスが大きくなり連載終了に近付くにつれ、机に向かうだけで吐き気が止まらなくなってしまったそうです。
同時に漫画を描く気持ちが起こらなくなってしまったのも、ラストの方の絵が乱れていた要因のひとつといえるでしょう。
以上の事から打ち切り、ではなく作者の判断で終わらせた、という考えの方が正しいといえます。
魔界統一トーナメントの順位とは
魔界統一トーナメントは、まず一ブロック四十四人(アニメでは四十九人)に分け、超巨大植物・億年樹の上で予選が行われました。
出場者が一斉に放たれて最後の一人になるまで戦います。
そして本戦は予選を勝ち抜いた百二十八人がA~Dブロックに分かれて戦い、ブロックを勝ち抜いた四人で準決勝を行い優勝者が決定する仕組みになりました。
本戦・各ブロックの戦いは巨大な自然式円闘場で行われ、様々な自然環境を設置する事で自分の能力を生かせる場所を選びながら戦う事ができ、選手が望めば中央に設置されている小型円闘場のみで戦う事も可能となっています。
予選開始
予選では軀や黄泉と同じブロックに当たった参加者が辞退したりしましたが、他では最初の決まり通りに予選が行われました。
単行本では付けられていてそれを奪い合って戦い、リングには五桁のナンバーがインプットされていて、その番号を押さないと外す事はできません。
予選通過者
予選では軀、黄泉をはじめとした優勝候補者が危なげなく通過しました。
アニメでは酎と雷禅の喧嘩仲間の一人である棗がぶつかりましたが、単行本では両名とも予選を通過しています。
単行本でもアニメでも予選の注目カードは黄泉VS修羅という親子対決ですが、こちらも危なげなく黄泉が圧倒して勝利しました。
各ブロックの勝者
ここからは各ブロックの勝利者を見ていきます。
- Aブロック
Aブロックの注目選手は、痩傑、周、才蔵、鉄山の四名です。
全員、雷禅の旧友たちで、一回戦は順当に勝ち抜きました。
痩傑と周が長時間に渡り戦い続けたものの勝者は不明、だが二回戦で才蔵と鉄山がぶつかり勝利した才蔵がそのまま勝ち上がりAブロックを制したのは才蔵となりました。
- Bブロック
Bブロックには幽助に黄泉がいて、雷禅の旧友である九浄に孤光と蔵馬、時雨といった注目株が入り組んでいました。
蔵馬は二回戦で時雨と戦い勝利するもののそこで完全燃焼、三回戦で雷禅の旧友である九浄に敗北。
このブロックには黄泉、幽助がいて三回戦でぶつかりました。
六十時間にも及ぶ試合の末、黄泉が勝ち上がりましたがその黄泉も聴力を酷使したため孤光に敗北して、その孤光は九浄に敗北してBブロック勝者は九浄になったのです。
- Cブロック
一番謎の多いブロックといえるのかもしれません。
これといって注目選手がいないブロック誰が突破したのかも明らかにされていませんでした。
- Dブロック
このブロックにかなり幽助の友人たちが固まってしまったといえるのかもしれません。
ここには飛影と軀もいましたが、その軀は二回戦で雷禅の旧友・棗に勝ち飛影にも勝利(アニメでは飛影戦が先に軀と対戦)しました。
軀はその後、煙鬼に敗北してDブロックの勝者は煙鬼となったのです。
煙鬼とは物語後半の、魔界統一トーナメント編で登場したキャラです。 初登場は単行本18巻、『来訪者たち』で、かつての喧嘩仲間である雷禅の訃報を聞いて駆け付けてきた優しい妖怪でした。 煙鬼は鬼のような見た目で身体も大きいですが、温厚[…]
本戦準決勝
準決勝第一回戦はAブロックの覇者・才蔵とBブロックの覇者・九浄がぶつかり合い、試合の様子は描かれていませんが、幽助の話しだと制したのは才蔵でした。
準決勝二回戦は煙鬼とCブロックの覇者がぶつかり、こちらも煙鬼が勝利してそのまま決勝戦となったのですが決勝戦は才蔵を下した煙鬼が制したのです。
最終的な順位
👑優勝:煙鬼
準優勝:才蔵
三位:九浄・名もなきCブロックの覇者
優勝候補の黄泉・軀は?
元・三大妖怪の黄泉と軀の勝敗はどうなっていたのでしょう。
試合の様子を考察していきたいと思います。
黄泉の勝負~予選 対・修羅戦
黄泉と修羅の戦いが描かれているのは単行本18巻になります。
予選は初っ端から波乱に満ちていました。
まず予選で息子の修羅とぶつかり、手加減はしていたのかもしれませんが真剣に向き合っている様子が描かれ観戦者たちは「自分の息子をも殺すつもりだ」と思わせるほどです。
修羅に負けを促すも聞かない様子に親として諭す様子に修羅は負けを宣言しました。
黄泉の勝負~本戦・三回戦 対・幽助戦
黄泉と幽助の戦いは19巻に描かれています。
二人の戦いは本戦では一番の注目カードといえる試合といえるでしょう。
観戦者たちも応援に熱が入る中、幽助の実力は修羅と同程度なので幽助は最初から小細工は無用と全開でいきました。
肉弾戦を誘うように向かってきた幽助の先制ストレートを受けた黄泉は吹っ飛ばされましたが、「真っ向から受けてみたかった」という理由だけでわざと受けたとの事です。
その後、黄泉は幽助と六十時間に渡り試合をした後、辛勝しました。
黄泉の勝負~本戦・四回戦 対・孤光戦
幽助との試合で視力のない黄泉は集中力と体力を大幅に消耗してしまいました。
そのまま試合に臨んだ黄泉は孤光にあっさりと敗北したのです。
軀の勝負~予選
軀以外の全選手が棄権したため、自動的に軀が本戦出場となりました。
軀の勝負~本戦・二回戦 対・棗戦
単行本では二回戦で棗とぶつかりましたが、アニメではこの後の三回戦、飛影との試合が二回戦にきていました。
ここでは単行本の試合で考察をしたいと思います。
他のブロックでは三回戦に突入しているにも関わらずDブロックの軀と棗の試合はまだ二回戦で優勝候補の軀がまさかの苦戦と言われるほどでした。
隣で黄泉VS幽助のすごい妖気を感じて、軀と棗は「無駄な体力のけずりあいはやめにしよう」と妖気を放出して一気にカタを付けにかかったのです。
軀の勝負~本戦・三回戦 対・飛影戦
単行本では結果だけしか描かれていませんが、アニメでは109話、『対決!飛影とムクロ』でオリジナルストーリーとして戦いが描かれます。
両手で黒龍波を撃つ飛影と本気になっていない軀の試合は、試合というよりは稽古を付けているような感じで終始描かれて、最後は軀に倒れ込むような形で飛影が敗北しました。
軀の勝負~本戦・四回戦 対・煙鬼戦
単行本でもアニメでも戦いの模様は全く描かれませんでした。
ただ、精神状態に大きく左右されるという軀の実力は和やかな大会では出せるものではなく、半分くらいの力で戦ったとの事です。
その状態で戦い、軀は煙鬼に敗北しました。
雷禅の旧友たちの勝敗
全員が予選を突破しました。
本戦ではいい具合にブロックが分かれたものの、Aブロックでは痩傑、周、才蔵、鉄山が集結し初っ端から激突し、ブロックは矢張りこの四人が順当に勝ち上がります。
特に痩傑と周の戦いは単行本でもアニメでも描かれましたが、子供の喧嘩のような言い合いが旧友らしくて微笑ましいものとなりました。
Bブロックにいた雷禅の旧友は九浄と孤光で矢張りこの二人がぶつかり合う結果になり、Cブロックには誰も入る事はなかったようです。
Dブロックには棗、電鳳、煙鬼が固まり最終的に雷禅の旧友たちは他の選手に負けるような事はなく、旧友同士で戦って勝敗が付いたと考えられました。
「魔界統一トーナメントが打ち切りになった理由とその勝敗は?」についてのまとめ
魔界統一トーナメントが詳しく描かれなかった理由はファンの間では物議を醸したものですが、病気のためだと分かれば納得できるというものです。
絵柄が乱れていた理由も、病気とストレスのためと分かれば、そんな状態でファンをガッカリさせないための処置だったのだと感謝すらするというもので終わり方も美しく最良だったと思えました。
そして魔界統一トーナメントの結果を顧みてみれば雷禅の旧友たちが上位を占めていて、かつての雷禅がどれだけ凄い喧嘩をしていたのかも分かりますね。
もし今後、単発読み切りでも続きが描かれる事があれば楽しみが盛りだくさんで期待値も上がるなと思えます。