【戦国小町苦労譚】壊血病と脚気に対する静子の治療方法

現代の人が「壊血病(かいけつびょう)」や「脚気(かっけ)」と聞くと昔の人がかかる病気というイメージで、ちょっと詳しい人だと、原因は確かビタミン何とかが足りなかったから位の認識であまり知られていませんが、現代でも稀にかかってしまう病気です。

今なら病院に行ってしかるべき治療を受ければ良くなる病気ですが、当時は何故病気に掛かってしまうのか分からない、原因が分からないから治し方も分からない。故に不治の病とされてきました。

漫画ワンピースでもヨサクというキャラクターが壊血病にかかり、偶然通りかかった麦わら一味の航海士ナミにより救済策(ライムを大量に口の中に入れた)によって入り名をとりとめたことで知られている病気ですね。

この病気の治し方というよりも改善方法を知っていた静子的には理にかなった事ですが、戦国時代の人からしてみれば、食事の改善だけという静子の簡単な治療はとても不思議だったに違いありません。

壊血病と脚気は戦国時代では不治の病だった

今ではなじみの薄い、壊血病と脚気がどういった病気なのでしょうか?

壊血病(かいけつびょう)とは

壊血病とは血管がもろくなり体の至る所から出血し、悪化するとそのまま死に至る病です。

その病状はあまりにグロテスクなので詳しく書くことはできませんが、気になる方はご自身で検索してみてください。

壊血病はビタミンCの不足によって引き起こされます。

人間の体の組織の大半はタンパク質で構成されていて、そのうちの30%程度がコラーゲンです。

コラーゲンは皮膚、血管、人体、軟骨等を作ってくれる主なたんぱく質になり、そしてこのコラーゲンを作るのに必要不可欠なのがビタミンCなのです。

ビタミンCはプロリンをヒドロキシプロリンという酵素にするという効果を勧める役割があって、このヒドロキシプロリンとプロリンという酵素がコラーゲンの立体構造を安定させる機能があるのですが、ビタミンCが欠乏することによってヒドロキシプロリンが減少しコラーゲンの立体構造を維持する事ができなくなります。

そして血管や皮膚の張りが無くなり、至る所から出血しやすくなって最後は死に至ってしまう恐ろしい病だったのですが、1919年に生化学者ジャック・ドラモンドによってオレンジ果汁の中に壊血病を防ぐビタミンCが発見され、ようやく壊血病の根絶に目途が立ったのです。

脚気(かっけ)とは

脚気の主な症状は、

  • 全身の倦怠感
  • 食欲不振
  • 手足のしびれ
  • 足のむくみ

等が挙げられ、重症化すると心不全を起こし死に至る事があります。

膝の下を叩いて、下肢が動くか動かないかで脚気かどうか判断するといった事で有名かもしれません。

脚気の原因はビタミンB1の欠乏によって起こります。

ビタミンB1は糖質代謝に大きく関わっていて、ビタミンB1がエネルギーを作る酵素の活性化を制御している為、ビタミンB1が欠乏すると糖質がエネルギーに変換されにくくなり、そして代謝が上手くいかなくなることによって心臓や神経系に異常をきたしてし、その結果上記に書いたような様々な症状が引き起こされるというわけです。

脚気がメジャーになったのは江戸時代ですが、貴族の間では奈良時代位からかあった不治の病の一つで、貴族は武士と違って主に白米を食べ、魚の干物に味のついてない副菜に汁ものと塩を綺麗に並べ、栄養や味付けよりも見た目の豪華さが大事という非常に偏った食事をしていました。

その為、脚気に掛かる人が多かったようです。

静子の治療方法

それでは静子がいかにして壊血病と脚気を治して行ったのか見ていきます。

脚気は食事療法が中心

近衛前久から脚気の治療を依頼された時に、静子がした事は一日3度の食事に麻の実を3つと大根、カブの葉の糠漬け、一夜酒を飲むという指示を出しただけでした。

麻の実とは、七味唐辛子とかに入っている事が多い木の実で、ビタミンB1・ビタミンE・マグネシウム・亜鉛・鉄・食物繊維が多く含まれていて、大根、カブの葉にはビタミンC、ビタミンK、葉酸、βカロテン、カルシウム、カリウムが、糠漬けに使われる米ぬかにはビタミンB1が豊富に含まれているので大根、カブの葉を糠漬けにする事により、より効果的にビタミンB1を摂取する事ができます。

一夜酒は甘酒のことでビタミンB群、必須アミノ酸、食物繊維、ブドウ糖等が多く含まれ、このビタミンB群は水溶性の為、過剰に摂取しても1回の吸収量を上回ると、余った分は不要な物として尿になって排出してしまうので、定期的に取らないと不足分を補いえません。

そのため、3食毎にビタミンB1を適度に取るよう指示する静子の考えは間違ってはいないのです。

壊血病の根本的な解決方法

静子がフロイスとの取引で壊血病の治療方法の提示をした時は、野菜類を摂取するだけで快方に向かう事を示唆し、野菜が手に入りにくい航海中は海綿(スポンジ)によるもやし栽培が最適だと結論を下します。

もやしは栄養が無さそうですが、実は非常に多くの栄養素が多く含まれている食べ物なのです。

特に壊血病に有効なビタミンCの含有量が多く、栽培もスポンジに水を浸して種を植えれば生えてくから非常に簡単ですし、壊血病は船の上で発症することが殆どなので、場所を取らないもやしの栽培を船で行いそれを食するという事を提示する事は非常に効果的な判断なんですね。

壊血病と脚気が恐れられていた理由と静子の治療方法のまとめ

長い航海の中、新鮮な野菜が食べれない事で発症する壊血病と、偏った食事を繰り返すことでなる脚気を食事療法で改善させた静子は、今後医療の発展にも大きく貢献すると考えられます。

現代でも偏食により、脚気に掛かる方は後を絶たないようなので、これを気に普段の食事を見直してみるのもいいかもしれません。

特にもやしはいつでも安価で売られているのでオススメの食品です。

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1570年、姉川の戦いの後、三好三人衆や石山本願寺が挙兵、それに合わせて浅井・朝倉連合軍と比叡山延暦寺の勢力が結託して織田軍に向かって進軍する。この後、史実では戦死するはずの森可成を救うべく静子は宇佐山に布陣する!