今回は4巻episode6 ばちあたりの夜話、前話の最後で土手から転げ落ちてしまった久能が検査のため入院することになり、病室で隣のベッドにいた元刑事牛田という老人と知り合いました。
元刑事牛田と出会い、昔の未解決事件の話に付き合わされることになるのですが、その未解決事件の真相とは?
病室で元刑事牛田と出会う
土手から転げ落ちてしまい頭を打ったかもしれないからと様々な検査をするが、特に具合が悪いところもない久能。
めまいも吐き気もないと伝えるが24時間は様子をみよう、と言われ入院することに。
「何かあったら呼んで下さい」と言われ病室へ向かうことになりました。
久能は1人じゃないと眠れないため誰かと一緒の部屋じゃなくてよかったと安心し、「月曜までのレポートがあるのに何にも持ってきていない!」と独り言を言いジタバタしていると横から物音が。
驚きながらカーテンを開けてみると隣には本を読む老人、牛田がいたのです。
牛田はバチが当たった?
静かだったので誰もいないと思いました、すみません、と声をかけると病院だからな、と言う牛田。
入院している女の子からもらったという「自省録」という本を読みながら死についての話が多くて面白い、この病院幽霊が出るらしいぞ、と話すが久能は幽霊は見ないから信じないと話します。
4巻の終盤、温室に現れた美女ライカ。 元刑事牛田へ渡し久能の手に渡った「自省録」を使った数字の暗号で主人公久能整と会話したり、春には自分はいなくなると言ったり、謎多き存在のライカは一体何者なのか? 今までの考察と最新刊8巻で明ら[…]
牛田も霊は見たことがなく親も女房も友達もみんな早く逝ってしまったが誰も出てこない、周りが削られていって結局1人、「バチが当たったんだろうなぁ」とつぶやきますが、久能はそれはバチではないと一掃し、バチだとしたら周りじゃなく本人に当たる、周りの人は牛田のおまけじゃないのでそれぞれ人生を全うしたと思うとのこと。
なぜバチが当たったなどと言うのが気になり牛田に尋ねると「自分は元刑事だった、面白かった事件の話をしてやろう」と久能の断りを聞かず昔話をはじめました。
元刑事牛田が語る昔の事件のクイズ
元刑事牛田が語る昔の事件のクイズに対し、久能はどのような結論を導き出したのでしょうか。
元刑事牛田から久能への問題①
- ある年の春、共通項がない3人が殺される事件があったが手口も場所もバラバラで別の事件に思われていた
- 4人目が殺され前科あるAの髪の毛が出て他3人との関わりが確認されたためAを取り調べたがやってないの一点張り
- 4人目はAと接点がなく、実際Aは犯人ではなかった
なぜでしょうと久能に問題を出します。
牛田の相棒が4人目だけAと接点がないことが引っかかっているようではあったが牛田はいずれ出ると思っていた、と話しました。
久能は真犯人はBで4人目を本当に殺したいと思っていた、犯人をAと思わせるためAにとって邪魔な人間を先に殺し4人目を殺したところで物証となるAの髪の毛を置く、物証からAが疑われるのではないかと推理すると「つまんね、そのとおりだ」と牛田は言い、美容室で働いていたBが真犯人でAの髪の毛を入手し利用したというのが真相だったのです。
元刑事牛田から久能への問題②
- 路上で女性が刺される通り魔事件があったが凶器、物証が何もでてこなかった
- そしてちょうどその頃空き巣が何件か起きていたかだれも通り魔とは関連付けず別の事件として考えられていた
どんなケースが考えられるかという問題、
久能は食い気味で常々考えているアイディアがそれだ!と言い、凶器や物証の処分が厄介だから知らない人の家にこっそり入ってクローゼットの奥とかに置いてくればいいのではと考えていて、空き巣は証拠を隠すために行っていたのではと答え、この問題も正解、そんなことを常々考えているのか!と牛田を驚かせました。
空き巣に入った家は掃除をろくにしていないような家が狙われ、ゴミ屋敷で自分が何を持っているか把握していない人もいた、と。
たまたま引越しの片付けで見覚えのない靴が出てきてもそれぐらいで警察に届ける人もいない、しかし相棒が地域住民と密にコミュニケーションをとっていたためその情報が入り靴を調べ、被害者の血痕がみつかり他の家から凶器と犯人の指紋を見つけることができた、相棒は優秀な刑事だったと話しました。
元刑事牛田から久能への問題③
- 20年ほど前、売春を生業にしている女性が次々殺される事件が起きた
- 犯人は証拠を残しまくっていたため刑務所を出たり入ったりしている羽喰 玄斗と分かり追っていた
- そんな時羽喰に追われているから保護して欲しいと言う連絡が入り相棒の霧島は指定された時間に向かい、牛田は家に空き巣が入られていたため10分遅れて向かった
- すると相棒の霧島の悲鳴が聞こえ牛田が急いで向かうと女性は殺されており、霧島は腹を2度刺されナイフが腕に刺さった状態で「羽喰を追って」と言うので必死に追ったが捕まえられなかった
霧島の爪には羽喰と争った時に入ったの皮膚がありナイフにも羽喰の指紋、その後羽喰の車が発見されたが姿はなく消息不明になったため未解決事件となってしまった。
相棒の霧島は生死を彷徨い一命を取り留めたが後遺症で左手があまり動かなくなり奥さんの実家の会社で働くことになり警察をやめたとの事でした。
牛田が語る問題③の真相
3つ目の真相について考えてみましょう。
そもそも牛田はなぜ10分遅れたのか
2日間着の身着のままだった牛田は着替えのため一瞬自宅に帰った。
すると自宅が空き巣に入られておりその連絡と処理に時間がかかってしまっていたのです。
急いで向かったが道も混んでいて指定された場所にはだれもいない状態、そこで空き地から悲鳴が聞こえてきたのでした。
草地だったため羽喰の足跡もなく、昔は監視カメラもそこらじゅうにあったりはしないと呟きます。
久能が考えるもう一つのケース
久能は相棒の霧島さんが犯人だというケースが思いつく、と言うと大して驚かない牛田に牛田自身も疑ったことを確信し「さっきの2つの問題はこの問題のヒントになっていたんですね」と話すと牛田が真相を語りはじめます。
- 羽喰の車を見つけた時にシートの隙間から霧島のボールペンを見つけ咄嗟に隠してしまった
- 最後の被害者と霧島は不倫関係にあり奥さんにバレないよう羽喰に罪を被せ命をかけて大バクチを打ったこと
- そしてそれを誰にも言えずにいたが時効廃止となり霧島の罪は永遠になってしまった
自分はもうすぐ死ぬが証拠と調べたメモをどうするのかそのまま誰にも言わず黙って死ぬか悩んでいたことを打ち明けるのです。
悩んでいるのは自分の罪がバレるのがこわいのか、相棒の罪が暴かれるのがこわいのかという久能。
牛田は自分の罪は証拠隠滅、犯人隠秘、結局自分を守りたいだけなのか、と自分の弱さに愕然とすると嘆きました。
刑事としても負け、長い闘病生活の末病気にも負けると言うと久能はそれは違うと言わんばかりに話を遮り、どうして「闘病」と言うのかと話すのです。
「闘う」と言うから勝ち負けがついてしまう、勝とうと思えば勝てたのに努力が足りず負けたから死ぬのか、勝ち負けがあるとしたらその時の医療がまけるのであって患者本人が負けるわけではないと。
病に勝つという気持ちが大事な時もあると牛田は言うがそれでも病に負けたから死ぬわけではないと語り、牛田は微笑みました。
相棒 霧島と牛田の再会
証拠をどうするのか実は決めていたという牛田だが知らせていなかった霧島がお見舞いにきてくれたことを話します。
警察をやめ奥さんの会社を継ぎ立派になっていた霧島だが、左腕は今でも動かない状態。
そんな霧島が身寄りのいない牛田の面倒を見させてほしい、治療費を肩代わりする、元相棒としてできることをしたいと言われそこまで落ちぶれちゃいない、昔と変わらず優しいヤツだ、と言いながらその対応で気が変わったと言いました。
どう変わったのかという久能の質問には答えないまま眠りにつくのでした。
元刑事牛田の正体と霧島の結末
翌朝、ぐっすり眠れた久能は部屋に人がいると普通眠れないのにめずらしいと言うと「え、誰もいなかったでしょ」と看護師に言われ、牛田さんがと呟くと、
牛田さんは長く入院していたけど昨日の朝亡くなりましたよ、お知り合いでしたか?と言われ久能はゾッとします。
そこに1人の男性が入ってきて久能は霧島さんですか、と声をかけ牛田さんが亡くなって悲しいですか?ホッとしましたか?と話していると警察が霧島の元にやってきました。
牛田は亡くなる前証拠を警察に送っており、霧島の周りを調べたら別荘の花壇から20年以上埋まっていた人の骨が出てきたと、鑑定したら指名手配されていた羽喰のものと判明したと言います。
それを聞き霧島は驚きもせず牛田さんやっぱり知っていたのか、ここまで黙っていてくれたのに自分が裕福になり腹がたったのか、とこぼすのです。
久能は牛田は死ぬまで真相を隠そうとしていたがあなたがお見舞いに来て気が変わった、プライドを傷つけたからではなくそういう申し出をされるのが嫌な人間がいることを知らないか忘れているというのが悲しかったのではないか、あなたのことは今でも優しい人だと言っていた、と伝え霧島は警察に連れていかれるのでした。
衝撃の結末ネタバレ!入院先で牛田との出会いのまとめ
幽霊は見ないから信じないと言っていた久能でしたが牛田さんがなんと幽霊でしたね。
たった数日の入院で牛田さんと出会ってしまうあたりが久能らしい。
そして犯人を当てていくのもとても面白くミステリ満載で個人的にとても好きなエピソードでした。