単行本2巻と早い登場ながら最終決戦では鬼殺隊と徒党を組み鬼舞辻無惨を討伐する補助に尽力した愈史郎ですが、果たして最後はどうなったのでしょうか。
今回は、
- 愈史郎の最後とその後
- 愈史郎のプロフィールと血鬼術
- 愈史郎と珠世の関係と結婚の可能性
等、愈史郎の活躍や珠世との関係の結末について紹介したいと思います。
愈史郎の活躍と最後とその後
単行本15巻の刀鍛冶の里編後に実施された「柱稽古」の最中、産屋敷耀哉は鎹鴉を使って珠世と接触を図ると、薬だけでは鬼舞辻無惨を倒せない為に無惨を逃さないように夜明けまで一緒に戦ってくれる者を探していた珠世と鬼殺隊の利害が一致し愈史郎も無限城での戦いに参戦しました。
愈史郎は珠世から隊員の救護及び援護をするように言いつけられており、隊士に扮装して「紙眼(しがん)」の札を無限城内にこれでもかという程ばら撒くと、札を貼りつけた鎹鴉を通して産屋敷輝利哉が状況を把握しつつ鬼殺隊の指揮を執るという活躍をしています。
愈史郎の活躍
無限城の戦いでは、愈史郎は村田と竹内と行動を共にしており、道中では獪岳戦で負傷した我妻善逸に珠世開発の血鬼止め(血鬼術の進行を止める薬)を使用し治療しました。
単行本21巻第180話では、珠世が鬼舞辻無惨に捕食・吸収されると、珠世の死を察知した愈史郎は激しく動揺した後に瞳孔を開き血を流すほど歯軋りし激憤する様子が描かれていますが、珠世の指示通りその後も鬼殺隊の救護と援護に助力しています。
また、上弦の肆・鳴女の血鬼術に悪戦苦闘する甘露寺蜜璃と伊黒小芭内の2人と合流すると、「紙眼」を使って鳴女の視覚を操作する事で蜜璃と伊黒を殺害したように無惨に誤認させており、油断した無惨を一気に強襲しようと目論見ました。
なお、無惨と対峙する竈門炭治郎と冨岡義勇が死にそうになった為に作戦を断念して蜜璃と伊黒が2人を援護した為、作戦変更しています。
愈史郎は鳴女の頭を掴み指を脳へ侵入させる事で鳴女にかけられた支配の力を外して彼女を操っていましたが、無惨に露見すると自分の行動の意味を暴露し「無惨、お前はこの世で最も重い罪を犯した。俺から珠世様を奪ったこと後悔して跪け!!」と涙を流しながら吐き捨てました。
愈史郎の目的は無限城を操作する鳴女を操作し城から鬼と鬼殺隊を追い出す事でしたが、無惨は外れかけていた支配の力を強めるばかりか鳴女を操る愈史郎の細胞までも吸収し始めます。
しかし、思いの外愈史郎の抵抗力が強かった事と柱達の総攻撃により無惨の集中力が削がれると、愈史郎は無惨の支配の力に打ち勝ち鳴女への侵食を上書きしていきますが、鳴女が完全に愈史郎の手に渡った瞬間に無惨は鳴女を殺害し処理した為、無限城は崩壊し中に居た者は地上へと放出されました。
戦場が無限城から市街地へと移行した後、単行本22巻第191話では無惨の毒に侵された炭治郎に血鬼止めを何本も打ち込む応急処置で命を繋ぐ他、描写は無いものの同じく無惨に負傷させられた蜜璃の治療も施したであろう描写等、負傷した鬼殺隊員を治療して回っている姿が描かれていました。
単行本23巻第200話では、鬼殺隊が無惨を討伐した瞬間を見届けていますが、その後に炭治郎が無惨に鬼にされると、既に太陽が射していた為に愈史郎の血鬼術は塵となり何も手助けできないもどかしさから「無惨め…!!死んで尚これ程他人に不快感を味わわせるとは」と独白しています。
しかし、生き残った鬼殺隊が総力を上げて炭治郎の鬼化を解除すると一人日の当たらない建物の中で腰を抜かしたように座り込み「ふん、お前は死なないと思ってた」と鼻をすすりながらも安堵していました。
また、懐に忍ばせていた珠世の簪を握り締めて全てが終わった事を報告しています。
愈史郎の最後
単行本23巻第204話では、無惨討伐から三ヵ月が経過しており、炭治郎は蝶屋敷で療養していました。
炭治郎の回想では、無惨討伐後に炭治郎が目を覚ました際に愈史郎は茶々丸と共に病室に訪れており、炭治郎が鬼に戻れた理由として胡蝶しのぶの薬を打たれた事と一度鬼から人間の体に戻った事で抗体を持っていた禰豆子を一番最初に噛んだ事が幸いしたと語っています。
そして、全てをやり遂げた炭治郎に対し「本当によく頑張ったな、えらいよお前」と清々しくも何処か儚い表情を向けるのでした。
一方で炭治郎が謙遜すれば「冗談で言ってるんだ、真に受けるな馬鹿が」と普段通りの愈史郎に戻ると、苛々してきたから帰ると告げて茶々丸を回収し病室を出ていきます。
しかし、愈史郎がドアを締め切る前に炭治郎が「愈史郎さん、死なないでくださいね」と声を掛けると愈史郎は核心を突かれたように立ち止まり、続けて炭治郎が「珠世さんのことずっと覚えていられるのは愈史郎さんだけです」と伝えれば、愈史郎は無言のまま少しの間を置いてドアを閉めるのでした。
炭治郎や読者視点では愈史郎はそれっきり姿を見せていないそうです。
愈史郎の生存が確定したのは公式ファンブック
愈史郎の安否について言及されたのは公式ファンブック「鬼殺隊見聞録・弐」に収録された書下ろし漫画「炭治郎の近況報告書」になります。
鬼殺隊解散後、愈史郎の行方は分からないままかと思いきや、何と蝶屋敷で医者をしている栗花落カナヲが医療について分からない事があった際に愈史郎に手紙を出して聞いていると判明しました。
カナヲは鎹鴉を使って愈史郎と連絡しているようですが、割とすぐに返事をくれる事から案外近くにいるのかもしれないと仄めかされています。
この情報をカナヲから聞いた炭治郎は嬉しそうにしていました。
愈史郎のその後
時は現代へと流れた最終話第205話では、何と愈史郎は茶々丸と共にまだ生きていました。
現代の愈史郎は珠世と呼ばれる美しい女性だけを描き続ける謎多き画家「山本愈史郎」として活動しており、近年では世界的にも高く評価され注目され始めるちょっとした有名人になっています。
ただし、インタビューに押し掛けた記者に対し猟銃をぶっ放した狂暴な画家としても周知されている為、性格は相変わらずなようです。
珠世ばかり描いている愈史郎ですが、絵の種類は被写体の角度・服装・表情等様々であり、作品数は確認出来るだけでも三桁を超えています。
余談ですが、善逸の子孫・我妻善照の初恋は812番「瑠璃の花の珠世」だそうです。
日本最高齢記録保持者となった産屋敷輝利哉とはいつの間にやら友達となっていますが、恐らく無限城で愈史郎の血鬼術「紙眼」を通じて共に戦った縁から鬼殺隊解散後も関係が続いていたのでしょう。
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また、愈史郎は珠世との思い出を胸に生きていく道を選んだと公式ファンブック「鬼殺隊見聞録・弐」に描かれています。
愈史郎のプロフィールと珠世との関係
【名前】 | 愈史郎(ゆしろう) |
【身長】 | 157㎝ |
【体重】 | 51kg |
【年齢】 | 35歳 |
【趣味】 | 珠世 |
【声優】 | 山下大輝 |
鬼舞辻無惨以外は鬼を増やす事が出来ないとされている中、愈史郎は珠世が200年以上かかって鬼に出来た唯一の人間です。
珠世は不治の病や怪我を負い余命幾許もない人間にのみ鬼化の処置を施すという信念を持っており、鬼化させる際には必ず本人の意思確認を取って鬼となっても生き永らえたいかを確かめています。
愈史郎の場合は床に臥せている描写と病で命を落とすと言われている為、重度の病人だったと考えられますが、珠世は「人でなくなることは…つらく苦しい」と鬼になるデメリットを誠心誠意伝えてから愈史郎を鬼化させました。
また、無限列車編の特典によると愈史郎の実年齢は35歳だそうですが、肉体年齢はどうみても少年のものに思えます。
珠世の肉体年齢が19歳という設定から、愈史郎が鬼となったのも10代の頃かもしれませんね。
愈史郎の血鬼術「紙眼」
愈史郎の血鬼術は眼のような紋様が描かれた札を貼る事で視覚に関する術を発動させる「紙眼(しがん)」です。
- 可視化
単行本2~3巻で対峙した鬼舞辻無惨の配下の鬼・矢琶羽が使用する見えない血鬼術に苦戦する竈門炭治郎に眼の紋様が描かれた札を貸す事で敵の血鬼術の軌道を可視化させています。
- 視覚共有
愈史郎の札を貼った者同士の資格を共有するサポート能力の一種であり、遠方に居ても札を貼った者、或いは鎹鴉に貼る事で情報収集を可能とする優秀な能力です。
最終決戦の無限城では札をあちこちにばら撒く事で細部にわたり敵地や隊士の動向を探り、指揮を執る産屋敷輝利哉のサポートをこなしています。
愈史郎と珠世の関係
病人だった愈史郎は鬼化する事で珠世に命を救ってもらっていますが、彼女に対しては崇拝に近い忠誠心を抱いており、珠世以外の事となると無関心かつ粗暴な態度を取っています。
では、なぜ愈史郎は珠世に釘付けなのか見ていきましょう。
愈史郎は珠世に一目惚れ
愈史郎から珠世に関する情報は公式ファンブック「鬼殺隊見聞録」の中の「鬼殺隊報」で語られています。
その情報によれば、愈史郎は珠世を見て雷が落ちたような一目惚れをしたと書かれている他、愈史郎が珠世の好きなところに関しては、
- 儚げなところ
- しっとりして清潔な声
- 勉強熱心なところ
- 考え事をしていて段差に躓いた時、愈史郎に見られていないか真っ赤になって周りを確認しているところ
- 農家が放し飼いにしている鶏にずっと後をついてこられて困った末にどうしていいか分からずにちょっと泣きそうになっていたところ
等が列挙されていますが、これらの項目は愈史郎にとっては序の口だそうです。
しかし意外にも、愈史郎に「珠世さんのこと好きなんでしょ!」と率直に聞くと顔を真っ赤にして黙り込むという弱点があります。
愈史郎の心酔ぶりは命を救われた恩義と珠世自身の美しさによるものであり、それらの感情から常に珠世を最優先して行動するようになりました。
愈史郎は珠世と過ごす時間を邪魔されると怒る
浅草で無惨と邂逅した炭治郎と禰豆子を珠世が屋敷に招いた際、愈史郎が危惧した通り無惨の配下に居場所がバレてしまうと「俺は言いましたよね?鬼狩りに関わるのはやめましょうと最初から」と警告したように、平和が脅かされると例え珠世相手でも自分の意見を押し通しています。
と言うのも、愈史郎は珠世と過ごす時間を何よりも大切にしている為、それを邪魔する者は炭治郎でも鬼でも許せないという想いが根底にありました。
また、禰豆子が珠世に抱きついた際には青筋を立てて睨めつけていたり、珠世が禰豆子を預かろうかと炭治郎に提案した時には「イヤだ、イヤだ」と心の声を珠世に向けて放っています。
なお、茶々丸に対しても珠世と触れ合っていると物凄く睨みつけていました。
愈史郎は珠世の気配が分かる
単行本15巻第131話では、産屋敷耀哉が鎹鴉を使って珠世とコンタクトを取っていますが、鬼である珠世を産屋敷邸に招くという耀哉の采配に珠世は一瞬警戒心を強めています。
その際、別室を掃除中だった愈史郎は珠世の気の乱れを察知して二階から階段を転がり下りるようにして珠世の元へ駆けつけていました。
珠世の血で鬼にされた愈史郎には主である珠世の危険を本能的に察知する事が出来るのか、無限城で珠世が死亡した際にも感知しています。
愈史郎は「珠世日誌」をつけている
公式ファンブック「鬼殺隊見聞録」にて明らかにされたのが、愈史郎は「珠世日誌」をつけるのを趣味にしているというものです。
一日で7~10ページくらい書き連ねているそうですが、その中身については秘匿されています。
愈史郎と珠世は結婚したのか
本編での愈史郎は、珠世が亡くなった夫と子供を忘れる事が出来ないと分かっていたので珠世に想いを伝えませんでした。
その為、愈史郎と珠世が劇中で結婚する事はありませんでしたが、愈史郎は「生まれ変わったら夫婦になってほしい」と約束を取り付けており、その際、珠世は微笑んで頷いたそうです。
正直な所愈史郎の台詞はプロポーズそのものであり、珠世も承諾しているので2人は両想いみたいなものですが、今世で結ばれる事はありませんでした。
その後、珠世は鬼舞辻無惨に殺害及び吸収されて死亡すると、夫と子供を殺めた罪で地獄に堕ちています。
しかし、公式ファンブック「鬼殺隊見聞録・弐」の愈史郎の欄にて、もしかしたら数百年後に地獄で罪を償い生まれ変わった珠世を見つけており、その頃には愈史郎の鬼の血も薄くなって2人寄り添い人間として歳を重ねたのかもしれないという記述があるのです。
珠世の転生の示唆と愈史郎の鬼の血も永続的なものではない事が仄めかされていますので、遠い未来になりますが、謎の画家として生き続ける愈史郎は更に数百年と生きた後に珠世と再会して結婚しているかもしれませんね。
愈史郎の最後と珠世との関係についてのまとめ
- 産屋敷耀哉が珠世に協力を願い出た際に愈史郎も産屋敷邸に追従
- 愈史郎は無限城の戦いで「隊員の救護及び援護」を珠世から言いつかっている
- 愈史郎は血鬼術「紙眼」を無限城にばら撒いて産屋敷輝利哉達と資格を共有し戦略面のサポートをしている
- 愈史郎は珠世の死亡後、鳴女を血鬼術で操作して無惨へ報復する
- 愈史郎は珠世の言いつけ通り、我妻善逸や竈門炭治郎といった負傷した隊員の治療を施している
- 愈史郎は竈門炭治郎が鬼化した際には既に太陽が昇っていた為、建物の中に隠れてもどかしさを感じていた
- 鬼殺隊が鬼舞辻無惨討伐を果たした際には、涙ながらに珠世の簪を握り締めて全てが終わった報告をする
- 最終決戦後、療養中の炭治郎の病室に顔を出して以来行方不明
- 公式ファンブック「鬼殺隊見聞録・弐」で、愈史郎は医者となった栗花落カナヲの相談を手紙で受けていると判明し、生存確認が取れた
- 愈史郎はその後、珠世との思い出を胸に生きていく道を選び、珠世を描き続ける謎多き画家「山本愈史郎」として活動して生き続けている
- 愈史郎は珠世に一目惚れしている他、命の恩人として心酔している
- 愈史郎は珠世に想いを告げていないが生まれ変わったら夫婦になってほしい」と伝えており、珠世も承諾している
- 公式ファンブック「鬼殺隊見聞録・弐」で、数百年後に地獄で罪を償って生まれ変わった珠世を見つけて共に歳を重ねていると仄めかされている
無惨の支配を解き人間の味方として最後まで鬼殺隊と戦ってくれた2人の鬼の最後は何とも悲しい別れとなり、愈史郎は茶々丸と共に長い生の中で珠世を想いながら生きていくという胸が苦しくなる結末でした。
しかし、公式ファンブックで仄めかされた通り、珠世は地獄で罪を償って数百年後に生まれ変わっている可能性と、その頃には鬼の血が薄くなり人間に戻っている愈史郎が生まれ変わった珠世を見つけて一緒に歳を重ねて生きているかもしれないと分かった時には、愈史郎が報われて感激したものです。
また、数百年と待ち続ける愈史郎の愛の凄さが伝わってきますね。