アニメもジャンプ本誌も大きな盛り上がりを見せている呪術廻戦。
大人気の渋谷事変編もいよいよ結末を迎えそうな中で、主人公・虎杖悠二について注目の説が浮かび上がり、物語序盤から多くの謎を抱えていた虎杖の謎にまつわる考察は、作中で新たな事実が明らかになる度に二転三転し、読者の中でも話題になっていました。
真人との激闘後、ついにその正体の一端を明らかにした偽夏油もその正体が虎杖の謎を大きく関わっており、そこから虎杖の正体がわかるかもしれないという可能性について、考察していきたいと思います。
虎杖と九相図について
まずは前提として、虎杖の謎について確認してみましょう。
謎に関わる作中での描写は以下の通りです。
- 1巻1話での伏黒の「凄いなアイツ 呪力なし 素の力でアレか 禪院先輩と同じタイプかな…」という推測
- 3巻24話での順平の「虎杖君のお母さんはどんな人?」に対する「あー俺会ったことねーんだわ 父ちゃんはうーっすら記憶あんだけど」という発言
- 4~5巻の東堂戦、12巻の脹相戦で描かれた『存在しない記憶』
虎杖の謎とは
- なぜ虎杖は、『天与呪縛(※禪院真希の場合は、術式がない代償に人間離れした身体能力を持つ)』である真希と驚異的な身体能力を持つのか
- 虎杖の両親はどんな人物なのか
- 東堂、脹相が『存在しない記憶』を見た理由とは何か。それは虎杖の持つ術式によるものなのか。
これらの要素は長い間、明かされることがなく謎のままでした。
特に脹相戦での「存在しない記憶」というワードの登場は、様々な考察を呼ぶ衝撃的な展開として記憶されていたと思います。
12巻の脹相戦の際に出ていた説として、「虎杖は『存在しない記憶』を見せる術式を持っているのではないか」というものがあり、これは東堂戦では、虎杖と東堂が親友であるという記憶を、脹相戦では虎杖と脹相や壊相・血塗といった九相図達と食卓を囲む記憶を見ていました。
それらは現実では起こっていないはずの記憶です。
自動的に「相手と親しくしている」記憶を見せることで相手を洗脳し、身を守るのではないか、というような説がこれまでの情報で出せる中では有力なものでしたが、新たに判明した事実によって、虎杖の正体についての一端や、「存在しない記憶」の真相が明らかになりました。
九相図について新たに判明した事実
判明した事実というのは、
- 133話での偽夏油の「我ながら流石と言うべきか 宿儺の器 タフだね」という発言
- 134話で判明。偽夏油は史上最悪の術師・加茂憲倫の体を乗っ取っていたことがある
- 134話での脹相より「俺には3人の親がいる 母 母を孕ませた呪霊 そしてその間に血を混ぜた 母を弄んだ憎むべき――」「そういうことか!! 加茂憲倫!!」
- 135話での脹相は術式によって、血の繋がった弟達の異変を感じ取れるということ
というものです。
虎杖の正体
まず「我ながら流石と言うべきか 宿儺の器 タフだね」という発言。
『我ながら』ということは、つまり偽夏油が『宿儺の器(虎杖)』を作ったというようにも取れます。
そして偽夏油が乗っ取ってきた体の中に加茂憲倫があり、加茂憲倫は九相図に血を混ぜた「親」でもあることが分かりました。
脹相が見た記憶の中の光景では、作中に登場している九相図3体(脹相、壊相、血塗)と虎杖、そして残りの九相図6つの受肉前の姿が描かれています。
虎杖がそのまま9つある九相図のどれかであるかは不明。
ただし、
- 脹相が虎杖を『弟』と認識していること
- 存在しない記憶を見たこと。
- 偽夏油(加茂憲倫)が『宿儺の器』を作り出したことに関わっている
と思われることから、九相図を作り出す技術が、虎杖の出生に関わっている可能性は十分あると考えられます。
脹相の言葉を信じるのならば、脹相と虎杖は血が繋がっているということで、やはりこれは加茂憲倫(偽夏油)が『宿儺の器』を作る過程で施したなんらかの細工が原因なのでしょう。
これまでも、虎杖は「真希と同じ『天与呪縛』なのではないか」「パンダのような『呪骸』なのではないか」というような推測は浮かんでいましたが、決め手に欠けてはいたため、これらは九相図の技術ということで説明がつけられます。
虎杖の両親と母の愛という呪い
身体能力にの謎についてですが、九相図である脹相は、虎杖と格闘戦で渡り合っていることから、高い身体能力を持っていることが分かりますし、虎杖も同様の理由で天与呪縛レベルの身体能力を得ているのでしょう。
両親の謎については、7巻60話で九相図である壊相が「母の記憶はない」と考えている描写があります。
「虎杖も母には会ったこがない=記憶はない」と考えると、この部分も繋がってきますし、そして虎杖のうっすらあるという父の記憶が、偽夏油(加茂憲倫)か、もしくは偽夏油が宿儺の器を作るために用意した父親のものなのでしょう。
虎杖の母についてなのですが、こちらも60話内の九相図の説明に「その呪力の起源は母の恨みかそれとも――」という記述があり、この部分を考える時に浮かぶのは0巻での五条のセリフ「これは持論だけどね 愛ほど歪んだ呪いはないよ」を思い出します。
つまり、『母の愛』という呪いによって、虎杖や九相図達は強力な力を得ているのではないでしょうか。
こういった部分は、今後の虎杖のドラマを描く際にも、重要なポイントになってくるでしょう。
主人公とその両親のドラマというのは、少年漫画では感動的な良いエピソードが出てくるテーマで、今後楽しみな部分です。
存在しない記憶は虎杖の術式なのか
『存在しない記憶』についてですが、これは脹相に関しては、135話語られた通り術式効果によるもので、虎杖の術式ではないようです。
これで東堂のものは妄想、順平の「ゆ…うじ…な…んで?」も術式効果ではないという可能性が濃厚となりました。
渋谷事変終盤の流れにおいて明かされたこれらの事実から浮かぶ虎杖は九相図の技術によって生まれたのではないかという説は、長らく引っ張られた謎に対して、細やかに張り巡らせた伏線が繋がっていくことで明かされる、渋谷事変クライマックスに相応しいものでしょう。
まとめ
- 虎杖の身体能力は九相図に由来するものだった
- 虎杖の両親は、九相図の母と、加茂憲倫本人、もしくは彼が用意した人物だった
これらは未だ確定ではないではありませんが、現在の本誌の展開でこれらの考察についての答えが提示される可能性は高いと思います。
この謎の答えを見届けるためにも、呪術廻戦は引き続き目が離せない展開が続きそうです。