『鬼滅の刃』に登場する上弦の鬼・猗窩座は、圧倒的な強さを誇る存在ですが、女は殺さないという独自のこだわりを持つ鬼としても描かれています。
なぜ猗窩座は鬼になったのでしょうか。
また、数多くの命を奪いながら、なぜそのこだわりを貫いていたのでしょう。
その背景には、人間時代に経験した壮絶な過去と、一人の女性への消える事のない想いが関係しているのかもしれません。
そこで今回は、
- 猗窩座の人間時代の過去
- 鬼になった理由
- 恋雪との関係
- 女を殺さない理由
- 最後に迎えた結末
など、猗窩座の生き様と本当の姿について紹介していきます。
猗窩座の過去
猗窩座は鬼舞辻無惨直属の鬼であり、十二鬼月・上弦の参として登場し、血鬼術「破壊殺」を使い、拳と体術を極めた戦いを得意とする存在です。
人間時代の名前は狛治(はくじ)で、鬼になった時の年齢は18歳とされており、武術師範・慶蔵に引き取られて道場で修行しながら生活していました。
慶蔵の娘である恋雪は狛治の婚約者で、看病をしながら共に日々を過ごしており、結婚を前提とした穏やかな暮らしが描かれています。
生きるために罪を重ねた
狛治は幼少期、病弱な父と二人きりで貧しい生活を送り、父の治療費を稼ぐために盗みを重ねていました。
生き延びるためには盗んだ金を持って逃げ切り、襲いかかる相手を退け、奉行所に捕まらないだけの強さが必要だったため、狛治はその強さを求め続ける他はなかったのです。
罪を重ねる事は迷惑ではなく、父のためならどれほどの痛みも耐えられると信じていものの、父は「自分のせいで息子が罪を重ねている」と苦悩し、自ら命を絶ちます。
遺書に残された「真っ当に生きてほしい」という言葉を前に、狛治は父のために選び続けてきた生き方そのものを否定されたように感じ、行き場を失ってしまったのです。
恋雪との出会い
狛治は武術師範・慶蔵の道場で、病弱な娘・恋雪と出会いました。
恋雪は狛治の過去や噂で人を判断することなく、一人の人間として接してくれて、道場で暮らすようになった狛治は、恋雪の看病や身の回りの世話を任されるようになります。
体調を崩すたびに「ごめんね」と謝る恋雪の姿を前に、病人はいつも自分を責めてしまうものなのだと感じていました。
本当に辛いのは恋雪本人なのにと思いながら、狛治は黙ってそばに居続けたのです。
それは、かつて病に伏した父を看病し続け、辛抱の利く体だった狛治にとって自然な振る舞いでした。
やがて盗みや喧嘩をやめ、鍛錬と日常に向き合い、道場を継ぐことと恋雪との婚約を認められたのです。
その時、人生をやり直せるかもしれないという期待が狛治の中で収拾がつかない程膨らみ、命に代えても守りたい二人への思いへと変わっていきました。
猗窩座が鬼になった理由
猗窩座が鬼になった理由は、作中でははっきりとは語られていません。
ですが人間だった狛治は、守るはずだった父・慶蔵・恋雪を次々に失い、その喪失と後悔の中で心をすり減らしていきました。
自分が弱かったから守れなかったという思いは、やがて弱さそのものへの強い嫌悪へと変わっていきます。
無惨に鬼へと変えられた彼は、過去から目を背けるように、ただ強さだけを信じて生きる存在となり、それ猗窩座という鬼の在り方を形作ったのかもしれません。
慶蔵・恋雪との奪われた幸せ
狛治が留守にしている間、道場の井戸水に毒が入れられ、慶蔵と恋雪は毒殺されていました。
原因は、道場を快く思わない他流派による逆恨みだったのです。
帰宅した狛治はすでに息絶えた二人を前にし、大事な人間が危機に見舞われている時に限って、いつも自分は傍にいなかったと突きつけられます。
誰よりも強くなって一生守ると約束したのに、その約束は何一つ果たされることなく、最も守りたかった存在を失ってしまったのです。
守れなかったという事実だけが残り、狛治の心は深い虚無と怒りに支配されました。
狛治は怒りの行き場を失ったまま、道場を襲った67人を素手で惨殺し、人として後戻りできない一線を越えたのかもしれません。
猗窩座が女を殺さない理由
猗窩座が女を殺さないのは、鬼になっても消えなかった人間らしい思いの名残で、その理由の一つは、人間時代に最も大切だった恋雪を守ろうとした経験にあります。
病弱な彼女を守る中で、「女性は守る存在」という意識が強く残っていたのでしょう。
さらに、父親や慶蔵から学んだ「強さは守るために使うもの」という考え方も、彼の行動に大きな影響を与えています。
猗窩座は戦う相手を自ら選ぶ性格で、弱い者を襲わないことにも、この価値観がはっきりと現れていたのです。
猗窩座と童磨の関係とは?過去に因縁はあったのか
猗窩座と童磨の関係は、鬼になってから生まれたもので、位の上下がはっきりしています。
人間時代には二人に因縁や接点はなく、関わりはありませんでした。
猗窩座は童磨より先に鬼となり、長く活動してきた古参で、努力や鍛錬を大切にする考え方を持っています。
一方で童磨は後から鬼になったものの、圧倒的な能力で短期間に上弦の弐に昇格し、命や感情をあまり重んじない思想を持っていました。
童磨の「女を喰えばもっと強くなれる」という言葉は、猗窩座にとって恋雪や過去を踏みにじるものとなり、女を殺さない理由や童磨への嫌悪をより際立たせます。
こうして二人の対立は、鬼になってからの考え方や生き方の違いよって生まれたのです。
猗窩座の最後
猗窩座は炭治郎と富岡義勇に敗れ、死亡しました。
無限城で戦闘が始まると、猗窩座は傷つきながらも戦いを続け、これまでの鬼と同じく圧倒的な闘争本能を見せつつも、戦いの中で人間として記憶がよみがえり、無惨の支配を振り切るように再生を止めたのです。
最後に思い浮かべるのは慶蔵と恋雪、そして父親の姿で、その想いを胸に鬼としてではなく狛治として終わる事を選んだのかもしれません。
炭治郎との戦いで蘇った猗窩座の記憶
猗窩座は、自分が求めていた強さは誰かを傷つけるためのものではなかったと、ようやく気づき始めたのかもしれません。
守れなかったものへの深い後悔と、今も守りたいという決意が胸の奥で激しく交錯し、彼の心を揺さぶり、胸の奥で長く封じてきた記憶が一気に蘇りました。
その際、病弱な父を守れなかった幼い日の悔しさを強く感じ、慶蔵と過ごした穏やかな日々の温もりも、失った重みとともに思い出されます。
恋雪との小さな約束を守れなかったことへの後悔が、胸を締めつけるように押し寄せながら敗れていきました。
まとめ:猗窩座が女を殺さない理由は過去の人間時代に守れなかった恋雪への想いと深い罪悪感
猗窩座が女を殺さない理由は、人間時代に守れなかった恋雪への想いと深い罪悪感です。
鬼として圧倒的な力を手に入れた今でも、守るべき存在を決して裏切らない信念が彼の全てを支配しています。
その信念こそが、誰にも理解されず孤独と痛みを抱えながらも、壮絶な過去と向き合い続ける彼の唯一の生きる理由となっているのです。

