ジバクくんは1998年から2000年まで、エンターブレイン社のマンガ雑誌「ファミ通ブロス」にて連載が行われた、柴田亜美の漫画作品です。
連載開始をした翌年である1999年から、漫画連載が終了した2000年までテレビ東京系列でアニメ放送も行われており、漫画作品よりも先に最終回を迎えています。
そんなジバクくんですが、漫画版の最終回とアニメ版の最終回をはじめとして、ところどころに相違点が見られており、漫画とアニメを視聴していると違和感を感じるところがあるのです。
そこで今回は、
- ジバクくんの漫画版とアニメ版の内容が違う理由
- ジバクくんの漫画版とアニメ版の大きな違い
- ジバクくんの漫画版最終回とアニメ版最終回のあらすじ
について解説を行い、ジバクくんの最終回を始めとした、漫画版とアニメ版の内容相違について詳しく見ていきたいと思います。
ジバクくんの漫画版とアニメ版の最終話などの内容が違う理由
ジバクくんはアニメ版と漫画版で設定と結末が違いますが、その原因とは一体何だったのでしょうか。
ジバクくんのアニメ版と漫画版の内容が違う理由を解説していきます。
漫画版の連載をアニメ版が追い抜いたから
ジバクくんのアニメ版と漫画版で設定や結末が大きく違う理由が、漫画版の連載をアニメ版が追い抜いてしまったからです。
ジバクくんのアニメは漫画の連載から1か月遅れて開始されているのですが、掲載誌であったファミ通ブロスは月刊誌であり、週間で放送されるアニメの方が物語が早く進行します。
そのため蓄積した原作を使い切ってしまい、漫画版とは違う展開にせざるを得なかった、ということなのです。
そんなジバクくんのアニメ版は、第15話「悪しき夢・その名は斬!」から、アニメ版オリジナルキャラクターの斬が登場しはじめ、オリジナル展開に入ります。
以降、第16話「GCライブ・夢に歌う!」から物語は大きく変化し、同じキャラクター・舞台で展開するジバクくん漫画版第15話「”太陽と音楽”!の巻」とは全く違う話になるのです。
つまり、アニメ版と漫画版の物語変化の境目は第15話で、爆一行がロックの国に立ち寄る話から変わっていくようになったと言っても過言ではないでしょう。
リンクテキスト:アニメ版と漫画版で違いが始まった15話が掲載されている3巻を読んでみる
ジバクくんの漫画版とアニメ版の大きな違い
漫画版ジバクくんとアニメ版ジバクくんは結末やそれまでの物語の他、一部の設定などにも相違があり、両方見ているという人には違和感が感じられることでしょう。
では、漫画版ジバクくんとアニメ版ジバクくんにはどのような設定の違いがあるのか、大きな違いの部分を解説していきます。
アニメ版オリジナルキャラクターと漫画版のみ登場のキャラクターがいる
アニメ版ジバクくんには、漫画版ジバクくんには登場しないキャラクターが存在します。
それがアニメ版の物語の黒幕として登場した斬と、眠り姫こと天に使わされた小型生物のプリムでした。
斬は天によって作られた人形であり、それが悪しき魂を持ったという設定の存在で、プリムは天が作り出した自分の分身で、天の意思を宿した存在として登場します。
どちらもアニメ版で展開された物語に大きく関わるキャラクターであり、アニメ版の展開のために作られたキャラクターと言っても過言ではないでしょう。
逆にアニメ版の展開には必要がない、展開の変更によって登場しない漫画版のキャラクターもいます。
それがツェルーのGCでありGS、そして炎の側近であった現郎や、爆の父親にして炎の命の恩人である真、激の弟子として描かれたヒロト、雹の弟である瑠璃です。
爆の父親は設定が変更されており、ツェルーのGCであった設定が付与され、真という名前もなくなっていました。
ちなみにアニメ版限定のキャラクターである斬ですが、漫画版最終話付近がアニメ放送後に制作されていた関係からか、コミックス6巻第27話96ページ4コマ目の回想シーンにて登場しています。
炎と天らと共に星を脱出した生き残りとして、現郎の右側に描かれていることが確認されているのです。
トラブルモンスター周りの設定が大きく違う
ジバクくんの世界には「トラブルモンスター」という存在がおり、これらを討伐するために未成年の少年少女がGCに任命されて、戦いに赴くという設定になっていました。
このトラブルモンスターは、漫画版だと針の塔の中にある0の樹から生み出される毒素を身に貯めこんだり、木の実である0の実を動植物が摂取することで生まれます。
そして、0の樹は漫画版の黒幕である炎が、自分にとって理想的な軍を作るための人材を育てる為に、強敵を用意する手段として作り上げたものだったのです。
アニメ版ではこの周りの設定が変更され、0の樹というものは存在せず、トラブルモンスターはアニメ版の黒幕・斬の生み出す目覚めの毒によって生まれるとされていました。
GCは目覚めの毒と斬、トラブルモンスターに対抗するために、星が生み出した命の結晶という設定になった聖霊たちの王「ジバク王」が作った存在になったのです。
アニメ版では以上の理由から0の樹関連の設定が大幅に変更が加えられており、0の樹の毒素が人間に蓄積して生まれたという変異種・鳥人や、0の樹の番人チャラはそれらに関係しない存在となっていました。
また、同様に雹も鳥人という設定があったのですが、アニメ版では鳥人ではなくなり、それに関して弟の瑠璃が人間に殺されたことや、人間への復讐心が取り払われており、大幅な設定変更がなされています。
キャラクターに細かい変更点がある
ジバクくんはアニメ版・漫画版共に登場キャラクターは一部を除いておおよそ同じではありますが、細かい設定変更がされている場合がありました。
その細かい設定変更点は以下のようになっています。
- 爆:漫画版では炎によってGCに見いだされたが、アニメ版では物語開始時点でGC。
- ピンク:漫画版では物語中盤で一度爆との旅を止めるが、アニメ版では別れることはない。
- カイ:ピンク同様に爆と別れることはない他、アニメ版では女のアリババに惚れていた。
- ダルタニアン:漫画版では両親共に故人であったが、アニメ版では母のみ生存している。
- アリババ:漫画版では呪いが解けた時点で男固定であったが、アニメ版では呪いが中途半端に残り、時折女になってしまう。
- ライブ:漫画版ではデッドとは同一人物設定であったが、アニメ版では双子の兄弟であり、更にアニメ版では漫画版と違って最初から売れっ子ロックシンガーという設定。
- 乱丸:アニメ版ではフネン仙人こと激の弟子となっている。
- ルーシー:アニメ版では海賊ではなく、海賊になるのを夢見ている設定に変更された。
- デッド:漫画版ではライブと同一人物設定であったが、アニメ版では双子の兄弟。
- ハヤテ:アニメ版では人間の変異種・鳥人の最後の1人という設定だが、アニメでは設定変更から、翼を持つ人間という扱いで、性格も穏やか。
- ジャンヌ:アニメ版ではトラウマのせいで冷酷な軍人になってしまった、という設定。
- ツェルーのGC:漫画版では炎の側近である現郎が務めていたが、アニメ版では爆の父親が務めている。
- 炎:漫画版では黒幕であり、物語の騒動を引き起こした原因であったが、アニメ版では黒幕の斬を倒すために戦っていた善人になっている。
- 雹:漫画版では鳥人設定で、弟が人間に殺害され、復讐を決意するなどの凄惨な過去があるが、アニメ版では鳥人ではなく、元ツェルーのGCであるという設定になった。
- 激:漫画版では呪いをかけられた経緯が針の塔への反逆だったが、アニメ版ではGSになることを拒否したためとなっている。
- 聖霊:漫画版では炎がGC達の能力を得る為に作り出した人工生命体であったが、アニメ版では星が生み出した命の結晶である。
- チャラ:漫画版では0の樹の実を直接人体に埋め込まれた人間で、0の樹の番人を名乗っていたが、アニメ版では正体不明の存在で、人間体のみの登場になっている。
- 閑:漫画版では不燃物島でGSになれなかった者たちのリーダーとして登場するが、アニメ版では針の塔内にある異空間「夢の最果て」で唯一存在する人間として登場した。
- タツヤ&ベンジー&テル:漫画版では不燃物島でGSになれずに彷徨う囚人として登場するが、アニメ版では閑の回想でのみ登場する。
- 天:漫画版では最終盤に爆の母親であることが明かされるが、アニメ版では爆の母親ではなくなった。
特に0の樹関連の設定変更があるため、ハヤテや雹の性格や過去及び目的、チャラのキャラクター性などが大幅に変わっていました。
ジバクくんの漫画版最終回とアニメ版最終回のネタバレあらすじ
ジバクくんはアニメ版は第26話「夢・それは始まり」で、漫画版は第28話「”夢に向かって生きろ!”の巻」で最終回を迎えています。
ですが、どちらのストーリーもそれまでの物語運びや設定変更が影響し、大きく違う内容になってしまっているのです。
では、ジバクくんの漫画版最終回と、アニメ版最終回とは一体どのような内容になっているのか、以下両メディアにおける最終回のあらすじを、ネタバレありで記載していきます。
ジバクくんアニメ最終話「夢・それは始まり」のあらすじ
自らを生み出した眠り姫こと天を乗っ取ったことで、完全体となった斬は、ツェルブワールドに自らの分身を送り込んで、破壊の限りを尽くし始めます。
ツェルブワールドを救わんと戦う爆と炎は斬と対峙するものの、完全体の斬の力は強大であり、2人の力を以てしても勝利を収めることはできませんでした。
そこで炎は呪いを自らの身へと移し替える術「センジュ」を用い、天から斬を引きはがして己に封印し、爆に自分を倒させることで斬を滅そうとするのですが、斬は逆に炎を取り込んでしまいます。
斬が剥がれた天は目覚め、爆に斬を倒すための力を託すと、爆は託された力でジバクくんと共に斬を倒し、消滅させたのです。
斬が消滅したことで炎も無事に解放され、爆と炎は仲間たちのもとへ戻ることができました。
そうしてツェルブワールドは危機から救われたのですが、炎と天はそこに留まらず、針の塔の崩壊と共に現れた宇宙船で、故郷の星へと帰っていきます。
これにて世界は平和に戻ると思われた矢先、突如宇宙船が飛び立っていった跡地から、斬が世界に振り撒かれた目覚めの毒の残滓を吸収して、復活してしまったのです。
強大なモンスターとなった斬に、爆はGC達の聖霊を束ねて立ち向かい、聖なる浄華で邪悪な存在を両断します。
全ての目覚めの毒を消し去った浄華の力は世界中に降り注ぎ、荒れた土地に花を咲かせていきました。
そして力を束ねた聖霊たちは消滅した、と思いきや、絆を結んだGC達のもとへと戻ってきたのです。
今度こそ危機を脱し、元通りになったツェルブワールドで、爆とジバクくんは己の夢「世界の覇王となる」ことを叶えるため、再び旅立っていくのでした。
ジバクくん漫画最終話「”夢に向かって生きろ!”の巻」のあらすじ
自らの野望「滅びた己の国を再建させる」ということのためにツェルブワールドを犠牲にし、無敵の軍団を作ろうとする炎を止めるため、爆とGC達、そしてGS達は立ち向かいます。
しかし全てのGCのライセンスを扱える炎の強大な力と、GCの力をインプットした機械兵「零式兵」の前に苦戦を強いられ、その隙に炎は聖霊たちと共に爆を連れ去ってしまうのです。
炎が爆を連れ去った先は、針の塔の中に作られた宇宙船で、炎は爆と共に宇宙へと飛び立とうとします。
炎が爆に執着を向けている大きな理由は、かつて滅びゆく故郷から、星の王族であった炎と天の姉弟を救い出した、星で最強の戦士「真」の子供であったからでした。
ツェルブワールドを離れようとした宇宙船を天が力を用いて止め、その中で炎の野望を打ち砕かんと爆は立ち向かいますが、炎に従う聖霊たちが爆に向けて攻撃を開始します。
そんな爆を助けてくれたのは、爆と共にあり続けたジバクくんで、全ての聖霊の力を1人で受け止めたジバクくんは、力尽きてしまいました。
炎の命令を無視し、絆を結んだ人間を助けた姿を目の当たりにして、聖霊たちは迷い、その結果、命を落としたジバクくんに力を束ね、蘇生させることを選ぶのです。
再び炎と対峙するジバクくんと爆の前に現れたのは、かつて天が炎を封じる為に使用していた剣で、天の言葉に反応してその姿はかつて真が使っていた大剣に変化しました。
しかしその一太刀でも炎は止められず、爆は己とジバクくんの身を賭けてでも阻止を決めるのですが、そんな炎と爆の間に割り込んだのは現郎だったのです。
現郎の言葉で実は真が炎と天を守るため、ツェルブワールドにまで現れた侵略者を全て命と引き換えに打ち倒していたことを知り、真が炎自身の夢を叶えることを望んでいたことも知ります。
全てを悟った炎は己の罪を雪ぐために、自身が作り出した0の樹が振り撒く毒素を全てその身に受けて死のうとしますが、爆やGC達の使う浄華の力で毒素が消え、生還しました。
しかし宇宙船の出発を止めることはできず、爆は炎と彼についていく現郎を残し、テレポートを用いて地上に帰るのです。
そして7年後、針の塔の代わりに天が世界を支える大樹となったツェルブワールドで、炎と爆は再会します。
新たな夢を得た炎と、世界制覇を目指し続ける爆は、改めて夢と誇りを賭けた真剣勝負をしようと、互いに剣を構えるのでした。
リンクテキスト:ジバクくん最終話が掲載された6巻を読んでみる
ジバクくんの最終話のアニメ版・漫画版の違いと、違いが出た理由のまとめ
- ジバクくんのアニメ版と漫画版の最終話が違う理由は、アニメ版と漫画版のストーリーが違うから
- ジバクくんのアニメ版と漫画版のストーリーに変化が生じるのは、両方とも第15話から
- ジバクくんのアニメ版最終話は第26話で、ラスボスは斬というアニメオリジナルキャラクター
- ジバクくんの漫画版最終話は第28話で、ラスボスは炎
- アニメ版では漫画版の重要な設定がなく、一部キャラクターの悲惨な過去の削除や、正体が明かされないなどの変化がある
ジバクくんの漫画版とアニメ版はアニメが漫画を追い抜いたことで、第15話を境目に分岐し、別の物語を辿って、別の結末に到達します。
その間、0の樹などの重要な設定部分に大きな改変が行われており、0の樹関連の設定を持つハヤテや雹、チャラといったキャラクターの設定や雰囲気が大きく違うようになっていますね。
それでも一部の設定は漫画版とアニメ版で共通しており、炎と天の正体などには手を加えられていませんでした。
ちなみに作者の柴田亜美はアニメ版の設定変更や物語運びを伝えられておらず、漫画版よりもアニメ版で先に炎と天の正体が明かされ、ショックを受けた、というエピソードがあります。