漫画「スケアリー・キャンパス・カレッジ・ユニバーシティ」は、2022年34号の週刊ヤングマガジンから連載されているホラー漫画です。
| 原作・作画 | 永椎晃平(ながしいこうへい) |
| 掲載誌 | 週刊ヤングマガジン→ヤンマガweb |
| 出版社 | 講談社 |
| 単行本 | 既刊6巻(2023年時点) |
永椎晃平先生は「放課後ソードクラブ(別冊少年マガジン、全3巻)」「星野、目をつぶって。(週刊少年マガジン、全13巻)」「僕はまた、君にさよならの数を見る(月刊ビッグガンガン、上下巻)」「獣の六番(週刊少年マガジン、全3巻)」などの作品を描いてきました。
また、進撃の巨人で有名な諫山創先生のアシスタントを経験した過去をもっています。
今回は、そんな永椎晃平先生の今話題沸騰中の作品「スケアリー・キャンパス・カレッジ・ユニバーシティ」について紹介したいと思います。
スケアリー・キャンパス・カレッジ・ユニバーシティの最新話
2023年11月(記事執筆時点)での最新話は「文化祭編」になります。
第33話「ゼミナール」(単行本5巻冒頭収録)が導入部であり、文化祭編は第51話「文化祭」(恐らく今後発売する7巻に収録)から正式に始まりました。
今回、文化祭編の重要キャラとなるのがかつて恩師・二村重範の下で一緒に被禍処理をこなしてきた間九部薫の大学時代の同級生・㐂崎柳一(きざきりゅういち)であり、彼は伝承文化民俗学の専門家として鷹陽学園大学にやってくるとゼミを開いています。
諸外国で未知の民族・文化を発見して民俗学史に革命を起こした天才教授そしてイケメンの容姿からたちまち学生に人気のゼミとなりましたが、彼の目的は来る文化祭に向けて厄災の種を集める事であり、ゼミでは学生に怪異譚を収集させ贄にしました。
㐂崎によって㐂崎ゼミの受講生20名の内13名の死者が出ましたが、警視庁は本件を怪異事案と認定し管轄外なので捜査権を専門家に移譲するといった特例を出しており、報道規制及び箝口令が敷かれています。
㐂崎の目的には少なからず間九部に命の危険が迫っている事、そして千嵐の大事な友達にも危害が及び兼ねないという理由から、今回に限っては千嵐まひなと八絵馬ill子がタッグを組んで㐂崎の目論見を潰そうと結託しましたが、㐂崎ゼミの生き残りの受講者が見つけた怪異譚を文化祭で展示する前に潰そうとした所、怪異は対峙したものの八絵馬はここで負傷し入院する事になりました。
その後、千嵐は間九部と共に配信サービスの怪異譚の拡散を防ぐ為に奔走し解決しますが、㐂崎ゼミの受講者が集めた最後の怪異譚であるパチンコ店にやってくると、パチンコ中に千嵐は㐂崎の接触を受けます。
そして、千嵐は「何のために殺戮をしようとしているのか」と問い詰めると、㐂崎は鷹陽学園大学には卒業までに怪異によって80～120人の死亡者が出ている筈なのに大学側の卒業者記録には死亡した人数分だけどこからか学生が補充されて実際の人数分の学生が卒業している事を打ち明けました。
つまり、鷹陽学園大学には力を持つ一部の人間以外何の違和感も抱かない認識を改変させる怪異が潜んでいるという事ですが、その怪異は長年原因不明・正体不明の怪異として被禍処理対策課に伝わっており、当時の二村教授は「補充された学生は過去に死んでいる人間」だと気付いたそうです。
そこで今回㐂崎が鷹陽学園大学を訪れたのはその怪異を利用して死亡したと思われる二村重範を蘇らせる為でした。
昔から人間が嫌いだった㐂崎は明確な夢も目標も無くふらふらと遊び貴重な人生を浪費するバカな大学生ならばその存在は無価値であるとして、二村が蘇るまで今回の贄に消費させる計画だったのです。
この正体不明の怪異が補充する過去の死人は完全にランダムなので㐂崎でも生き返る人間を選ぶ事が出来ない完全ギャンブルである為、大当たりを引くには持ち玉が必要であるとして、文化祭当日に大勢の人間の前で怪異譚を展示させて大量消費を目論んでいます。
一方で、間九部は二村が死亡しているとは思えないと考え、千嵐と共に㐂崎が文化祭で大勢の前で怪異譚を展示する前に二村が生きている証拠を集めようと奔走するのでした。
また、今回の文化祭編の導入で間九部の過去が千嵐に打ち明けられています。
スケアリー・キャンパス・カレッジ・ユニバーシティのあらすじ
本作は大学生千嵐まひなを主人公に繰り広げられる大学生及び大学生活を舞台としたホラー漫画です。
春高に出場するレベルで厳しいバレー部西高出身の千嵐まひなは鷹陽学園大学入学後、大学ではイケメンの彼氏を作るために勇気を出して新歓コンパに参加しますが、何とそこは新入生のお酒に薬を混ぜて暴行をするヤリサーでした。
自分を前に出す事が苦手だった千嵐はサークルの先輩の誘いから逃げるように酒の席を立つと、非常階段で風に当たっているところに三回生の藤宮と鉢合わせて一目ぼれします。
藤宮も千嵐と同じように酒を飲むと人が変わるサークル仲間が苦手なようで席を立ったそうですが、藤宮の提案で二人は幽霊が出るという廃墟ビルに訪れる事になりました。
しかし、千嵐は廃墟にて本物の幽霊を目撃すると、後日から幽霊に犯される悪夢を見続けて寝不足となり精神的に追い詰められてしまうのです。
そんな中、意識朦朧と学生課に赴くと大学の職員から「被禍証明書」という用紙に被禍内容を記入し間九部薫を訪ねるように言われた為、千嵐はC棟4階のゼミ室を訪問すると、そこで左腕に入れ墨が入った金髪大柄の男・間九部薫と出会いました。
そして、千嵐は間九部の協力のもと自分に取りついた幽霊の除霊を試みますが、一足遅くサークル仲間が被害に遭い……。
本作は初めて親元を離れ、初めて一人暮らしをし、初めて出自も素性も定かではない大勢の人間と関わる大学生活を送る千嵐まひなの怪異体験の物語であり、怪異を惹きつけやすい体質の千嵐と毎回助けを求められる間九部の、一般人と専門家を主役に据えたホラー漫画になります。
スケアリー・キャンパス・カレッジ・ユニバーシティのおすすめや面白さ
| 作品内容・ストーリー | |
| 作画 | |
| ホラー要素 | |
| サービスシーン |
昨今ではそれなりに連載中のものがありますが、ホラー漫画というジャンルは希少であり、過度なギャグ要素が薄い本格的なホラー路線なのが本作になります。
基本的には大学生になったばかりの千嵐まひなと怪異の専門家である間九部薫の二人三脚で怪異事件やトラブルを解決する1～3話構成の短編を繰り返していますが、時折10話に満たない中編を挟む形式です。
大学生に関連する事件が多い為、キャンパス内での怪異が殆どですが、中には温泉旅行だったり大学構内の外で事件が起こる事もあります。
そして、普通に怪異に大学生が殺されたりする為、地味に被害者が続出している作品です。
作画は全体的に丁寧かつ書き込み量もあり綺麗という印象です。
それでいて萌え絵ではなく、かといってリアルタッチでもありませんが、丁度いいバランスでホラー要素と合う絵柄であり、画力に関してはかなり上手い部類でしょう。
また、怪異(幽霊)の描き方も中々怖いものが多く、日常パートとホラーパートで明暗がはっきりしているので読み進めていて疲れる事はありません。
スケアリー・キャンパス・カレッジ・ユニバーシティの登場人物紹介
本作の主要キャラ及び準レギュラーの紹介になります。
千嵐 まひな(ちがらし まひな)
鷹陽学園大学一年生の千嵐まひなは、勉学や運動など何一つ突出するものがない平々凡々な人間であり、大学生活は好きな事をやって自堕落な生活を送っています。
そんな彼女は怪異を引き寄せる体質らしく、怪奇現象が起こると噂の廃墟に行けば幽霊を目撃、一人暮らしを始めた部屋には子供の幽霊が出没、バイトを始めたらバイト先で怪異に襲われる……といった具合に頻繁に心霊現象に悩まされているのです。
千嵐を救ったのは大学に籍を置いた間九部薫であり、怪異を引き寄せる度に間九部に世話になると、その体験の中で空っぽだった自分のやるべき事・目指す事が見えてくるようになりました。
しかし、大学生特有の様々な誘惑を簡単に払いのけられる程千嵐は立派ではないので、気が付けばまた怪異に取りつかれているという状況に陥りますが、ストーリーが進むにつれて間九部を信頼し徐々に自分の力でもやれる事を成し遂げていきます。
何の取り柄もない自分がもし間九部のように出来たら頑張ったんだって自分を褒められる、それが千嵐を動かす原動力になっているのです。
間九部 薫(まくべ かおる)
千嵐まひなが通う鷹陽学園大学のC棟4階の端のゼミ室に居座る右腕に入れ墨、いかつい用紙をした男性ですが、その正体は怪異を専門とする被禍処理対策課のプロになります。
物心ついた頃から人には見えないモノが見えており、彼が死に直面すると「アレ(神楽鈴を鳴らす輿を担ぐ行列)」が現れて脅威を取り込んでいくらしく、「アレ」が去った後はいつの間にか左腕に入れ墨が増えていく仕様です。
また、中学生の頃には被禍処理の仕事をこなしており、当時はそれが使命だと思っていました。
とある理由で恩師であり前任者でもあった二村重範が失踪した為、大学卒業後、鷹陽学園大学の被禍処理対策課を引き継いでいます。
今の間九部は恩師の忠告通り「手を貸すのは被禍証明書を受け取ったのみ」「そこに書かれている以上のことは対応しない」を忠実に守っていますが、千嵐との出会いでその枠を飛び出しているようです。
藤宮(ふじみや)先輩
鷹陽学園大学三年生の爽やかなイケメン男性で、サークル「スマッシャーズ」の新歓コンパで千嵐と出会いました。
藤宮曰く勉強も運動も苦手で自信や得意な事が無いというコンプレックスから幽霊やUFOでもいいから特別な何かに出会えたら自分も特別に近づけるんじゃないかと考えるようになったらしく、特別に近づく為に日夜幽霊を見ようと活動的です。
しかし、何をどう頑張っても幽霊が見えない体質である為、ある種、怪異を引き寄せる体質の千嵐とは対照的なキャラクターとなっています。
登場は準レギュラー程度です。
蘇芳 ネネ(すおう ねね)
単行本2巻のバイト編から登場した鷹陽学園大学一年生の女性で、千嵐とは怪異をきっかけに友人となり現在では準レギュラーとなっています。
実家は田舎の小さな印刷会社を営んでいますが出来の悪い一人娘を大学に通わせる費用が無い他、蘇芳が高校を卒業したら適当に仕事を手伝わせ適当に見合いをさせて婿養子に会社を継がせるか畳むかまで決められていた為、蘇芳は自分の人生プランが勝手に決まっているのが嫌で勝手に大学を受験し授業料をアルバイトで稼いでいる努力家です。
その為、誰かを当てにしたり端から諦めたりする事が嫌いであり、勉強して力をつけて自分の力で実家の稼業を継ぐと決意しています。
千嵐と出会ってからは初めて怪異と遭遇し、千嵐を助ける為に間九部を呼ぶなどの活躍を見せました。
八絵馬 ill子(やえま イルこ)
超常現象カウンセラーをやっている女性で、動画配信サイトでは「絵馬～じぇんし～」の挨拶で始まる姫巫女として活動しています。
八絵馬ill子は所謂芸名のようなもので、本名は八絵馬射呼(やえまいるこ)です。
政府筋や名前の出せない大物からの依頼をさばく凄腕の怪異専門家ですが、学生時代は間九部と同じ鷹陽学園大学のゼミ仲間であり、共に被禍処理を行っていた仲間でもありました。
大学卒業後は間九部が被禍処理対策課を受け継いだ為、個人で仕事を引き受けているようですが、間九部に助けられた過去から彼にほの字であり、彼の為に行動する事が多いものの、その他の人間、特に馬鹿な大学生には嫌悪感を持っているので一般人の犠牲は歯牙にもかけません。
二村 重範(にむら しげのり)
10年程前に行方不明となった間九部の恩師で初老の怪異専門家です。
「他者を愛せ、自分を愛せ、人として生きる者の基本だ」と間九部に説いており、間九部がこれまで通り人助けに力を際限なく使用すれば瞬く間に命が費える事を心配し、人を救う為に命を投げ出す間九部の在り方を尊重した上で「被禍証明書を提出した者のみ」と「そこに書かれたことのみ」に対応し子供達の選択を見守る被禍処理対策課の後継者に任命しました。
しかし、卒業旅行のついでに被禍処理を行っていた所から記憶が混濁すると、鷹陽学園大学のゼミ室にて間九部の目の前で右手のみを残して行方不明となってしまったのです。
スケアリー・キャンパス・カレッジ・ユニバーシティの最新話のまとめ
漫画「スケアリー・キャンパス・カレッジ・ユニバーシティ」は、現代のごく一般的な女子大生を主人公にしたホラー・怪異作品です。
ホラー漫画なので敬遠しがちですが、絵柄は現代チックで作画も良く、内容はまさしく現代の怪異に当てはまるモノが多いので現役大学生にはドンピシャ、または似たような学生生活を送っていた方には少なからずシンパシーを感じるかもしれません。
2023年時点で既刊6巻であり、恩師の二村の行方も分かっていない、中編・長編の文化祭編の途中なのでまだまだ続きそうですね。
