【葬送のフリーレン】グリュックとマハトの関係は?過去と現在のその後

グリュックは城塞都市ヴァイゼの領主ですが、フリーレン一行が旅を始めた20年前には既にヴァイゼの住民と一緒に黄金卿のマハトによって黄金に変えられています。

では、グリュックとはどんな人物なのか、そして城塞都市ヴァイゼ編の結末ではどのようになったのでしょうか。

今回は、

  1. グリュックのプロフィール
  2. グリュックとマハトの関係
  3. グリュックとデンケンの関係
  4. グリュックのその後

などグリュックについて紹介していきたいと思います。

グリュックのプロフィールと過去

初登場は単行本9巻第84話「命知らず」にて、デンケンとフリーレンがエーレから受け取ったマハトの100年分の記憶を解析する際の回想であり、本格的な登場は単行本10巻第90話「グリュック」になります。

グリュックは城塞都市ヴァイセの領主であるものの実権の無いお飾りの領主であり、帝都の政争に敗れた貴族が行き着く最後の場所、人の悪意や汚職が蔓延して腐りきった城塞都市ヴァイセにて悪徳貴族を相手に政争を繰り広げる貴族でした。

しかし、グリュックは領主として都市の腐敗ぶりを憂いながらも行動に移す事は無かったのですが、ある時、正義感の強い息子がヴァイゼの有力貴族達に直訴をすると数日後にはバルコニーから自殺した風に装って殺害されるという事件が起こり、グリュックは息子の死をきっかけに心変わりしたのです。

グリュックは息子を殺した貴族がやったように配下に一言「殺せ」と命じると簡単に相手を殺せる事を痛感し彼等のやり方の合理性を理解します。

そして、その後は息子が目指した人があるべき世界を目指して、法の通じない世界で獣のように殺し合う腐敗した貴族達を殺し続けていたのです。

グリュックは配下に命じて殺してきた貴族達は自分以上に救いようのない悪党だったと語る他、自身も彼等同様に手を汚したその時点から自分の犯した罪の報いとしていつでも死ぬ覚悟は済ませています。

因みにグリュックとはドイツ語で「幸運、幸福」を指すようです。

グリュックとマハトの関係

二人の出会いはマハトが気まぐれで城塞都市ヴァイセに向かう貴族の馬車を襲撃したことに起因します。

グリュックの優秀な配下は全てマハトに殺害されてしまいますが、グリュックは死ぬ覚悟は7年前に済ませていると語り最期の一服を所望し吸い始めると、マハトは人殺しの眼をしつつも血生臭く変わった性格をしているグリュックに興味を抱き始めるのです。

そして、マハトはかつて殺した神父が「悪意や罪悪感」を感じない魔族に対して憐みの言葉を投げかけたのをきっかけに「悪意や罪悪感」といった魔族に無い感情を探している事を話すと、グリュックは素直に聞かれた質問に答えるように「おそらく魔族には悪という概念自体が分からないのだろう」と語り始めます。

グリュックは息子を殺害されたのを皮切りに悪徳貴族に復習をしヴァイセを正しているという半生を話すと「私程悪意に触れた男はそうはいない」として、自分ならばマハトが知らない「悪意や罪悪感」といった感情を教えられると交渉し、感情を教える事を条件に実験を握っている一族の排除の手伝いを頼みました。

二人の関係性はグリュックがマハトに何が正義で何が悪なのかを教える代わりにマハトがグリュックの敵を片付けるという奇妙な協定で結ばれており、グリュックはマハトがその感情を知るまで地獄の底まで付き合う事を約束しています。

こうしてグリュックは城塞都市ヴァイセの実験を握りながらも私利私欲に走り圧政を敷く一族とそれに迎合する悪徳貴族を一掃し、ヴァイセから汚職を消し去り平和で豊かな都市を実現させました。

一方で、マハトをグリュック家の魔法指南役に任命し地位を確立させています。

グリュックにとってマハトは「悪友」

グリュックとマハトが共に時間を過ごした期間はおよそ30年ですが、その結果、マハトは長い時間を共にした人類を葬る事で「悪意や罪悪感」が分かるかもしれないと遂に城塞都市ヴァイゼ共々グリュックを黄金に変えるのでした。

しかし、グリュックは黄金に掛けられる間際にはこのように語っています。

  1. 「人と魔族の時間はこれほどまでに違い、私と共に過ごした時間も君にとって一瞬の出来事に過ぎなかったのだろう」
  2. 「君はとてもいい悪友だった」
  3. 「マハト、君は私の大切な悪友で、救いようのない悪党だ」
  4. 「いつか必ず報いを受ける、今の私のようにな。楽しかったよ、マハト」

マハトはグリュックを黄金に変えても「悪意や罪悪感」を覚える事は出来ませんでしたが、それでもグリュックという人類の友はマハトにもう少しで何かを掴ませる程には印象深い存在となりました。

そして20年の歳月が流れると、フリーレンがマハトの「万物を黄金に変える魔法」を解析し城塞都市ヴァイゼの黄金化を解いた際にはグリュックもまた黄金化を解呪されており、マハトの死に目に遭遇するとかつてグリュックが述べたようにマハトもまた自分が報いを受ける時が来たと話すのです。

グリュックは何処か悟ったような表情を浮かべると徐に愛好の煙草を吸い始めマハトにも煙草を差し出し最期の一服を共有します。

マハトはグリュックを黄金化しその後20年も「悪意や罪悪感」を探し求めたみたものの結局何も分からなかった事を告げると、グリュックは彼と出会った当初にマハトの知らない感情を教えると約束しながらもその約束を果たせなかった事を謝罪し、あの時の言葉は本心から述べたと語り、マハトは「…存じております」と返すのでした。

その後、止めを刺すべく追いかけてきたデンケンに見つかると、グリュックはすぐに老人が成長したデンケンだと気付く他、マハトが本当に助からない傷を負って死に瀕している事を実感し「頼む、デンケン、もう楽にしてやってくれ」とマハトがこれ以上苦しまないように悪党らしく散っていく様を見届けます。

また、マハトの最期を見届けた後は「悪友よ、楽しかったよ。…本当に楽しかったんだ」と灰化して消滅していくマハトの残骸に向けて一人で呟いている事から、グリュックは本心からマハトと歩む人生を楽しんでいたように窺えました。

グリュックとデンケンの関係

デンケンはグリュックの親戚の子供であり、娘のレクテューレとは子供の頃から仲良く遊ぶ間柄です。

デンケンは両親を亡くしてからは教会で祈りを捧げるようになり、それを不憫に思ったのかグリュックはデンケンを気に掛けるようになると、デンケンが将来魔法使いになりたいと願った為、グリュックはマハトが一般攻撃魔法に精通している事、また魔族でありながら人類の魔法を巧みに行使出来るという理由から「デンケンにマハトを魔法の師匠として紹介しました。

成人を迎えた頃にデンケンがレクテューレと結婚した為、デンケンはグリュック家の婿養子となります。

なお、魔族のマハトでもレクテューレがデンケンに好意を寄せている事には気づいていましたが、将来二人が結婚を果たすと、マハトが「あのとき私が言ったことは間違っていませんでしたね」と述べるとグリュックは「覚えていないな」ととぼけました。

 

ポイント

グリュックは、デンケンを通して例え復讐心であっても人には生きる目標が必要である事をマハトに説いており、以降もマハトにはデンケンの師匠であり打ち倒すべき敵として存続するように頼んでいます。

グリュックは半世紀ぶりにデンケンと再会

グリュックが杖を付き始めた年齢の頃、体の弱いレクテューレが若くして逝去してしまうと彼女の為に尽力し着実に地位を獲得してきたデンケンは全ての努力が水泡に帰す事となり虚無感に苛まれて何十年も帰郷しなくなりました

デンケンが献身的にレクテューレに尽くしてきた事はグリュックも目にしてきた所であり、愛する人を救えなかったデンケンの心情を理解している為に「もう何年もデンケンは帰ってきていないな。無理もないか、彼はそれほどまでに娘のために尽くしてくれていた」と娘の墓前で語っています。

グリュックが娘の墓前にそう呟いたのがマハトと出会って30年後であり、その墓参りの直後に城塞都市ヴァイゼは黄金に変えられた為、フリーレンが「万物を黄金に変える魔法」を解析しヴァイゼの黄金化を解呪した際には20年越しにデンケンと再会を果たしました。

デンケンと再会した際にはマハトを討ちヴァイゼを救った英雄としてその功績を称えていますが、義父としては「たまには帰って来いと言ったが、まさか半世紀ぶりになるとはな」と時間の経過を痛感しています。

また、デンケンがフリーレン一行という友人に恵まれた事を感慨深く思っているようです。

グリュックのその後

城塞都市ヴァイゼが黄金に変えられてから約50年後、城塞都市ヴァイゼの住人やグリュックは50年振りに当時のままの姿で現代に解放されました。

解放後はフリーレンからヴァイゼが黄金化させられた後の事を聞いており、フリーレン一行が出立する際には数日後にはヴァイゼの後処理に帝都から使者がやってくる事を伝えています。

これは、今や国すら動かせる偉大な宮廷魔法使いとなったデンケンにグリュック自らが頼んだ要請であり、自分を含めたヴァイゼの貴族の悪行が白日の下に晒される事は亡き息子が望んだ正義の執行であるとして今の心境を喜ばしく語りました。

また、マハトは確かに悪友であったものの、彼を討ったデンケンやフリーレン一行を恨む気持ちはさらさらなく、もしフリーレンがヴァイゼを黄金卿から戻さなければあの最期はあり得なかったとして、悪党らしく華々しく散っていったマハトの最期には寧ろ本心から感謝しています。

最後の登場はフリーレン一行の出立をヴァイゼから見送る立ち姿であり、グリュックがその後どのような処罰を受けたのかは描かれていません。

グリュックについてのまとめ

  1. グリュックは城塞都市ヴァイゼの領主だが実験の無いお飾りの領主
  2. グリュックとデンケンの関係は元々親戚だが、現在は義父と娘婿の関係
  3. グリュックは正義感の強い息子がヴァイゼの実験を握る一族に暗殺されて以降、同じ手段で悪徳貴族を暗殺している
  4. グリュックはマハトと出会ったのをきっかけに、魔族の知らない感情を教える代わりに邪魔な一族の排除を手伝ってもらい、ヴァイゼに豊かな平和をもたらした
  5. マハトが「悪意と罪悪感」を知る為に長年仕えて親しくなった悪友のグリュックをヴァイゼの街事黄金に変えた為、グリュックは50年間黄金化している
  6. フリーレン一行がヴァイゼを元に戻した際にグリュックは50年振りに黄金から解放されてマハトの死を見届ける
  7. グリュックにとってマハトは悪友であり、一緒に過ごした時間は楽しかったと語っている
  8. グリュックは黄金から解放された後、自分を含めたヴァイゼの貴族の悪行が白日の下に晒す為に宮廷魔法使いのデンケンに頼み帝都の使者を呼び正しく裁いてもらう事を望んでいる

グリュックは魔族のマハトに何が悪で何が善であるかを説き、マハトが知りたがっている感情を約束通りに教えようとした悪意をよく知っている人間でした。

グリュックとマハトの会話はまさに悪巧みのソレであり、しかし二人が何処か楽しそうに会話をする様子は割と好評だったように思えます。

マハトは口では「結局何もわからなかった」と語っていますが、グリュックとの最期の会話のおかげで、今際の際にはほんの少しだけ魔族が一生理解出来なかった感情の糸口程度には何かを掴みかけていたかもしれませんね。

葬送のフリーレン
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魔王を倒した勇者一行の後日譚ファンタジー 魔王を倒した勇者一行の“その後”。 魔法使いフリーレンはエルフであり、他の3人と違う部分があります。 彼女が”後”の世界で生きること、感じることとは-- 残った者たちが紡ぐ、葬送と祈りとは-- 物語は“冒険の終わり”から始まる。 英雄たちの“生き様”を物語る、後日譚(アフター)ファンタジー!