漫画版「ワンパンマン」に登場する怪人協会の頭目・怪人王オロチは原作に登場していない村田雄介版のオリジナルキャラクターです。
そして、怪人協会編が進むにつれて怪人王オロチは多くの失敗と犠牲のもとにギョロギョロが作り上げた究極生物と判明しました。
そんな怪人王オロチは何者なのか、またどのようにして倒されたのでしょうか。
そこで今回は、
- 怪人王オロチの死亡は何話?
- 怪人王オロチvsサイタマの詳細と修正前の比較
- 怪人王オロチの素顔と正体
- 怪人王オロチとサイコスの合体
など、怪人王オロチについて判明している事を紹介したいと思います。
怪人王オロチの死亡は何話?
怪人王オロチとサイタマの戦いが描かれたのは単行本24巻114撃目「強敵」からであり、怪人王オロチの死亡が描かれたのは単行本24巻115撃目「生贄」になります。
怪人王オロチは怪人協会地下の祭壇にてサイタマに敗れてひっそりと退場しました。
怪人王オロチvsサイタマの詳細
Z市のゴーストタウンで人質救出作戦及び怪人協会掃討作戦が執り行われていた裏側で、何も知らないサイタマはヒーローと怪人の戦闘音をただの騒音だと思いクレームを入れる為に単独で怪人協会本部へ赴きました。
業火のフレイム、疾風のウィンド、育ち過ぎたポチ、ニャーンと次々と災害レベル「竜」の怪人と相対し道すがら退治してきたサイタマでしたが、地下で偶然出会ったのが怪人王オロチなのです。
怪人王オロチは他の怪人とは違いサイタマを一目見て無視していいゴミではないと見抜くと触手攻撃で先制を取ります。
しかし、ただのパンチで触手を粉砕されたオロチはサイタマから得体の知れない「圧」を感じ取る他、狂暴なポチがサイタマに怯えている様子を目の当たりにすると、怪人協会の建物全体に衝撃波を走らせたのがサイタマだと確信し、更にはムカデ長老とゴウケツを倒した不可解な存在と地上で広まる「ゴーストタウンの化物」の噂の正体がサイタマだと得心するのです。
そして、サイタマこそが己が復活する為の生贄に相応しいと認識すると仮面を外し、ギョロギョロ(サイコス)も知らないという協会地下最奥に眠る超古代の神殿にサイタマを招待するのでした。
オロチはサイタマを邪神復活の儀に捧げる為に足場が溶岩に満たされた神殿を舞台に選びこの神殿を見つけた経緯を話しますが、サイタマは付着した汚れを落とす為にマグマで入浴を堪能するという奇行を見せつけいよいよオロチも「なんなのだコイツは」と畏怖します。
警戒心を強めたオロチは尾を地面に突き刺すと地球のエネルギーを直に汲み上げて「ガイア砲」という特大のエネルギー弾を放つと、この影響力で地球が唸りを上げて地震が発生するのです。
しかし、サイタマは風呂(マグマ)に浸かりながら「フロも静かに入れねーのか」とやや不機嫌になると必殺マジシリーズ「マジ水鉄砲」を放ちオロチの「ガイア砲」を相殺し、その勢いのまま跳躍するとただのパンチでオロチの胴体に風穴を空けるのでした。
オロチは自分の身に何が起きたのか理解出来ない様子で「貴様、今…何をした…?」と難色を示すものの、入浴を終えたサイタマは着替えながら「お前の親にかわって教育的指導だ。フロで騒ぐな!」と一蹴します。
そして、いい湯だったとだけ言い残して立ち去っていくサイタマですが、神殿はオロチとサイタマの攻撃の衝撃で崩落が始まると、オロチは瀕死の肉体を引き摺りながら祭壇の壁画へにじり寄っていきました。
「おお…わ、私の祭壇が崩れる…私の…」
そう言い終えたオロチは息を引き取ったのか祭壇の前で倒れると「カミ」の姿が描かれた祭壇と共に眠りにつくのです。
また、116撃目「フェイク」ではタツマキと戦闘中のギョロギョロが視覚共有した単眼で地下でオロチの残骸を見つけてその死亡を確認しています。
怪人王オロチvsサイタマの修正前の比較
実はオロチvsサイタマの戦闘シーンは修正されており、修正前のエピソードはとなりのヤングジャンプワンパンマン原稿大全「番外編21(第150話)」で閲覧する事が出来ます。
修正前でもオロチとサイタマの出会いはある程度一緒ですが、オロチはサイタマを「ゴーストタウンの化物」と確信した直後に背中に触手を展開させた人型形態に変身しており、サイタマと戦う目的は人間のままで辿り着ける生物的強さの極致がどこまで自分に通用するのかという興味によるものでした。
対してサイタマはオロチの主張には一切興味が無く、これまでもオロチのような怪人をさんざん相手にしてきたものの究極生命体と謳いつつも何が違うのか分からず、どうせワンパンで終わるのだろうと期待さえしていません。
オロチはサイタマが述べたように会話を取り止めて闘いを開始しますが、触手攻撃も触手の先の大蛇の口から発する雷のようなエネルギー弾もサイタマには通用せず、どれもワンパンで破壊されてしまいます。
そしてサイタマの攻撃を避けて上空から至近距離で特大のエネルギー弾を浴びせますが、サイタマは意に介さず瓦礫の上を跳躍するとそのままオロチの胴体を突き抜けるようにパンチを繰り出し粉砕するのでした。
サイタマに打ち砕かれたオロチは肉片になりながら「いま何を…し…た……?」と訳が分からないといった面持ちで訊ねると、サイタマは「ん?普通のパンチ」と何食わぬ顔で返答します。
その後、オロチは肉片となり怪人協会地下に開けられた穴に崩落していきますが、落下の最中に「これが…恐怖か」と独白し退場するのでした。
オロチの今際の台詞とサイタマの決め手が普通のパンチというのは修正後も変わりませんが、修正前のものは仮面の取り外しや「カミ」の壁画が無いので少し淡泊といった印象ですね。
怪人王オロチの素顔と正体
怪人王オロチはギョロギョロが作り上げた怪人であり元人間です。
オロチはギョロギョロの管理の下選りすぐりの強者との膨大な合成実験・戦闘実験を経て人から規格外の怪物へと成長し、生贄によって強大な力を得てきました。
ギョロギョロが提供する生贄に飽き足らなくなったオロチは地球深部のエネルギーを直に吸収しようとある日本能のまま地底へ潜行すると、古代の神殿に行き当たり、現在のオロチの姿と瓜二つの怪物が描かれた古代の壁画を見つけます。
「我々の神は遥かな時を超え地上に復活するだろう。この祭壇に捧げられたふさわしい生贄によって」
不思議と古代文字を読み取れたオロチはこの瞬間に天命を悟り自分が神になるべき存在だったと自覚すると、以来仮面をつけて表向きはギョロギョロに付き従い生贄を屠りながらも「ふさわしい生贄」を探し続けていました。
その目的は「邪神復活の儀」を執り行うためです。
残念ながら怪人化する前の人間時代の素顔は描かれていませんが、現在の怪物化した際の能面のような顔は仮面であり、仮面を取ると光源のように光る二つの双眸と触手が蠢く素顔が拝見出来ます。
オロチとサイコスの関係
怪人協会でサイコスは肉人形ギョロギョロとして怪人化の秘法を試しています。
怪人化するには人間としての死を何度か乗り越え常軌を逸した肉体と精神への負荷を与える事が必要であり、その過程で死亡してしまう人間は後を絶ちません。
また、万が一負荷に耐えられても知能が低下や成長が止まる為に凡庸な怪物になるパターンがあるので、怪人化する際には本人のレベルに適した地獄を味わわせる事が肝心なのです。
サイコスは人間や怪人を使って数え切れない程の実験を繰り返す事で人間を簡易的に怪人化させる技術を手に入れましたが、個体が持つ才能に準拠した変化しか起きず、それ以上の成長は見込めませんでした。
その後、成長の限界を破る方法を知る為に怪人に怪人を食べさせたり、血液や細胞を移植したり交配させたりと何パターンかの痛みやストレスを与え怒りや憎しみを増幅させる等、思いつく限りの事をやってきましたが、漸く死を乗り越えると一つ上のステージに進む事が分かったのです。
死を乗り越える事で爆発的な成長を見せると分かったサイコスでしたが、殆どの実験体はレベル「竜」に到達する前にあえなく命を落とした為、失敗作の山が積み重なっていきました。
しかし、サイコスが目に付けたのが人間時代に既に人から離れかかっていたオロチであり、サイコスはオロチに接触して勧誘すると初めての成功作として怪人王オロチが誕生したのです。
怪人王オロチとサイコスの合体
単行本26巻131撃目「魔合体」では、サイタマに敗れたオロチは小さな怪人ほどの大きさの心臓部だけは辛うじて活動を続けており、身体を再生する為に血を求め協会内に根を張ると網に掛かった怪人を捕食・吸収していました。
そんな中、強い力を求めると現状一番出力の高い戦いを繰り広げるサイコスとタツマキを感知すると、血を求めて上層へ向かいタツマキを奇襲しサイコスをタツマキの捕縛から解放します。
捕縛を抜けたサイコスは「結合するんだ、お前の肉体の莫大なエネルギーで私の超能力を増幅すれば必ずあの女にも勝てる…!!」と豪語すると、向かってきたオロチを迎え入れ結合を開始しました。
しかし、続く単行本27巻132撃目「浸食」にてオロチは「これまで私の成長を促す為にせっせと生贄を運んでくれたな、感謝するぞサイコス。次はお前だ」とサイコスの精神を浸食し始め融合を始めます。
ですが、サイコスは精神が浸食する前に超能力を最大出力で放つと「主人は私だ」と述べオロチの侵食をねじ伏せ合体を成功させるのでした。
合体後の姿は神々しい幾重もの翼を広げた蛇のような尾を持ち四本腕に二本の槍を持ったドラゴンを模した頭部といった神話に登場しそうな異形の怪人であり、オロチの名残りで触手や地下に根を張っています。
頭部の額にある水晶のような場所にサイコスの肉体が生えており、指揮系統や会話がサイコスが担当しているようです。
しかし、オロチの細胞に浸食されたサイコスの姿は片目が黒く染まっている他、「ねじ伏せてやったぞ、オロチの肉体は私のものだ」と言いながらも「私を砕いたハゲの男、奴も見つけ出して復活の生贄にしてやる…!!」と発言している事から完全に侵食されている訳でないものの、サイコスが知らない筈の単語を口にしているのでオロチと精神が融合しているような状態でした。
ただ、オロチの意志があまり見えてこないのでサイコスの言う通り主人はサイコスであり、オロチ自体はサイコスの制御下にあるのかもしれません。
サイコスがオロチを制御できた理由
サイコス単体は戦慄のタツマキに及ばない超能力者ですが、災害レベル「竜」の中でも上位に相当する怪人王オロチをなぜ制御できたのでしょう。
その理由が明かされたのは単行本27巻136撃目「大いなる何か」であり、サイコスがオロチに精神を浸食される直前、止まった時間の中で「カミ」がサイコスを覗き込んできたのです。
その瞬間、サイコスは畏怖を覚えると同時に神秘の力が流れ込んでくるのを感じたと述べており、オロチが石碑を見つけた時と同様に完全生命体になるという天命を悟ったのでした。
恐らく、サイコスに流れ込んできた力は「カミ」が与えた神通力であり、ホームレス帝や覚醒ガロウのケースと同じだと推測されます。
どうやらサイコスがオロチを制御できたのは「カミ」に付与された力のお陰のようですが、精神はオロチと同化しているように見受けられますね。
怪人王オロチの死亡と素顔についてのまとめ
- 怪人王オロチはサイコスが作り上げた元人間の怪人で唯一の成功作
- 怪人王オロチが死亡したのは単行本24巻115撃目「生贄」
- 怪人王オロチはサイタマに敗れて死亡
- 怪人王オロチvsサイタマの修正前もサイタマにワンパンで敗れて死亡
- 怪人王オロチはサイタマに敗れた後も心臓部だけは活動を続けており、怪人を吸収し身体の復活を狙っていたがサイコスと合体した際に精神を浸食しようとしたものの打ち負けたのか肉体を支配されている
- 怪人王オロチとサイコスの合体後は、少しだけオロチの精神がサイコスに残っている
村田雄介版にのみ登場する怪人王オロチですが、災害レベル「竜」の中でも間違いなく最上位の力を秘めていました。
その正体が元人間であり、サイコスが怪人化させて作り上げた成功例とは信じ難い強さを秘めていましたが、サイタマに呆気なく倒された後もタツマキによりサイコスと合体したにも関わらずやられてしまいます。
原作には居ないキャラクターが怪人協会の頭目をはっていたので展開がどうなるか心配でしたが、サイコスの強化に宛がわれるといった結末は中々に良い改善だったのではないでしょうか。
ただ古代の壁画にオロチと同じ姿の絵が描かれていた伏線が回収されるのかは気になりますね。