千年血戦篇に登場した敵『星十字騎士団』が使用した卍解奪掠アイテム『メダリオン』は、いったいどういう仕組みで護廷十三隊の隊長格から卍解を奪ったのでしょうか?
そこで今回は、
- メダリオンとは?
- メダリオンの対策
- 卍解を奪掠された隊長・副隊長
- 黒崎一護が卍解を奪われなかった理由を考察
などを紹介したいと思います。
メダリオンとは
メダリオンの語源は、硬貨を指したラテン語の「medalia」を由来とした「medal=メダル」、そして「medalia」はラテン語の金属や鉱山を意味する「metallum」に由来しており、メダリオンとは『メダル様の』といった意味合いになるそうです。
作中でのメダリオンは滅却十字が意匠された手の平大の金属盤として登場しており、効力は死神が卍解を使用した瞬間に翳せばその卍解を奪掠してメダライズ(=星章化)できます。
発動時にはメダリオンを起点に黒い十字状のものが展開されそこから青白い光が檻の様に対象者に降り注ぎ卍解の力をメダリオンへと奪い取りメダライズ(=星章化)する仕様です。
初代護廷十三隊に大敗したユーハバッハが1000年間瀞霊廷内の影の中へ潜んでいる間に研究を重ねて開発したもので、今回の侵攻では星十字騎士団全員に一つずつ支給されていました。
尚、一つのメダリオンにつき一つしか奪掠できないのか、もしくは制御できないのか、作中では一つのメダリオンで一人一回使用しています。
作中では一度だけイーバーンが発動時に詠唱しており、口上は以下の通り。
『溶けよ 海よ雲へ 雲よ雨へ 風姿成すものよ見えざるものへ 風我等歓喜の末に杯を地に伏せる』
メタライズの仕組み
残念ながら作中でメダリオンが卍解をメダライズ(=星章化)できる仕組みは明かされていません。
分かっているのは『死神が卍解を使った瞬間に翳すと強制的に奪掠できる・奪った卍解はメダリオンの所有者が行使できる』だけであり、死神側に甚大な被害を与えました。
メダリオンのデメリット
死神の奥の手である卍解を奪掠できる一方で滅却師側には相性の問題で卍解を持っている間は卍解が邪魔をして滅却師完聖体を使用出来ないというデメリットが生じています。
とは言っても、ユーハバッハが与えた聖文字の力のみで充分に卍解に匹敵する能力を持つ星十字騎士団が完聖体を自ら封印するのは寧ろ死神側へのハンディキャップのように思えますが…。
しかし、ユーハバッハは卍解を奪われた死神達がいずれ卍解を取り戻す手段を見つける事を予見しており、死神達が卍解を取り戻した喜びを再び絶望に染める為に滅却師完聖体を用意していました。
因みに、奪掠した卍解が持ち主の所に還る際には視覚化されているのか「外れた卍解が遠くに飛んでくとこ見るまで気付かなかった」とバンビエッタが発言しています。
メダリオンの対策
滅却師は死神の卍解を奪掠しますが破面の刀剣解放(=帰刃)は奪いませんでした。
破面の刀剣解放は、魂魄の力を刀の形におさめる事とそれを解き放ち大きな力を得る事は卍解とほぼ同質であり、滅却師がわざわざ虚圏侵攻後に幾人もの破面を捕えて兵士として連れ帰った事から破面の力は戦力として欲していながらも、理論上は奪掠できる筈の刀剣解放は奪掠していません。
そこで浦原喜助は、
- 刀剣解放は奪えない
- 奪う事が滅却師のデメリットになる
以上の二つの可能性に行き着いており、涅マユリによって虚に関する研究からは卍解を奪えて刀剣解放を奪えない理由は思い当たらないと説明されると、後述の『奪う事がデメリット』になる可能性が妥当だと結論づけられています。
滅却師達の虚に対する徹底した敵意は言い伝えの様に怨恨からくるものではなく、敵意とは思想の違いから生まれるもので、意志も思想も持たぬ相手を憎み続ける事など不可能だと考えた涅マユリは、あれ程の敵意を絶える事なく持ち続けられる理由は『生命の危機をもたらすものに対する根源的な恐怖』と推察しました。
したがって、浦原喜助が導き出した仮説は、滅却師とは虚に対して抗体を全く持たない種族である為、虚の全ては滅却師にとって毒そのものであり虚の侵蝕を受ければ霊力が弱体化するのみならず最終的には魂魄が崩壊して死に至る危険性を持つ他、死神の様な虚化の道すら残らない為に虚を根絶しなければならない種族としています。
つまり、僅かばかりの虚の力を吸収し卍解を一瞬だけ虚化させる事ができれば卍解は滅却師にとって毒となると考えた浦原喜助は、卍解を持つ人にのみ反応する黒い丸薬「侵影薬」を開発して卍解を奪掠された隊長各位に転送し吸収させました。
これによりメダリオンで奪われた卍解は一瞬だけ虚化(虚の仮面が発生)する事で滅却師を拒絶し始め徐々に元の使用者の許へ戻っていったのです。
しかし、対策と言っても過去から現在まで死神と虚の境界を取り払う事で魂魄の限界強度を高めようとした浦原喜助の研究の賜物である為、実際には浦原喜助が居なければメダリオンの対策は早い段階で講じられなかったでしょう。
卍解を奪掠された隊長・副隊長一覧
単行本56巻では、護廷十三隊の隊長達が星十字騎士団と対峙して卍解を奪掠されました。
奪われた隊長 | 奪った星十字騎士団 | |
一番隊 | 山本元柳斎重國 | ユーハバッハ |
一番隊 | 雀部長次郎 | ドリスコール・ベルチ |
二番隊 | 砕蜂 | BG9(ベー・ゲー・ノイン) |
六番隊 | 朽木白哉 | エス・ノト |
七番隊 | 狛村左陣 | バンビエッタ・バスターバイン |
十番隊 | 日番谷冬獅郎 | 蒼都 |
一番隊副隊長の雀部は何の情報も無いままドリスコールに卍解を奪われてしまった為に滅却師らが何らかの手段で卍解を封じるか無力化する術を持っているという情報を残して死亡しています。
そして、見えざる帝国の一度目の侵攻を受けた瀞霊廷での戦いで、白哉、狛村、冬獅郎、砕蜂の四名は雀部の情報を基に相手が如何にして卍解を封じるのかを見定めて打ち破る術を見つける為に自身の卍解を囮に使用したのですが、別場所にて同時に使用した為に四人一斉に卍解を奪掠されてしまいました。
尚、砕蜂に関しては「封印されるより早く殺してしまえば何の問題も無いのだがな!」とドヤ顔。
そして最後に山本元柳斎重國ですが、元柳斎は何の問題も無く卍解を使えた事から『滅却師は卍解の力を知り、それらを解明することで卍解を奪っている』という仮説立て、それ故に千年前に真の力を見せず底の見えない残火の太刀や習得して日が浅く進化の余地がある黒崎一護の天鎖斬月は奪えなかったと結論づけています。
しかし、元柳斎の卍解が奪掠されなかったのは、元柳斎が対峙していたユーハバッハが星十字騎士団ロイド・ロイドの扮した偽物で本物のユーハバッハから手を出すなという命令を受けていただけであり、本物のユーハバッハが「偽物との戦いで力は使い果たしたか山本重国?」と挑発すると元柳斎が見す見す卍解をしたので普通にメダリオンで奪掠されました。
ただし、元柳斎に関しては星十字騎士団でも奪えない訳ではないものの、強大過ぎる元柳斎の力はユーハバッハ以外に御しきれないと説明されています。
黒崎一護だけが卍解を奪掠されなかった理由は?
単行本55巻483話と単行本56巻498話でそれぞれイーバーンと星十字騎士団キルゲが黒崎一護から卍解の奪掠を試みていますが何れも打ち破られるか拒絶されるように弾かれてしまい未遂で終わっています。
なぜ黒崎一護だけが卍解を奪われなかったのか、その理由は明かされていません。
しかし、黒崎一護のルーツを基に読者が考察した中では三つの可能性が提唱されています。
- 黒崎一護の中の改造虚ホワイトの影響
- 黒崎一護の中の滅却師の力の影響
- 黒崎一護の斬魄刀の成り立ち
黒崎一護の中には黒崎一心から受け継いだ死神の力と黒崎真咲から受け継いだ滅却師の力と混ざり合った虚の力が眠っているのです。
①の説は、浦原喜助と涅マユリが導き出した『滅却師とは虚に対して抗体を全く持たない種族であり根源的恐怖を持ち毒となる』という解答そのものであり、滅却師が破面から刀剣解放を奪掠しない理由と同じで黒崎一護の中の改造虚ホワイトの因子がメダライズ(=星章化)の邪魔をしていると考えられています。
②の説は、キルゲが黒崎一護を聖文字『J:監獄』の能力で足止めできなかった理由として、黒崎一護が極限まで霊圧を放ち続けた事で爆発的に解き放たれた霊圧の残滓は体へ還ると同時に周囲の霊圧(キルゲの滅却師としての霊圧)を巻き込み一護の中の滅却師の記憶を根源から呼び起こしたと説明された事から、同族の滅却師を捕らえる事は出来ないという道理で滅却師の因子を持つ一護の卍解が奪掠できないと結び付けられています。
③の説は、そもそもこの時点の黒崎一護の卍解は一護の魂の内側で斬魄刀のフリをしていた千年前のユーハバッハが作り出した能力であり、一護の本来の斬魄刀は数多くの死神の魂魄を重ねて造られた藍染惣右介が生み出した改造虚ホワイトが一護の中の本来の死神の力と溶け合ったものと語られています。
その為、一護とその他の死神の最大の相違点は二枚屋王悦が打った浅打から斬魄刀を目覚めさせているかいないかであり、②の説と同様にこの時点の一護の斬魄刀は千年前のユーハバッハ(滅却師の力由来)の因子が含まれている為に奪掠が拒絶されていたのではないでしょうか。
そして③の説には①の説と同様に、滅却師の力に輪をかける様に虚の力も要因となって拒絶されているのかもしれません。
また、山本元柳斎重國と対峙した際にユーハバッハが発言した「強大なお前の力は私以外には御し切れまい」という台詞と涅マユリが提唱した「虚の根源的な恐怖」の台詞から、黒崎一護には滅却師の力と虚の力の両方が含まれている為、ユーハバッハ以外では制御も出来なければ根源的に拒絶され奪えなかったのではという可能性もあるでしょう。
もしくは単純に千年前のユーハバッハの魂の欠片とは言え滅却師の始祖が自ら与えた偽りの卍解をユーハバッハの配下である星十字騎士団程度では奪えない可能性というのも面白いかなと思います。
結局は黒崎一護だけが卍解を奪われない・拒絶された理由については分からずじまいですが、色んな読者が考察する様々な説の全てがそれらしく思えるので考察するだけで楽しいのがBLEACHの良さではないでしょうか。
メダリオンの仕組みや対策とデメリットについてのまとめ
- メダリオンとは、死神が卍解を使用した瞬間に翳せばその卍解を奪掠してメダライズ(=星章化)できるひみつ道具
- メタライズの仕組みは不明
- 滅却師側は、卍解を持っている間は卍解が邪魔をして滅却師完聖体を使用出来ないデメリットがある
- メダリオンは破面の刀剣解放も奪掠できるが虚の抗体を持っていないので根源的な恐怖から奪掠しないと推測されている
- 黒崎一護の卍解を奪えなかった理由は不明だが、恐らくルーツに関係している
千年前に護廷十三隊に敗れてしまったユーハバッハは、千年もの間、瀞霊廷の影の中に見えざる帝国を作り死神の卍解に対抗しうる手段を講じた結果、聖文字や血装、そして謎の万能アイテム『メダリオン』を準備してきました。
恐らくはユーハバッハの『自らの魂の欠片を他者に分け与える』力や『与えた力を回収する』力の応用で発明したものと推測されますが、山本元柳斎重國の強大な卍解までもユーハバッハ以外は制御できないという理由はあるものの何のリスクも無く翳すだけで奪掠できるのはチートを超えたアイテムでしょう。
一つ気掛かりなのが、元柳斎のみユーハバッハかロイドで対応しておいて後は滅却師完聖体で蹂躙すれば一度目の侵攻で護廷十三隊と瀞霊廷は制圧できていたのではと思えてなりません…。