当て屋の椿の物語の中で長編の回となる当て屋の椿第6巻の第50話盗人草(その1)から登場したイノ。
- イノはどんな子なのか?
- 気になる彼女の顔の傷は誰につけられたものなのか?
- 死亡したのか
など、当て屋の椿のイノについてまとめてみました。
イノは死亡しておらず長屋の仲間入りをした
イノの生死に関して死亡説もささやかれていますが、結論から言えばイノは死んでいません。
奉公先の古着問屋もなくなり、母もすでに他界していて帰るところがないイノに、鳳仙が「ウチの長屋に来ればいい」と誘ってくれていて竜胆も誤解していましたが、俺のところに来いという意味ではなく長屋に住んだらという意味でした。
ですが長屋は満員で、結局鳳仙が魚臭い柳さん宅へ居候となりイノは鳳仙の部屋を使うことになるんです。
椿は「嫌いだから!」と気に入らない様子でしたが、少しずつ仲間になっていきます。
日々変化していく長屋事情
柳さんが片思いしていた盲目の花菱さんと一緒に住むことになったので、鳳仙は自分の部屋に戻ることになりました。
イノは花菱さんの部屋を使うことになり、本格的に長屋に腰を据え仲間入りをするのです。
最初は笠を被っていますが、長屋の愉快な仲間たちによって笠とともに素の自分をみせるようになり、現在もイノは長屋の仲間として登場しています。
多少危険な目にも合いますが命にかかわる大きな出来事は起きず、イノはせず元気に暮らしていきした。
イノの顔の傷は誰につけられたものなのか
椿、鳳仙と顔の傷を竜胆に診てもらいに行き、長屋の仲間たちが聞けなかった顔の傷について竜胆がズケッと理由を聞いてしまいます。
このときバツ(×)ではなく、ガイ(乂)という文字だということが発覚しました。
死体の持ち物を漁る日々の中、イノは棕櫚一行に出会って棕櫚に「湯灌場買いか」と尋ねられ、イノは「数ならぬ身でございます」と答えるんですね。
無数の死体を漁り、人で在ることを無くしてしまっていたのでしょう。
その後三人の男たちに襲われてしまい、どういったわけか棕櫚一行が助けてくれて、数ならぬ身であっても女という括りがあり下衆な男どもの目に留まってしまいました。
そして女という余計なものを切り落とすといってイノの顔に(乂)の文字を切り刻み去っていきます。
椿曰く(乂)という字は、刃物を交差して刈り取る様を現していて、余計な部分や悪い所を切り捨て整えるという意味があるそうです。
数ならぬ身から解放されたイノ
散々竜胆と椿に馬鹿にされてしまいますが、今は悔いていると困ったように微笑みます。
イノは鳳仙のおかげで、数ならぬ身から笑える程に悔いることができるようになったんですね。
「烝烝として乂めて姦に格らざらしむ」と椿がニヤリ。儒教で尊重される五経の一つの書経の一文で、「どんどん良い方に進ませ、悪いこ事にならない様にさせる」という意味で、棕櫚はたまたま癇に障っただけなのかもしれませんが、哀れと思い傷をつけたのかもしれませんね。
ただこれらは推測の域を出ないため真相は分かりません。
鳳仙は、
- この傷が良い方に進ませるはずがない
- 女の顔に傷をつけるなんてとんでもない
と主張しています。
当然、イノは棕櫚一行が何者か知らないので椿や竜胆にも棕櫚がつけたものとは伝わりません。
このようにイノの顔の傷は、棕櫚によってつけられたものでした。
イノの可愛らしさと魅力
イノは鳳仙が大好きで、鳳仙のことになると何事も一生懸命で常に鳳仙の横にちょこんと座り、いつも鳳仙の後ろを付いて回っています。
椿に「この長屋には犬っころが三匹いる」とからかわれても隣にいて、鳳仙が一日長屋に帰らなかった時もゲッソリしながら鳳仙を探し回ったりするんです。
あなたが欲しいですと本音を伝えていたりもしますが、幸せ不感症の鳳仙はなかなか射止めることができません。
竜胆の薬のおかげで段々と話しも自然とできる様になっていきますし、傷が深くカタコトの暗い感じのイノでしたが、どんどん傷も癒え表情豊かな可愛い女の子になっていくのがなんとも微笑ましいです。
イノは、正直で一生懸命なとっても可愛い女の子になっていたのでした。
イノとコヅチの姉妹二人だけの悲しい世界
コヅチとは、イノの父親ちがいの妹です。
コヅチの父親は、イノの母親の奉公先の旦那様で妊娠してしまった為、女将さんに追い出されて突然帰ってきたとのこと。
イノの父親は激怒し、イノと母親を置いて出て行ってしまい、母親はそれをコヅチのせいだと責め暴力を振るうようになってしまうのでした。
そして姉妹は母の奉公先へ出稼ぎに行き、コヅチを不憫に思ったイノはとっかえっこを提案します。
とっかえっこをしたことにより、姉のイノは死体を漁る日々を妹のコヅチはご隠居の慰みものにされる日々を送るんです。
ある日ご隠居様をコヅチが殺してしまい、またとっかえっこをしての繰り返し。このとっかえっこが姉妹を狂わせていくことになるとはこの時の二人は思いもしなかったことでしょう。
そして姉のイノは存在がない、己を惜しむこともない死体を漁る湯灌場買いになり、妹のコヅチはご隠居が亡くなったことにより目も文に女と成りました。
けれど姉妹には罅が入っていたんです。
長いこと鉛丹が塗ってある針に触れていたコヅチは中毒症状が出ていて、[イノは私、お前はコヅチ]二人のとっかえっこの呪文をイノが唱えると障りが出てしまい、針を飲ませて人を殺したコヅチは最期尖った柵に刺さって死んでしまいます。
ご隠居も先代旦那様も旦那様も、みんな嘘をついたため針を飲ませて殺してきましたが、みんな私を愛しているとコヅチも自分に嘘をついていたんです。
「嘘ついたら針千本飲ます」と言い残しこの世を恨みながら死んでいきます。
コヅチは死亡しても登場してくる!
妹のコヅチは悲しい最期を迎えましたが、イノが悩んでいる時にイノの脳内に現れてイノを導いてくれる存在になっていました。
挑発したような態度ですが、そこには美しき姉妹愛がありイノに勇気を与えてくれます。
イノの脳内に登場してくるコヅチは何故かいつも裸ですが、そこはエログロ大江戸サスペンス当て屋の椿の特徴ですね。
美しく悲しいイノコヅチの二人だけの世界がなお続いているのでした。
当て屋の椿のイノの顔の傷の原因と死亡した真相のまとめ
イノにもっと幸せな道はなかったのか?そう思ってしまうお話でしたが鳳仙や椿、長屋の仲間のおかげで幸せな道を今は歩んでいます。
登場から現在まで、いい意味での大きな変貌を遂げてきたイノです。
鳳仙との関係や、表情豊かなイノの可愛らしさに今後も目が離せません。