竈門炭治郎達、鬼殺隊員が任務で怪我をした際に利用する療養施設「蝶屋敷」には、蝶の髪飾りを付けた女の子達が看護を請け負っています。
その中でも、背格好がよく似ている三人娘こと、すみ・きよ・なほは炭治郎達の看護や修行によく付き合ってくれた優しいキャラクターでした。
そこで今回は、
- 蝶屋敷の登場人物・三人娘について
- 蝶の髪飾りについて
- 蝶屋敷の外観モデル
など、三人娘や蝶屋敷について紹介していきます。
蝶屋敷の登場人物の三人娘
【名前】 | 中原すみ、寺内きよ、高田なほ(※左から順に) |
【年齢】 | 不明(キメツ学園では中等部一年生設定) |
【声優】 | 真野あゆみ、山下七海、桑原由気(※左から順に) |
蝶屋敷に住み込みで働いている三人娘は看護師であり、鬼殺隊員ではありません。
血の繋がりはありませんが、蝶屋敷の前任・胡蝶カナエが迎え入れた蝶屋敷の家族であり、蝶屋敷では負傷した隊員の看護・機能回復訓練などのお手伝いをしています。
機能回復訓練では、硬くなった身体をほぐすため全身の柔軟を担当しており、実際に体験した炭治郎や伊之助はあまりの激痛により悲鳴を上げました。
三人は姉妹ではない
すみ、きよ、なほの三人は同じ年齢ですが姉妹ではないようです。
三人の見分け方としては、
- 蝶の髪飾りのイメージカラー
- 帯の色
- 髪型
以上の三つを注視しましょう。
なお、作者も三人の名前を間違えるという痛恨のミスをしており、単行本13巻第111話のおまけページで名前を間違えた事を謝罪していますが、間違えられた三人が作者の事を睨んでいる様子が描かれています。
三人は鬼に家族を殺された
三人娘や神崎アオイが蝶屋敷に来た理由が明かされたのは小説「片羽の蝶」の第3話「甘露寺蜜璃の隠し事」です。
胡蝶しのぶの口から「アオイやすみ、きよ、なほも鬼に家族を殺され、他に行き場がなくてここでともに暮らしています」と語られています。
三人の蝶の髪飾り
すみ、きよ、なほの蝶の髪飾りはそれぞれ色合いが異なっており、それぞれのイメージカラーにもなっています。
- すみ:薄い水色、おさげの付け根に二つ
- きよ:薄い桃色、耳の上の左右に二つ
- なほ:薄い緑色、三つ編みおさげの結び目に二つ
この蝶の髪飾りは亡くなった胡蝶カナエから貰った「家族の証」であり、蝶屋敷で暮らす皆の大切な思い出の品でもあるのです。
きよが蝶の髪飾りをカナエから貰ったエピソード
きよが蝶屋敷に連れてこられたのは肉親を鬼に殺されたからですが、蝶屋敷に来たばかりの彼女は何かにつけて亡くなった家族を思い出してはめそめそと一人泣いていました。
そんなある日、蝶屋敷の庭で泣いているきよを見つけたカナエは、彼女の悲しみ・憎しみ・孤独・怒り・恐怖といった負の感情を受け止めると、きよの髪を結って小さな蝶の髪飾りを付けてあげたのです。
カナエから蝶の髪飾りを付けてもらったきよは涙に濡れた顔でようやく微笑みました。
肉親を失い寄る辺のない蝶屋敷の少女達にとって、蝶の髪飾りとはカナエが家族として自分達を結び付けてくれた目に見える「証」なのです。
三人娘は炭治郎に懐いている
すみ、きよ、なほの三人は負傷した隊士の看護が仕事ですが、炭治郎に関してはその優しさが伝わったのか機能回復訓練の他にも、炭治郎が伸び悩んでいる際に的確なアドバイスをして「全集中・常中」の習得の手助けをしました。
また、修行以外にも一緒に遊んでもらったりと兄妹の様に接しており、単行本6巻のおまけページでは三人は炭治郎にそれぞれキャラメル・からから煎餅・あんぱんなどを差し入れしています。
炭治郎が全集中・常中を習得した際には共に大喜びし、機能回復訓練を達成した暁には炭治郎と一緒になって祝福の舞いを踊り和気あいあいと喜びを分かち合いました。
吉原遊郭で重傷を負った炭治郎が二ヵ月振りに目を覚ました際には、三人とも炭治郎の病室に駆け込むと布団にしがみつき「あんぱんあげます」と号泣している他、一週間後には復活した炭治郎に持ち上げてもらって楽しんでいる姿が描かれています。
三人娘と不死川玄弥の関係
小説「片羽の蝶」の第4話「夢のあとさき」では、刀鍛冶の里編後、炭治郎達が再び蝶屋敷に担ぎ込まれて静養しており、玄弥と蝶屋敷の少女達のちょっとしたエピソードが描かれています。
那田蜘蛛山後、蝶屋敷で一度登場した玄弥はピリピリしていた為、表情が険しく周囲に当たり散らしていた事から三人娘から怖がられていましたが、刀鍛冶の里編では炭治郎と出会った事で随分と性格が和らいでいました。
そんな中、玄弥の看護を担当するなほが震えた手で体温を計っていた為、玄弥も「そりゃあ怖えよな……」と、思春期特有の照れくささやピリピリしていた過去の自分に反省します。
すると、別の病室で腕を失った隊士が癇癪を起こしガラスを割ると、患者を担当していたすみが悲鳴を上げた為、なほが「すみちゃん」と心配した声を発したのをきっかけに玄弥は亡くなった自分の妹の一人「寿美(すみ)」の事を思い出すのです。
すみという名前から「寿美」を連想した玄弥は思わず起き上がり現場に向かうと、腕を失った隊士がもう鬼と戦えないと嘆きと怒りを蝶屋敷のアオイ達にぶつけている場面に遭遇し、隅では、なほとすみが抱き合って震えているのを発見しました。
錯乱した隊士が寝台に置いてあった水差しを掴んですみ達に向かって投げ飛ばすと、玄弥は咄嗟に飛び出してすみ達を庇い投擲された水差しを掴み、「女子供に当たってんじゃねえよ」と隊士を一蹴します。
そして、玄弥は腕を欠損した事で鬼と戦えなくなり、亡くなった大切の人の仇を討てずに泣き崩れる隊士を見やると、かつてのピリピリしていた自分の姿を重ね合わせて、俺なら腕が無くなっても口で刀を咥えて戦うと玄弥なりに隊士を窘めるのでした。
隊士の錯乱を止めた後、病室に戻り眠った玄弥は不死川実弥の夢を見て涙を流していましたが、目覚めると脇にはすみが控えており、すみは玄弥が譫言のように兄に謝罪する言葉を放っていた事から心配そうに見つめます。
すみは玄弥が目覚めると「さっきはありがとうございました。庇ってくださって」と謝意を述べると、玄弥もまた気持ちを入れ替えるように、すみに対して怪我はなかったかと心配をする言葉を返すのでした。
また、すみは玄弥の顔を見てよく似ている風柱・不死川実弥を連想し二人が兄弟なのかを訊ねますが、その際、初めて実弥を見た時は怖くて近寄れなかったと言ってしまった為、玄弥は即座に「兄貴は怖くねえよ!」と声を荒げてしまいすみを怯えさせてしまいます。
しかし、我に返った玄弥は冷静になると、少なくとも実の妹の寿美と同じ名前を持つすみにだけは実弥を誤解してほしくないと思い、実弥が本当は凄く優しい人間である事を誠意を込めてすみに伝えました。
また、玄弥はすみにだけ自分の生い立ちを話しています。
玄弥から生い立ちを聞いたすみは、玄弥の両手を握り締めて「生きていればこれから幾らだってやりなおせます。お兄さんときっと仲直りをしてくださいね」と優しい言葉を投げかけますが、玄弥は目の前の少女が肉親を亡くして二度と親兄弟と会う事が出来ないと知っていた為、すみが放った言葉の重みを痛感しました。
一方で、すみはアオイから実弥が蝶屋敷に来ていた事を聞くと、きっと玄弥と実弥が仲直りできると信じて心の中で玄弥にエールを送っています。
単行本15巻第129話の扉絵ですみが玄弥に食事を食べさせていたのは、このエピソード以来、蝶屋敷の少女達とすっかり打ち解けたからですが、思春期真っ只中の玄弥にとっては鬼と戦うよりもしんどかったそうです。
蝶屋敷の少女と外観のモデル
蝶屋敷は、元々は花柱・胡蝶カナエが所有していましたが、カナエの死後に14歳の若さで蟲柱・胡蝶しのぶが引き継いでいます。
蝶屋敷の活動内容は、主に負傷した隊士の治療所として開放しており、患者はパジャマのような病院服を着て静養する決まりです。
また、蝶屋敷の役割としては、
- 孤児院:鬼に肉親を殺された行き場のない少女の保護
- 治療所:任務で負傷した鬼殺隊の治療・静養
- 訓練所:長期療養後の機能回復訓練
など、多岐にわたって鬼殺隊士や鬼の被害者の支援を行っています。
蝶屋敷で暮らす少女
- 胡蝶しのぶ
- 栗花落カナヲ
- 神崎アオイ
- 中原すみ、寺内きよ、高田なほ
現在の蝶屋敷は、蟲柱・胡蝶しのぶが管轄しており、胡蝶カナエの継子である栗花落カナヲ、鬼殺隊員である神崎アオイ、看護師である三人娘が暮らしています。
しのぶとカナヲは鬼殺隊の任務がある為、普段はアオイが蝶屋敷を取り仕切っており、三人娘と共に隊士達の看護や身の回りの世話を務めていますが、しのぶは診療を担当し、機能回復訓練にはカナヲも参加するようです。
蝶屋敷の外観モデルは「日本赤十字社中央病院病棟」
作中で何度も登場する蝶屋敷ですが、その外観や内装がとても似ているのが愛知県明治村の「日本赤十字社中央病院病棟」です。
炭治郎達が頻繁に利用している病室や家具の配置、ベッドのデザインもそのままであり、窓枠から色彩まで何もかもがよく似ていますよね。
どうやらこの建物を参考に描いているようです。
「日本赤十字社中央病院病棟」の詳細
まず、「日本赤十字社中央病院病棟」が保存されているのは、愛知県犬山市の野外博物館・明治村です。
明治村とは、明治時代の建造物などの移築・公開をしている野外博物館のことで、他にも歴史的資料を収集し、社会文化の向上に寄与することを目的とする施設であり、学びの場として活用されています。
「明治村日本赤十字社中央病院病棟」は、東京渋谷区広尾の日本赤十字社病院の敷地内に建っていた分棟式の木造病棟の9つの内の1つであり、病院はドイツ・ハイデルベルク大学病院を模しているそうです。
建物の特徴としては、
- 木造平屋建て
- 寄棟造り
- 桟瓦葺き
- 繊細な装飾
- 光溢れる廊下
などが挙げられており、蝶屋敷そのままの世界観を体験出来ます。
聖地巡礼をする際はマナーを守って!
重要文化財が多く残っている貴重な場所です。
聖地巡礼する際には、一般のお客様がいることも忘れずにしましょう!
蝶屋敷の三人娘と外観モデルのまとめ
- 三人娘の名前は、中原すみ、寺内きよ、高田なほ(並び順)
- 三人娘は鬼殺隊員ではなく看護師
- 三人娘は、鬼に肉親を殺された寄る辺のない少女で蝶屋敷に連れてこられた
- 蝶の髪飾りは胡蝶カナエが与えた「家族の証」で少女達の大切な思い出の品
- 蝶屋敷の外観モデルは「日本赤十字社中央病院病棟」
毎度の事ながら、鬼と戦った後に静養する炭治郎達の看護をする三人娘は、その賑やかな様子から読者にも癒しを届けてくれる可愛らしいキャラクターでした。
普段、せっせと隊士達の看護を務めている彼女達ですが、実は鬼に肉親を殺されたという悲しい背景を背負っており、当時は酷く困惑して落ち込んだり泣いたり塞ぎ込んでいたそうです。
それを救ったのが胡蝶カナエであり、カナエは寄る辺の無い三人娘やアオイにカナヲなど、彼女達に蝶の髪飾りをつけてあげる事で血の繋がりの無い少女達を繋げる証を与えてくれる他、家族として受け入れてくれました。
三人娘やアオイ達が蝶屋敷でひたむきに看護に励んでいるのはカナエから受けた優しさや、カナエの居なくなった蝶屋敷を守る為なのかもしれませんね。