アニメ【岸辺露伴は動かない】六壁坂編を見た感想と溢れ出す先生の魅力

記念すべき『岸辺露伴は動かない』初のアニメ化が、これからご紹介する『六壁坂』です。

『六壁坂』の原作発表は2008年、アニメ化されたのは2017年。しかしながら、『六壁坂』にはまるで古臭さというものが感じられません。

もっとも、それを言い出せば露伴先生が活躍する第4部そのものが、今は懐かしのガラケーの時代なのです。何年たっても色褪せず常に新しいキャラクター魅力、それもJOJOの魅力のひとつでしょう。

pv露伴引用元:「岸辺露伴は動かない」OVA コレクターズエディションより抜粋 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・岸辺露伴は動かない製作委員会

【アニメ岸辺露伴は動かない】キャスト

それではまずアニメ岸辺露伴は動かないの気になるキャストからご紹介。

岸辺露伴

イケメン先生引用元:「岸辺露伴は動かない」OVA コレクターズエディションより抜粋 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・岸辺露伴は動かない製作委員会

CV 櫻井孝宏
『動かない』シリーズの時に主役であり、時にナビゲーターを務めるスーパー漫画家。

相手の全てを読み、命令を描きこめるスタンド『ヘブンズ・ドアー』の使い手。
散々な目に合いながら杜王町を愛し在住。

デビュー11年目の27歳(4部時は20歳)
妖怪伝説取材のために山6つ買って破産
康一の家に居候『妖怪六壁坂』に遭遇し、そう名付けた。

それにしてもこの先生、やたらイケメン。イケメンなのに趣味は覗き見……だが!それがいい!!

貝森 稔(かいもり みのる)

貝森引用元:http://jojo-animation.com/ova/rohan/

  • CV 茂木たかまさ
  • 漫画編集者
  • 23歳 既婚 子供なし

読み切りの打ち合わせのためカフェ・ドゥ・マゴで露伴と待ち合わせ、露伴に原稿料の前借を頼まれた際『山6つ事件』の話を聞いてドン引きする普通の人。

大郷 楠宝子(おおさと なおこ)

 なおこ引用元:http://jojo-animation.com/ova/rohan/

  • CV 種崎敦美
  • 今作のヒロイン。
  • 300年続く味噌作り一族の一人娘で資産家。
  • 来春卒業予定の女子大学生。

庭師の群平と付き合っていたのだが、群平と別れ話で揉めた際、弾みで群平を殺してしまう

釜房 群平(かまふさ ぐんぺい)

群平引用元:http://jojo-animation.com/ova/rohan/

  • CV 間島淳司
  • 大郷家のバイト庭師。
  • 楠宝子とデキていた。

ハズミで死亡。
『妖怪六壁坂』に寄生されていた。
死して尚、楠宝子との間に子を為す。

修一(しゅういち)

修一引用元:「岸辺露伴は動かない」OVA コレクターズエディションより抜粋

  • CV 益山武明
  • 親が決めた楠宝子の許嫁。
  • 予定通りに結婚し大郷家の婿養子に入る。托卵されてるぞ!修一!!

楠宝子の娘

娘引用元:「岸辺露伴は動かない」OVA コレクターズエディションより抜粋

  • CV 高田憂希
  • 楠宝子と群平の娘。(つまり、お父さん死体!)群平と同じ存在=『妖怪六壁坂』。
  • 取材に来た露伴に取り憑こうとする。

この他にも、出だしに少しだけ音石明や小林玉美が登場し露伴にサインをねだったり、原作にはない仗助達高校生組の登場がラストにあります。

【アニメ岸辺露伴は動かない】あらすじ

ここからは『六壁坂』のあらすじをネタバレ全開、主観をいくらか交えながらご紹介します。

61ページの読み切りの打ち合わせをすべく、お気に入りのカフェ『ドゥ・マゴ』でド・スタールの画集を眺めながら編集者を待つ露伴。そこに6分も早く表れる礼儀知らずの貝森。漫画家の所に6分も早くつくのは露伴先生的にNGであることが判明

サインをねだってきた音石と玉美(意味不明な組み合わせ)に、ドリッピング画法でイラスト入りサインをする露伴。相変わらずグレートなファンサービス。

仕事の話の前に、貝森に原稿料の前払いを無心する露伴。

理由は破産したから。

岸辺露伴が破産?!と驚く貝森に、露伴は『妖怪伝説の取材のために山6つ買ったら破産した』と淡々と告げる。
『うわぁこの人頭ヤッベー人だよ!』そんな表情で露伴から目を逸らす普通の感性の持ち主貝森。

しかし露伴は言い切った!
『この目で見たんだ。六壁坂のい妖怪は今もいる』

ここまでが物語の導入部。
そしてここからいよいよ『妖怪六壁坂』の本編スタート。

楠宝子と彼女の部屋(本宅とは別の離れ)でゲームに興じる群平。そこに楠宝子の許嫁修一が彼女の父親と共に車で帰宅。これを機にと、群平に別れを切り出す楠宝子。資産家大郷家の一人娘楠宝子と庭師の群平では所詮身分違いの恋。学生時代だけのモラトリアムと楠宝子は割り切っていたのだ。

楠宝子に多額の金(封筒の厚みからして100万くらい)を渡されたが納得いかない群平。売り言葉に買い言葉で喧嘩になり、揉み合う若いカップル。

この時、悲劇が起こった。

突き飛ばされた群平引用元:「岸辺露伴は動かない」OVA コレクターズエディションより抜粋

楠宝子に突き飛ばされた群平がバランスを崩し尻もちをついたのだ。
そして二人にとって不運なことに、群平の後ろにはゴルフバッグが置いてあった。

群平絶命引用元:「岸辺露伴は動かない」OVA コレクターズエディションより抜粋

延髄の少し上あたりにパターが刺さり群平絶命。ゴルフバッグを家に置くときは、しっかりカバーを閉めるべきだろう。

突然の惨事に恐慌を来す楠宝子。

殺すつもりなど全くなかった。ちょっと押しただけだった。これは事故だ。
だが、現場状況がいかんせん悪すぎる。

『まるであたしがゴルフクラブで殴ったみたいじゃぁないのッ!』

楠宝子は叫ぶ。

確かに密室・別れ話をしていた男女・血を流して死んでいる男・血の付いたゴルフクラブ・一人残った女と揃えば、目撃証人がいないだけに疑われるだろう。というか、楠宝子的には群平と付き合っていたことが親バレすること自体困る。

玄関には婚約者の修一が既にいて、開けろと戸を叩いている。もはや一刻の猶予もならぬ状況、迷っている暇はない。

『隠さなくては!』束の間の自失を経て楠宝子は死に物狂いで死体の隠蔽に奔走する。

しかし、ここで奇妙な現象が起きた。

シワシワ群平引用元:「岸辺露伴は動かない」OVA コレクターズエディションより抜粋

ミイラのように干からびながらも、激しく出血し続ける群平の死体。
想定外の事態に半狂乱になりながら、間一髪群平の死体を隠すことに成功する楠宝子であったが、それは彼女にとって奇妙な人生の始まりに過ぎなかった。

この後、楠宝子は予定通り修一と結婚し二人の子供にも恵まれ幸せに暮らすのだが、彼女には誰にも言えない秘密があった。

『屋根裏に隠した群平の死体。そして日々行わねばならない死体の世話。』

群平の死体は死に続けているというのに、毎日300㏄ずつ血を流す。グラスに溜まった血液を、誰にも知られぬよう密かに捨てることが彼女の日課となる。

群平の死体は不思議と腐ることも臭うこともない。コップ一杯分の水を霧吹きで吹きかけると、一瞬だが生きている時と同じ張りのある肌にも戻る。明らかに普通の人間の死体ではなかった。

こんな面白いネタを知って大人しくしていられる性分でもなく、何としても群平のことを調べ正体と目的を突き止めたいと欲する露伴。

そんな彼の前に、1人の少女が現れた。

逃げる少女引用元:「岸辺露伴は動かない」OVA コレクターズエディションより抜粋

彼女は自分から露伴に話しかけておきながら、不意に背中を向けて走り出し転倒。そして、石で頭を打ってまさかの死亡。

『まるで僕がこの子を!この場所で何かしたみたいじゃぁないか!』

これにはさすがの露伴も焦る。

田舎を訪れたよそ者の男・職業漫画家(世間的に微妙)・人気のない雑木林・血を流して死んでいる十代の可愛らしい女の子。誰がどう見てもヤバイ絵面でしかない。

焦る露伴の前で少女はシワシワになっていく。楠宝子の記憶にあった群平と同じ現象だ。露伴は少女が楠宝子と死んでいる群平の間に出来た子供だと悟り、このままでは自分が取り憑かれると理解した。

理解すれば露伴の判断と行動は早い。プロシュートの兄貴並に躊躇わない。

ヘブンズ・ドアー発動→少女の記憶を『岸部露伴なんて知らない。たとえ出会っても岸部露伴を見ることさえない』と書き換える→少女の死をなかったことにするといった荒業で難を逃れた。

妖怪の取材を果たし、『妖怪六壁坂』の正体と目的を知って納得した露伴は、何かを解決することもなくクールに去っていく。

以上、ざっくりしたあらすじでした。詳しくは原作とOVAでどうぞ!

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【アニメ岸辺露伴は動かない】感想・考察

原作とアニメ版の両方を見た感想などを少し。

最大の被害者修一さん

今作のヒロイン楠宝子は、決して善人ではありません。

  • 過失とはいえ殺人を犯しながら隠蔽
  • 隠蔽過程で死体損壊
  • それなりに幸福な家庭生活を送りながら、死体を自宅に隠し続ける
  • 死体と交わり妊娠出産

冷静に考えると、特に最後のは倫理的にかなりヤバイのではないでしょうか?群平の死体が普通の状態とは違うとはいえ、ネクロフィリアです。

この場合、不倫になるのか法的なことははよくわかりませんが、修一が知ったら普通に浮気されるよりショックを受けるのではないでしょうか?

間男(死体)は屋根裏。妻は死体を愛してる。可愛い2人の子供は死体の子供。そして自分は死体と穴兄弟。

一体修一さんが何をしたというのか……真実知ったらEDになりかねません。

楠宝子は誰を愛したか?

楠宝子が本当に愛していたのは誰なのか?

まず、親同士が決めた婚約者である修一のことを彼女は愛してはいません。嫌悪はしていないし、結婚生活はそれなりに幸せ…でも、

『取り立てて情熱が燃え上がるわけではなかった』

恋愛感情というより、決められたことに従って家族になり、大きな不平不満はないと言ったところでしょう。ここで群平と駆け落ちする!と騒がない辺り、彼女はリアリストであるように思えます。

では、群平を本気で愛していたのか?

正直これも微妙ですね。。彼と別れる際、楠宝子は結構な額の金を手切れ金として渡しています。事前にきちんと説明することもなく、いきなりキャッシュで解決しようとするのは相当ドライ。浮気相手のキャバ嬢と後腐れなく別れるようなノリですね。

群平のことは一人の男として好き。でも、互いの社会的立場を考えれば、ずっとは続かない関係だと初めから知っていた。恋愛と結婚は別物。何もかも捨てて群平と一緒になる度胸はない。そんなところではないでしょうか?

そう考えると、あのドライな別れ方は彼女なりの優しであったようにも思えます。もし群平が妖怪でなければ、青春の甘く苦い思い出として終わる話だったのです。

楠宝子はダメンズ好き?

群平の死体の世話が日課となった楠宝子は、次第に群平を愛しく思うようになっていきます。

理由は死体である群平は自分が世話をしないと何も出来なくて可愛いから。

『あなたはあたしだけ。いつまでもあたしが世話を焼かなきゃダメな人』

群平の死体に愛し気に話しかける楠宝子。これ、完全にダメンズ好きな貢ぐ女思考です。

元々楠宝子にそうした素質が備わっていたのか?あるいは逆白雪姫状態で暮らすうちに開花してしまったのか?そこのところはわかりません。ただ、修一と夫婦として暮らしながら群平の死体と交わるようになったキッカケは、おそらくコレでしょう。

血を飲むナオコ引用元:「岸辺露伴は動かない」OVA コレクターズエディションより抜粋

修一の目から群平の死体を隠すために、カーペットで巻いた死体を担ぎ上げ冷蔵庫の上に乗せた楠宝子。それでもなお流れ続ける群平の血を、零さぬように自らの口で受け続けたのです。

人間が人間の血を飲む。それも恋人の死体から流れる血を直に舌で受けて飲み続ける。こんな経験をすれば、精神のタガがいくつかまとめて吹っ飛んでも不思議はありません。

ネクロフィリアという背徳的な行為に対し、彼女のハードルは既に低くなっていたのでしょう。

『妖怪六壁坂』の正体は?

これに関しては作中で露伴先生が素晴らしいまとめをしてくれているので、それをそのまま引用します。

『人間の愛と心の弱点に取りついて、全ての世話を人間にさせ、自分は労働も責任も苦労も何も背負わず、子孫だけを残すのを目的とした妖怪』

『この生き物として幸福の絶頂は、誰かの前で死ぬ時!』

恐ろしい妖怪ですね。

子の妖怪にロックオンされたら、取り憑かれて死体の世話をしながら、自らも誰かの前で死ぬことだけを人生のテーマとして生きるハメになるということです。あるいは、殺人犯として社会的に死ぬか。

露伴がもしスタンド使いでなければ、田舎の雑木林で少女にイタズラしようとして殺害した変質者として残りの人生を過ごすことになっていたでしょう。

『人間の愛と心の弱点に取りつく』とはどういう意味か?

誰かの前で死ぬことが人生のテーマとはいえ、お相手は誰でも良いわけではありません。

  • 自分を愛している(元々恋人などが好ましい)
  • もしくは保身に走る心の弱さを持っている(この状況はマズイ!と冷静に考えられる人)
  • 両方持っていたら素晴らしい!(楠宝子最高)

といったところでしょう。

死体となった自分を放置して逃げたり、山に埋めたり海に沈めたり焼却炉で焼いたりする思い切りの良い過ぎる悪人では困ります。

暗殺チーム引用元:http://jojo-animation.com/du/#

こういった方々の眼前で死ぬと、間違いなくシチリア海に捨てられます。足首だけコンクリで固めて。

かといって、『自首しよう!警察に話して罪を償おう!』と、損得保身一切なしに正しいことを行う強い人もいけません。

ジョナサン引用元:https://xn--28jaqb09alf6i.net

ジョナサンのような紳士は間違いなくこのタイプなので不都合です。

ではどのような人物が取り憑き先として理想的なのか?

それは―

死体を放ってはおけない。殺人を犯したことへの罪悪感は人並にある。
でも、だからといってこんな事故みたいな出来事で自分の人生台無しになるなんて冗談じゃぁない!

―と思うタイプ。

つまり、善悪どちらにも振り切れない中間の人間、非常に『普通』の人間です。この辺りに荒木先生のリアリズムを感じませんか?

世の中の大多数の人間は、完全な善人でも悪人でもありません。良いこともすれば悪い事もする。優しさもあれば残酷さもある。一人の人間の中に相反する要素が詰まっています。『妖怪六壁坂』はそのせめぎ合いの隙をついてくるからイヤラシイんです

アニメでは省略されてしまった露伴先生のド・スタールの絵画に対する『せめぎ合い』論は、ここに繋がる伏線だったのではないでしょうか?

楠宝子が群平を殺しても取り憑かれなかったのは、いずれ死体と交わり子孫を自主的に複数残してくれる逸材だったからでしょう。

原作では彼女は群平の子供を二人も設けています。修一さんに合掌。

露伴先生の溢れる魅力

楠宝子と群平が主役の『六壁坂』において、露伴の役回りは取材に来て真実の一部に触れるナビゲーター、つまりは部外者・傍観者です。

しかし、どんな立ち位置でも独自の溢れる魅力を見せてくれるのが露伴先生なのです!

破産上等!どこまでもリアリティを追求

物語冒頭からいきなり、

『破産して文無し。財産はド・スタールの画集だけ』

というヘビーな状況になっている露伴。売れっ子漫画家で若くして立派な戸建てに住んでいる彼がそんなことになった理由は、『山を6つ買い占めたが、リゾート開発計画がなくなって値崩れし二束三文になった』から。

そもそも何故山なんか買ったのか?理由はシンプル。最高の状態で妖怪伝説の取材をしたいから。

「取材→開発業者によるリゾート道路計画→周りの山を6つ買って道路工事阻止→道路計画中止→土地価格値崩れ破産

意味不明な行動に怯える貝森君に露伴は説明します。

『もし道路が開通して見ろ。仮に妖怪があの山から逃げていなくなっちまう…かもだろ?…そうなったら台無しってやつだ!』

これでこそ岸辺露伴!露伴先生はこうでなくっちゃいけません。天才である彼の価値観は凡人の俗っぽいそれとは明らかに違うのです。わざわざ妖怪取材しなくても、スタンド使いの露伴自身が一般人からしたら半分妖怪みたいなもの…というのは言わぬが花でしょう。

ド・スタール

文無し先生が最後まで大事に持っていた画集が、ド・スタールの画集。

ド・スタール引用元:http://www.natsume-books.com

正直、自分にはこの絵の良さは難し過ぎてわかりません。何を描いているのかすらわからない有様です。

しかし、露伴先生はド・スタールを以下のように語りました。

『抽象画でありながら同時に風景画でもあって、そのギリギリのせめぎ合いをテーマに描いている。こんな簡単な絵なのに、光と奥行きと哀愁があって泣けるんだ』

『つまり絵画で心の究極に挑戦しているんだ』

このセリフを読めただけでも、漫画買って良かったと思いましたね。素晴らしい出来栄えのアニメ『六壁坂』ですが、このセリフがカットされたことだけは残念でなりません。

先の楠宝子のコンテンツでも触れましたが、ギリギリのせめぎ合い・哀愁・心の究極とは『六壁坂』のテーマそのものではないでしょうか?

通り魔先生

たまたま偶然通りかかった見知らぬ女性にいきなりヘブンズ・ドアーかます露伴先生。何となく楠宝子に感じるものはあったのでしょうが、何もなかったらただの悪質な覗きです。

だが、それがいい!

己の好奇心と直感の前には、一般的な倫理などまるで無価値。面白い漫画を描くという己の使命こそが至上。
露伴先生にはいつまでもそうあって欲しいものです。

事件との距離感

露伴は『ヘブンズ・ドアー』によって楠宝子の殺人を知っても、そのことをどうこうしようとはせず、ラスト近くに楠宝子が死体と交わり子を為したことを知っても、倫理的に非難するようなセリフも一切吐きません。

露伴にとっての興味は妖怪の正体と目的を知ること、ただそれだけだからです。

警察ではないから、事件を解決したり楠宝子の罪を追求し正す必要はない。妖怪も楠宝子もそれなりに幸せそうなのだからそれで良しという、非常に合理的というか現実的な思考の持ち主です。

妖怪が複数存在する可能性(危険性)に気付いても、自ら動いて何かしようともしません。彼は学者やジャーナリストではなく漫画家だからです。

事件に首を突っ込み嗅ぎまわりながらも、決して渦中には踏み込まない傍観者。事態を動かすようなこともせずじっと見ているだけ。

『岸辺露伴は動かない』というタイトルは、そうした露伴の立ち位置を表しています。もっとも、新作の『ザ・ラン』ではめちゃくちゃ動いてますが(笑)

今後の展開を勝手に予想

『岸辺露伴は動かない』シリーズは、まず間違いなくこの先も新作が描かれていくでしょう。

話の内容的に最近の荒木先生の絵柄が非常にマッチする作風であり、露伴というキャラはどこに絡んでも自然で使い勝手が良いのです。

漫画家という職業柄、取材でどこに侵入していても自然な上に、『ヘブンズ・ドアー』は当事者達の記憶を淡々と読めるため、ナビゲーターに最適です。

また、荒木先生自身が『ジョジョリオン』と『岸辺露伴は動かない』は隣り合わせの世界だと発言しています。

その真意はまだわかりかねますが、『ジョジョリオン』が世界が加速し一巡した後の世界であることを考えると、『岸辺露伴は動かない』は4部とは似て非なるパラレルワールドということに。

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こう考えると、『ジョジョリオン』と『岸辺露伴は動かない』がコラボする可能性もあるのではないでしょうか?

まとめ

原作にはないラストの仗助達との合流シーンを見て、

  • 年齢的に矛盾する!仗助達どんだけダブってんの?!
  • 玉美と露伴はチンチロリン事件(露伴宅半焼)で知り合いのはずなのに、何故か初対面っぽかった
  • 楠宝子の記憶を読んだなら、彼女が死体と子づくりしたことを最初から知ってるはずだ

とか、細かいツッコミ所はありますが、それによって『六壁坂』の面白さが損なわれることはありません。素人目にも起承転結が明確な優れた短編です。

そして最後に。

群平と楠宝子がホルマジオとイルーゾォに見えてしまい心がザワついた人!いますよね?!